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更新日:令和7(2025)年11月21日

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令和7年9月定例県議会(9月18日) 会議録(速報版)

令和7年9月招集 千葉県定例県議会会議録(第6号)

令和7年9月18日(木曜日)

 議事日程

議事日程(第6号)

 令和7年9月18日(木曜日)午前10時開議

日程第1 議案第1号ないし議案第31号、諮問第1号、報告第1号ないし報告第15号及び決算認定に対する質疑並びに一般質問

 

 午前10時0分開議

○議長(武田正光君) これより本日の会議を開きます。

 

 質疑並びに一般質問

○議長(武田正光君) 日程第1、議案第1号ないし第31号、諮問第1号、報告第1号ないし第15号及び決算認定についてを一括議題とし、これより質疑並びに一般質問を行います。

 順次発言を許します。通告順により鷲見隆仁君。

 (鷲見隆仁君登壇、拍手)

○鷲見隆仁君 皆さん、おはようございます。千葉市美浜区選出、自由民主党の鷲見隆仁です。質問の機会をくださりました会派の先輩・同僚議員の皆様、本当にありがとうございます。

 また、本日、議場の傍聴席には、千葉県歯科医師会及び千葉県歯科医師連盟の大河原会長をはじめ執行部の皆様、印旛郡市歯科医師会の栗原会長、千葉県看護連盟、寺口会長、千葉県歯科技工士会、高橋会長、千葉県歯科衛生士連盟、時田会長、千葉県肢体不自由児者父母の会連合会、西脇会長、また地元幕張ベイタウン自治会連合会の池田会長、千葉市議会議員の阿部智議員はじめ、平日のお忙しい時間にもかかわらず支援者の皆様に傍聴に来ていただきまして、心より感謝を申し上げます。

 では、通告に従いまして質問に入ります。

 まず、医療体制について。

 国では、少子高齢化に伴う社会保障費の増大が大きな課題となっており、その財源として消費税や現役世代の社会保険料の負担が問題視されています。社会保障の1つである医療分野においても、県内では医師や看護師の確保が困難で、特に都市部以外で深刻化しています。さらに、千葉大学医学部附属病院をはじめとする国立病院が赤字経営に陥っているとの報道もあり、医療体制全体の持続可能性が問われています。こうした状況を踏まえ、国は医療人材や設備を中核病院に集中させることで効率的かつ質の高い医療体制を整備する政策を進めています。人口減少や医師不足の中で全ての病院が同等の機能を維持するのは難しく、救急や高度な手術などは中核病院に集約し、回復期や慢性期は地域の小規模病院や診療所が担うという役割分担が進められています。

 具体的な成功例として、昨年度、健康福祉常任委員会で視察した山形県の日本海総合病院があります。2008年に県立日本海病院と市立酒田病院を統合し、地方独立行政法人山形県・酒田市病院機構として再編を実施しました。その結果、日本海総合病院は急性期・高度医療の中核施設として救命救急や専門医療を集中化し、旧酒田市立病院は回復期や慢性期医療を担う形に転換しました。統合初年度から黒字化を達成し、安定した経営により高額医療機器の導入や人材確保が可能となり、職員のモチベーション向上や経営の柔軟性も生まれました。この事例が示すように、限られた医療資源を必要な場所で必要な規模で配置することが地方における医療の質向上と持続可能性確保の鍵となります。厚生労働省も地域医療構想の下で機能分化と集約化を推進していますが、千葉県においても医療資源の最適化と役割分担を早急に進め、県民が安心して医療を受けられる体制を築くことが急務です。

 そこでお伺いします。県立病院を含めた機能分化、集約化の必要性を、県としてどのように認識しているか。また、民間病院や大学病院などとの連携の在り方について、今後どのように進めていくのか。

 次に、医療の効率化と安全性を高めるには電子カルテや画像診断データの医療機関間での共有が不可欠です。しかし、現状では、県立病院同士でさえシステムが異なり、十分な情報共有ができていません。県立病院を視察した際にも、現場の医師から患者情報の共有を強く望む声が寄せられました。医療DXによる情報共有のメリットは大きく、第1に医療の質の向上が挙げられます。病歴や治療歴、アレルギー情報を活用することで正確な診断、治療が可能になり、複数の医師による一貫性ある医療や連携診療が円滑に進みます。また、救急や災害時には持病や服薬情報を即時に把握でき、迅速な判断に直結します。第2に診療効率の向上です。紹介状や検査結果、投薬履歴を即時参照できることで重複検査や投薬を防ぎ、問診の手間を減らし、時間とコストの削減につながります。これは医師の負担軽減や働き方改革にも資するものであり、遠隔医療や在宅医療の推進にも有効です。

 一方で、情報共有が不十分であることのデメリットも明白です。検査や処方歴が不明なため診断ミスや重複投薬のリスクが高まり、同じ検査の繰り返しで医師、患者双方に余計な負担がかかります。また、問診を一からやり直す非効率や、緊急時に必要情報が得られず、命に関わる判断を誤る危険性もあります。さらに、医療機関間の連携が滞り、チーム医療や在宅医療の推進が阻害されます。

 このように、医療DXによる情報共有は不可欠であり、迅速な整備が求められます。加えて、国ではマイナンバーカードと保険証の一体化が進められており、医療ビッグデータの活用を通じて診療の質向上や予防医療の推進を図るべき時期に来ています。

 そこで伺います。

 1点目、県立病院間における電子カルテや画像データなどの情報共有について、今後、統一的なシステム整備をどのように進めていくのか。

 2点目、県はマイナンバーカードの活用等による医療ビッグデータを生かした医療施策の推進に取り組んでいるのか。また、今後の展望についてはどうか。

 次に、障害者歯科医療についてです。

 近年、一般の歯科診療所でも軽度の障害者を受け入れる例が増えていますが、重度心身障害者や抑制が必要な方、全身麻酔下での歯科治療を要する患者さんも増加しています。しかし、千葉県には県の障害者歯科診療室が設置されておらず、重度障害者への専門的な歯科医療は主に2次・3次医療機関に依存しているのが現状です。一見すると、日大松戸歯学部付属病院や東京歯科大学千葉歯科医療センター、旭中央病院、亀田総合病院など、対応可能な医療機関は存在するように見えます。しかし、実際には重度知的障害の方や発達障害、肢体不自由などで通常の外来診療が困難な患者さんに対し、全身麻酔下での治療から口腔リハビリまで一貫して提供できる専門体制を備えた医療機関はほとんどありません。また、既存の施設も都市部や北西部に偏在しており、船橋市や千葉市、浦安市などの施設では市民限定、千葉東病院では院内患者のみといった制限もあり、県全域を包括的にカバーできていないのが実情です。

 他県の事例を見ますと、多くは県の事業としての障害者歯科診療室を整備し、山梨県のように複数設置している地域もあります。これと比較すると、千葉県の体制は明らかに遅れていると言えます。私自身も、過去には千葉市歯科医師会の障害者歯科委員会の委員として障害のある方々の治療に携わり、摂食嚥下指導などの重要性を強く実感しています。また、複数の障害者団体から千葉県歯科医師会に対しても、県の障害者歯科診療室設置を求める要望が寄せられており、現場からの切実な声が高まっています。これらの状況を踏まえ、千葉県としても障害のある方が安全かつ安心して適切な歯科医療を受けられるよう、全県的な体制整備を早急に進める必要性があります。県の事業として障害者歯科診療室を設置することは、地域格差を解消し、誰もが平等に歯科医療を享受できる環境づくりに不可欠です。

 そこで伺います。

 1点目、障害者に対する歯科口腔保健について、県ではどのように対応しているのか。

 2点目、県の事業としての障害者歯科診療室の設置について、県ではどのように考えているのか。

 次に、歯科技工士についてです。

 高齢化の進展に伴い、入れ歯など義歯の需要増加が見込まれる中、その作製を担う歯科技工士の重要性は高まっています。歯科技工士は歯科医師の指示を受け、入れ歯や詰め物を作製する専門職であり、県民の口腔機能や健康を支える不可欠な存在です。しかし、近年、人手不足が深刻化し、入れ歯の完成に数か月を要する事例も報告されています。背景には歯科技工士の成り手不足があり、厚生労働省の調査では、令和6年12月時点で全体の約32%が60歳以上を占め、39歳以下は約24%にとどまります。後継者不足が喫緊の課題である一方、所得水準の低さも問題で、約4割が年収300万円以下という調査結果もあり、待遇の改善が急務とされています。

 本県の状況も厳しく、人口10万人当たりの歯科技工士数は14.8人で全国で46位、沖縄県に次ぐ低水準にあります。さらに絶対数も減少傾向にあり、令和2年末の1,181人から令和6年末には923人へと約2割減少しました。このままでは、県民に必要な義歯や詰め物の安定供給に支障が生じるおそれがあります。県民の食生活を支える歯の健康維持のためには、歯科技工士不足の解消が不可欠です。待遇改善や若手人材の確保に取り組み、持続可能な供給体制を構築することが今後の喫緊の課題とされています。

 そこで伺います。

 1点目、現在、県内における歯科技工士の不足は厳しい状況が続いているが、県として、現状をどのように認識しているのか。

 2点目、歯科技工士を育成するため、県として、どのような支援を行っていくのか。

 次に、地域交通政策についてです。

 私の地元である千葉市美浜区は県内でも都心部であります。同じ県内でも、都心部と県北・県南部の農村地域や中山間地域とでは、交通インフラや生活の利便性に大きな差があります。こうした都市と地方のギャップは、まちづくりや人口動態に直結する極めて重要な課題であります。現在の我が国の都市構造は、都市部は鉄道主義、それ以外は自動車主義とも言われています。都市部では鉄道を軸としたまちづくりが成立していますが、それ以外の地域では、車がなければ生活が成り立たない車社会が主流です。

 しかし、ここに来て深刻な変化が起きています。高齢化により自家用車を手放す高齢者が増加する一方で、地域のバスや鉄道などの公共交通機関は赤字や運転手不足により減便、廃止が進んでいます。このような状況は、まさに高齢者の足が失われつつあるという切実な現実であり、国を挙げて取り組んでいる地方創生の根幹を揺るがす問題であると考えています。特に高齢化が著しい県の中山間地域や南房総地域では、地域交通の確保は医療・福祉・経済活動と密接に関わる生命線であり、喫緊の課題です。県内では、南房総市のチョイソコや鋸南町の乗合ワゴンなど、地域ニーズに応じたデマンド交通や予約型乗合交通の導入が進んでいますが、いまだ県全体としての整備は道半ばです。今後、高齢者の通院、買物、通学、福祉移送などを支える生活交通インフラとして、既存の交通事業者だけに頼らない地域主導型のデマンド交通や移動支援サービスの導入拡大が不可欠だと考えます。

 そうした中、国の後押しにより、全国各地で自動運転バスの実証実験やICTを活用したオンデマンド交通サービスの開発が進んでいます。千葉県においても、柏の葉スマートシティなどで先進事例があります。こうした技術を県内全域に普及させるためには制度面、技術面の支援体制の構築が重要であり、県の積極的な主導が必要です。また、高齢化とともに、交通を担う労働力の確保も深刻な課題です。全国的な路線バス運転手の高齢化、若年層の減少などにより、バスの運行すらままならない地域が出始めています。

 そこで伺います。

 1点目、高齢者の通院の足などとして重要な役割を果たしている公共交通をどのように維持、確保していくのか。

 2点目、路線バスの運転手確保に向けた県の支援について、現状と今後の方針はどうか。

 次に、幕張新都心におけるプロスポーツの施設整備について。

 私の地元、幕張新都心地域におけるスタジアム整備に関する交通課題についてお伺いします。

 現在、幕張新都心地区において、2つの大規模スタジアムに関する動きが進行しております。1つは、千葉ロッテマリーンズの本拠地、ZOZOマリンスタジアムに関する移転、再整備の検討、そしてもう1つは、プロバスケットボールBリーグ所属、アルティーリ千葉による新アリーナ建設が幕張海浜公園Aブロックで構想されております。これら2つのスタジアムが至近距離に新設、集約されることにより、地域住民の方々からは以下のような声が多く寄せられております。

 JR海浜幕張駅及び周辺道路におけるイベント時の慢性的な交通渋滞の悪化の懸念、特に複数イベントが重なった際の公共交通機関の混雑、駅構内での安全確保への不安、アルティーリ千葉のスタジアムに関しては、周辺に十分な駐車場整備が見込まれていないことによる周辺住宅地への影響、違法駐車の懸念、幕張新都心全体の歩行者中心の都市設計とイベントによる車流入の矛盾など、都市インフラと都市設計の観点から見ても、地域住民の不安は決して小さくありません。

 そこでお伺いします。

 1点目、幕張新都心のにぎわい創出は、住民生活との調和と地域交通安全の確保を前提とすべきではないかと考えるが、県の見解はどうか。

 2点目、幕張海浜公園におけるアリーナ建設による周辺道路の渋滞など、想定される課題について、県はどう考えているか。

 次に、警察官の採用について。

 就職適齢人口の減少等により、他の公務員や民間企業との人材獲得競争が一層激しくなる中で、治安維持を担う警察官の採用についても極めて厳しい状況にあるという報道がありました。一方、治安情勢に目を向けると、昨年、県内において、匿名・流動型犯罪グループの犯行と見られる凶悪犯罪が連続発生したほか、令和7年上半期の特殊詐欺の被害額は過去最悪でした。また、県が実施した令和6年度県政に関する世論調査によれば、県民の治安に対する意識と警察に求めることに関する質問で、地域の犯罪発生状況は「多くなったと感じる」とした回答が約47.5%と、令和4年度の調査と比較して約2倍に増えるなど、県民の体感治安は悪化していると言えます。

 そのような中、県民の安全・安心を実感できる暮らしを実現していくためには、警察官のマンパワーは必要不可欠であり、警察官の採用活動を強化する必要があると考えます。

 そこで伺います。

 1つ目、昨今の警察官採用試験の状況はどうか。

 2つ目、厳しい採用情勢の中、採用活動で工夫している点はあるか。

 以上で1回目の質問を終わります。知事、執行部の皆様におかれましては、前向きな御答弁をどうぞよろしくお願いいたします。(拍手)

○議長(武田正光君) 鷲見隆仁君の質問に対する当局の答弁を求めます。知事熊谷俊人君。

 (知事熊谷俊人君登壇)

○知事(熊谷俊人君) 自民党の鷲見隆仁議員の御質問にお答えをいたします。

 まず、医療体制についてお答えいたします。

 医療ビッグデータの活用等についての御質問ですが、県では、地域における医療の課題を把握するため、急性期病院等から医療データを収集し、この結果、把握をした小児医療や救急医療等の地域ごとの課題について分析する事業を進めているところであり、今後、地域の関係者による協議の場で検討を行うこととしています。また、現在、国において、デジタル技術の活用により医療の質の向上や業務効率化等を推進するため、マイナンバーを用いて保健、医療等に関する情報を共有する全国医療情報プラットフォームの構築が進められており、県では、マイナンバーを活用したオンライン資格確認システムの普及啓発や電子処方箋システムの導入に対する助成等を医療機関等に対して行っています。医療ビッグデータを医学研究や創薬に活用することにより、医療水準の向上や健康寿命の延伸等が期待できることから、国の動向を注視しつつ、引き続きデータ活用等に向けた体制整備に取り組んでまいります。

