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更新日:令和2(2020)年4月1日

ステントグラフト治療

胸部・腹部大動脈瘤に対するステントグラフト内挿術について

大動脈瘤とは

大動脈瘤とは胸部~腹部大動脈が拡張した状態のことです。その状態によって真性瘤(血管壁が破綻していない状態)・仮性瘤(血管壁が破綻した状態)・大動脈解離(血管壁が長軸に沿って裂けた状態)に分けられます。

大動脈瘤の多くは破裂しない限り症状がありません。しかし破裂したら症状は重症で、激しい痛み、ショックなどを呈し、約半数が治療を受けるまでに命を落としてしまいます。したがって早期に診断し、適切な治療をすることが必要となってきます。また大動脈瘤は大きいほど破裂しやすくなり、胸部の場合はおおよそ瘤径が50~60mm以上、腹部では45~50mm以上で手術適応となります。

大動脈瘤の治療

治療としては外科治療に頼らざるを得ません。外科治療は、人工血管置換術といって、動脈瘤を切り開いて人工血管に入れ替える手術が一般的でしかも確実です。

しかしこの手術は創が大きい・出血が多い・手術時間がかかる(数時間~10数時間)など侵襲が大きく、手術による命の危険は腹部で1~2%、胸部で数%~10数%以上となります。また手術後の創の痛みは強く、歩けるようになるまで数日はかかりますし、退院までは2~4週間以上かかります。

高齢(80歳以上)の方や心臓・肺・腎臓など内蔵の機能低下のある方の場合は命の危険もさらに高くなり、ご本人が手術したがらない場合、心臓血管外科病院に紹介するのを躊躇することも多いとおもわれます。

ステントグラフト内挿術

90年代前半に、大動脈瘤の新しい治療方法が開発されました。これは大腿動脈をcutdownし、カテーテル内に細く折りたたんだステントグラフトを挿入し、カテーテル操作で動脈瘤の部位まで進行させ、そこでステントグラフトを展開し、内腔から血管に密着させ動脈瘤の破裂を予防する治療です。

ステントグラフと内挿術のイメージ

この治療法の一番の利点は低侵襲であることです。創は鼡径部の約5cmだけですし、手術翌日から経口摂取・立位可となり約2週間で退院できますが、2~3日もすれば術前同様のADLとなっています。

手術による命の危険も胸部で2~5%程度です。これはステントグラフト内挿術が比較的ハイ・リスクな方に行われていることを考えれば比較的良好であるといえます。よって人工血管置換術の困難な80歳以上の高齢の方や、内蔵機能障害のある方の場合に有利な治療方法です。また再手術で外側から剥離するのが難しい患者さんの場合もこの治療のいい適応になります。侵襲の大きさの客観的な評価は難しいですが、全身麻酔手術の一番軽い手術程度の印象です。

一方欠点の一つは、ステントグラフトが内腔から広がる力のみによって血管壁に固定されているので、瘤内に血流が漏れてしまうエンドリークという現象が起こりやすくなり、従って手術と比較し根治性が少し落ちてしまうということと、ステントグラフトの歴史はたかだか十数年であり長期の成績が不明なことです。ただ、今までの10年程度の経験からは破裂の予防効果は人工血管よりはやや劣るがその利益を考えると概ね許容できるものであることが分かりつつあります。また、ご高齢の方の場合は10年程度の安全性が確保されていればこの治療の安全性を考えると十分ではないかと思われます。もし、ステントグラフトに不具合が起こっても、人工血管置換術と違ってその修復が比較的容易に行え、しかも確実な治療方法である人工血管置換術に移行することも可能です。

もう一つの欠点は、この治療を行える動脈瘤の形態・部位が限られていることです。上行大動脈瘤および弓部大動脈瘤はこの方法は不可能ですが、遠位弓部(形態によっては不可)~下行大動脈瘤は良い適応になります。腹部大動脈瘤(腹部分枝や腎動脈にかかっているものは不可)も形態により適応になります。いずれにしても3D-CTや血管造影などにより形態学的適応を決めさせて頂くことになります。

以上のことから、胸部大動脈瘤の場合まずステントグラフトでの適応を精査し、適応が不可能な場合に。開胸手術を行う、また腹部瘤の場合高齢や手術リスクがある場合にステントグラフトを適応するという考え方になります。また、日本でもデバイスの保険認可が、腹部用(2007年)、胸部用(2008年)とも行われ、メディア等で一般の患者さんにもこの方法が周知されつつあります。

ステントグラフト指導医

ただ、ステントグラフト治療はまだまだ新しい技術であり、日本でこれを安全確実に実施できる病院は未だ限られています。ステントグラフト実施基準管理委員会でも質の高い医療を提供するために、、ステントグラフト指導医のいる施設のみを実施施設として、学会ホームーページ外部サイトへのリンクで公開しています。

指導医がいるということは、使用するステントグラフト・治療方針を即座に決定することができ、緊急手術などの場合でも対応できることです。指導医でない場合には、ステントグラフトの会社に見てもらう必要があるため、どうしても1~2週間かかってしまいます。

先生方にご加療いただいている患者様の中で、高齢(80歳以上)・合併症のため手術を躊躇されている方・低侵襲な治療を希望されている方がいましたら、ご一報ください。また、ステントグラフトが可能かどうかの診断もお受けしております。

メール(shingeka@mz.pref.chiba.lg.jp、但し1MB以上の容量は分割して送ってください)でCT・3DCT・angio・MRI画像等送って頂ければ、御相談をさせて頂きますし(尚、一般の方からの直接の問い合わせ・メールには応じられませんのでご了承ください)、当センター心臓血管外科外来(毎週月~金曜日、11時まで)にご紹介いただければ、通常の手術も含めてどちらが有益かを含め、責任を持って診察させて頂きます。

担当医:浅野 宗一