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更新日:平成22(2010)年7月29日
春先に展葉が遅れ、葉が萎縮する症状を一般的に萎縮症と呼んでいます。そのうち、特に葉の縁や先端が枯死して黒変する症状が萎縮病です。萎縮病は、これまでの調査から、「幸水」の高齢樹に発生が多いことが分かっていますが、原因が不明でした。近年、萎縮病にかかった樹から高い確率で分離できる材質腐朽菌を接種することで、萎縮症状を再現することができました。そこで、萎縮病の原因について現在までに得られた情報を紹介します。
萎縮病にかかった樹を切断すると、褐色部分がまだらに入る、特徴的な白っぽい腐朽が観察できます(写真1)。この腐朽は、萎縮症状が見られる側枝や主枝・亜主枝先端ではなく、主枝の分岐部を中心に主枝や主幹に分布しています。この腐朽からは同じグループの菌が分離できます。
鉢植えにした6年生ナシ3樹に萎縮病の腐朽から分離した菌を接種したところ、翌年の春に萎縮の症状が2樹で見られました(写真2)。鉢植え樹以外にも、立木や成木で菌の接種により萎縮の症状が再現できました。

写真1 萎縮病に特徴的な腐朽
(褐色部分がまだらに入る)

写真2 鉢植え「幸水」への接種で
生じた萎縮症状(左:対照 右:菌を接種)
萎縮病の樹には、腐朽の激しい枝上に黄褐色~黄土色のべたっとしたキノコが見られる場合があります(写真3の右側)。このキノコを作った菌は、今回萎縮症状を再現できた菌と同じグループでしたので、萎縮病と関連があるキノコだと思われます。このキノコからは胞子が飛散しています。

写真3 ナシ枝上に形成されたキノコ(子実体)
(右側が萎縮病の樹で見られたキノコ、左側は違うキノコ)
ナシ萎縮病は、現在、原因菌が明らかになり始めているところです。しかし、原因菌による材質腐朽だけでは、ナシ樹に現れる萎縮症状がすべて説明できる訳ではありません。今後も多方面からの調査が必要となっています。
フィールドノート12月 果樹
農林総合研究センター生産技術部
果樹研究室
上席研究員 塩田 あづさ
TEL 043-291-9989
掲載日:平成20年12月1日
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