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更新日:令和7(2025)年11月21日

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令和7年9月定例県議会(9月16日) 会議録(速報版)

令和7年9月招集 千葉県定例県議会会議録(第4号)

令和7年9月16日(火曜日)  

 議事日程

議事日程(第4号)

 令和7年9月16日(火曜日)午前10時開議

日程第1 議案第1号ないし議案第31号、諮問第1号、報告第1号ないし報告第15号及び決算認定に対する質疑並びに一般質問

       

 午前10時0分開議

○議長(武田正光君) これより本日の会議を開きます。

        

 質疑並びに一般質問

○議長(武田正光君) 日程第1、議案第1号ないし第31号、諮問第1号、報告第1号ないし第15号及び決算認定についてを一括議題とし、これより質疑並びに一般質問を行います。

 順次発言を許します。通告順により丸山慎一君。

  (丸山慎一君登壇、拍手)

○丸山慎一君 日本共産党を代表して質問をいたします。

 初めに、新たな総合計画案についてです。

 新総合計画案は、基本理念で県民を守り、支え、そして飛躍する千葉県へと掲げられていますが、重要なのは、具体的な施策内容がそれに合致しているかどうかです。千葉県が毎年行っている県政に関する世論調査の最新版では、「災害から県民を守る」が県民要望の1位になっていますが、総合計画案の数値目標には「3日分以上の備蓄をしている県民の割合」はあっても、避難所に関する数値目標はありません。しかし、この分野の県内の現状は極めて不十分で、2,311か所の避難所のうち4か所に1か所は水の備蓄が全くありません。食料の備蓄ゼロが3割弱、毛布の備蓄ゼロは3割を超えています。昨年の能登半島地震での教訓の1つは災害関連死を防げなかったことであり、その要因の1つは劣悪な避難所です。千葉県内でこれが繰り返されないためにも、県内全ての避難所で少なくとも3日分の水や食料、毛布などの備蓄ができるように目標を掲げる必要があると思いますが、お答えください。

 世論調査で2番目に多い要望は「高齢者福祉の充実」です。その背景に、高齢者施策の貧困さがあります。世論調査でも「不満である」という回答は18.1%ですが、2年前の11.9%から増え続けています。一方、「満足している県民の割合」は、4年間で26.7%から16.4%へと大きく減っています。これは、高齢者施策が県民要望に応えられていないことを示しています。県が作成している「指標で知る千葉県」では、高齢者1人当たりの老人福祉費が10年連続都道府県で最下位です。

 新総合計画案では「高齢者が個性豊かに生き生きと、安心して暮らし続けられる地域社会の実現」を掲げていますが、県民要望に応えるためには老人福祉費を抜本的に増やす必要があると思います。お答えください。

 高齢者の在宅介護を支える訪問介護事業所の倒産や廃業が相次ぎ、サービスを提供できなくなる危険性が大きくなっています。要因は、政府が昨年4月の報酬改定で訪問介護の基本報酬を引き下げたことにあります。その結果、事業所の6割近くが減収となり、倒産や休業、廃業に拍車がかかっています。茨城県では、こうした事態を食い止めるため、約500の訪問介護事業所に対して減収相当額の支援を行うと報道されています。

 県も、訪問介護事業所に対して財政的支援を実施すべきだと考えますが、お答えください。

 医療の充実も県民の要望が高くなっています。総合計画案の指標では「地域の医療体制に安心を感じている県民の割合」を70%にするとしていますが、現状は安心どころか危機的な状況となっています。今年3月、日本医師会と6病院団体が「このままではある日突然、病院がなくなります」という衝撃的な合同声明を発表しました。こちらのパネルは合同声明につけられた資料です。議場の皆さん方はお手元の1枚目を御覧ください。まさに衝撃的な内容です。病院団体などの調査によれば、昨年度に医業収益が赤字だった医療機関は69%に上りました。また、東京都医師会が行った都内の病院の経営状況調査では、昨年度上半期は赤字割合が約7割で、減益または経営の見通しが立たないとの回答が6割を超えているとしており、収益の大半が公定価格である病院にとって、各病院の経営努力のみで対応し切ることはなかなか難しいとの考察を行っています。