 次に、地域交通政策についてお答えをいたします。

 公共交通の維持確保に関する御質問ですが、高齢化や運転免許証の自主返納により公共交通を必要とする方は増加していますが、一方で、運転手の不足等により交通事業者だけで十分な移動手段を提供することが難しい地域も出てきています。こうした地域では、バス路線の再編や交通モードの転換に加え、医療施設等が利用者を送迎する車両を地域住民の移動にも活用するなど、地域の様々な輸送サービス資源とも連携して、必要な移動手段を確保することも重要です。このため県では、今年度から新たに市町村や交通事業者に対する専門的なコンサルタントによる相談支援を行うとともに、実証事業等への補助を行っているところであり、今後も地域にとって必要な公共交通の確保に向け、しっかりと取り組んでまいります。

 私からは以上でございます。他の質問につきましては担当部局長からお答えいたします。

○議長(武田正光君) 保健医療担当部長山口敏弘君。

 (説明者山口敏弘君登壇)

○説明者(山口敏弘君) 私からは、まず、医療体制についてお答えいたします。

 医療機関の連携、集約化についての御質問ですが、地域医療構想では、限られた医療資源を効果的、効率的に活用し、県民が地域において安心で質の高い医療サービスが受けられるよう、病床機能の分化と連携を推進することが重要であるとしており、千葉県においては、この実現に向け地域医療介護総合確保基金等を活用し、様々な取組を行っているところです。また、国は2040年に向けた新たな地域医療構想に関するとりまとめにおいて、医療機関の再編、集約化を推進するとともに、大学病院本院は県と連携し、医師派遣機能等も含めた地域医療における役割を果たすことが期待されるとしています。県としては、来年度策定予定の次期地域医療構想において、公立及び民間病院のさらなる連携、強化等に向けた取組を進め、地域における必要な医療提供体制の確保に努めてまいります。

 次に、障害者歯科医療についてお答えいたします。

 障害者に対する歯科口腔保健についての御質問ですが、障害のある方が口腔の健康を保持するためには、かかりつけ歯科医を持ち、地域で歯科検診や歯科治療、歯科保健指導などを受けることができる環境づくりが重要です。このため県では、かかりつけ歯科医の普及に向け、千葉県歯科医師会の協力を得て、障害のある方に対応できる歯科医師の育成を行うとともに、地域で受入れが可能な医療機関を県ホームページで周知しています。加えて、障害者支援施設等の職員や保護者等を対象に口腔内の保健指導や摂食嚥下指導に関する研修を実施するなど、障害がある方の口腔機能の保持増進に努めているところです。

 次に、障害者歯科診療室の設置についての御質問ですが、障害のある方の中には、障害特性により全身麻酔や静脈麻酔等の処置が必要な方がおり、特に全身麻酔については、一般の歯科診療所では難しいと承知しています。県としては、今後、歯科診療を実施する病院における障害者歯科の診療内容や受入れ状況など、詳細な実態を把握するとともに、他自治体の状況等も参考に、障害のある方が安心して歯科診療を受けられる体制の在り方について、関係機関や福祉関係者の意見も伺いながら研究を進めてまいります。

 次に、歯科技工士についてお答えいたします。

 歯科技工士の現状についての御質問ですが、高齢化の進展に伴い、口腔機能の維持、回復に必要な入れ歯等の需要が高まっているものの、令和6年末現在、全国の歯科技工士就業者数の約2割を65歳以上の者が占めるなど、担い手の高齢化も同時に進行していることが課題となっています。加えて本県の歯科技工士就業者数は、同年末現在、実数では923人で全国第9位ですが、人口10万対では14.8人で第46位と、全国平均の25.6を大幅に下回る厳しい状況にあるものと認識しています。

 なお、現在、国の歯科技工士の業務のあり方等に関する検討会において、近年の歯科技工士を取り巻く状況を踏まえた歯科技工士の業務の在り方や今後の需給見込みについて検討を重ねることとしており、県としても、その動向を注視してまいります。

 最後に、歯科技工士を育成するための支援についての御質問ですが、県内の歯科技工士を育成、確保するためには、まずは、その仕事や資格について県民に幅広く興味、関心を持っていただくことが重要と考えています。このため、県と県歯科医師会が主催する千葉県口腔保健大会において、県歯科技工士会の協力を得て歯科技工士の魅力や技術等を伝える展示ブースを設け、周知啓発に取り組んでいるところです。今後とも県歯科技工士会などの関係団体と連携し、若い世代への周知啓発を含め、歯科技工士の育成に向けた支援に努めてまいります。

 以上でございます。

○議長(武田正光君) 病院局長山崎晋一朗君。

 (説明者山崎晋一朗君登壇)

○説明者(山崎晋一朗君) 私からは県立病院における統一的なシステム整備についての御質問にお答えいたします。

 県立病院間で患者の情報等を共有することは、病院間を転院する患者に対し、より速やかな診断、治療の提供が期待でき、患者の負担軽減等にも資するものと認識しております。国では、より安全で質の高い医療を提供するため電子カルテを標準化し、令和12年までにおおむね全ての医療機関で患者情報を共有可能とすることを目標に、現在、電子カルテ情報共有サービスのモデル事業を実施しています。県立病院におけるシステム整備を伴う情報共有については、こうした国の動向や他の先進事例なども注視しながら、各病院におけるシステム改修のスケジュール等も踏まえ検討していきたいと考えております。

 以上でございます。

○議長(武田正光君) 総合企画部長三神彰君。

 (説明者三神 彰君登壇)

○説明者(三神 彰君) 路線バスの運転手確保に関する御質問ですが、県では、路線バスの運転手を確保するため、令和6年度から路線バス運転手確保対策事業により、人材確保に取り組むバス事業者に対する補助や県主催の就職イベントを実施しています。昨年度は休憩室やトイレの改修等の労働環境整備への補助などを行うとともに、バス運転手専門の合同企業説明会を2回開催し、合計175名の求職者が就職相談を行ったところです。今年度は新たな試みとして、合同企業説明会において、現役の運転手との交流の場を企画するとともに、参加者の利便性向上のため、オンラインで参加できる説明会も実施するなど、今後もバス運転手の確保に向けて効果的な支援に努めてまいります。

 次に、幕張新都心についての御質問ですが、現在、幕張新都心では、マリンスタジアムをはじめとした大規模集客施設の計画が進められており、地域のさらなる発展が期待される一方、施設でのイベントが重なった場合、駅周辺の人流や周辺道路における混雑など、様々な課題も想定されます。このため施設整備を進めるに当たっては、地域住民が安心できる生活環境を整えることが必要と考えております。千葉市では、今後実施するマリンスタジアムの基本計画の策定等において、イベント開催時の人流や交通混雑などの課題について、関係機関の協力を得ながら調査、検討を行うこととしており、県としても、市と連携し、課題解決に向けて協力してまいります。

 以上でございます。

○議長(武田正光君) 都市整備局長横土俊之君。

 (説明者横土俊之君登壇)

○説明者(横土俊之君) アリーナ建設に想定される課題についての御質問ですが、幕張海浜公園におけるアリーナ建設については、プロバスケットボールのホームアリーナの建設を検討したいとして、令和6年3月に千葉市から県に対し協力依頼があり、情報共有や協議を進めてきたところです。道路渋滞などの課題については、千葉市と事業者が進めている地域住民との意見交換会の中でも意見が上がっており、千葉市や事業者としても、課題解決に向けて丁寧に対応することとしています。県としましては、意見交換会を注視しながら必要な協議、調整を行うなど、市に協力してまいります。

 以上でございます。

○議長(武田正光君) 警察本部長青山彩子君。

 (説明者青山彩子君登壇)

○説明者(青山彩子君) 私からは警察官の採用についてお答えいたします。

 まず、警察官採用試験の状況に関する御質問ですが、過去5年間の警察官採用試験の状況は、応募者数、受験者数、ともに減少傾向にあり、さらに合格後の辞退者数は増加傾向にあるなど、採用情勢は極めて厳しい状況にあります。直近の応募状況と採用状況については、本年5月に実施した令和7年度第1回警察官採用試験では1,414人の応募があり、うち1,008人が受験、最終的に515人を合格としており、競争倍率は約2.0倍となりました。

 次に、採用活動に関する御質問ですが、警察官の採用情勢が年々厳しくなる中、県警では、組織を支える人材を確保するため、募集活動の強化及び試験制度の見直しに取り組んでおります。具体的には、従来の採用募集活動に加え、若者世代の特性を意識した体験型の就職説明会のほか、採用募集に特化したインスタグラムやXを開設するなど、SNSを活用した魅力発信に取り組んでおります。一方、試験制度の見直しについては、今年度の試験からSPI3の導入、受験上限年齢の引上げ、資格加点対象の拡充を実施しております。引き続き多くの方々に警察官という職業を選択肢の1つに持っていただけるよう、各種取組を推進してまいります。

 以上でございます。

○議長(武田正光君) 鷲見隆仁君。

○鷲見隆仁君 2回目は再質問と要望を行います。

 まず、医療体制について要望します。

 現在、医療を取り巻く環境は少子高齢化や人口減少、医療人材の偏在、経営悪化など複合的課題に直面し、従来の制度では対応が困難となっています。千葉県内でも都市部と周辺地域の医療格差が拡大し、医師・看護師不足で必要な医療が行き届かない例が見られます。このため病院機能の分化、集約化が不可欠であり、単なる病床削減ではなく、地域ごとの役割を明確化し、救急から在宅まで切れ目ない体制を構築する必要があります。民間病院や大学病院との連携も重要で、県が主導的役割を担うことが期待されます。また、医療DX推進として電子カルテや画像データの共有、マイナンバーと連携した医療情報の一元管理が不可欠であり、現状のようなシステム断絶は患者の安全を脅かします。さらに、医療ビッグデータを活用すれば疾病予防や健康増進が戦略的に進み、医療費抑制にもつながります。これらを一過性で終わらせず持続可能な体制とするためには、県が明確なビジョンを持ち、全体最適の視点から機能分化、DX推進、ビッグデータ活用を強力に進め、県民が安心して医療を受けられる体制を整備することを強く要望します。

 次に、障害者歯科医療について要望します。

 本県の障害者の方の歯科医療のニーズはかなりあります。しかしながら、現状はそのニーズに追いついていない状況です。障害のある方々の障害の種類も様々であり、その障害者の方々の歯科疾患も様々であります。1次歯科医療圏の歯科医院では対応できないことがほとんどです。生活圏のある2次・3次歯科医療機関の全身麻酔や高度な治療が可能な障害者歯科治療室が増えれば、障害者御本人や御家族の負担も少なくなり、受診者の選択肢が増え、また、障害者医療に携わる歯科医師やコメディカルの方々の研修の場にもなります。多くの障害者団体の方からも御要望を多くいただいているところでありますので、ぜひ知事はじめ執行部の皆様におかれましては、県の事業としての障害者歯科診療室の設置について強く要望させていただきます。

 次に、歯科技工士について要望します。

 私が昨年12月に登壇した際にも申し上げたとおり、歯科技工士の成り手を増やすためには、そもそもまず職業を知ってもらう取組が必要であり、学校への啓発活動などが重要です。また、千葉県歯科技工士会からも、県と連携して人材確保や職業の広報周知に取り組んでいきたいという話を聞いております。県としても、若い世代に歯科技工士の資格や仕事に興味、関心を持ってもらうよう周知していくとの御答弁でしたので、関係団体とも意見交換をしながら、しっかり取り組んでいただくことと、現在働いている歯科技工士の方々の処遇の改善も併せて要望いたします。

 次に、地域公共交通について要望します。

 私は、交通インフラの整備、再構築こそが地方創生の最重要課題の1つであると確信しております。地域に根差した移動手段の確保なくして、住み続けられる町、移住、定住を促進できる町の実現はあり得ません。単に交通手段を提供するだけでなく、誰一人取り残さない移動の保障という社会的基盤の再構築こそが、これからの高齢化社会における県政の責務です。

 御答弁では、医療施設等が利用者を送迎する車両を地域住民の移動にも活用するなど、地域の輸送サービス資源を総動員して必要な公共交通を確保するよう、市町村等を支援していくとのことでした。デマンド交通、地域運営型交通、自動運転支援の全県的な展開を通じて移動困難者を支え、千葉県なら安心して暮らせると思っていただけるような社会を県とともにつくってまいりたいと考えております。県には、既存の手法にとらわれることなく、県独自の柔軟で先進的なモデルの構築と技術導入、制度設計におけるリーダーシップの発揮を強く求めます。どうか知事におかれましては、強いリーダーシップでこれからの超高齢化社会において、県民がどこに住んでいても誰一人取り残されないような移動手段を整備、構築していただきたいと期待しております。

 次に、幕張新都心におけるプロスポーツの施設整備について再質問をさせていただきます。

 ZOZOマリンスタジアムの跡地利用についてです。この施設は千葉市の市民球場ですが、土地は県の所有です。先日、神谷千葉市長とお話しする機会があり、移転後のZOZOマリンスタジアムはどうなるのか決まってはいないものの、使用を終了する場合には、原状回復として更地での返還が原則と聞いているとのことでした。ただ、更地にするにしても高額な解体費用がかかります。将来的にあのような野球場建設をしたいと考えても、物価高で資材も高騰している中、簡単には建設できません。そして、市内のスポーツ団体などからも、思い出のあるスタジアムを更地にしないで残してほしいとのお声をいただいております。ぜひ県としましては、千葉市と協議をして、自治体が運営するのではなくても、なるべく民間で運営する公的不動産の民間活用などで民間に運用させて、県民、市民に長く愛されてきた球場をさらに開放して長く愛される施設にしていただきたいと考えます。

 そこで伺います。マリンスタジアムの移転後の現施設に関して、引き続き利用したいとの声があるが、県はどう考えるのか。

 次に、警察官の採用については再質問させていただきます。

 先ほどの御答弁で、極めて厳しい採用情勢にある中、試験制度と募集活動の両面から様々な工夫をしていただいていることが分かりました。今後、ますます少子化が進むと想定すると、採用活動においては、幼少期に警察官に対する憧れを持ち、将来、自らが警察官になることを潜在的に考えている若者などに対するアプローチが有効ではないでしょうか。そうした際に、警察官が教養を受ける警察学校をはじめとした警察施設が老朽化していると、警察に対するネガティブなイメージにつながってしまうため、警察施設や福利厚生を改善し、警察組織がより魅力的になるよう、職場環境を改善していく必要性があると考えます。実際に、先日、東金の警察学校を視察させていただきましたが、本館や寮など築後39年が経過し、施設の老朽化が見受けられました。

 そこで伺います。警察学校の改修はどのように行っていくのか。

 以上で2回目の質問を終わりといたします。

○議長(武田正光君) 都市整備局長横土俊之君。

○説明者(横土俊之君) 移転後の現施設に関する御質問ですけれども、現在のマリンスタジアムは、千葉市が公園管理者である県から設置許可を得て、市により運営されているところです。現施設の継続利用について、市から要望等があった場合には、公園全体の施設の配置状況などを考慮しながら必要な協議等を行ってまいります。

 以上でございます。

○議長(武田正光君) 警察本部長青山彩子君。

○説明者(青山彩子君) 警察学校の改修に関する御質問ですが、本年度から警察学校生徒寮整備事業を行っており、既存生徒寮の個室化と合わせて内外装、空調設備、給排水衛生設備を含む大規模改修を行い、入校生の生活環境の改善を図るとともに、個室化に伴い不足する寮室を確保するため、生徒寮の増築を計画しております。また、国費による校舎の冷暖房等に使用するボイラー改修工事を予定しており、来年度以降では空調や浴槽の改修工事などの予算を国に要求している状況となります。

