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更新日:平成22(2010)年7月29日
千葉県におけるイチゴの高設栽培は、昭和60年代前後に水耕栽培のかたちで導入されるようになった。しかし、その数は少なくさほど普及しなかった。原因は使用される水質や養液管理の難しさによるものであった。だが、作業性の面では捨てがたいものがあり、メーカーも100%水耕から有機物資材を培地に使用し、土耕栽培にみられる緩衝能力を活かした方法を開発するようになってきた。その動向が近年注目されるようになり、現地へも導入され始まっている。
高設栽培を導入しての評価は、一様に作業性の向上や改善があげられる。栽培ベンチを90cm前後に上げることから作業の大半が立ち作業となり、とにかく楽になったという。また、施肥・耕耘、畦立て等の作業がないことや植付けが早いこともあり、植付け準備から定植完了までの労働時間は、3割から4割の省力化がはかられている。
高設プラントの導入経費は、メーカー等によりことなるが概ね10aで500~600万円。導入した若い経営主に、コストと効果についての経営的評価をたずねると、「今後10年イチゴ栽培を続けるならば、導入を進める。」という。本人は、導入経費を考え、中長期的な計画のもと、土耕栽培から計画的に高設プラントに切り替えていた。一方、高齢の経営主は、「高設を導入したからこそ今後ともイチゴを作っていけるし、面積維持も可能だ。」という。収穫作業等の中心となる女性にもその評価は高かった。
培地は、ヤシガラやピートモスなどの有機物主体のものや、そこに土壌を混ぜる培地や固形肥料・有機肥料を加えるものなどメーカーにより様々であった。どのメーカーも培地は何年か継続して使用する。そのため培地の消毒を行うが、ベンチの上にポリやシート等を乗せることで、土耕栽培より比較的容易に太陽熱消毒などを行っていた。肥培管理においても専用液肥を使用するなどで、管理上の問題点を指摘する栽培者はいなかった。
しかし、水耕栽培で行っていた生産者は、水質の問題であろうと言っていたが、養液管理が難しく十分な生育及び収量が得られず、土耕の良さを再確認していた。
収量性は、土耕栽培と変わらないという人もあったが、厳寒期の2月を中心に小玉傾向や、肥大・着色が遅れて熟期に日数を要するなど、収量は少ない傾向にある。空中にある栽培ベットは、低温期は培地温度を保ちにくいことが予測される。それらが熟期や肥大にも影響しているものと思われた。培地への積極加温をするハウスでは、土耕に比べても収量差が無いという声が聞かれた。
高設栽培での品種管理は、基本的には品種特性を踏まえた管理となるが、比較的味がうすい傾向の品種は、特にその点に注意する必要があるようだ。
イチゴ狩りを行う観光イチゴ園では、土耕ハウスよりも高設ハウスでのもぎ取りに人気がある。ある園では、来客者の8割が高設ハウスでのイチゴ狩りを希望するという。歩き易さやハウスの床表面をシートで覆うことによる清潔感などから、お客には好印象のようだ。
有機培地を使用した高設栽培は、水耕栽培より肥培管理が容易というメリットがあり、本年においても新たな導入が行われている。導入されるタイプ(メーカーによるプラント)も幾種類かがある。
高設のメリットは、イチゴ栽培での大きな課題である作業姿勢の改善と作業効率の向上が期待できることだ。反面、プラント導入に要するコストが高く、経営への負担も大きい。また、導入プラントによる培地容積や肥培管理の違い、培地加温の有無などによる生育や収量の違いなどの課題が存在する。しかしながら、こうした課題を解決しつつ、高設の普及が進んでいくものと思われ、今後の動向に注視していきたい。

植付前の高設ベンチ
フィールドノート12月 施設野菜
担い手支援課普及指導室
主席普及指導員 野々宮 弘明
TEL 043-223-2911
掲載日:平成20年12月1日
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