 県として、千葉県内287の医療機関の経営状況について、どう認識しているのかお答えください。

 2022年の診療報酬改定はプラス0.43%、24年もプラス0.88%ですが、物価上昇に全く追いついていません。東京都は、今年度から入院患者1人当り1日580円を給付する地域医療確保に係る緊急・臨時支援事業を行っています。茨城県も24時間体制で高度医療を提供する医療機関を対象に、昨年度決算の当期損失の5割を補助する事業を開始すると報道されました。県内でも、日本病院会千葉県支部や千葉県保険医協会が、知事に対して財政支援を要望しています。

 千葉県も医療機関への財政支援を具体化すべきではありませんか、答弁を求めます。

 医療危機が迫っているにもかかわらず、自民、公明、維新の会は3党合意で医療費の4兆円削減で合意し、その第一歩として11万床の病床削減を打ち出しました。余剰ベッドを減らすといいますが、パンデミックなどの有事に対応するには、日頃から余力のある医療体制が必要というのがコロナ禍の最大の教訓です。国に対して医療の削減は行わないよう求めるべきだと考えますが、いかがでしょうか。

 次に、中小企業と小規模事業者への賃上げ支援について伺います。

 新総合計画案には、「物価高騰が進む中、中小企業が人材確保を安定的に行うためには、持続的な賃上げを行う必要があります」と書かれていますが、内容は生産性の向上や価格転嫁の推進にとどまり、財政的支援はありません。東京商工リサーチの賃上げに関するアンケート調査では、県内の中小企業で、今年賃上げを予定しているのは81.6%で、2割は賃上げをあきらめています。高物価なのに、こうした企業があることについてどう見ているのかお聞かせください。

 今、自力では賃上げできない企業への支援が広がり、この間、岩手、徳島、群馬、奈良、茨城の5県が実施に踏み切っています。茨城県では、県独自に最低賃金に近い労働者の実態調査を行い、時給を35円以上引き上げた中小企業に、正規雇用1人当り5万円、非正規雇用は3万円を基準に、1事業所当たり最大50万円を補助します。予算は7億8,000万円で2,000社の利用を見込んでいます。

 千葉県も、茨城県のように県内中小企業の調査を行い、賃上げへの直接支援に踏み出すべきではないでしょうか、お答えください。

 一方、新総合計画案では、「千葉経済圏の確立と社会資本の整備」として、成田空港とエアポートシティの形成、幹線道路ネットワークの整備、千葉港や木更津港の大規模化などが挙げられていますが、これまでも指摘してきたように、人口減少が見込まれ、国際情勢や気候危機などを踏まえれば、経済の行く末を予想できるものではありません。にもかかわらず、これまで進めてきた大規模開発をさらに加速させ、過大な予測を立てて基盤整備を進めるのは、将来に必ず禍根を残すことになります。こうした拡張型の発想は根本から転換すべきだと考えますが、お答えください。

 今回の新総合計画案には県行政を「経営する」という言葉が出てきますが、これまでの計画にはありませんでした。稼ぐという言葉も登場します。しかし、経営とか稼ぐという言葉は、企業が利益を獲得し、事業を存続、成長させるために使われるものです。千葉県のような地方自治体には県行政を経営する、もうけを上げるという視点は必要ないどころか、害悪以外の何物でもありません。地方自治体の責務は住民福祉の増進を図ることだと定めている地方自治法を基本に、地域における行政を自主的かつ総合的に実施することにあります。そのためには、住民の命と暮らしを守り、公共の福祉を最優先にした行政運営に徹することです。

 稼ぐとか経営するという発想でつくられている新総合計画案は、そこから大きく逸脱していると言わざるを得ません。改めて憲法や地方自治法に基づいた県行政へと立ち返るべきだと考えますが、お答えください。