 以上でございます。

○議長(武田正光君) 鷲見隆仁君。

○鷲見隆仁君 最後に要望をいたします。

 まず、幕張新都心におけるプロスポーツの施設整備について。

 幕張新都心では、国際的なビジネス、観光、スポーツ拠点として、2つの大型スタジアムが共存する都市計画が進んでいます。しかし、地域住民の安全・安心が損なわれる事態は避けなければなりません。これまでもZOZOマリンスタジアムでのイベント時には駅周辺の混雑、道路渋滞、住宅街での迷惑駐車などが頻発し、住民は長年不便を強いられてきました。さらに、新たに2万人規模の屋内アリーナが建設されれば、その影響は一層深刻化する懸念があります。このため、県、市、事業者が連携し、スタジアム優先ではなく、住民優先で住民生活を守る視点に立った都市計画と交通対策の再検討が不可欠です。具体的には、交通渋滞や公共交通の混雑を想定した事前シミュレーションと情報公開、駐車場の十分な確保と生活圏への悪影響を防ぐゾーニング、住民や自治会への丁寧な説明と意見聴取の場の設置、さらにイベント時のアクセスにおけるモビリティーマネジメントの導入が求められます。県は調整役として積極的かつ責任ある対応を行うべきです。

 また、長年親しまれてきましたZOZOマリンスタジアムについては、単に更地にするのではなく、千葉市と協力し、公的不動産の民間活動などを通じてアマチュアスポーツ団体や市民が継続して利用できる仕組みを検討する必要性があると思います。スポーツによる地域活性化と住民の穏やかな暮らしの両立を実現するため、県として積極的に未来像を描き、知事と関係部局がリーダーシップを発揮してくださることを強く要望します。

 次に、警察官の採用について要望します。

 安全・安心を守る警察官の人材確保は、県民の命と暮らしを守るための基盤です。また、警察学校については、採用された警察官が最初に教養を受ける場所であり、老朽化が進んだ場合、教育の質の確保や入校者のモチベーションにも影響しかねません。国費を必要とする事業については、国への要求をしっかり行っていただくなど、引き続き警察官の人材確保に向けて、県と強力な連携を図っていただくことを要望します。

 以上で私の一般質問を終了させていただきます。皆様、御清聴ありがとうございました。

○議長(武田正光君) 次に、伊藤ちかこ君。

 (伊藤ちかこ君登壇、拍手)

○伊藤ちかこ君 皆様、こんにちは。立憲民主党、白井市選出の伊藤ちかこです。本日、登壇の機会をくださった会派の先輩・同僚議員の皆様に感謝申し上げます。傍聴席の皆様、そしてオンラインで御視聴の皆様もおいでいただき、ありがとうございます。

 では、質問に入らせていただきます。

 初めに、千葉の梨について伺います。

 県には、日本一の千葉の梨ブランド強化に力を入れていただき、知事にも御尽力いただいて大変感謝しております。今年50回目を迎えた千葉なし味自慢コンテストにおいて、県内各地自慢の幸水111点の中から、白井の梨が最優秀賞である農林水産大臣賞に選ばれたほか、5名が表彰されました。梨農家さんが日頃より研さんに励み、丹精込めて作ってくださったたまもので白井の誇りですが、一方で、近年の気候変動による高温の中での作業や新高などへの高温障害、生産面積、生産者の減少、後継者不足が大きな課題となっています。

 白井市は栽培面積も県内一、最も広いのですが、2020年までの30年間に栽培面積は3割減となっています。また、経営体の数で見ますと、同じく30年間で半減に迫る減少が見られます。これは白井市だけに限った課題ではありません。日本一の千葉の梨が長く愛され味わっていただけるように、梨農家の後継者、新規就農者を含めた支援が必要だと考えます。

 そこで伺います。千葉の梨の安定生産に向けて、どのように取り組んでいるのか。

 次に、成田スカイアクセス線について伺います。

 成田空港と上野などを結ぶ京成の成田スカイアクセス線は、私の地元である千葉ニュータウンから都心と成田空港のどちらにも行くことができ、多くの方々に通勤、通学などに利用されています。成田空港では、第3滑走路の新設や旅客ターミナルの再構築など第2の開港プロジェクトが進められており、今後、空港の利用客だけでなく、従業員も大幅に増加すると見込まれています。こうした方々に、千葉ニュータウンを居住地に選んでもらえれば、地域のさらなる活性化につながると期待しています。そのためには、通勤で利用する成田スカイアクセス線について、列車の増発などの輸送力の強化に取り組んでいく必要があると考えます。

 そこで伺います。成田スカイアクセス線の輸送力増強に向けて、県はどのように取り組んでいくのか。

 次に、災害と地下水について伺います。

 今年5月、県議会の地震・津波議連の皆様と能登半島に被災地調査に参りました。そこで、避難所生活で困ったことの1つは、洗濯やトイレなどで使う生活用水が不足していたことだとお聞きしました。

 議長の御許可をいただき、資料を配付いたしました。お手元の資料(1)を御覧ください。地震の際、最も困ることが生活用水の不足であるのは阪神・淡路大震災、東日本大震災、熊本地震でも同様であることが分かります。そこで注目されるのが災害用井戸の活用です。災害用井戸とは、地域内の井戸を事前登録し、災害時に応急給水として利用する共助の仕組みのことです。災害用井戸があれば、公的な給水活動を補完し、身近な地域で早く水を供給できる天然の備蓄庫となります。国は今年、災害時地下水利用ガイドラインを出しています。

 そこで伺います。災害用井戸について、本県の現状はどうか。また、今後さらに普及させていくべきと考えるが、どうか。

 千葉県の下総台地の地下には豊富な地下水源があります。井戸として飲用水、生活用水、また工業・農業用水として広く活用されており、将来にわたる大切な宝と言えます。しかし、私がこれまで取り上げてきたPFAS汚染のように、時に有害な物質によって汚染されることがあります。白井市では、今年、白井工業団地の地下水から暫定指針値を超えるPFAS汚染が見つかったことから、また金山落の周辺、鎌ケ谷市からも、今後汚染の心配をしなくて済むようにと、上水道の整備を望む強い要望が私にも届いております。地下水を汚染から守ることは極めて重要です。

 国の土壌汚染対策法では、土壌に汚染が見つかった際、地下水については、汚染の到達距離の範囲内に飲用の井戸がないなど、健康リスクが直ちにない場合について、調査を義務づけていません。しかし、地下水を調査しないとすると発見が遅れ、土壌にある汚染が地下水を介して広がる可能性があります。土壌汚染対策法は、地下水環境の保全については弱いものとなっています。

 上乗せした形で条例をつくっている自治体もあります。東京都では、平成12年につくられた環境確保条例において、土壌汚染調査と同時に地下水汚染の調査を行うとしています。同様の義務づけが生活環境保全条例として、埼玉県では平成14年から、神奈川県でも平成24年から実施されています。

 そこで、本県の現状を伺います。本県では、土壌汚染が見つかった地域において、地下水の汚染防止や拡散防止のため、どのような取組を行っているのか。

 PFAS汚染について伺います。

 金山落のPFOS及びPFOAの汚染について、県は原因の1つとして下総航空基地からの排水であるとし、基地からも6月初旬に対応する旨、返答があったことは、6月自民党代表質問に御答弁があったところです。

 それに先立ち、私は5月末に防衛省を訪問し、防衛省の意向として、地元の要望を踏まえ緊密に連携を図る考えを確認しましたが、基地からの返答にも、その趣旨が盛り込まれています。汚染原因の究明について下総航空基地は、関係自治体の要望を踏まえ適切に対応するとしていますので、県と3市がどのような要望を返すのかが問われるところです。先方に原因究明を任せきりにするのではなく、具体性のある要望を返していくことが必要です。原因に関しては、汚染源なくして排水や地下水からPFASが検出されることはないわけですから、汚染源の調査は必要不可欠です。PFOS等を含む泡消火剤の過去の使用状況を聞き取り調査し、使用した地点を特定し、土壌の調査を行うこと等を積極的に下総基地に求めるべきと考えます。

 私は、6月に汚染対策の参考にするため、水源ダムからPFAS汚染が見つかった岡山県吉備中央町を訪問しましたが、吉備中央町では、汚染確認から2か月後には原因究明委員会を立ち上げ、その9か月後には報告書をまとめていました。金山落とは条件が異なるとはいえ、1年足らずの間に原因究明が進み、水源を切り替え、飲用水対策も解決していました。実にスピーディーな対応です。千葉県でも、このようなスピード感を持って対応をしていただきたいと思います。

 そこで伺います。金山落及びその周辺の地下水のPFOS及びPFOAの汚染原因究明について、県はどのように取り組むのか。また、下総航空基地に対してはどのような対応をするのか。

 子供と家庭への支援について伺います。

 令和4年6月に改正された児童福祉法により、こども家庭センターを設置することが市町村において努力義務化されました。こども家庭センターとは、地域における全ての妊産婦、子育て世帯、子供へ一体的に相談支援を行う機能を有する機関です。妊娠、出産から育児までの切れ目のない支援を市町村が担うものであり、子供と家庭への支援として大変重要です。

 昨年4月から改正児童福祉法は施行され、同年5月1日の時点で、千葉県では54のうち23自治体の設置、42.6%であり、全国平均に届いていませんでした。現在の設置状況はどうでしょうか。伺います。

 本県におけるこども家庭センターの設置状況はどうか。また、こども家庭センターに対し、県はどのような支援を行っているのか。

 昨年6月定例会において、我が会派の入江晶子議員がプレコンセプションケアの重要性について指摘されたように、妊娠の前段階からの支援もまた、重要です。スウェーデンでは、ユースクリニックという名称で15歳から25歳頃までの若年層が無料または低額で、恋愛や性について気軽に相談でき、必要なら医療を受けることができる居場所があります。厚労省の調査によれば、我が国でも婦人科クリニックや自治体、NPOなどによって運営されているユースクリニックが全国にあると聞きます。

 そこで伺います。本県では、ユースクリニックのような若年層に向けた相談支援があるのか。

 厚労省の調査によれば、今年1月から6月までの上半期に生まれた子供の数は速報値で33万9,000人余りと、去年の同じ時期と比べて1万人余り減少しました。国が統計を開始して以降、最も少なくなり、少子化に歯止めがかからない状況です。経済的な理由など、複数の要因が絡んでいるものと思われ、今定例会でも篠田議員や渡辺議員から言及がありました。私も女性の視点から申し上げれば、多くの女性にとって、子供を持つことは喜ばしい反面、現実には重い負担を意味しているのではないでしょうか。妊娠、出産は言うまでもなく、仕事の有無にかかわらず、家事、育児の大半を女性が当然のように期待されるケースが依然として多く、子育ての負担と責任が重くのしかかっているのではないでしょうか。女性個人に負担が偏っているこのような現状は、少子化をもたらす要因の1つではないかと考えます。

 そこで伺います。男性の家事・育児参加を促すために、県はどのように取り組んでいるのか。

 いじめについて伺います。

 学校、保育所等の管理下における児童生徒等の災害、すなわち負傷、疾病、傷害または死亡に対しては、日本スポーツ振興センターの災害共済給付により、医療費や見舞金の支給があります。任意の加入ですが、多くの児童生徒が加入しています。この災害共済は、いじめによる精神的な疾病についても適用されるものですが、精神的な疾病の申請はごく僅かだったと聞いています。給付があることに思いが及ばないのではないか、申請漏れがあるのではないかと気になります。いじめに遭った子供や保護者を孤立させることなく、少しでも多くの周囲からの理解や支援が欲しいところなので伺います。

 いじめの被害による医療費等が日本スポーツ振興センターの災害給付対象となることを保護者にどのように伝えているのか。

 次に、県立高校において、生徒にいじめ重大事態、かつ刑法犯に該当する重大な問題行動があった場合の対応について伺います。

 お手元の資料(2)を御覧ください。学校教育法施行規則第26条を見ますと、第2項では、退学処分は校長が行うとし、第3項では、退学の要件が第1号から第4号まであります。第4号には、学校の秩序を乱し、学生または生徒の本分に反した者とあります。いじめは学校の秩序を乱すものであり、刑法犯を犯すことは生徒の本分とは言えませんから、いじめ重大事態で刑法犯の場合は、第4号の適用を検討する必要があると考えられます。第1号にある改善の見込みがないという条件では、指導した上で様子を見て改善の見込みを判断することが必要だと考えられますが、第4号には「見込み」という言葉がないので、指導するという過程を必要とせず退学処分が可能ではないでしょうか。

 そこで伺います。県立高校で刑法犯などの重大な問題行動を起こした生徒に対して、懲戒処分の検討はどのような手順で行われるのか。

 いじめ事案の多く、8割は適切な対応によって解決しており、多忙な中、現場の先生方は本当に頑張っておられます。しかし、学校での児童生徒間の性暴力いじめ事案は指導経験がないことが多く、対応に不安を覚えるのではないかと思います。

 そこで、性暴力根絶条例を持つ福岡県の学校における性暴力事案対応マニュアルを御紹介したいと思います。資料(3)を御覧ください。性暴力が起こった場合のフローチャートや2次被害となる言葉かけの例など、必要かつ専門的な知識が分かりやすく書かれています。このマニュアルは福岡県の人づくり・県民生活部が作成したものですが、本県でも部局横断的に協力をしていただいて対応マニュアルを作成すべきではありませんか。伺います。

 性暴力いじめ事案について、対応マニュアルを作成すべきと思うが、どうか。

 外国人との共生について伺います。

 令和6年の調査によると、千葉県では外国人が人口の3.7%を占め、出身国や在留資格も様々で、一くくりにはできない多様な外国人が本県に住んでいることが分かります。文化や生活習慣などバックグラウンドは違っても、働く人、学生、生活者、納税者などとして大切な隣人となっています。しかし、残念なことに、今年7月に外国人追放、移民反対などの大きな落書きが地元白井市の市内数か所で見つかり、県警にパトロールを強化していただいていると聞いています。国連は、ヘイトスピーチは暴力と人権侵害の温床になると警鐘を鳴らしています。共に安心して共生していけるように、県はどのような取組をしているのでしょうか。

 そこで伺います。外国人との相互理解の促進のため、県民の多文化共生意識の醸成をどのように図っていくのか。

 登壇しての最後に、観光立県ちばについて伺います。

 県外に参りますと、新幹線駅や空港で自然と目に入る観光地の紹介や、お土産売場などを通じて、その地域が発信している郷土への強い思いや誇りを感じることがあります。観光を通じた地域づくりの努力や取組は地域のすばらしさを再認識し、経済の持続的な発展をもたらすとともに、郷土を誇りに思い、愛するという循環が生まれます。新幹線駅が旅行の拠点となり、観光情報の発信の中心となりやすい他県と本県は条件が異なりますが、本県は成田空港という日本の空の玄関口を有しておりますので、この優位性を生かすべきです。

 2024年の訪日外国人のうち3割、1,089万人が成田空港を利用していますが、2022年の調査では、成田空港から入国した外国人の第1訪問先は東京が7割近くを占めており、千葉県は1割弱にとどまっています。これをもっと呼び込んでくることで、千葉県の観光はまだまだ大きく発展していく可能性を秘めています。

 そこで伺います。海外からの観光客誘致に向けて、県ではどのような観光プロモーションを行っているのか。

 以上で壇上からの質問を終わります。前向きな御答弁をよろしくお願いいたします。(拍手)

○議長(武田正光君) 伊藤ちかこ君の質問に対する当局の答弁を求めます。知事熊谷俊人君。

 (知事熊谷俊人君登壇)

