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更新日:平成28(2016)年3月29日

フォレストレター34号(2003年7月)

山武の森から

サクラの巨木を観て

季節が過ぎましたが、サクラのことについて少し書いてみます。

私はサクラが大好きで、サクラの花が咲く時期はカメラ片手にあちこち出かけます。

今年は手始めに東京の上野公園や隅田川公園のサクラ(ソメイヨシノ)を3月下旬に観に行ってきました。並木や集団としての美しさがあり、花見の象徴的な風景だと思います。

続いて、4月上旬、当森林研究センターのあります、山武町長光寺の紅シダレザクラ(山武町の文化財)の巨木を観てきました。このサクラは樹齢が350年以上とみられ、本堂前で見事な花を咲かせていました。しかし、私が、はじめて観た30年前と比較しますと、枝折れや幹の腐れが一部見受けられ、枝張りも少し小さくなったような気がします。

さらに、4月中旬には印旛村吉高の大桜(ヤマザクラ、印旛村の文化財)の巨木を観てきました。このサクラも樹齢400年近くとみられ、畑の中に1本だけ悠然と赤茶色の葉と見事な花を咲かせている様は何度観ても驚きと感動ものです。根元には非常に小さな鳥居みたいな物があり、多分、このサクラの所有者の方が先祖代々、神が宿る木として畏敬の念を抱き、保存されてきたのではないかと想像されます。

このサクラを十数年前に観た時と比較して樹勢はほとんど変化はないと思われましたが、見物客の多さには驚かされました。以前はサクラの観れる近くまで車が乗り入れできましたが、今回は平日にもかかわらず2か所の駐車場は満杯でした。これだけの見物客が訪れた場合、囲いはしてありますが、囲いの外の根が踏みつけられないか心配です。

全国的にみますと、サクラの巨樹・巨木は沢山ありますが、とくに有名なのが皆様もご存知のとおり、岐阜県根尾村の「根尾谷の薄墨桜」(国天然記念物、樹齢1,500年、幹回り9.2m、枝張り24m)と福島県三春町の「三春の滝桜(紅シダレザクラ)」(国天然記念物、樹齢1,000年以上、根回り11m、枝張り18m)ではないでしょうか。残念ながら私は両桜とも未だ観ていません。来年はぜひ観たいと思います。

以上のように、サクラの巨樹・巨木には数百年から千数百年もの間、風雪に耐え、花を咲かせてきた力強さがあります。そして、その時代を生きていた人々もこれらの花を観て感動し、心を癒されたであろうと想う時、歴史というかロマンが感じられます。

さて、県では森林との共生をめざして平成15年度より「巨樹・古木ふれあい環境調査整備事業」をスタートさせています。この事業の目的は巨樹・古木のふれあい活動の促進とネット化を通じて、地域の自然環境の保全や文化を継承していく事となっております。主な事業内容としましては県内各地の代表的な巨樹・古木を200本選定して健康度や地域とのかかわりなどを調査し、さらに、それらをデータベース化し、インターネット上で公開するとのことです。

なお、今年のサクラの見納めは4月中旬に長野県高遠町の高遠城址公園のサクラ(タカトオコヒガンザクラ)を観てきました。1,500本余が一斉に咲き誇る様は天下第一といわれるほど誠に見事でした。

(次長岩井宏寿)

研究トピック

(続)サンブスギ間伐手遅れ林分の管理指針

前回の本誌では概要をお知らせしましたが,今回は余裕のあるスペースをいただきましたので少し詳しく解説いたします。

この管理指針は,間伐が遅れた場合に形状比(樹高/胸高直径)が高いモヤシ状の共倒れ型林分となりやすいサンブスギを対象に,気象害をできる限り避けることを目的として作成したものです。

管理指針の内容は以下のとおりであり,主に形状比を基準として望ましい管理の方法を記載しています。

  1. 生産目標に達し主伐が可能(収穫が可能)な場合は,スギ非赤枯性溝腐病の被害拡大,伐期の長期化による気象害の危険性等を考慮し,皆伐し再造林を行うことが望ましい。
  2. 生産目標に達していない場合,または経営上の理由により伐期を長期化する場合は,気象害を避けるために形状比に応じた管理(図-1参照)を行う。
  3. 形状比が101以上で「危険」と判断される場合は,皆伐し再造林することが望ましい。また,皆伐ができない場合には,間伐率を10%程度に抑え,2~3年ごとに間伐を繰り返し,形状比の高い個体から伐採していく。
    ただし,形状比の回復には長期間を要し,その間に気象害を受ける危険性が非常に高い。
  4. 形状比から「注意」と判断される場合は,間伐には注意を要し,実施する場合には,間伐率を10%程度に抑え,2~3年ごとに間伐を繰り返し,形状比の高い個体から伐採していく。
    なお,個々の樹冠が小さくなっている林分においては,直径成長の低下により形状比の回復に長期間を要するため,その間に気象害を受ける危険性が高い。
  5. 形状比から「通常」と判断される場合は,サンブスギ林分収穫表を基準に通常の間伐を実施する。
  6. スギ非赤枯性溝腐病対策として,以下のa,b,cのいずれかにあてはまる場合には皆伐とすることが望ましい。
    • a主伐可能
    • b被害率70%以上
    • c形状比101以上
  7. 形状比が「危険」,「注意」の状態において間伐を行う場合には,冠雪害の心配がなくなった春先に行う。
  8. 過去に気象害を受けた林分については,地形等の条件により再び気象害を受ける可能性があるため,より形状比を低く管理する。
  9. 気象害を避けるため,林縁については防風効果を低下させないよう管理する。

