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更新日:令和4(2022)年3月25日

ページ番号:8783

主な研究成果15遊休地を利用した小規模移動放牧技術

嶺岡乳牛研究所

目的と背景

県南部中山間地においては、野生獣による被害や高齢化・労働力不足を背景に機械化の困難な矮小地や傾斜地は耕作放棄地となっており、今後とも増加すると考えられます。これらの小規模な遊休地を有効活用するため、高齢者にも可能な省力的で安価な家畜の放牧管理である繋留放牧(杭に繋いだロープを利用した放牧)による小規模移動放牧技術について検討しました。

成果の概要

黒毛和種成雌3頭を用い所内傾斜地において放牧を実施し、馴致方法・放牧に用いる器具等の検討を行うとともに、放牧期間中の放牧野草地の草種構成の変化の確認、乾物摂取量、飲水量を調査しました。その成果は以下のとおりでした。

  1. 草地で採食するための馴致は5日程度で完了しましたが、ロープを足に絡ませて転倒するものが見られたため馴致は傾斜のない場所で実施する必要があります。
  2. ロープは取り扱いの良さから直径1.2cmのクレモナ製が適し、杭は頭部が回転するものを用いる方がより安全です。
  3. 2.5mのロープを用いて放牧した場合の乾物摂取可能量は、5.0kg以上がほとんどでしたが、前回放牧からの期間が短かった調査区では3.59kgと少なかったことから、乾物量を確保するためには少なくとも30日程度の間隔を置くことが必要と考えられます。
  4. 野草放牧地の植生は4,5月において占有面積でイタリアンライグラスが60%、白クローバーが20%、広葉雑草20%を占めていましたが、7月以降ではヒエ、広葉雑草が優勢となりました。
  5. 野草の嗜好性については、ほとんどのイネ科雑草、広葉雑草はよく採食されていましたが、セイタカアワダチソウは芽の柔らかい部分のみの採食にとどまり、チカラシバは開花期以降にはまったく採食されませんでした。
  6. 1日の飲水量では、最高気温が30℃以上の場合1日40リットル以上になる場合もあり、夏期昼夜放牧では十分な給水量の確保が重要です。

具体的なデータ

表1:推定乾物採食可能量(単位:kg)

調査年月日

生草重量

1平方m当たり
乾物収量

ロープ長を2.5mとした場合の
乾物摂取可能量

平成18年4月21日

1.80

0.27

5.34±0.72

平成18年5月8日

1.45

0.18

3.59±0.42

平成18年6月15日

1.97

0.34

6.71±1.66

平成18年7月27日

1.54

0.28

5.51±2.56

平成18年10月12日

2.50

0.35

6.80±3.14

表2:植生の変化(被覆割合、単位:%)

調査年月日

イタリアン
ライグラス

白クローバー

アレチウリ

ヒエ等
イネ科雑草

広葉雑草

平成18年4月21日

60

20

 

 

20

平成18年5月8日

60

20

 

 

20

平成18年6月15日

60

15

 

 

25

平成18年7月27日

10

15

 

20

55

平成18年10月12日

 

 

65

30

5

飲水量と最高温度の関係

 

お問い合わせ

所属課室:農林水産部畜産総合研究センター企画環境研究室

電話番号:043-445-4511

ファックス番号:043-445-5447

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