○知事(熊谷俊人君) 立憲民主党の伊藤ちかこ議員の御質問にお答えをいたします。

 まず、梨の安定生産についての御質問にお答えをいたします。

 日本一の生産量を誇る本県産の梨を今後も安定的に生産をしていくためには、生産力が低下をした老木の植え替えや近年多発する自然災害などへの対応を進めるとともに、省力化や生産性の向上を図ることが必要です。このため県では、収量性の高い優良品種への計画的な植え替えや強風などによる被害を防ぐ多目的防災網の整備に加え、植付けから収穫開始までの年数を短縮できる樹形の導入を進めているところです。さらに、今後、産地の中核を担う若手生産者に対して、地域の枠を超えた交流による栽培技術や経営管理などのスキルアップを図るとともに、新規就農者の栽培を支援するスマートグラスなどの新たな技術の活用に向けた検討を進めるなど、今後とも梨の生産量を維持できるよう安定生産に取り組んでまいります。

 次に、海外からの観光客誘致についての御質問にお答えいたします。

 海外から観光客を誘致することは平日の宿泊につながり、旅行消費額の増加も期待できることから、県では、本県への来訪が多い台湾やタイ、ベトナム等において、現地の観光商談会への参加や旅行会社への訪問セールスなど、団体旅行の誘致に積極的に取り組んでいます。また、近年、個人旅行客が増加していることを踏まえ、外国語によるホームページやSNS等での情報発信を行うとともに、海外の旅行予約サイトに県内の旅行商品が掲載されるよう観光宿泊事業者を支援しています。さらに、成田空港を利用する外国人観光客の県内への誘客を促進するため、空港内に県の観光情報窓口を設置して情報発信や観光案内に取り組んでおり、今後も海外からの観光客誘致に向け、様々な施策を講じてまいります。

 私からは以上でございます。他の質問につきましては担当部局長からお答えいたします。

○議長(武田正光君) 総合企画部長三神彰君。

 (説明者三神 彰君登壇)

○説明者(三神 彰君) まず、成田スカイアクセス線についての御質問ですが、成田スカイアクセス線は成田空港の鉄道アクセスとして、また、千葉ニュータウン地区に住む方々の通勤、通学の足として重要な役割を担っているものと認識しております。今後は第3滑走路の供用開始に伴い、空港利用者や空港従業員が増加し、成田スカイアクセス線の利用者も増加することが見込まれることから、列車の増発等による輸送力増強などの課題について議論していく必要があると考えています。このような中、昨年9月には、国が鉄道事業者や自治体などで構成する検討会を立ち上げたところであり、県としても、この検討会に参画し、空港周辺の単線区間の複線化などによる成田スカイアクセス線の輸送力増強に向けて働きかけてまいります。

 次に、男性の家事・育児参加に関する取組についての御質問ですが、家事等の役割分担については、昨年10月に実施した男女共同参画社会の実現に向けての県民意識調査の結果によると、例えば子供の世話を主に妻が行うとの回答が約6割である一方、夫婦とも同じくらい行うとの回答は約2割となっております。県では、こうした女性への負担の偏りの背景にある固定的な性別役割分担意識や無意識の思い込みを解消するため、夫婦の家事・育児分担や家族の絆をテーマとした講演会を開催したほか、男性が育児休業を取得しやすい職場づくりに取り組む事業者を表彰するなど、普及啓発に取り組んでいるところです。現在策定中の次期男女共同参画計画では、企業、団体、市町村など多様な主体との連携をさらに強化することとしており、今後とも社会全体で一層の機運醸成を図り、男性、女性双方の意識変革や理解促進に取り組んでまいります。

 最後に、多文化共生意識の醸成についての御質問ですが、地域での外国人との共生を進めていくためには日本語や生活ルール等の習得が重要であるとともに、意識啓発や交流の取組により、共生に向けた意識の浸透を図っていく必要があると考えています。そのため県では、毎年、県民や市町村、市町村国際交流協会等を対象に、国際化や多文化共生についての理解増進を図るためのセミナーを開催しており、多くの県民の皆様に参加いただいているところです。また、市町村が実施する交流イベント等の連携により異文化理解の促進を図るなど、今後も多文化共生意識の醸成につながる取組を進めてまいります。

 以上でございます。

○議長(武田正光君) 防災危機管理部長青柳徹君。

 (説明者青柳 徹君登壇)

○説明者(青柳 徹君) 災害用井戸についての御質問ですが、大規模災害時には水道施設の損傷などにより断水する場合があることから、生活用水を確保する手段として井戸を活用することは大変有効と認識しております。このため県では、災害時における避難所運営等の手引きにより、避難所への井戸の整備を市町村に働きかけるとともに、市町村が避難所へ井戸を設置する際の経費に助成も行っているところです。また、県内19市町においては、個人や企業等が所有する井戸を災害時に利用できるよう、事前に登録する取組も進めており、令和7年8月末時点で約1,600か所の井戸が登録されています。県としては、先行する取組事例を市町村と共有することなどにより、引き続き災害用井戸の普及促進に努めてまいります。

 以上でございます。

○議長(武田正光君) 環境生活部長井上容子君。

 (説明者井上容子君登壇)

○説明者(井上容子君) 土壌汚染が確認された場合の地下水の汚染防止や拡散防止の県の取組についての御質問ですが、土壌汚染や地下水汚染対策においては、有害物質による人の健康被害を防止することが重要です。そのため、法令などで環境基準が定められるとともに、土壌や地下水汚染の未然防止及び健康の保護や生活環境の保全のために必要な対策が規定されています。県では、水質汚濁防止法に基づき地下水の水質調査を定期的に行い、基準を超える値が検出された場合は市町村と連携して汚染原因などを調査し、原因者に対して必要な拡散防止対策を講じるよう指導しています。また、土壌汚染対策法に基づく汚染の除去など、周辺の飲用井戸への拡散防止対策に加え、地質汚染防止対策ガイドラインを県独自に作成し、飲用井戸の有無にかかわらず、汚染が確認された場合に実施すべき地下水調査や浄化対策等の自主的な取組を事業者に求めています。

 次に、金山落周辺におけるPFOS等への対応に関する御質問ですが、金山落におけるPFOS等の暫定指針値の超過については、下総航空基地からの排水が原因の1つであると考えられたことから、県は周辺市とともに、基地に対して排水口での流出防止対策や検出原因の調査等の実施を依頼したところです。現在、基地では流出防止対策の実施に向けた準備に加え、検出原因の調査についても検討を進めており、県は基地の対応状況を適宜確認するとともに、原因調査等が着実に実施されるよう、必要に応じて引き続き助言してまいります。

 また、金山落周辺の地下水汚染については、現在も原因の特定には至っていないことから、引き続き周辺市が実施する調査に関して技術的な助言や財政的支援を行うとともに、連携して調査を進め、県民の不安の払拭と健康被害の未然防止に努めてまいります。

 以上でございます。

○議長(武田正光君) 健康福祉部長岡田慎太郎君。

 (説明者岡田慎太郎君登壇)

○説明者(岡田慎太郎君) こども家庭センターに関する御質問にお答えします。

 こども家庭センターは、令和6年度に施行された改正児童福祉法において、妊産婦、子育て世帯、子供に対する包括的な支援を行う中核的な機関として市町村が設置に努めることとされたものであり、9月1日現在、県内36団体に設置されています。県では、未設置の市町村に対し、要望に応じてアドバイザーを派遣するなどの取組を進めるとともに、こども家庭センターの母子保健従事者等に対し、家庭訪問や面接等を効果的に行うための実践的な研修を実施しています。引き続き全市町村でのセンター設置に向け、必要な助言や情報提供などによる働きかけ、研修を通じた資質向上等の支援を行ってまいります。

 次に、若年層に向けた相談支援に関する御質問ですが、思春期を迎えた若年層は、子供から大人へ成長する過程で心身が大きく変化し、他者や社会との関わりの中で不安や葛藤などの悩みや健康課題を抱えやすい時期にあることから、正しい知識や助言が得られる相談先が必要となります。県では、こうした若年層が抱える様々な課題に寄り添った支援を行うため、保健所で医師等が相談に応じる思春期相談やにんしんSOS相談等の様々な窓口を設けているところです。今年度からは、これらに加え、思春期の子供特有の人間関係や性に関する悩み等に公認心理師や助産師が対応する思春期オンライン相談を実施し、若年層がより相談しやすい環境の整備に努めています。

 以上でございます。

○議長(武田正光君) 教育長杉野可愛君。

 (説明者杉野可愛君登壇)

○説明者(杉野可愛君) いじめについてお答えいたします。

 まず、日本スポーツ振興センターの災害共済給付についての御質問ですが、日本スポーツ振興センターの災害共済給付制度については、保護者に対して本制度の趣旨を十分に説明した上で加入手続等を周知するよう、県教育委員会から県立学校に通知しています。本通知を踏まえ、各学校では、給付対象となる負傷や疾病などについて示した資料を活用し、入学説明会などで保護者に周知するとともに、事案が発生した場合には個別の相談にも応じているところです。今後は保護者への配付資料に、いじめ等の精神的な苦痛をもたらすような行為が継続的に行われたことに起因する疾病も給付対象になり得ることを例示するなど、引き続き本制度の周知方法を工夫してまいります。

 次に、懲戒処分の検討についての御質問ですが、重大な問題行動を起こした生徒に対するものも含め、懲戒は、学校における教育目的を達成するために教育的配慮の下に行われなければならないとされています。その際には当該生徒や関係者の話をしっかりと聞くとともに、その他の必要な情報を収集するなどして、退学や停学などの法的効果を伴う処分か、または同様の行為を繰り返さないための継続的な指導のいずれが妥当かを判断します。過去の判例によると、懲戒による退学処分を判断する場合は当該生徒に改善の見込みがなく、教育上やむを得ないと認められる場合に限って選択すべきものとされており、県教育委員会と学校が連携し、具体的かつ慎重に検討した上で最終的には校長が行います。

 最後に、性暴力事案の対応マニュアルの作成に関する御質問ですが、性暴力は被害者の尊厳を著しく踏みにじる行為であり、その心身に長期にわたり重大な影響を及ぼすものであると認識しております。学校における性暴力の対応に特化したマニュアルの作成については、相談機関や医師会、弁護士会、庁内の関係部局等で構成される千葉県性犯罪・性暴力被害者支援協議会において意見交換することとしており、他県の事例も参考にしつつ今後検討してまいります。

 以上でございます。

○議長(武田正光君) 伊藤ちかこ君。

○伊藤ちかこ君 知事はじめ執行部の皆様、御答弁ありがとうございました。

 初めに要望します。

 千葉の梨安定生産に向けて、引き続きの取組をお願いいたします。

 成田スカイアクセス線については、成田湯川と成田空港の間の単線区間が輸送力増強にとってボトルネックとなっています。複線化を働きかけていただくよう要望します。

 また、アクセス特急やスカイライナーは、通過駅を高速で通り抜けていきます。万が一にも人身事故が起こることがないようにホームドアが必要です。事故があれば遅れが出ます。成田スカイアクセス線は、現在、成田空港から都心を結ぶ最速の鉄道路線となっていますが、安全であることが必要です。県からも鉄道事業者に対し、ホームドアの設置へ向けた働きかけを要望いたします。

 地下水については、地下水環境の保全のために、本県では条例ではなく独自ガイドラインに従って、事業者に自主的な取組を求める形になっていることが分かりました。国が令和3年に水循環基本法を改正し、県には地下水保全の具体的な取組が求められていることを踏まえますと、本県でも近隣都県と同レベルの条例に改正することが望ましいのではないでしょうか。必要な関係条例の整備等、検討を始めるよう要望します。

 また、近隣都県が上乗せした条例を制定してから既に10年以上がたっています。他県の動向を捉えるためにも、職員の外部研修等による情報収集、スキルアップに力を入れていただくよう要望します。

 若年層に向けた相談支援については、思春期オンライン相談が今年度からスタートしたことが分かりました。期待しております。

 次に、高校での懲戒処分については、私も過去の判例を見ましたが、裁判所の判断は、学校長に認められた教育的裁量権が社会通念上、不合理な逸脱または濫用があったかどうかが論点となっているようです。加害生徒が初犯、被害が軽微で、生徒に反省と改善の態度が見られるような場合は退学処分は重過ぎると判断される傾向があり、特に学校が十分な指導や配慮を尽くしていない場合、退学処分は違法とされる蓋然性が高まっています。一方、加害行為が重大で、繰り返される非行や、他の生徒の安全や教育環境に著しい悪影響を及ぼす場合、退学処分は適法と認められやすい傾向が見られると思います。生徒が反省の態度を示さなかったりする事実も退学処分の判断を正当とする重要な要素と思われます。

 近年増えているデジタル性犯罪、性的画像をインターネットで拡散、販売するなどの刑法犯事案については、明らかに害意をもって行われる故意犯であり、発覚するまでの一定期間、犯罪行為をし続けるもので、他の生徒の教育環境にも悪影響を及ぼします。被害者の精神的、社会的なダメージは甚大です。

 また、謝罪がない場合は改善の態度が見られるかどうかに疑問が生じます。判例では、のぞきや盗撮を行ったため退学処分になり、処分取消しを求めた裁判で、学校側の退学処分を適法とした判例があります。本県のある県立高校では、脅迫行為を含む悪質なデジタル性犯罪事案を、詳細な調査を経ずに指導のみの対応で済ませ、加害生徒が謝罪しないにもかかわらず懲戒処分をしなかったと聞いています。

 一方、被害生徒は、深刻な被害により退学を余儀なくされ、その学校での社会的身分を失っています。このような対応で県民の理解を得られるのでしょうか。これは懲戒権を持つ校長と、校長に懲戒に関しては県教委に相談するようにと指導している県教委の両者が適切な対応を怠ったということではないでしょうか。当該校長については、被害生徒の保護者に対し、2次加害に当たる発言が繰り返しあったと聞いています。

 お手元の資料(4)にあります「あなたのココロ傷ついていませんか?」を御覧ください。これは高校生向けで、性暴力根絶条例を持つ福岡県のパンフレットの一部です。ホームページで公開されているものです。性暴力の加害者への社会的制裁について、「停学や退学などの処分を受けます」と書いてあります。性犯罪の被害が甚大であることを考えれば、当然でしょう。

 私は2年前に、福岡県のように性暴力根絶条例をつくることを県に要望しましたが、学校での性暴力事案が増えておりますから、早急に対応する必要があります。学校における性暴力対応マニュアルの作成準備を進め、関係者に配布し、公開することを要望します。

 また、性暴力に限らず、いじめ事案においては、文科省のガイドラインにこのようにあります。不適切な対応により、被害児童生徒や保護者を深く傷つける結果となったことが明らかである場合は、学校の設置者及び学校は―中略―速やかに―中略―経緯等を説明し、謝罪を行うとあります。訴えがあった場合、隠蔽や放置など、もってのほかであり、対応が適切か、その対応をいつ、誰が、どのように決めたかを曖昧にせず把握してください。他県では、いじめ重大事態の認知が遅れ、訴訟となり、教育委員会が敗訴した判例があります。ガイドラインに該当する場合は速やかに説明、謝罪するよう求めます。傷ついた子供の心と命を守るために必要だからです。よろしくお願いいたします。

 次に、在留外国人について、その増加は地域の学校の外国人子弟の増加につながっており、その子たちは日本語が不自由であることが多く、支援する教員の負担が大きくなっています。学校現場の支援についても外国人政策の一環として整備するように、国に要望することを要望します。

 また、国際交流、国際理解は平和を築く基礎でもあります。今年、我が国は戦後80年を迎えました。そして、本日は満州事変が起こった日です。世界情勢の変化がどんなに激しくなったとしても、今後も戦火を交えることなく平和を守っていけるようにと願いまして、多文化共生意識の醸成に引き続き取り組むことを要望します。