 次に、県営水道の料金値上げについて伺います。

 8月8日に、今年度2回目の水道事業運営審議会が開催され、水道料金を18.6%値上げする方向が出されました。しかし、最大の問題は県民の生活実態です。賃金が多少引き上げられても、あまりにも異常な物価高に全く追いつかず、実質賃金は1月から6か月間減少しています。7月はプラスになりましたが一時金が出たためで、8月以降も続く保証はどこにもありません。年金の僅かな増額も、物価高の前では焼け石に水です。しかも、この夏の異常な猛暑の中で家計の支出はさらに増大し、第一経済研究所の推計では、最も過酷な暑さの場合、4人家族で月に2万5,000円も支出が増えるとしています。県民生活は追い詰められ、暑くてもエアコンを我慢している、食事を減らしてしのいでいるなど、先進国とは思えないような悲痛な声が上がっています。

 こうした深刻な県民の暮らしを支えなければならない千葉県が、逆に追い打ちをかけるように水道料金を値上げするのは、自治体としてあってはならない選択だと考えますが、知事の認識をお聞かせください。

 千葉県の水道料金は、契約している水道管の太さに基づく基本料金と、使った水の量に基づく従量料金を組み合わせており、家庭で使う生活のための水と、企業が利用する利益を上げるための水に料金の区別はありません。しかし、13ミリメートルと20ミリメートルという小さな口径を利用している圧倒的多数は一般家庭であり、おのずと企業が使う水とは区別する必要があります。ところが企業局は、人口減少を理由に、使用量に左右されない基本料金の割合を高めて安定的な収入を得ることや、小口径は、給水原価が料金を上回る原価割れを起こし大口径の負担が大きくなっているといって、大口径の値上げは17.3%に抑え、小口径は19.3%としています。これでは、県民の生活よりも企業の利益を優先させているようなものです。

 前回、30年前の値上げでは、一般家庭への影響を極力少なくするよう配慮すべきと答申に明記されていました。これが自治体として当然の姿勢だと考えますが、御答弁ください。

 何よりも根本に据えなければならないのは、生活のための水、生きていくために欠かせない水については、企業利益のための水と明確に分けて考えることです。日本共産党はその立場で、県による今回の値上げ提案を踏まえて、暮らしへの新たな負担増を避ける道を県民とともに探求してきました。企業局の資料によれば、小口径契約者の値上げを避けるために必要な額は78億円です。この額を小口径契約者の負担増なしに捻出するために、1つは、大口径を利用している大手など体力のある企業の力を借りること、2つ目に、企業債のさらなる活用、3つ目に、150億円としている内部留保金、この3点の見直しで財源をつくれないか検討しました。

 1つ目の大口径利用者に対しては、従量料金の上限を引き上げます。こちらのパネルを御覧ください。議場の皆さん方は資料の2枚目を御覧ください。従量料金は、使用量が増えるほど1立方メートル当たりの料金が高くなるように設定されていますが、500立方メートルを超えると1立方メートル当たり441円で、これ以上、どれだけ使っても単価は変わりません。この仕組みを変えて、仮に1,000立方メートルを超えたら500円、2,000を超えたら600円、3,000を超えたら700円、5,000を超えたら800円、7,000を超えたら上限なしで900円という新たな従量料金を設定します。それがパネルや資料の黄色い部分になります。これによって32億5,000万円料金収入を増やすことができます。ただし、この試算では、小口径でも現在1,000立方メートルを超えている利用者は値上げになってしまうので、口径100ミリメートル以下を除外すると31億1,000万円になります。この設定なら、町の飲食店などの値上げを避けることができます。また、医療機関は価格に転嫁できないため除外します。