図-1各林齢における危険,注意,通常の範囲

図-1は,胸高直径と樹高の関係からみた「危険」,「注意」,「通常」の範囲を示したものです。「注意」と「通常」の境界線は林齢によって異なっています。
(環境機能研究室福島成樹)

研究室の窓

製材廃材を束ねると

環境機能研究室

小規模な製材工場では、背板やベラ板などの製材廃材は束ねて堆積しておくと、専門業者が集荷して鋸くずに加工していますが、廃材の束ね方、大きさは工場によってまちまちです。

廃材の束を、その形・大きさ・縛り具合を基に分けてみると「きっちり4m束」、「ゆるゆる4m束」そして「ゆるゆる2m束」の3つになります。

きっちり4m束は、主に背板を、長さが4m、断面がほぼ矩形になるようにきっちりと積み重ね、スチールバンド又はなまし鉄線で2箇所しっかりと縛ったものです。

ゆるゆる4m束は、背板とベラ板を、長さが4m程になるように、なまし鉄線又はプラスチック製テープで2箇所縛ったもので、きっちりと材を積み重ねて縛ったものではないので、多くの場合ゆるゆるです。

ゆるゆる2m束は、長さ2mのベラ板と背板を、中央部付近で1箇所、なまし鉄線又はプラスチック製テープで束ねたものです。

以上のような廃材の束の形は、その工場の原木や製品の種類を反映しており、大まかに言って、きっちり4m束は心持ち角材1丁採り主体の工場で、ゆるゆる4m束は心持ち角材を採ったあと背板から4mの板材を採る工場で、ゆるゆる2m束は背板から4mに加えて2mの板を採る工場で見られます。

また、束の形はフォークリフトを使ったトラックへの積み込み作業の能率にも影響し、束の堆積の仕方にもよるのですが、きっちり4m束は最も能率が良く、次いでゆるゆる4m束、ゆるゆる2m束の順になります。

(長谷川忠三)

松枯れ予防の基本は羽化時期の把握

森林保全研究室

梅雨が明け気温が上昇するにつれて松に生気が無くなり、みるみるうちに枯れてしまう。そんな恐ろしい光景県内いたるところでが当たり前のように見られています。

この急激な松枯れは正式には「マツ材線虫病」という名前の病気で、マツノザイセンチュウ(以後「材線虫」という)とマツノマダラカミキリ(以後「マダラカミキリ」という)との連携によって発生します。強力な殺し屋の材線虫は、体を成熟するために松の間を移動するマダラカミキリ成虫という飛行機に乗って枯れた松から生きた松に移動します。

2種類の生物が関与する松枯れの予防策がいろいろ検討されている中で一番効果的な方法は、マダラカミキリの羽化時期に合わせて殺虫剤を散布しマダラカミキリを殺すことです。そのためにはマダラカミキリの羽化時期を正確に把握する必要があります。迷彩服のような模様を体に施し野外では見つけにくいマダラカミキリの羽化期間を正確に知るため、幼虫の生息している長さ1mの被害丸太を100本以上網室に搬入して成虫を採集し、羽化時期を測定します。

羽化開始日、10%羽化日、50%羽化日、羽化最終日の記録を積み重ねることによって薬剤散布の時期を決定し、マダラカミキリという飛行機を撃墜して殺し屋材線虫から松を守っています。

マダラカミキリの羽化開始時期は年によって変化しますので、羽化時期を必要としない予防技術が開発されるまで、網室での羽化調査は続きます。

(石谷栄次)

臭化メチルくん蒸の代替技術

特用林産研究室

クリシギゾウムシ等によるクリ実の被害は9月下旬の収穫からみられることから、とくに中晩生種では、防除対策が求められています。これまでは臭化メチルくん蒸が有効な手段となっていました。しかし、地球環境の保全の意味から2005年に臭化メチルが全廃されることになり、これによらない代替技術が必要になっています。

そこで、最近までは山口県農業試験場が1999年に発表した2週間の低温処理(-2.5℃)や炭酸ガスくん蒸が有効であるとした技術を、本県においても普及可能かを検討してきました。しかし、これらの技術はどちらも従来のくん蒸処理ほど簡単でないことから、問題解決には至りませんでした。とくに、処理期間が長いこと、低温処理に氷結温度が保てる低温庫が必要なことでした。

ところが、2003年の埼玉県農林総合研究所ホームページによりますと、同所の園芸研究所の成果にクリ生産者個人にも実施可能な新たな方法が提案されています。収穫前のクリ園に対し薬剤散布によって殺虫し、実の産卵を防ぐ技術で、薬剤はアグロスリン水和剤(H15.3適用拡大)1500倍、400リットル/10aを9月上旬と中旬にかけてクリの木全体に散布するものです。効果は被害を完全に抑制できませんが、被害果率が極めて少なくなることから有望と判断されています。クリ栽培者の皆さん、この技術の実施を検討してはどうでしょうか?

さらに、アディオン乳剤(H15.3適用拡大)2000倍も同様に用いられるようです。また、埼玉県から有望な代替のくん蒸剤があり、効果を現在、確認中との情報も得られています。そこで、今後の技術開発に期待するとともに情報の入手と提供に心掛けたいと考えています。

(小平哲夫)

よくある質問

お問い合わせ

所属課室:農林水産部農林総合研究センター森林研究所

電話番号:0475-88-0505

ファックス番号:0475-88-0286

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