 PFAS汚染について、金山落の周辺市が実施する地下水の汚染実態調査では、現在、多額の費用が想定されていると聞いています。県からの補助については感謝を申し上げます。しかし、こうした費用負担は、本来、汚染原因者が負担すべき費用だということを指摘いたします。それを前提とした上で、現在、原因究明を進めている最中であることから、財政規模の小さい周辺市に対して、浄水器の設置や血液検査の費用も含め、さらなる財政支援をしていただくよう要望いたします。併せて技術的な助言も引き続きよろしくお願いいたします。

 PFAS汚染については、続けて再質問をいたします。今年の2月定例会で、私は有識者を入れた委員会をつくるよう要望いたしました。環境基本法に、都道府県の環境の保全に関する審議会その他の合議制の機関を置くとしていることを踏まえた要望でしたが、つくる予定がないと聞いています。委員会を設ければ、適切な助言と原因究明の進捗が県民に示されることが期待されます。つくるべきと考えますが、つくらないのでしたら、県民にどのような形で進捗を知らせるのでしょうか。伺います。

 下総航空基地が行う流出防止対策や原因調査の進捗状況について、県として情報発信すべきと考えるが、どうか。

○議長(武田正光君) 環境生活部長井上容子君。

○説明者(井上容子君) 下総航空基地が行う対策等についての情報発信に関する御質問ですが、下総航空基地に対しましては、流出防止対策や検出原因の調査と合わせ、継続的な測定の実施を求めています。測定結果については、自主的に公表し、地域住民とのリスクコミュニケーションを図るよう依頼しているところでございます。基地では、測定結果について、関係自治体と情報共有を図るとしていることから、周辺市と連携しながら、情報発信の方法について基地と協議を行ってまいります。

 以上でございます。

○議長(武田正光君) 伊藤ちかこ君。

○伊藤ちかこ君 御答弁ありがとうございました。情報発信では、県はこれまでも測定結果を速やかに公表していただき、感謝しています。これからも市民が参加できる形での現地調査の実施等、情報公開に努めていただくように要望します。

 原因究明については、下総基地にしっかりと要望を返していただくように要望します。

 また、鎌ケ谷市の実施した血液検査では、調査項目にPFHxSが入っており、住民の血液から検出されています。幸い体調に異変を訴える方はいない状況だと聞いていますが、PFHxSはPFASの一種で、現在、輸入禁止となっているものです。県としても、積極的に最新情報を収集し、水質調査の項目を増やすなどして県民の健康を守るため対応していただくよう要望いたします。

 以上で私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。

○議長(武田正光君) 暫時休憩します。

 午前11時30分休憩

 

 午後1時0分開議

○副議長(三沢 智君) 休憩前に引き続き会議を開きます。

 引き続き質疑並びに一般質問を行います。通告順により高橋秀典君。

  (高橋秀典君登壇、拍手)

○高橋秀典君 自由民主党、旭市選出の高橋秀典でございます。本定例会におきまして発言の機会をいただきましたことを会派の先輩、また、同僚の皆様に心から感謝を申し上げます。

 本日は地元自民党各支部から、また支援者の皆様、家族も傍聴に来ております。ありがとうございます。

 それでは、通告に従いまして順次質問させていただきます。

 まず、フェーズフリーについてであります。

 本件については、我が党の代表質問において小路議員から取り上げられたところでありますが、私からは別の角度から深めていきたいと考えております。

 まず、フェーズフリーという考え方は、防災部局だけで完結するものではありません。様々な施策や事業において、平時と災害時を一体として捉えた防災への取組を求めるものであります。例えば医療にとってのフェーズフリー、福祉にとってのフェーズフリー、教育におけるフェーズフリーといったように、それぞれの分野において、いつもともしもを地続きに捉え、ふだんの施策、事業の中に災害対応の視点を織り込んでいく必要があると考えます。こうした分野横断的な発想こそがまさにフェーズフリーの核心であり、結果として地域全体の強靱化につながっていくものと考えます。

 それぞれの所管の異なるこれらの施策は、1つの例として挙げますが、地方部における移住・定住促進、あるいは農漁村振興といったテーマをフェーズフリーの観点から見るとき、政策として行われています2拠点居住や都市農村交流といった取組、これはフェーズフリー的にも大きな意味を持つと考えます。所管は異なるものの、平時においては、農山漁村の活性化や都市住民のウェルビーイング向上といった役割を担うわけでありますが、いざ災害時には、人的なネットワークや地域との縁、地縁が長期避難先として機能する可能性を持っています。実際、能登半島地震においても、長期にわたる避難や生活再建に相当の時間を要する中で暮らしながらの避難が求められ、その受入先の確保に大きな困難が伴ったわけであります。千葉県においても、首都直下地震が発生した場合には、何万という単位での長期避難者や生活再建困難者が発生するという指摘もあり、暮らしながら避難するための環境整備は重要かつ緊急の課題であります。

 千葉県では、既に県下の各市町村間で災害時相互応援協定が締結されており、制度としての連携体制は整備されております。だからこそ、今後は、制度の上に人の縁や土地との関係性といったソフト面でのつながりを重ねていくことが求められているのではないでしょうか。平時から、こうした事業を通じて土地や人との縁を築いておくことで、いざというときにスムーズないわゆる疎開が可能となるような仕組みづくりが必要と感じております。

 これは一例として挙げたわけでありますが、こうしたフェーズフリーの推進については、防災部局のリードの下、各部局において、その概念の理解と実践が求められているところであり、また防災の前線である市町村の取組、そして県民の皆様へも普及が求められるものであります。

 そこで伺います。フェーズフリーの考え方を幅広い分野に浸透させるため、県は今後どのように推進していくのか。

 続きまして、農業振興についてお伺いします。

 千葉県では、現在の農林水産業振興計画が令和7年度で終了する予定であり、令和8年度から始まる新たな計画の策定が本年度中に進められていると承知しております。現行計画では、担い手の育成、確保や地域資源を生かした産地振興など、多岐にわたる施策が進められてきたわけでありますが、その実行過程を通じて、現場からは新たな課題や論点も明らかになってきたのではないでしょうか。例えば高齢化の加速、担い手の偏在、土地利用の非効率化、それらの結果としての耕作放棄地の増加、そして高温化などの気象変動、流通や価格の不安定性など、多くの課題が顕在化しています。

 私の地元東総地域においても、少子高齢化による後継者問題にさらされていることは他地域と同様であります。さらに、集約による営農の効率化を図る際、谷津田など不整形な土地や排水の不良な土地も少なくなく、こうした土地においては大型機械の導入による効率化は大変困難であります。一方で、東総地域は第2の開港を控えた成田空港エリアに隣接しており、圏央道の開通と合わせ、県内外への販売拡大や輸出への展開という面では大きなチャンスを迎えているとも言えます。そうした中で策定が進められている新たな千葉県農林水産業振興計画については、本県農業の将来の発展につなげるためにも、策定に至るまでのプロセスにおいて、地域の現場からの実情や課題を丁寧に拾い上げる姿勢が不可欠であると考えます。

 そこで伺います。農業を取り巻く環境が変化する中、次期農林水産業振興計画をどのように策定していくのか。

 続きまして、農産物に関する出口戦略についてお伺いします。

 令和8年、千葉県にとって、落花生栽培の開始から150年という節目の年を迎えます。我が党の代表質問においても、落花生の振興への県の取組について質問があったわけでありますが、農産物の出口戦略を考える上で、この落花生栽培を例に挙げたいと思います。落花生栽培の草創期、農家が連携し、組織的に産地の形成を成し遂げた旭市鎌数地区での取組を御紹介させていただきます。議長並びに山本議員の許可をいただきまして、資料を配付させていただきました。八街へのリスペクトは、もちろんでございます。

 私の自宅近くに鎌数伊勢大神宮という神社があります。そこに落花生の碑というものが建っています。題字を書いたのは、かの山岡鉄舟であります。かつて旭市には、椿の海という広大な湖が広がっておりましたが、江戸時代に国家事業としての大規模な干拓が行われました。干潟を開墾したこの土地は、砂地で水利が乏しく、かつては稲作には適さないとされていました。

 そうした厳しい条件下において、名主であった金谷総蔵氏が新たな挑戦を始めます。明治11年、初代県令、柴原和の奨励を受け、県から2升の落花生の種を譲り受けたのがその始まりであります。彼は何度も試作を重ねながら、落花生が砂地に適し、高収益を見込める作物であることを実証しました。地域の理解を得るために種や肥料を無利子で貸し、農家を説得し、自ら東京の商人と交渉して販路を確保したわけであります。その結果、僅か数年で地域に落花生が定着し、後に千葉県の代表的な産品となったわけであります。この一連の取組は、まさに土地条件という制約を生かし、ピンチをチャンスに転じる、また作るだけでなく、売る仕組みを一体的につくっていく、こういった先駆的なモデルであり、現代においても学ぶべき本質的な実践であると思います。

 現在、農業を取り巻く環境は非常に厳しくなっており、多くの課題が山積していることは先ほど述べたとおりであります。こうした条件不利とも言える状況下にあってこそ、金谷総蔵のように、地域の特性を冷静に見極め、そこに合った作物を選び、生産から販売までを一体として考える視点こそ、今、改めて必要とされているのではないでしょうか。この落花生150周年を機に、歴史に学ぶ県としての姿勢を示し、地域の条件や市場のニーズに応じた作物の選定と出口戦略を一体で考える制度や支援をより一層推進していくべきと考えます。

 そこで伺います。地域の条件に応じた作物の生産と出口戦略を一体的に進めていくべきと考えるが、どうか。

 次に、ロケツーリズムとフィルムコミッションの機能強化についてお伺いします。

 ロケツーリズムとは、映画やドラマなどのロケ地を観光資源として生かし、地域のプロモーションにつなげる取組であります。千葉県には、ロケ地として他県に比べて圧倒的な優位性があります。東京に隣接しながら、海、山、都市、農村、漁村など多様なロケーションがコンパクトにそろっており、しかも都心からのアクセスもよく、日帰りでの撮影も可能であるという利便性も備えています。これは映画、ドラマ、CMなどの制作者にとって、千葉県ならではの強みであり、今後、戦略的に生かすべき大きな資源であります。

 地元旭市では、3年前にあさひロケーションサービス協議会を立ち上げました。行政をはじめ産業界、教育、医療、消防、警察まで幅広い団体が参画し、町ぐるみでロケを受け入れる体制を整えてきました。さらに、民間団体―おっペし隊といいますが、隊長が今日は来ていますけれども―による支援も組み合わせ、ロケ弁の提供、ロケ地探し、エキストラ募集などを官民一体で展開しております。茂原市や成田市、いすみ市などでも同様の動きが進んでおり、県として、これらの取組をしっかり把握した上で、戦略的にどう後押ししていくかが問われています。

 しかし、本当に重要なのは、ロケを誘致したその後であります。作品公開後に、いかに地域のシティープロモーションへとつなげ、観光誘導や交流人口の拡大、さらには移住、定住といった広がりへと展開できるか、ここにロケツーリズムの真価があります。

 そして、その鍵となるのが権利処理であります。出演者の肖像権や映像の使用許諾が不明確なままでは、せっかくの映像資産が地域で活用することができず、ロケが一過性のイベントに終わってしまいます。令和2年8月に内閣府を中心に策定されたロケ撮影の円滑な実施のためのガイドラインが3月に改訂され、制作会社、自治体、フィルムコミッションに対して、ワンストップ窓口の整備、許認可手続の円滑化、住民合意形成の強化、さらには権利処理の明確化が求められています。こうした国の方向性も踏まえ、県としてどのように支援していくかが重要であります。

 そこで伺います。県として、映画などのロケ撮影誘致から作品公開後の活用まで一体として行う観光プロモーションにどのように取り組んでいるのか。

 次に、児童生徒による生成AIの活用についてお伺いします。

 近年、生成AIを含む高度な情報技術の進歩は、教育現場にも急速に浸透しています。特に児童生徒が生成AIを活用して調べ学習や作文、プレゼンテーション、語学学習などに取り組む場面も徐々に増えつつあります。一方で、その利用は学校の中にとどまらず、家庭やSNSなど学校管理外にまで広がっており、既に子供たちの日常に入り込んでいます。しかし、子供たちを導くべき教員や保護者といった大人が十分に理解していない、あるいは使いこなせていないという現状があり、正しい教え方が存在しないという空白が生じています。その結果、子供たちが誤った情報のうのみや過度な依存、著作権や個人情報に関わるリスクが懸念されています。

 文部科学省は、生成AIの利活用に関するガイドラインを改訂しております。そして、教育現場における基本的な方向性を示しました。しかしながら、全国一律の枠組みでは、地域の実態や格差に対応するには限界があります。生成AIを正しく活用できるか否かが、これからの教育の質を大きく左右すると言っても過言ではありません。だからこそ、千葉県として実態に即した方針を示し、子供たちを正しく導いていく責務があると考えます。

 そこで伺います。県教育委員会は、県内の小中高校における生成AIの活用をどのように進めていくのか。

 最後に、地球温暖化対策における中小企業への支援についてお伺いします。

 地球温暖化は、もはや無視できない喫緊の課題であり、その解決には国や自治体だけでなく、企業の役割が極めて重要であります。特に中小企業は県内企業の実に99.8%を占めるとともに、全国ベースではエネルギー消費量において産業・業務部門の約50%を担っていることから、その協力なくしてカーボンニュートラルの実現はあり得ません。

 しかし、先日、ある中小企業経営者から、何から始めればいいのか分からないという切実な声を伺いました。中小企業は大企業に比べ、資金や人材、技術的なリソースが限られており、これは温室効果ガスの排出削減や省エネ設備の導入に踏み出せない大きな要因となっています。現状、これは多くの中小企業に共通する課題であります。

 このような中、千葉県では、専門家による脱炭素やコスト削減に関する具体的なアドバイスを得られる省エネ診断の受診費用や、省エネ診断結果に基づく高効率空調やLED照明への更新などに対する補助を行っており、私の地元でも本補助事業を活用しているとの声を聞いております。また、県では、専門家が伴走型で支援を行う中小事業者等脱炭素化支援センターを設置し、現場への訪問や補助金の案内などを通じて中小企業の取組を後押ししているとのことであります。これらの取組が一定の成果を上げていることは認めますが、中小企業が抱える多様な実情を踏まえると、より一層、中小企業の実情に寄り添った支援が必要であり、柔軟な支援を受けられる体制の強化が必要であると考えます。

 そこで伺います。

 中小企業の脱炭素化に向けた補助事業のこれまでの実績はどうか。

 また、中小事業の脱炭素化に向けて寄り添った支援が必要と思うが、県の取組はどうか。

 以上、壇上での質問とさせていただきます。知事並びに執行部の皆さんにおかれましては、明快なる答弁をお願いいたします。(拍手)

○副議長(三沢 智君) 高橋秀典君の質問に対する当局の答弁を求めます。知事熊谷俊人君。

 (知事熊谷俊人君登壇)

○知事(熊谷俊人君) 自民党の高橋秀典議員の御質問にお答えをいたします。

 まず、次期農林水産業振興計画の策定についての御質問にお答えいたします。

 本県は、平たんな水田地帯や狭隘な中山間地域などにおいて多様な農業が営まれています。一方、担い手不足や荒廃農地の発生などの課題にも直面しており、本県農業の持続的な発展のためには、様々な特色や現状の課題を踏まえた次期振興計画を策定していくことが重要です。このため、各地域の生産者や関係団体等から担い手確保や地域活性化などに向けた意見を伺うとともに、農産物の需要動向等に関する調査を行い、今後も増加が見込まれる首都圏や海外の需要の獲得に向け、さらなる取組が必要との結果を得たところです。今後は有識者会議への諮問やパブリックコメントにより、さらに幅広く意見を募り、各地域の特色や環境変化に対応し、本県農業の持続的な発展につながる振興計画を策定してまいります。