 2つ目の企業債の活用ですが、地震対策などのインフラ整備は将来にわたって効果を発揮するため、企業債の活用が理にかなっており、企業局でもこの間、企業債の利用を増やしてきています。しかし、他の自治体では千葉県以上に企業債の比率が高いところがあります。千葉県でも年に20億円程度、企業債を増やすことは可能です。

 3つ目の内部留保金ですが、内訳は、借金返済に支障がないために100億円、その他予測できない事態のために50億円となっています。しかし、借金の返済資金は元の予算に計上されているものであり、よほどのことがない限り取り崩す必要はありません。現に1999年以降この26年間、ただの一度も取り崩していません。仮に150億円を次期5か年計画で50億円に減らせば、年間20億円の財源をつくることができます。

 この3つで71億円になり、残り7億円は一般会計からの繰入れを増額して賄えば、小口径の契約者への値上げを避けることが可能になります。これはあくまでも一例ですが、やればできます。ぜひ県としても検討していただきたいと考えますが、お答えください。

 水道料金の値上げは全国的に起きていますが、水は生活に欠かせないのに独立採算を基本にしているからです。生きていくために必要なものは、国や県などの税金できちんと支えるべきです。それが憲法が求めている社会の姿だと考えますが、知事の認識をお聞かせください。

 次に、新湾岸道路について質問します。

 初めに、5月に開かれた第2回有識者委員会で示された新湾岸道路の必要性についてです。前回の県民アンケートなどでは、これから人口減少と高齢化で交通量が減り交通渋滞も緩和するため新たな高速道路は必要ないという趣旨のものが幾つも出されています。ところが、有識者委員会では人口減少に関する議論がほとんど行われていません。委員の中には、人口のシミュレーションができていないと発言する人もいます。県の担当者も、北西部、湾岸部とその他の地域との人口の偏りについて述べるにとどまり、県全体の人口減少については触れていません。しかし、人口減少は大きな社会問題になっており、ここに焦点を当てなければ20年後、30年後に供用開始される大規模な公共事業の適否について判断できるはずがありません。

 県全体の人口のシミュレーションを行い、それに伴う交通量の変動予測をやった上で、改めて新湾岸道路の必要性を検証すべきではないでしょうか、お答えください。

 県民の意見の中には、現在の道路の立体交差が進めば渋滞は解消に向かい新湾岸道路は不要、無駄な二重投資はやめるべきというものもあります。実際に、既存道路の部分的改良によって大きな効果が上がっています。京葉道路では、武石インターから船橋インター間の上り線で、2020年8月、付加車線の運用が開始され、事実上の3車線になりました。これによって渋滞損失時間が供用開始前の2019年には55.1万台時間だったものが、供用後の2022年には12.3万台時間へと8割も減少しています。その結果、京葉道路が使いやすくなったため、交通量が1日当たり4万5,900台から5万800台へと1割増加しており、周辺の一般道路にも効果が及んでいます。国道14号の千葉市役所近くでも、アンダーパスの開通で約6割も通過時間が短縮しました。ところが、有識者委員会では、こうした部分的改良について一切言及がありません。

 部分的改良による渋滞緩和効果について県はどう認識しているのでしょうか、お答えください。

 人口減少についてのシミュレーションもやらない、部分改良の渋滞緩和効果についても一切触れようとしない、こんな不十分な検討状況で、数兆円もの費用と数十年の期間がかかる大規模な道路建設に踏み出したのでは、将来世代に必要のない負担を背負わせることになります。

 十分な検証もやらないまま、なぜ新湾岸道路は必要だという結論になるのでしょうか、お答えください。

 5月の有識者委員会には、東京湾岸沿いの高架構造と地下構造、それに加えて国道357号線などの現在ある道路の拡幅の3案が示されています。こちらのパネルが3つの案を示しているものです。議場の皆さん方は、次の資料を御覧ください。案の1、海沿いの赤いルートですね。これが高架と地下に分かれ2つの案、そして案の2、現道拡幅案、この青いルート、これを合わせて3つの案になります。それぞれについて有識者委員会で設定した課題に沿った評価が行われています。その評価の一覧が次のパネル、こちらです。議場の皆さん方も1枚資料をおめくりください。この中で一番右の案2、青いタイトルのところを御覧いただきたいのですが、既存道路の拡幅案になります。そこでは、速達性が期待できない、迂回路として機能しないなどが並んでおり、達成すべき目標13項目のうち、実に12項目が否定的な評価となっています。しかも、この案は、今の国道357号線の両側にそれぞれ2車線から3車線を拡幅するというものですが、両側とも人家や企業の建物がびっしりと建っており、そのゆとりは全くありません。

