ホーム > しごと・産業 > 農林水産業 > 農業 > 普及・技術 > 千葉県普及情報ネットワーク > フィールドノート履歴一覧 > フィールドノート 平成20年 > フィールドノート ホールクロップサイレージ用イネ専用品種の特性
ここから本文です。
更新日:平成22(2010)年7月29日
どのような作物の作付けにおいても、品種選択は必ず最初に直面し成功を左右する重要な因子です。イネホールクロップサイレージ(以下、WCS)の生産が有力な水田転作の手段として推進されていますが、それに合わせて(独)農業・食品産業技術総合研究機構などの育種研究機関で開発された飼料向けの専用品種が実用化されています。イネの膨大な遺伝資源の中から飼料に適するとして選抜されたもので、茎葉部を除くいわゆる飼料米としての品種評価はまだ十分に整理されていませんが、ここではWCSとしての全草利用に絞って品種特性の一端を紹介します。
図1は20年度に当センターで実施した試験から、専用12品種(緑表示)と食用主力3品種(桃表示)の早晩性を出穂期で比較したものです。いずれも乾田直播で、4月後半~5月上旬の移植栽培に比べると、10~14日程度の生育遅れがあることを考慮して見てください。本県早場米地帯の早期栽培に組み込まれる主力食用品種に比べ、多様なラインアップであることがわかります。
また、WCSの収穫適期は黄熟期ですが、転作要件は出穂期以降の収穫とされていますので、早刈りや完熟期刈りなど利用の仕方によってはさらに収穫時期の幅が広がることになります。
なお、品種の早晩性は年次、気候、地域、播種時期、施肥など、栽培条件で多少前後すると考えられます。

図1 飼料専用品種と食用品種の早晩性(平成20年度試験の出穂期)
※5月1日乾田直播、5月23日出芽始による実績(畜総研)
次表は、同様に実施した19年度試験から専用7品種と、対照の食用3品種の収穫成績です。図1の専用品種のうち5品種は20年度から栽培可能となったので、この表には含まれません。乾田直播で、家畜ふん堆肥1t/10aほか基肥のみでの栽培です。
専用品種といっても多様でひとくくりにできませんが、総じて高収量で耐倒伏性に優れます。飼料としてまず多収が求められ、選抜されてきたためと考えられます。長稈であること、分げつが少ないが稈が太いことで高収量を得ているものが多いようです。見慣れた食用品種と草姿が異なり、最初は違和感を持つかもしれません。一方、はまさりのように食用品種並みに多分げつで、多収のタイプもあります。

夢あおば、ホシアオバは比較的早生で、早場米地帯にも導入しやすいと考えられます。それ以降の晩生品種は高収量ですが、稲こうじ病やイネツトムシの被害の懸念があり、対策が必要です。籾の大きさ・形状や籾収量は様々ですが、リーフスターは直立型の長稈・茎太の特徴的な草姿で茎葉型と呼ばれ、籾収量は期待できません。
黄熟期刈りで、CP(粗蛋白質)含量は専用品種が若干高めの傾向でしたが、乾物中TDN含量は食用品種を含めいずれも55~58%の範囲にあり、栄養価に大きな品種間差はありませんでした。
茎葉型のリーフスターは繊維の質が気になるところですが、リグニンなどの粗剛な成分が含まれるADF(酸性デタージェント繊維)の茎葉部の含量は最も低く、むしろ繊維の消化性に優れた品種と考えられます(図2)。
TDN収量(図3)は、晩生系の専用品種が高い結果になっています。

図2 品種別・部位別のADF含量(平成19年度試験 畜総研)

図3 品種別TDN収量(平成19年度試験 畜総研)
以上は単年度の成績ですので、各品種の確定的な評価ではなく、速報的にお知らせするものです。20年度試験は実施中ですが、堆肥の連用で収量が向上するなど成績に変化もみられます。
フィールドノート11月 畜産
畜産総合研究センター企画環境部
環境飼料研究室
主席研究員 細谷 肇
TEL 043-445-4511
掲載日:平成20年10月31日
関連リンク
よくある質問