千葉県立中央博物館　収蔵庫から新種の巻貝化石を発見

発表日：令和4年1月7日
千葉県立中央博物館

　県立中央博物館の伊左治(いさじ)鎭司(しんじ)主任上席研究員が、当館が所蔵する銚子市産の岩石から、殻の長さが1cmに満たない微小な巻貝化石の新種6種を発見しました。この成果は、令和4年1月1日に、国際学術誌「Paleontological Research」に論文として掲載されました。

論文執筆者

伊左治鎭司（千葉県立中央博物館主任上席研究員、筆頭著者、新種の巻貝化石の発見者）

芳(は)賀(が)拓(たく)真(ま)（独立行政法人国立科学博物館地学研究部環境変動史研究グループ研究主幹、軟体動物化石の専門家）

柏(かしわ)木(ぎ)健(けん)司(じ)（国立大学法人富山大学理学部生物圏環境科学科地史古生態研究室准教授、中生代の微化石研究の実績者）

掲載誌・論文タイトル

掲載誌

日本古生物学会　国際学術誌「Paleontological Research」2022年1月1日発行

論文タイトル

Early Cretaceous small-sized gastropods from the shallow marine deposits of the Kimigahama Formation, Choshi Group, Japan.

発見の経緯と内容

　県民の方によって採集された、千葉県銚子市に分布する銚子層群君ヶ浜層（前期白亜紀：約1億2500万年前）の岩石が、県立中央博物館に寄贈され、収蔵庫に保管されていた。
　この岩石を、微小な化石を抽出する手法を用いて調査した結果、これまで銚子層群では見つかっていなかった巻貝化石が12種類発見され、そのうち6種類が新種であることが分かった。

研究の意義

　これまで見過ごされてきた微小な貝化石に着目することで、銚子層群が堆積した白亜紀の浅海に生息した巻貝の多様性が明らかになった。今回発見した新種には、巻貝類の進化史に新知見をもたらすものも含まれている。
　また県民の方によって寄贈され、博物館で保管されていた資料から新知見が得られたことは、博物館の保管機能が科学研究において果たす役割の重要性を示すものである。

千葉県立中央博物館 収蔵庫から新種の巻貝化石を発見