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更新日:平成22(2010)年7月29日

フィールドノート 大苗を利用したナシ「幸水」の改植

大苗は定植後の樹冠の拡大が早く、1年生の苗木に比べ早期に成園化できる利点があります。しかし、現地改植園では「幸水」の大苗では生育が不良であると言われています。そこで、本稿では改植園と新植園の大苗定植後の生育を比較し、大苗利用による改植を成功させるポイントについて述べたいと思います。

1 一挙改植(老木を伐採、抜根後苗木を定植する方法)園における大苗の生育

4年生2本主枝の「幸水(二十世紀中間台)」の大苗を改植園(市川市)と新植園(横芝光町)に定植し、その後の生育を比較しました(表)。

定植1年後、改植園は新植園に比較して、主枝先端から発生した最も長い1年生枝は枝長、枝直径とも劣り、枝の発生本数も少なくなりました。この原因の一つとして考えられるのが忌地現象ですが、詳細は明らかになっていません。

同2年後、改植園は結果させず新植園は結果させ負担をかけましたが、改植園は1年生枝の枝長が新植園に比べてやや短くなり、その他の項目は同程度であったことから生育が劣っていると考えられました。

土壌条件などが厳密には同一ではありませんが、以上の結果から改植園での「幸水」大苗は生育が不良であることが推察されました。

表 改植園と新植園での大苗定植後の生育

2 「幸水」の大苗利用による改植を成功させる方法

大苗は地上部に比較して地下部が小さい、さらに「幸水」は「豊水」などに比較し根の量が少なく樹勢が弱いことがわかっています。こうしたことを踏まえて、ここでは一挙改植園における大苗管理のポイントついて述べます。

(1)定植

老木抜根後の土は毛管孔隙が切断された上、固層率が低下しているので乾燥しやすい土壌となっています。そのため、約1年経って土を落ち着かせ落葉後の年内中に定植を行なうことが理想です。さらに、根の大きさに合わせ幅、深さともできるだけ小さく掘ることが必要です。定植後4~5年して土がしまった時に接木部が地表のやや上に出てくるように植穴に入れる深さを決めます。

大苗は苗木に比べ根量が多いために根と根の間や植穴の底と根の間などに空洞が出来やすいことから、スコップと手で細かく砕いた土を細い棒で軽く突いて丁寧につめます。土が十分に詰まっていないと、根の周りが乾燥して根の発根が悪くなり、大苗では特にその後の生育に大きな影響がでます(定植方法は、平成18年11月フィールドノート「なしの改植における苗木の定植と定植後の管理」参照)。

(2)堆肥の施用

大苗では特に地上部に比べて地下部が少ないことから、できるだけ早く土壌の下層部と樹の四方に根を伸長拡大させる必要があります。したがって、定植翌日以降植穴の水が引いたことを確認し図のように堆肥を施用します。1年後は、さらに外側に穴を掘り堆肥を施用します。植穴又は苗木の直下に堆肥を施用しないのは、堆肥が分解した後に根の周りに空洞が生じ根が乾燥するため発根が著しく悪くなることとモグラ等により根元が荒らされることからです。

図 大苗定植後の堆肥施用方法

(3)かん水、施肥管理

定植後の生育を促すために、2、3月から7月までこまめにかん水します。これにより、土もしまって沈降していきます。穴があいたら直ちに土を詰めます。また、1ヶ月に1度少量の速効性肥料を株元に与えます。なお、株元の草は養水分の競合を引き起こすので除草しましょう。

(4)せん定、新梢管理

大苗では定植後、地上部の生育が悪くなることがあります。これは適切な地上部の管理が行えていないことによる樹勢低下のためです。樹幹の早期拡大、樹勢の強化のためには、せん定時に主枝先端1年生枝では約5~6割残して切り返し仰角60度に誘引します。主枝上の1年生枝は主枝先を負かさない程度の長さで切り返し、仰角30度ぐらいに誘引します。全ての短果枝は花芽摘除し、えき花芽は摘らいし結果させないようにします。

樹勢が低下すると、紋羽病や胴枯病に罹病しやすくなる場合が多いことから、あらかじめ主枝背面(主幹から1mぐらいまで)に水溶性の白ペンキを塗布するなど日焼け防止対策を施します。

なお、新梢管理の際主幹付近から発生した新梢や主枝直上から出た新梢は樹勢強化の観点から切除せず誘引し、葉枚数を確保しましょう。

3 最後に

改植園での「幸水」大苗定植を成功させるためにはこまめな栽培管理が必要とされます。したがって、改植は毎年少しずつ自分の労働力に応じた計画をたてて実施していく必要があります。

フィールドノート11月 果樹
東葛飾農林振興センター振興普及部
改良普及課 南部グループ
普及指導員 伊藤実佐子
TEL 04-7162-6151
掲載日:平成20年10月31日

よくある質問

このページに関するお問い合わせ

所属課室:農林水産部担い手支援課専門普及指導室

電話:043-223-2911

ファクス:043-201-2615

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