 次に、中小企業の脱炭素化に向けた支援についての御質問にお答えをいたします。

 中小事業者等のカーボンニュートラルの実現については、ノウハウや専門人材の不足などが課題となっているため、県では千葉県中小事業者等脱炭素化支援センターを昨年5月に開設し、エネルギー管理士等による伴走型の相談対応や訪問支援、事業者向けのセミナーを実施することにより支援体制を強化しています。今年度はこれらの事業に加え、より実践的な脱炭素経営を目指す中小事業者等を対象に、ワークショップ形式で自社の温室効果ガスについて、排出量算定方法や省エネの手法等を学び、削減計画を策定する脱炭素スクールを今月開講したところです。今後とも支援センターの周知を図るとともに積極的な活用を促し、中小事業者等の脱炭素化に向けて、それぞれの事業者の課題に応じた効果的な支援に取り組んでまいります。

 私からは以上でございます。他の質問につきましては担当部局長からお答えをいたします。

○副議長(三沢 智君) 防災危機管理部長青柳徹君。

 (説明者青柳 徹君登壇)

○説明者(青柳 徹君) フェーズフリーの考え方の推進に関する御質問ですが、災害のために特別な備えを行うのでなく、平時に利用している施設や物品をそのまま災害時にも活用することは、本県の防災力強化において重要な考え方であると認識しています。現在、関係部局と連携して地域防災計画や国土強靱化地域計画等の見直しを進めており、フェーズフリーの視点も反映させることで災害対策の実効性をより高めていくことを目指しています。今後、福祉やインフラ整備など、様々な分野にフェーズフリーの考え方が取り入れられるよう庁内の連携を図っていくとともに、市町村に対しても、こうした取組が進むよう助言を行うなど普及に努めてまいります。

 以上でございます。

○副議長(三沢 智君) 農林水産部長高橋輝子君。

 (説明者高橋輝子君登壇)

○説明者(高橋輝子君) 地域の条件に応じた作物の生産と出口戦略についての御質問ですが、農産物の生産を行う上で、地域の気候や立地条件に適した作物の選定だけでなく、生産から販売までを一体として捉えて各種施策を推進していくことは重要であると認識しております。このため県では、マーケットのニーズに合わせて、生産者がそれぞれの農産物の特色を踏まえた販路を選択できるよう、量販店におけるフェアの開催等に加え、今年度から産直ECサイトを活用した販売や、ブランド力のある企業を対象とした産地視察、商談会などを実施していくところです。これらを通じて把握する消費者や企業のニーズを生産に生かし、よりよい形で県産の農産物を消費者に届けることができるよう取り組んでまいります。

 以上でございます。

○副議長(三沢 智君) 商工労働部長関雄二君。

 (説明者関 雄二君登壇)

○説明者(関 雄二君) 映画などのロケ誘致や作品公開後の観光プロモーションに関する御質問ですが、県では、映画やドラマなどのロケ撮影の誘致のために設置した千葉県フィルムコミッションにおいて、制作者側の要望に応じて候補地の紹介や施設管理者等との調整などを行っており、令和6年度は県内で約2,000件の撮影が行われました。また、県フィルムコミッションでは、ロケ地周辺への誘客を促進するため、ロケ実績や作品情報をホームページなどで紹介するほか、撮影支援を行った作品を市町村がプロモーション等で活用したい場合に権利行使を行っています。さらに、県や民間企業が参加するちばプロモーション協議会において、市町村が行うロケ地マップの作成や写真展の開催等の取組を支援しているところであり、今後もロケ誘致から作品公開後の活用までを一体として観光プロモーションに取り組んでまいります。

 以上でございます。

○副議長(三沢 智君) 教育長杉野可愛君。

 (説明者杉野可愛君登壇)

○説明者(杉野可愛君) 県内の小中高校における生成AIの活用についての御質問ですが、学校現場において、生成AIは、児童生徒が英会話の練習相手として利用したり、グループ討議で多様な意見や新たな視点を得るために活用したりするなど、主体的な学びを支える上で有用な道具になり得るものと考えております。そのため県教育委員会では、各学校に向けたGIGAスクール通信などを通じて、生成AIを活用した授業の好事例を周知するとともに、授業改善や校務の効率化に向け、教職員を対象とした研修を行っているところです。引き続き生成AIの活用に関する国のガイドラインに基づき、各学校において児童生徒の発達の段階等に留意し、AIが出力した誤った回答をうのみにするなどのリスクへの対策も講じた上で、児童生徒一人一人の学びが深まるよう支援してまいります。

 以上でございます。

○副議長(三沢 智君) 環境生活部長井上容子君。

 (説明者井上容子君登壇)

○説明者(井上容子君) 地球温暖化対策における中小企業の脱炭素化に向けた補助事業に関する御質問にお答えいたします。

 県では、産業部門のカーボンニュートラルを推進するため、令和4年度に国の臨時交付金を活用して中小事業者等の脱炭素化を促進する補助事業を創設し、令和5年度以降、県の単独事業として実施しています。これまでの実績として、令和4年度から6年度までの3年間で高効率空調設備やLED照明の導入等に対し1,836件、総額約66億円を交付し、その結果、約1万7,531トンの二酸化炭素排出量が削減されたところであり、これは一般家庭約7,520世帯分の年間排出量に相当します。今後も事業の周知と活用促進を図りながら、中小事業者等のさらなる脱炭素化を支援してまいります。

 以上でございます。

○副議長(三沢 智君) 高橋秀典君。

○高橋秀典君 それでは、順次再質問並びに要望させていただきます。

 まず、フェーズフリーの推進に関してであります。

 かなり踏み込んだ答弁をいただけたと思います。ここまで小路議員を中心として、本当に小路議員のエネルギーに後押しされて我々議連はやってきたわけでありますけども、一歩一歩進んでいるということを実感させていただきました。

 また、答弁では、福祉やインフラ、様々な分野でフェーズフリーの考え方を取り入れ、庁内の連携を図る、また、市町村に対しても推進していくということでありました。フェーズフリーの理念は、防災を災害に備えた特別な取組から解き放ち、暮らしそのものに内包していくといった考え方であります。だからこそ、防災部局の中だけで完結させるのではなく、県庁内のあらゆる部局がこのフェーズフリー的視点を共有し、政策や事業に反映していくことが重要であると考えます。

 また、フェーズフリーが語られるとき、どちらかというと防災用品や施設のデザインの発想、あるいはローリングストックといった目に見えやすい部分が目立ちますが、先ほど例に挙げた2拠点居住や都市農村交流の例のように、現行の施策や事業をフェーズフリーの観点から検証し、新たな防災的価値を生み出すことも重要であると考えます。国においては、今後、防災庁が中心となってリードしていくものと期待しておりますが、ぜひ県として、庁内の横断的な連携とフェーズフリーの理念の共有を積極的に進めていただき、各部局におきましては、ぜひ自分事としてフェーズフリーを捉えていただきたいと思います。

 また、市町村の取組についても有効な事例の横展開を図るなど、県にリードしていただくとともに、県民の皆様へも普及を図るよう、具体的な予算措置も含めて要望いたします。

 次に、農業振興についてであります。

 本県農業の多様性を捉え、持続的な発展につながる振興計画を策定するということでありました。知事、どうぞよろしくお願いいたします。

 一方で、現在、千葉県においては、国の制度に基づく地域計画の策定が、各市町村において本年3月末をめどに進められてきました。これは、農地と担い手の現状と今後を見える化し、将来の農地利用の在り方を地域ごとに検討していく基礎となるものであります。県としては、この地域計画を基に、担い手への農地の集約による規模拡大やスマート農業の導入、経営体の近代化などによる効率化を進めて、県内農業の生産性向上を進めていくものと承知しています。

 しかし、一方で谷津田や狭隘な農地、排水不良な農地など、集約化や機械化が難しい、言ってみれば、非効率とされる農地も各地に存在することが地域計画の策定を通して浮き彫りになったのも事実であります。こうした農地が、今後、もし耕作放棄地となれば、農業だけでなく環境の保全、有害鳥獣被害といった多方面で深刻な影響を及ぼす可能性があります。農業における効率化、生産性の向上、これは必須でありますが、効率重視の中で、こうした非効率とされる農地が置き去りになってしまうのではないかと懸念しています。

 そこで再質問いたします。地域計画の策定を通じて把握された担い手による集約化が困難な農地について、県は今後どのように活用を推進していくのか。

 続きまして、農産物の出口戦略についてであります。

 ぜひこの落花生栽培150周年をきっかけとして、私たちは作ること、すなわち食の入り口の大切さだけでなく、誰が、どこで、どのように食べるかという出口の価値づくりにも改めて目を向けるべきではないでしょうか。地域で育まれた作物を地域で誇れる食体験として生かしていく、これはまさに農業、漁業などの1次産業と、観光、商業、教育といった領域を結びつける地域ガストロノミーの発想であります。例えば旭市では、この11月にAsahi Gastro Missionという、プロ向けの試食・商談イベントを開催予定であります。地元の豚肉や海産物、野菜をテーマに地域の生産者とシェフやバイヤーを直接つなぐことで、産地としての魅力を再発見し、販路やブランドの拡大を目指す取組であります。こうした実践は、まさに県が進めようとしている出口戦略の具体例の1つになると考えます。食の入り口と出口、つまりは生産者と消費者、あるいは生産者と食のプロである飲食店やホテル、あるいは食関連のメディアなどを戦略的につなげていくことをぜひ千葉県として、さらにリードしていただきたいと思います。

 作る、取るとつながるを価値として再構築する地域戦略、つまりガストロノミー的な視点を、農林水産部をはじめ観光、商工、教育など横断的に推進し、今後の農業振興策や観光戦略にぜひ反映していただくことを強く要望いたします。

 続きまして、ロケツーリズムとフィルムコミッションの機能強化についてでありますが、年に2,000件のロケ実績ということであります。しかし、ロケが来て終わりではなく、いかにプロモーションにつなげていくかが大切であります。ぜひ県としてロケを受けるだけではなく、ロケを使いこなす自治体を育てるという視点で支援を進めていただきたいと思います。そのためには、撮影前の調整段階から、使用許諾や肖像権等を含んだ活用を前提とした契約を推奨していくことが極めて重要になります。加えて、作品公開後には県の公式SNSや観光サイトにおいてロケ実績や作品情報を積極的に発信し、市町村が作成するロケ地マップや写真展などの様々な取組と有機的に連動させるなど、地域との相乗効果をさらに高めていただきたいと思います。また、様々な機会を捉えて、行政や経済界を含む多様な主体が一体となって展開できるよう、県が調整、支援の役割を果たすことを期待しております。

 さらに、各市町村の取組を横串でつなぐ役割を県フィルムコミッションに担っていただき、ロケ実績を地域プロモーションとして昇華させるため具体的に必要な支援、特に権利処理に関するノウハウの取得、そして共有については、どの市町村でも同じようなレベルで権利処理ができるような、ぜひそんな予算措置を含めて県が主導的に利用していただくことを強く求めます。

 続きまして、児童生徒による生成AIの活用についてであります。

 生成AIの活用は、これは単なる技術導入ではなく、子供たちに質の高い学びを保障する仕組みづくりとして位置づけるべきものと考えます。一方で、自治体の取組や家庭環境などの違いによって、生成AIの活用における格差が既に生じ始めていると認識しています。この格差拡大を未然に防ぐ先回りの支援を重視し、教員研修や教材の整備、あるいは実践知の共有といったことを積極的に進めていただくよう要望いたします。

 ただ、その際に重要なのは、学校現場の負担を極力増やさないように配慮していただくことであります。生成AIの導入は、むしろ教員の業務負担を軽減し、児童生徒の学習効率を高めるといった方向で進めていただくべきであり、県には、その具体的な支援策を講じていただきたいと思います。

 また、生成AIの利用は学校内にとどまらず、家庭やSNSなど、子供たちを取り巻く環境全体に急速に広がっています。こうした現実に対し、保護者や地域の理解促進が不可欠であると考えます。家庭におけるモラルやリテラシーを含めた啓発、指導の機会を設け、ぜひ社会全体で子供たちを支えていく体制づくりをお願いしたいと思います。文部科学省はガイドラインを作っておりますが、基本的に学校教育の枠内での利用を前提としたものであって、子供たちが実際に直面している家庭やSNSでの利用まで十分にカバーしているとは言えません。

 一方で、東京都でありますが、子供を取り巻く生成AI環境全体に目を向けて、保護者や地域社会に向けた啓発資料を作成するなど、学校外も含めたモラル教育に踏み込んでおります。これは、子供たちの学びや生活が学校だけで完結するわけではないという現実を直視した取組と言えます。こうした事例も踏まえて、千葉県としても、ぜひとも実情に即した独自のガイドラインを策定すべきと考えます。ぜひその際には、学校内外を通じて子供を取り巻く生成AI環境全体を視野に入れて、子供たちが安全かつ主体的にAIを活用できる仕組みを整えることを要望いたします。ぜひ千葉県に全国に先駆けてAIリテラシー教育の方向性を示していただき、リーダーシップを発揮していただくことを期待しております。

 最後に、地球温暖化対策における中小企業への支援でありますが、県が先駆的に進めてきた補助事業や支援センター、脱炭素スクールについては理解いたしました。脱炭素化に取り組む有益性も含めて諸制度の周知に努めていただくよう要望いたします。

 その上で、ぜひ国の制度との組合せによって費用対効果を高め、企業が無理なく、そして段階的に取り組める仕組みを整えていただきたいと思います。中小企業が脱炭素化に取り組む際、最大のネックとなっているのは、コストが合わないのではないかという懸念であります。省エネ設備や再エネ導入の投資は、非生産的な単なるコストとみなされがちであります。だからこそ、こうした取組がむしろ経費削減や取引先評価の向上、人材確保やブランド力強化など、コストを超える有益性につながり得ることをしっかりと示していただき、中小企業が取り組む意義を実感できるようにしていただきたいと思います。

 加えて、先進的に取り組む中小企業には、ぜひ公共調達での加点や金融支援での優遇などのインセンティブを明確に示すことで挑戦を後押ししていただくことも御検討いただきたいと思います。何よりも県内経済の活力を支える中小企業の挑戦が地球温暖化対策の柱となるよう、今後、一層の県による支援をお願い申し上げます。

 以上、2回目の質問といたします。

○副議長(三沢 智君) 農林水産部長高橋輝子君。

○説明者(高橋輝子君) 集約化が困難な農地の活用推進についての御質問でございますが、県では、集約化が困難な農地について、簡易な基盤整備の実施によって耕作条件の改善を促したり、地域内外の多様な担い手とのマッチングを進めた上で、耕作者が求める農地の条件に合わせた整備を支援するなどにより、引き続き農地の有効活用に向けて取り組んでまいります。

 以上でございます。

○副議長(三沢 智君) 高橋秀典君。

○高橋秀典君 それでは、要望させていただきます。農業振興についてであります。

 今回のこの質問を通して訴えたいのは、効率性や規模の拡大といった価値観では対応し切れない農地が県内各地に確実に存在するということであります。県として、条件不利地については、耕作条件の改良を進めた上でのマッチング支援を進めていくとの御答弁でありました。そうした取組を着実に積み重ねていくこと、これはもちろん重要でありますが、加えて、今後の農業政策を行うに当たって、集約化が困難な農地の存在を前提に地域ごとの設計を図っていく、そういった視点がより一層求められていると感じます。地域計画はつくって終わりではなく、今後も継続的に見直していくべきものでありますので、今後は、そうした見直し協議にも県サイドも積極的に参加していただき、支援をいただくよう要望いたします。

