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更新日:平成22(2010)年7月29日
東葛飾地域は千葉県で最も都市化が進んでいる地域です。県内の約4割の人口が集中しています。消費者がすぐ隣にいるこの立地条件をいかしてシクラメンの生産・直売をしている農家が多くみられます。
大鉢生産は東葛飾地域の特長の一つです。シクラメンは11月前後に種子をまき、次年の11~12月の直売を迎えるまでに大鉢に作り上げていきます。シクラメンの大鉢はお歳暮など贈り物として需要が多いです。
直売場では一般の店先ではみられない7号、8号、10号(いわゆる尺鉢)も生産、販売されています。大鉢の見事さは一見の価値があります。その存在感、花の大きさ、美しさ、女王の風格で、根強い人気があります。
シクラメンは6号以上を大鉢と考えることが多いため、ここでは6号以上の主な作型について記述します。

6号以上の大鉢をねらうものは11月に播種します。5号以下と比べ早めです。播種量は想定する仕上げ数より多く播き、鉢上げ、鉢替えごとに健全なもの、生育の良いもの、芽数が確保できるもの等を選別していきます。
発芽率が低い品種があることや、夏の暑さ、病気や害虫で商品性が落ちてしまうなどの理由から種子を仕上げる数の2~3倍と多めに播きます。
大鉢用の品種はパステル系品種、在来系品種が中心となります。パステル系品種は花が大きく花色もパステル調で華やかなものが多いです。パステル系品種の代表的なものは作曲家シリーズやピアス、プルマージュなどです。
フリンジなどで知られる在来系品種は芽数の確保が難しい、開花が遅めなど生産に気を使う品種ですが、その花の大きさ、花色のはっきりした鮮やかさ、華やかな花形のため直売では捨てがたい品種です。在来系品種の代表的なものは、バーバーク、ビクトリアなどです。
鉢上げ時期は3,6,9月と3回の鉢上げで仕上げの6号鉢にもっていきます。7号以上ではさらに1~2回鉢上げします。
最初の鉢上げで仕上げの数にしてしまえれば労力も経費もかからないのですが、上記の様な危険回避のため鉢上げ、鉢替えごとに健全であるか、芽数が確保されているかなど株の様子をみながら大鉢用に選抜していきます。
培養土は、赤土、腐葉土、堆肥用土(堆肥と赤土を混和して寝かしたもの)を同量混和したものをもとに、ピートモス、土壌改良剤(パーライトなど)を1~2割混ぜて用います。病害虫(土壌病害や線虫など)、雑草防除のため低温蒸気消毒をして使用します。
肥培管理は鉢上げ、鉢替えごとに基肥として緩効性肥料マグアンプKを1~2g/リットル施し土壌混和します。その後追肥としてIBやプロミックなどの緩効性肥料の置肥を約1ヶ月に1回、ピータースなどの液肥を1~2週間に1回生育の様子を見て調節しながら施します。
病気は灰色かび病、炭疸病、萎凋病、軟腐病、葉腐細菌病などが発生します。早期に発生源の株あるいは罹病部位を取り除きます。
灰色かび病は枯れた葉、花を放置すると発生。勢いを増して生育中のシクラメンに罹病します。そのため、枯れ葉、花はこまめに取り除きましょう。出荷も近づいた秋、花にいっせいにシミが入ってしまうのも灰色かび病の仕業です。その季節は暖房機を使い除湿を心がけましょう。
炭疸病はかん水や雨もりで伝染することが多いです。罹病葉、株は見つけ次第除去し防除しましょう。萎凋病は清潔な土壌を用い予防します。
軟腐病、葉腐細菌病などの細菌の病気は、アグリマイシン100やキノンドーなどで予防します。どの病気も発生初期に登録農薬により防除します。
害虫は、ヨトウムシ類などの食葉害虫、アザミウマ類、アブラムシ類、ダニ類、などが発生します。まず、近辺の除草などで害虫の発生源、避難場所を絶ちます。害虫は春から秋にかけて発生します。
ヨトウムシ類などは黄色蛍光灯の利用などにより被害を減少することができます。アザミウマ類、アブラムシ類などはウィルス病を媒介することもあるため、登録薬剤による初期防除を心がけます。ダニ類は高温、乾燥時に発生しやすいです。やはり登録薬剤による初期防除を心がけます。
9月下旬から10月上旬、開花促進のため芽にジベレリン1ppmを散布します。暖房機による加温は11月上旬前後に最低温度18度ぐらいで開始します。
加温でシクラメンの開花を促進。満開の一歩手前から満開など直売ならではの多様なシクラメンに仕上げていきます。市場では常に満開状態での出荷が求められます。しかし、直売場にくる消費者は、満開の少し手前の株を購入し、自分の手で(あるいは送り先の人の元で)満開にすることを楽しむ人も多いです。もちろん満開を求める消費者もいますので、直売場ではそういった多様なニーズにも対応しています。
まれに、加温による環境変化で隠れていた病気が発生する株があるため、販売は加温直後でなく11月中下旬から開始します。市場出荷は満開状態で11月に出荷となりますので、直売の開花はそれにくらべ少し遅くなります。

直売場の様子:ハウスの中に並ぶシクラメン
シクラメン直売場の最大の特長は、生産者にとっては、自分で値段を決め安定した価格で販売できることにあります。このことは花き経営安定には大きく貢献しています。例えば直売場では6号鉢のシクラメンが2,500~3,000円ぐらいで販売されていることが多いです。一方、市場出荷では、タイミングが悪いと6号鉢でも1,000円を下回るケースも出てきています。
しかし都市化が進んだ東葛飾地域でも、すべて直売で売り切る農家は少なく、市場出荷もしています。また消費者の好みの多様化のため直売も伸び悩んでいます。重油高も経営を圧迫しています。
販売時シクラメン選びを手伝ったり、管理方法の相談に応じたりと消費者と交流を持ちながらのきめ細やかな対応に加え、消費者がさらに長く楽めるシクラメンを消費者へ提供するよう努力していくことは大切です。シクラメンが長持ちした消費者は、リピーターになってくれますし、口コミの宣伝をしてくれます。今後は、消費者に直売場の良さである「ハウスいっぱいに咲いている様々なシクラメンの中から自分の気に入った鉢を選べる」ことをPRしていくことでさらに需要を拡大していく必要があります。また、重油高により増えた経費を削減する方法を模索する必要があります。
フィールドノート7月 花き
東葛飾農林振興センター振興普及部
改良普及課 南部グループ
普及指導員 坂本裕美子
TEL 04-7162-6151
掲載日:平成20年7月1日
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