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更新日:令和5(2023)年10月2日

ページ番号:315256

刺繍釈迦涅槃図

(ししゅうしゃかねはんず)

刺繍釈迦涅槃図

種別

県指定有形文化財(工芸品)

指定日

昭和53年2月28日

所在地(所有者)

野田市東金野井字三本木1192(清泰寺)

概要

 釈迦涅槃図とは、釈迦が拘尸那城西北の跋提河西岸の娑羅樹林で入滅した様子を表したものでである。この図も鎌倉時代以後に流布した図像に依拠した内容となっている。釈迦は右手を枕に右脇を下にして、向かって左側面をみせる宝床に横たわっている。

 空には満月がかかり、釈迦の母である摩耶夫人(まやぶにん)一行が飛来し、宝床の周囲に菩薩、仏弟子、俗人等が会している。嘆き悲しむ会衆は45人を数える。また52種類の動物等も参集している。こうした涅槃図を刺繍によって制作することは、近世初頭に流行した。遺例も多く図像も類型化していることから、ある程度量産されたと考えられている。

 清泰寺の涅槃図は、縦197.8cm、横134.3cmの画面の掛け軸で、本紙、一文字、中回にあたる部分が全て精緻な刺繍で表されている。駒繍(こまぬい)、平繍(ひらぬい)、渡繍(わたしぬい)などの多彩な繍と、一文字と短冊形への金箔押し等の技術が用いられている。撚った金糸には中国製の金糸も使われている。また、涅槃図周囲を覆う総縁(そうべり)には、制作当時の唐物紋綸子(からものもんりんず)が使用されている。制作者は、「縫薄屋左兵衛」である。

 画面上部に制作年である寛文5年(1665)、総縁向かって右辺に延享5年(1748)の修理銘がある。また、軸箱の銘からは文久4年(1864)と昭和47年にも修理を経てきたことが記されている。

 また、図中と総縁には全て刺繍による銘があり、総計2577名の人名と居住村名が記され、当時の信仰の様子をうかがうことのできる貴重な歴史資料ともいえる。

お問い合わせ

所属課室:教育振興部文化財課指定文化財班

電話番号:043-223-4082

ファックス番号:043-221-8126

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