 谷津田など地形的な特徴を持つ農地については、単なる経済効率の観点だけでなく、環境保全や教育的な活用、農業体験、あるいは観光資源としての可能性など、公共的な価値の再評価と活用が必要と考えます。また、小規模でも収益性の高い作物に特化した営農や、都市住民との協働による体験・交流型農業など、多様な営農形態に対応した支援をお願いしたいと思います。

 ここで、条件不利な農地を落花生の産地として生まれ変わらせた、先ほどの金谷総蔵氏の話をぜひ思い起こしていただきたいと思います。次期千葉県農林水産業振興計画には、一見非効率に見える農地を地域の知恵と工夫によって活用し、それを積極的に支える仕組みについて、ぜひ明記をいただきたいと思います。こうした農地には日本の原風景とも言える農村、里山の風景が含まれます。そうした土地での小規模な営農も含め、多様な農業の在り方を尊重した農業政策を先導していただけますよう要望いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。

○副議長(三沢 智君) 次に、西尾憲一君。

  (西尾憲一君登壇、拍手)

○西尾憲一君 平和の党の西尾憲一です。よろしくお願いいたします。

 大の大人に、県民の代表であるはずの議員にこういうことは言いたくありませんが、言わざるを得ないのは本当に情けない。議場で寝ている議員が多過ぎます。中には、あおむけに寝ている者もいる。見苦しい。これが県民の代表ですか、議長経験者ですか、実に嘆かわしい。県議会では、これまでちば中学生県議会を開催し、今年からは高校生県議会を開催とのことですが、中学生や高校生に寝ている姿を見せられるでしょうか。私は最後列に座っているので、よく見えます。ましてや議長席なら一目瞭然です。議長は、誰々君起きてくださいと言いたいところでしょうが、そうすると議事録に永久に残ってしまうので、そうもいきません。

 そこで、町に防犯カメラがあるように、議場に居眠り防止カメラと言うと大げさですが、国会中継でも、時々、議員席やひな壇が中継されます。同様に、県議会でも議員席等を10分置きにテレビ中継やインターネット中継で流すようにしたら、いかがでしょうか。執行部も過去に寝ていた者がおり、執行部席も含めて議場全体を1列ごとに映すのです。

 県議会の質問年間スケジュールを見ると、在籍議員数に合わせた時間割、こま数ができています。ということは、本来、議員全員が年1回、代表質問か一般質問をするように制度設計されているわけです。ならば、議員は本会議に必ず出席しなければならないように、議員全員が年1回、必ず質問するように義務化すべきです。質問しないから暇を持て余し、居眠りの一因になっています。

 議会事務局によると、1回も質問しなかったのは、今期、令和5年度は14名で全員自民党、6年度は自民党15名、立憲民主党2名、公明党1名、千葉新政策議員団1名、無所属2名の計21名でした。中には病気等でできなかった方もいるかもしれませんが、大多数は正当な理由がないのは明らかです。ベテラン議員でも毎年質問を行っている議員もおり、年1回の質問もしないのはおごりと職務怠慢と言わなければなりません。

 もっとも、眠たくなるのも分かります。一昨年の12月議会で議員の期末手当増額条例反対討論で、私が寝ている者もいる、質問しない者もいるからと発言したところ、河上茂議員から、くだらない質問はしないというやじが聞こえました。河上議員のやじは、ある意味で正しいと思います。質問者も答弁者も原稿の棒読みで、しかも、再質問も再答弁も出来レースで形骸化。なぜ共産党の質問や国会の党首討論は緊張感があって引き込まれるのか。共に真剣に質疑応答するからです。そこで、答弁者は答弁を、質問者は再質問を事前に相手方に教えないようにするべきではないか。

 そして、質問も原稿も職員に書いてもらっている者がいるとのこと。これでは議員の質問とは言えず、職員によって、執行部に都合のいいように書き換えられてしまいます。二元代表制の下で、議会には知事を厳しくチェックする役割がありますが、十分果たされません。職員は表向き、議員を先生、先生とおだてますが、腹の中では、議場で居眠りし、質問も書けない税金泥棒と笑っているのではないでしょうか。職員も困るような質問をしようではありませんか。

 そこで、質問内容も原稿も自分で考え、書くことにすべきです。1年にたった1回の一般質問です。1年間準備してかかれば、五、六問程度ならば質問項目も見つからないはずがありません。

 小池東京都知事は就任時から給与を半減し、都議会も合わせて議員報酬を2割カットしています。その結果、千葉県議会議員のほうが、都知事1,300万円、都議会議員1,418万円よりも報酬が多くなっています。県民は、額に汗して働いて納めた税金が、議場で居眠りし、質問もしない議員に1,520万円もの高額報酬が支払われていることに納得するでしょうか。

 政治資金オンブズマン共同代表で神戸学院大法科大学院教授の上脇博之氏は、地方議会は真面目に活動している議員もおり、一概にもらい過ぎとは言えない。ただ、報酬額に見合う仕事をしていない議員が少なくないのも事実だと指摘しています。また、産経新聞は、千葉県県議は議場で居眠りなど、不適切な行動がメディアにも報道された。報酬に見合った議員活動が求められると報じています。

 2016年に政務活動費を使って世論調査を実施いたしました。議場で居眠りし、質問もしない議員がいるという不都合な真実を知らないのに、それでも当時、県議の報酬は1,499万5,000円でしたが、非常に高いと高いを合わせて86.9%、妥当だと思うは僅か12.3%でした。あまりにも県民の意識と乖離がひど過ぎます。したがって、県議会でも、全員が居眠りをせず、かつ質問するようになるまで黙認し放置してきた全員に責任があり、議員報酬を2割削減すべきです。

 最後に県議会の海外視察ですが、1年間に24人、1期4年間に全員が参加できるように制度設計されています。はっきり言って既得権益、議員特権です。しかし、これとて、議場で居眠りし、質問しない議員に特典を受ける資格があるでしょうか。同じ世論調査で、視察先は9年前イギリスでしたが、必要と思わないは77.3%、必要は8.6%でした。不都合な真実を知らないのに。知れば県民の納得が1%も得られません。その上、議員1人当たり250万円の海外視察を行っても、調査報告書を随行職員に作ってもらい、視察の成果を生かした質問をしているのは一部の議員であることを考えたら廃止すべきです。

 子供の9人に1人が貧困、満足な食事も取れていない。この豊かな日本においてですよ。2月2日の千葉日報を全員御覧になったと思います。一面トップに載っていましたから。県内にも1日2食でモヤシだけの日もあるという高校生、1日1食しか食べていない高校生もいるとのこと。このような惨たんたる犠牲を平然と見過ごし、個人的利益を優先させる知事や議員の体質、自分ファーストにこそ問題があります。視察を廃止すれば、3,228万円を子供食堂やフードバンクなどの貧困救済策に回して予算を2倍に増やせます。海外調査が本当に必要なら、兵庫県議会のように政務活動費で行けます。廃止ができないなら、せめて議員全員が居眠りをせず、かつ質問するようになるまで中止を継続すべきです。

 以上、私は右でも左でもなく、県民目線で当たり前のことを言っているつもりですが、間違っているなら御指摘いただきたい。

 憲法13条は、「すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他国政の上で、最大の尊重を必要とする。」と。県政も国政の一翼を担っており、政治の使命は県民、国民を幸福にすることにあります。生命、自由はもちろんのこと、幸福追求に対する国民の権利も通り一遍の尊重ではなく、最大の尊重、いわば最大の努力を必要としています。ならば、知事も県議会も、県民の幸福のために最大の尊重、最大の努力をしていると言えるか伺います。

 知事は埼玉、神奈川県知事とともに、都県境で住民サービスに大きな差が生じているとして、税源の偏在是正の要望を国に行っています。ならば、超優遇議員と1日1食高校生とのひど過ぎる行政サービスの格差是正にももっと真剣に取り組むべきではないか伺います。

 一昨年の12月議会で、知事などの期末手当増額条例にも反対討論をしました。首相や閣僚などの給与を引き上げる法律が成立しましたが、国民は物価高、実質賃金の目減りなどで悲鳴を上げており、政治を運営する中枢が率先して給与をアップするとは何事かと批判が殺到した結果、首相や閣僚などの政務三役は増額分を全額、国庫に返納を決めています。知事も同様の理由で、条例が成立した場合、返納は法律上できないならば、他県、あるいは他国に寄附をするなどといった対応も可能と要望いたしました。私も条例が成立した場合、増額分10万5,600円はウクライナ大使館に寄附をいたしますからと。

 そこで昨年の9月議会で、私は知事に、個人的なことではあるが、議会の議決に関わりのあることだからと、一昨年12月議会で増額された期末手当について、知事はどのように対応されたか質問いたしました。私が石川県金沢市出身だからというわけではありませんが、反対討論をした13日後、翌年の元日に能登半島で大地震が発生しており、県議会議員団も100万円、議長が代表して石川県の東京事務所に届けています。知事にも少しは寄附をしていただきたかった。

 もちろん知事が寄附するしないは自由ですが、問題は、議場に知事がいるのに何で総務部長が答弁するのか。私は知事個人に質問しているのだから、総務部長ではなく、知事が答弁すべきではないか。再質問したら総務部長は答えられるんですか。知事と相談して答弁するんですか。

 知事は政務三役の大臣政務官とほぼ同額の報酬を受け取っており、政務三役は公表しています。元手は県民の貴重な税金であり、議会も議決に関わっているのですから、公表すべきだったのではないか伺います。

 バブル崩壊後の1993年から2005年にかけて社会人になった就職氷河期世代は、新卒で正社員になれなかった人が多く、就職できたとしても非正規雇用が多い。2040年問題、特に単身の貧しい高齢者が増えることなども考えると一人でも多く採用すべきです。政府は、就職氷河期世代を対象にした国家公務員の中途採用試験を、氷河期世代の受皿を増やすため来年度から再開するとしています。本県では、幸い今年度も就職氷河期世代の採用を行いましたが、来年度の採用に向けた取組状況はどうか。

 次に、文部科学省は、高倍率のため教員を諦めざるを得なかった氷河期世代の人が多くいると見ています。深刻化する教員の成り手不足対策にもつなげたいとして、バブル経済崩壊後の就職氷河期世代で公立学校の教員になれなかった社会人の採用を促進すると発表しました。本県も就職氷河期世代を教員として積極的に採用すべきと考えるが、どうか。

 喫煙は生活習慣病やがんなどの病気と深い関係があり、吸っていない家族などにも煙による受動喫煙で健康被害をもたらします。日本人の寿命はこの30年で5.8歳延び、男女合わせて平均85.2歳になったとのこと。都道府県別では、滋賀県がプラス6.9歳で順位を大きく上げ、かつて長寿ランキング首位だった沖縄県を抜いてトップに。その原動力になったのが喫煙率の低下とのことです。

 そのきっかけは、2001年に県が策定した健康しが推進プランだとのこと。国の計画でも喫煙率半減を盛り込もうとしたが、困難だった。たばこ業界や議員から強い反発があったから。しかし、滋賀医科大名誉教授の上島弘嗣氏は、県の計画に数値目標を残すことにこだわり、男性の喫煙率について、10年後までに半減するのが望ましいとする数値目標を掲げました。学生が学習の一環で小中学校に行き、禁煙の大切さを教える取組や、禁煙や完全分煙にしている飲食店を受動喫煙ゼロのお店として公表するなど、国に先んじて禁煙対策を進めてきた結果です。

 千葉県は、たばこ業界や議員を向いて仕事をしているのか、県民の健康を真剣に考えているのか。寿命を大きく延ばした滋賀県の取組を参考にして、国や他県に先んじた対策を講じていくべきと考えるが、どうか。

 紙巻きたばこよりも加熱式たばこのほうが害が少ないと思われがちですが、加熱式たばこを吸う人は紙巻きたばこを吸う人と同じように、非喫煙者に比べて高血圧と診断されるリスクが高いという研究結果が発表されています。

 そこで県としても、紙巻きを加熱式に変えたからといって、高血圧のリスクが下がることはないということ、そして、高血圧学会も喫煙者に禁煙を強く勧めていることから、やはり加熱式たばこについても禁煙が望ましいことをもっと啓発すべきと考えるが、どうか。

 健康増進法は、第二種施設というのは本来ホテルなどが想定されていたのに、国会や地方議会などの議決機関は別、第二種だということにしましたが、議員特権との批判を免れません。裁判所も法律上、第二種施設だが、望まない受動喫煙の防止を目的とする改正健康増進法の趣旨を踏まえ、庁舎内及び敷地内を全面禁煙にしました。また、ニュージーランドは3年前、国家レベルで初めて2009年以降に生まれた子供が生涯にわたってたばこを吸えなくするための法改正を行って、たばこのない国を目指しました。昨年10月、政権交代で撤回になりましたが。そして、フランスも今年7月から学校、公園、海岸など、子供が近くにいる可能性のある屋外での喫煙を禁止し、違反者には罰金が科されます。たばこは確実に人間を殺すという認識が着実に世界中に拡大しています。

 そこで健康福祉部としても、本県議会棟1階の喫煙室の撤去を議会事務局に、県立都市公園での喫煙禁止を県土整備部に指導すべきではないか。

 若者に広がる水たばこ、シーシャは、炭で燃焼させたたばこ葉の煙を水に通してから吸引する喫煙具で、都内でも多くのカフェ、バーなどで提供されているが、店舗数の増加に伴い、一酸化炭素中毒事故も増加傾向にあると言われます。東京都は使用者本人だけでなく、周りの人の一酸化炭素中毒も引き起こす可能性があると注意を呼びかけています。

 そこで、本県でも水たばこについて、たばこの害と合わせて一酸化炭素中毒の害も同様に啓発すべきと考えるが、どうか。

 空き家が増えています。全国の空き家は900万戸、7戸に1戸の割合で、あと10年で3戸に1戸が空き家になると言われます。地域の資源として活用することが望まれます。他方、単独世帯、とりわけ高齢者が安心して暮らせる住居を確保できるか、大きな問題です。

 私が住んでいる船橋市には、市営の借り上げ福祉住宅制度があります。市が民間のアパートやマンションを借り上げ、賃借料より安い賃貸料を設定し、高齢者など住宅困窮者に貸し出すのです。この方式だと、県は新たに土地を購入し、建物を建てる必要がなく、財政的負担も少なく、県営住宅を県民に提供できます。空き家の解消になるとともに地域の活性化も期待できます。また、少子化の裏にある若い世代の生活不安に応えるためにも、家賃の安い借り上げ公営住宅を普及させる必要があると考えます。

 そこで伺います。

 本県における空き家の現状と今後の見通しはどうか。

 民間住宅を借り上げ、公営住宅として活用する方式を採用すべきと考えるが、どうか。

 スイスで開かれたプラスチックごみ汚染対策の国際条約づくりは合意できなかったが、汚染は深刻化しており、実効性のある対策が急務です。海に捨てられたペットボトルやポリ袋、漁具などのごみ問題も漁師の収入に直結。漁網やロープ、釣り糸など、海洋に流出して漂うゴーストギア、幽霊漁具による生物や水産資源、船舶への悪影響も危惧されています。身近な海を守るために、漁師の海岸はもちろんのこと、海中や海底を含めた海洋ごみの回収について、県はどのように取り組んでいるのか。

