ホーム > しごと・産業 > 農林水産業 > 農業 > 普及・技術 > 千葉県普及情報ネットワーク > フィールドノート履歴一覧 > フィールドノート 平成20年 > フィールドノート 安房地域における耕作放棄地の放牧利用の取り組み
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更新日:平成22(2010)年7月29日
全国的に耕作放棄地が増加していますが、当安房地域でも面積1,621ha、率にして22.4%(2005農林業センサス)の耕作放棄地があります。これらは農地が有効に利用されないだけでなく、病害虫の発生原因や野生鳥獣の生息域、雑草や雑木の繁茂やゴミの不法投棄場となり、地域農業や集落環境の悪化につながってしまいます。
当地域では17年度から、耕作放棄地の放牧利用に取り組み、現在7戸の畜産農家が放牧に取り組んでいます。飼料高騰の折、飼料費の低減につながるだけでなく、管理労力の軽減、有害獣の生息域の減少や集落環境の保全などの効果が期待できます。これまでの取り組みをご紹介します。
17年度当初は繁殖和牛の放牧から始まりました。和牛は性質も穏やかで、気温など外部環境への順応性もあることから放牧には適しています。受胎確認後から分娩前約1ヶ月頃までの妊娠牛は、比較的粗飼料主体で管理でき、適度な運動が必要なことから放牧には最適と思われました。
18、19年度は乳牛の育成牛での放牧を試みました。和牛に比べ栄養管理が難しい事から敬遠されがちですが、上手に管理することで足腰の丈夫な牛になるようです。19年6月から77日間放牧した育成牛2頭の生育を調査したところ、放牧期間中のDGは平均0.52kgと若干発育の遅さがうかがえました。雑草は豊富にありましたが、ススキなどのイネ科雑草やセイタカアワダチソウが主で栄養的に不足していたと推察されます。牛の状態をよく観察し、配合飼料を補助的に利用するなどの技術が必要と思われます。

牛が食べることで雑草がなくなっても、そのままではまた雑草に覆われてしまいます。再度放牧することや乳牛での利用もあることなどから、栄養バランスの良い、混播牧草による草地化を推進しています。雑草放牧により裸地化した後、混播牧草種子を播種し、放牧用草地としての再生を促します。

最近の電気牧柵は改良が進み、非常に安全にまた手軽に設置できるようになりました。水槽の設置や放牧頭数、確実な馴致、衛生対策などの基本技術さえ遵守すれば、放牧はとても有効な技術です。県では「簡易な電気牧柵を利用した放牧マニュアル」を作成し、その普及を図っています。
放牧を実施した農家からは、「労力が楽になった。」「農地がきれいになり、近所から頼まれるようになった」「牛をよく観察するようになった。」などという感想が聞かれます。牛が自由に歩き、草を「バリッ、バリッ」と食べる音はとても力強くまたたくましく感じられます。ぜひ、身近な技術として放牧に取り組んでみてください。
フィールドノート7月 畜産
安房農林振興センター振興普及部
改良普及課南房総地域グループ
上席普及指導員 山田 博
TEL 0470-22-8132
掲載日:平成20年7月1日
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