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更新日:平成29(2017)年6月29日

ザ・グリーンチャレンジ Vol.11 - 情報ファイル1

THE GREEN CHALLENGE Vol. 11

情報ファイル

千葉県農業試験場

コガネムシ類防除用の新しい天敵線虫剤

1 はじめに

芝草のコガネムシ類幼虫を対象とした天敵線虫剤は、すでにスタイナーネマ・クシダイを用いた芝市ネマ(R)が(株)クボタと共同で実用化されている。(本誌Vol.8)。

今回はスタイナーネマ・グラセライを製剤化したバイオトピア(R)が(株)エス・ディー・エス バイオテックから商品化され、千葉県農業試験場においても効果の確認を行ったので報告する。

2 スタイナーネマ・グラセライの特徴

スタイナーネマ・クシダイやシバオサゾウムシ等で利用されているスタイナーネマ・カーポカプサエ(バイオセーフ(R))と同様にスタイナーネマ・グラセライ(Steinernema glaseri)の感染態幼虫は宿主昆虫(幼虫)の自然開口部(口、気門、肛門)から体内に侵入し、中腸を経て血体腔に侵入する。ここで共生細菌(Xenorhabdus poinarii)を放出し、細菌の増殖によって昆虫は肺血症を起こし死亡する。しかし、宿主への感染行動は前2者が待ち伏せ型であるのに対し、スタイナーネマ・グラセライは探索型で積極的に垂直、水平方向に動き宿主を探し出す。

線虫は増殖した共生細菌や細菌によって分解された昆虫の組織を摂食して成長し、さらに昆虫体内で世代を繰り返し増殖した後、感染態幼虫となり、再び新たな宿主を求めて昆虫体外へ脱出する。

[写真3]コガネムシ幼虫で増殖したSteinernema glaseri

[写真3]コガネムシ幼虫で増殖したSteinernema glaseri

通常、防除効果が現れてくるまでに、散布後2~4週間かかる。

これまでに感染が確認されているコガネムシ類幼虫はセマダラコガネ、マメコガネ、ドウガネブイブイ、ヒラタアオコガネ、ヒメコガネ、スジコガネ、ウスチャコガネ、アシナガコガネ、ヒメアシナガコガネ、コイチャコガネ、ナガチャコガネ、オオクロコガネ、ビロウドコガネ、ワタリビロウドコガネ、アカビロウドコガネ、コアオハナムグリと幅広く、芝市ネマ(R)と同様にゴルフ場で問題となるコガネムシ類はほとんどカバーされると思われる。

3 防除効果

茂原市のゴルフ場でコガネムシ類幼虫の防除試験を行った。平成12年9月19日、フェアウェイ(コウライシバ)500平方メートルにバイオトピア(R)25万頭/1L/平方メートルを散布し、さらにスプリンクラーで約7分間散水を行った。調査によって発見されたコガネムシ類はセマダラコガネ、ウスチャコガネが主体で、アシナガコガネは少数であった。

バイオトピア(R)処理区では処理21日後に多くの感染死幼虫が発見されたが、生存幼虫数は処理24日後までやや多く、処理42日後で少なくなった。(表1)。なお、処理24日後に採取した処理区の土壌からは天敵線虫の生存が確認された。

[第1表]バイオトピア(R)のコガネムシ類幼虫に対する防除効果

[第1表]バイオトピア(R)のコガネムシ類幼虫に対する防除効果

本年は夏期が高温で極めて少雨であったためか、コガネムシ類幼虫の成育が遅く、事前調査では若齢幼虫が多かったため処理時期が遅れた。更に、9月には降水量が多く、摂食期の幼虫が多く存在していた地際部の地温低下は早かったと考えられ、幼虫や線虫の活動が鈍く、感染するまでに時間がかかったのではないかと推察された。

以上のことから、バイオトピア(R)の平成12年9月19日処理は、コガネムシ類幼虫の生息密度が低くなるまでに日数が掛かったものの防除効果が確認された。

また、コガネムシ類幼虫の食害によって枯れが目立っていたティーグランド(洋シバ)においても同時期にバイオトピア(R)を散布した。ここではその後1週間、夜間はビニールシートで覆い保温したところ、1ヶ月後にはシバは青々と回復し、生存幼虫は全く発見されなかった。このことからも地温が低すぎると殺虫性が低下することが伺えた。

4 安定した効果を得るために

天敵線虫はコガネムシ類幼虫の摂食活動が旺盛な時期に感染しやすい。コガネムシの齢期が2~3齢の摂食期で、地温17~30℃の時期に散布する。地域や天候に左右されるが、ヒラタアオコガネは6月中~7月上旬、ウスチャコガネは6月下旬から7月中旬、セマダラコガネ、チビサクラコガネ、マメコガネでは8月下~9月下旬が防除適期と考えられる。

コガネムシ類の発生経過と天敵線虫の散布時期

天敵線虫は乾燥、紫外線に弱いため、曇天、少雨期に散布を行う。晴天時に行う場合は夕方とし、芝が乾燥している場合は、予め散水してから散布する。線虫剤散布後、速やかに後散水を行い、芝の表面についた線虫をサッチ層まで洗い落とす。土壌が乾燥している場合はその後も定期的に散水する。

[写真4]天敵線虫剤の散布状況

[写真4]天敵線虫剤の散布状況

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