 加齢性難聴は、加齢に伴い音を感じる細胞が減り、耳が聞こえにくくなる病気です。75歳以上の3割超が難聴を自覚している。放置しているとコミュニケーションが難しくなり、社会的な孤立や認知機能の低下につながります。治療法はないが、早期の受診で進行を遅らせ、補聴器の装着などで生活の質を維持できる。鬱病や認知症のリスクを高める加齢性難聴の対策を進めるため、学会など8団体は、適切な医療支援を図る共同宣言をまとめています。

 そこで伺います。

 高齢者世代を対象にした難聴の早期発見や生活指導の取組を推進すべきではないか。

 県として、補聴器の装着の推進と購入費用を補助すべきではないか。また、県内市町村と他県における補助の状況はどうか。

 前向きの御答弁、よろしくお願いいたします。

○副議長(三沢 智君) 西尾憲一君の質問に対する当局の答弁を求めます。知事熊谷俊人君。

 (知事熊谷俊人君登壇)

○知事(熊谷俊人君) 平和の党の西尾憲一議員の御質問にお答えいたします。

 まず、禁煙対策に関する県の取組についての御質問にお答えいたします。

 喫煙はがんや循環器病等、多くの疾患に共通したリスク要因であることから、県では、令和6年度に策定をした第3次健康ちば21において、目標年度の令和14年度に喫煙率の減少や20歳未満の喫煙をなくすこと、望まない受動喫煙のない社会の実現等を目指し禁煙対策に取り組んでいます。具体的には市町村等と連携をし、禁煙週間における啓発活動や受動喫煙防止キャンペーン等を実施するほか、県のSNS等を活用した広報や、学校と連携した児童生徒向けのリーフレットの配布等を通じて、喫煙による健康被害に関する正しい知識の普及啓発に努めています。令和4年の国民生活基礎調査によると、滋賀県の喫煙率は13.8%、千葉県の喫煙率は15.9%であり、今後、喫煙率を低下させている他の自治体の取組事例も参考にしながら、引き続き、より効果的な禁煙対策の推進に努めてまいります。

 次に、海ごみの回収に関する県の取組についての御質問にお答えをいたします。

 県では、海岸に漂着をした流竹木やプラスチックなどの海洋ごみについて、千葉県海岸漂着物対策地域計画において、17市町村の重点区域を選定し、国の地域環境保全対策費補助金の活用などにより回収処理を行っております。また、海ごみにはプラスチック等の生活ごみが多く含まれていることから、生活ごみを減らすことや外出時のごみを持ち帰ることなどについて、リーフレットの配布やイベント出展などを通じて広く県民に対し啓発を行っているほか、海岸や町なかでのごみ拾いを呼びかける海ごみゼロキャンペーンを実施しております。今後とも美しい千葉の海を守るため、引き続き海ごみの回収処理を実施するとともに、県民一人一人が海ごみの発生抑制に取り組んでいただくよう啓発に取り組んでまいります。

 私からは以上でございます。他の質問につきましては担当部局長からお答えいたします。

○副議長(三沢 智君) 総合企画部長三神彰君。

 (説明者三神 彰君登壇)

○説明者(三神 彰君) 知事と県議会の役割についてお答えいたします。

 一般論といたしまして、議決機関である県議会の議員と執行機関の長である知事は、共に住民から選挙で選ばれており、県民のための県政を実現するため、両輪となって、それぞれの役割を果たされているものと認識しております。

 以上でございます。

○副議長(三沢 智君) 総務部長前田敏也君。

 (説明者前田敏也君登壇)

○説明者(前田敏也君) まず、議員と高校生の行政サービスについてお答えいたします。

 議員報酬につきましては、千葉県議会議員の議員報酬等に関する条例に基づき支給しております。また、海外派遣の実施については、地方自治法及び千葉県議会会議規則の規定に基づき、議会の議決で決定されるものと考えております。また、子供の貧困対策として、生活の安定に資するための支援、教育の支援、経済的支援等を実施してきたところであり、引き続き必要な予算を計上して支援を行ってまいります。

 次に、議会答弁についてのお尋ねですが、執行部においては、質問項目の内容や趣旨を踏まえて、その都度、答弁者を決定しております。このため、知事を答弁者として指名した質問であっても部局長が答弁する場合もあるところでございます。

 次に、知事の期末手当の使途の公表についての御質問ですが、支給された給与の使途については、制約があるものではなく、個人の意思により決定されるものであり、また、公表する必要はないものと考えております。

 最後に、就職氷河期世代の採用についての御質問ですが、県では、バブル崩壊後の雇用環境が厳しい時期に就職活動を行った世代である、いわゆる就職氷河期世代に特化した選考考査を令和2年度から毎年度実施しており、これまでに46名を採用しております。また、就職氷河期世代の方の意欲や能力を生かし県行政で活躍していただくため、来年度の採用に向け、11月9日に第1次考査を実施することとし、現在募集を行っております。

 以上でございます。

○副議長(三沢 智君) 教育長杉野可愛君。

 (説明者杉野可愛君登壇)

○説明者(杉野可愛君) 就職氷河期世代の教員への積極的採用に関する御質問ですが、県教育委員会では、いわゆる就職氷河期世代を含む幅広い世代の社会人を対象にペーパーティーチャーセミナーや転職フェア等を行っており、教員の採用活動に努めているところです。また、教員採用選考については、平成29年度から60歳未満の受験を可能としているほか、社会人を対象とする特別選考では、これまでの経験を考慮し、教職教養試験を免除しています。昨年度実施した教員採用選考では、全ての選考を合わせて76名の就職氷河期世代を採用したところです。

 以上でございます。

○副議長(三沢 智君) 保健医療担当部長山口敏弘君。

 (説明者山口敏弘君登壇)

○説明者(山口敏弘君) まず、加熱式たばこの禁煙に関する御質問ですが、加熱式たばこは、たばこ葉やその加工品を電気的に加熱し、発生させたニコチンを吸入するたばこ製品であり、紙巻きたばこと同様に改正健康増進法に基づく受動喫煙防止対策の対象となっています。このため県では、リーフレット等を作成し、加熱式たばこにもニコチン等の有害物質が含まれていることや、煙が少なくても周囲への受動喫煙に配慮が必要であること等について、県民への周知啓発を行うとともに、喫煙者に対する禁煙支援にも取り組んでいます。令和6年度に実施した県民の生活習慣に関する調査では、紙巻きたばこの喫煙率は低下しているものの、加熱式たばこの喫煙率は横ばいであり、明確な減少傾向が見られないことから、今後とも様々な機会を捉え、県民に対し加熱式たばこの有害性に関する啓発を推進してまいります。

 次に、議会棟喫煙室の撤去及び県立都市公園での禁煙についての御質問ですが、議会棟喫煙室については、改正健康増進法に基づき設置が可能な喫煙専用室であり、議員や来庁者などの望まない受動喫煙の防止を図る観点から設置しています。県立都市公園では、不特定多数の方が利用する屋内施設を原則禁煙としているほか、屋外についても無秩序な喫煙を防止するため、特定の場所に喫煙所を設置するなど、利用者の健康に配慮した対応に努めています。県といたしましては、望まない受動喫煙の防止を図るという法の趣旨を踏まえ、今後とも受動喫煙防止に向けた取組に努めてまいります。

 最後に水たばこについての御質問ですが、水たばこの煙について、世界保健機関では、水を通した後でも一酸化炭素、金属、発がん性化学物質などの高濃度の有害物質が含まれていること、また、紙巻きたばこよりも健康への害が少ないといった誤った認識があること等の見解を示しています。加えて、消費者安全法に基づき、関係行政機関等から消費者庁に対し、水たばこの使用等に伴う一酸化炭素中毒の重大事故等として複数の事案が通知されているところです。県としては、今後、世界保健機関、厚生労働省及び消費者庁等の情報も参考にしながら、水たばこによる健康への影響や一酸化炭素中毒の危険性について、県民への周知啓発に取り組んでまいります。

 以上でございます。

○副議長(三沢 智君) 都市整備局長横土俊之君。

 (説明者横土俊之君登壇)

○説明者(横土俊之君) 本県における空き家に関する御質問ですが、国が5年ごとに実施している住宅・土地統計調査によると、令和5年における県内の空き家数は39万4,100戸であり、総住宅数に占める空き家の割合は12.3%となっています。前回調査の平成30年から空き家の割合は0.3ポイント減少したものの、空き家数は1万1,600戸増加しており、今後も空き家が増加していくことが懸念されます。

 次に、借り上げ公営住宅に関する御質問ですが、民間住宅を借り上げて公営住宅として活用することについては、多額の初期投資を必要とせず、公営住宅の供給ができるメリットがあることは認識しています。一方で、既に活用している他の自治体においては、借り上げ期間が長期化するにつれ、建設方式よりもトータルコストが高くなる場合があることや、借り上げ期間終了に伴う転居先の確保などの課題があると聞いています。このため県としては、県営住宅の既存ストックの有効活用を図るとともに、地域の需要に応じて新規建設や建て替えを適切に進めることで住宅セーフティーネットとしての役割を果たしていくこととし、民間住宅の借り上げについては、他の自治体の動向を注視してまいります。

 以上でございます。

○副議長(三沢 智君) 健康福祉部長岡田慎太郎君。

 (説明者岡田慎太郎君登壇)

○説明者(岡田慎太郎君) 高齢者の難聴の早期発見などについての御質問ですが、加齢により徐々に聴力の低下が進行する加齢性難聴は、本人やその家族などが症状に気づきにくく、状態が放置されてしまうとコミュニケーションに支障が生じ、社会的孤立につながる可能性があることから、高齢者の聴力の低下を早期に発見し、専門的な診断や支援につなげることが重要です。県では加齢性難聴について、県民の理解や気づきを促し早期の診断につなげるため、聞こえに関するチェックリストをホームページに掲載するほか、市町村が行う聞こえに関する講話や簡易スクリーニング、言語聴覚士などによる日常生活に関する助言などの取組に対して、市町村関係者や専門職への研修を通じた支援を実施しています。今後も加齢性難聴の早期発見等を推進するため、これらの取組に加え、国が作成した手引や先進的な取組事例を市町村に周知するなど、関係団体と連携し、取組を進めてまいります。

 次に、補聴器の購入費用の補助などについての御質問ですが、補聴器は難聴によって生じるコミュニケーションの障害を補うことが可能な場合がありますが、医師による適切な診察に基づき利用されることが重要です。補聴器の購入費用については、年齢にかかわらず、難聴の程度により障害者総合支援法に基づく支援の対象となりますが、高齢者を対象とした独自の助成制度を導入している自治体は、本年9月1日時点で都道府県2団体、県内市町村18団体と一部にとどまっています。県としては、こうした状況を踏まえ、医師の診察による補聴器の適切な使用などの普及啓発を図る一方、補聴器の購入費用の助成については、引き続き情報収集に努めてまいります。

 以上でございます。

○副議長(三沢 智君) 西尾憲一君。

○西尾憲一君 御答弁に感謝いたします。再質問と要望を行います。

 知事、議員の怠慢を黙認し放置するなら、知事自身も県民の幸福のために最大の努力をしていると言えないんじゃないですか。お答えください。知事の期末手当もそうですが、知事、逃げないで、答えられないんですか。知事には政治信念はないんでしょうか。

 例えば知事は新自由主義的な考えなのか、あるいは社会的弱者にも配慮した自由主義的な考えなのか、はたまた、それ以外の考えなのか、教えてください。

 禁煙についてですけども、滋賀県が長寿日本一になったのは、国や他県に先駆けて様々な施策を実行したからなんですよ。滋賀県ができるなら千葉県もできるんじゃないですか、伺います。

 あと、行政機関の庁舎と国会や地方議会などの議決機関を別扱いにする合理的な理由がありますか、伺います。

 あと要望ですが、マイクロプラスチックになると回収が極めて困難になります。その前に回収し、県が買い取れば漁業者の新たな収入源にもなり、環境にも漁師にもプラスになります。他県や国に先駆けて県独自の制度、回収したごみを県が買い取る、あるいは人件費を支払うような制度を創設することを要望いたします。

 補聴器は生活の質を高めるだけでなく、鬱病とか認知症の対策にもなります。市町村と費用を分かち合えば県の負担も軽くなりますので、補助の御検討をよろしくお願いいたします。

 以上、2回目の質問と要望とさせていただきます。

○副議長(三沢 智君) 総務部長前田敏也君。

○説明者(前田敏也君) 議場内の規律に関する御質問があったかと思いますが、議場内の規律に関することについては、議会において検討されるものと認識しております。

 以上です。

○副議長(三沢 智君) 総合企画部長三神彰君。

○説明者(三神 彰君) 知事の政治信念に関する御質問ですけれども、知事の政治信念につきましては、知事選挙の際にビジョンとしてお示しをし、また、現在、総合計画の案として体現いたしましたので、議会にお諮りをしているところでございます。

 以上でございます。

○副議長(三沢 智君) 保健医療担当部長山口敏弘君。

○説明者(山口敏弘君) 禁煙対策についての御質問ですが、繰り返しになりますが、県では市町村等と連携し、禁煙週間における啓発活動等の取組の実施、喫煙による健康被害に関する正しい知識の普及啓発に努めております。今後、喫煙率を低下させている他の自治体の取組事例も参考にしながら、引き続き、より効果的な禁煙対策の推進に努めてまいります。

 また、こちらも繰り返しになりますが、議会棟喫煙室の撤去等についての御質問ですけれども、議会棟喫煙室については、改正健康増進法の趣旨に基づき設置が可能な喫煙専用室であり、議員や来庁者など、望まない受動喫煙の防止を図る観点から設置しています。県としては、引き続き望まない受動喫煙の防止を図るという法の趣旨を踏まえ、今後とも受動喫煙防止に向けた取組に努めてまいります。

 以上でございます。

○副議長(三沢 智君) 西尾憲一君。

○西尾憲一君 それでは、再々質問を行います。

 知事には予算提案権とか拒否権がありますが、議場で居眠りをし、質問しない議員のために海外視察の予算を満額つけることは、県民の幸福のための最大の努力と言えるかどうか伺います。

 海外視察で期待された仕事をしていないとすれば、していない分の費用を返還請求すべきではないですか、伺います。

 知事は4月の臨時議会の就任挨拶で、県民の命と暮らしを見詰める細やかなまなざしを持って全力で県政に取り組むと述べています。1日1食高校生が目に入っていますか、伺います。

 あと禁煙についてですけども、裁判所も第二種なんですが、千葉地裁にも確認いたしましたが、庁舎内でも敷地内でも全面禁煙にしているんですよ、法の趣旨を考えて。だとしたら、県議会だって、庁舎内並びに敷地内を全面禁煙にできるのではないんですか、伺います。

○副議長(三沢 智君) 総務部長前田敏也君。

○説明者(前田敏也君) 海外視察の予算計上と、あと貧困救済対策の予算の関係でございますが、関連しますので一括してお答え申し上げますけれども、まず、議員の海外視察の実施については、議会において議論、決定されるべきものと考えております。県といたしましては、県民の目線に立って県民サービスの向上、あるいは本県の将来の発展のために必要な予算を計上してまいります。

 以上でございます。

○副議長(三沢 智君) 保健医療担当部長山口敏弘君。

○説明者(山口敏弘君) 繰り返しとなりまして恐縮でございますけれども、県といたしましては、望まない受動喫煙の防止を図るという法の趣旨を踏まえ、今後とも受動喫煙防止に向けた取組に努めてまいります。

○副議長(三沢 智君) 以上をもって本日の日程は終了しました。

 明日19日は定刻より会議を開きます。

 これにて散会します。

 午後2時25分散会

 

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