 効果が期待できず実現性が乏しい案が、なぜ提示されたのでしょうか、お答えください。

 今回提示された湾岸沿いルートの高架構造案は事業費が約1兆円とされており、地下構造案は約2兆円、現道拡幅案は5,000億円となっています。これらの積算根拠についてお答えください。

 重要なのは、工事期間が示されていないことです。3つの案は工事期間が大きく異なると考えられるので、いつ頃走れるようになるのかを予測する重要な条件となります。それを示さずに選択を迫るのは、県民に対して極めて不誠実です。

 なぜ事業費が示せているのに工事期間は示せないのでしょうか、きちんと示すべきではありませんか、お答えください。

 しかも、示されている金額には、近年の物価高騰を踏まえた増額リスクを考慮した補正を行っていないと書かれおり、実際には、物価高や人件費などの影響で、これよりはるかに高い事業費になるのは明らかです。必要性の吟味も不十分で、事業費が数兆円にもなり、いつ完成するのかも分からない、こんな大規模道路建設がこのまま進められれば、取り返しのつかない大失敗を招くのは必至です。新湾岸道路建設は断念するよう重ねて求めるものです。

 次に、県立高校について質問いたします。

 千葉県教育委員会が今年5月、県立高校改革推進プランの第2次実施プログラム案を公表し、船橋豊富高校と船橋北高校、八千代東高校と八千代西高校、沼南高柳高校と沼南高校、この3組6校の統合案を示しました。今の1年生は6校合わせて28学級ありますが、統合が実施されれば12学級に激減します。また、来年度の募集定員も減らされ、八千代西、船橋豊富、沼南の新1年生は、2クラス80人でスタートします。ここでこちらのパネルを御覧ください。議場の皆さん方は、5枚目の地図を御覧ください。これは、隣接する船橋の北のほうと八千代の西のほうの全体の地図ということになります。この地域で赤い印がついている2つの高校が廃止になる高校です。この地域では、3つの県立高校のうち1校しか残りません。統合されたら自転車で通えなくなるなどの声も出ており、地域に与える影響は大きなものとなります。しかも、県教育委員会では学校の適正規模として、都市部では1学年6から8学級としており、それを下回る高校を統廃合の対象としています。

 今回の実施計画では都市部の八千代東高校は現1年生が7学級で、県教委の言う適正規模なのに統廃合の対象になっています。その理由をお聞かせください。

 今回の統廃合計画の中で、八千代東高校と八千代西高校の統合によってつくられる新しい高校に、不登校生徒への支援を図るためのコースを設置するとしています。しかし、船橋豊富高校のように、定員割れで学級の人数が20人程度となっている学校では、先生が一人一人の生徒の状況をつかみ、どこでつまずいているのか分かるので、子供に合わせた内容で教えられるとの感想が先生から寄せられています。その結果、中学では不登校だった生徒が、豊富高校に入学してから学校に行けるようになったとの声が保護者から寄せられています。定員割れの結果生まれた事実上の少人数学級がこうした教育的効果を生んでいることについて、県教委としてどう評価しているのか伺います。

 そもそも不登校は、何かしらの要因によって子供の心が傷つけられた結果起きているものです。その要因は変化してきており、今は学校が原因になっている不登校が増えています。とりわけこの10年間は、全国学力テストの導入、授業の詰め込み、行き過ぎた校則による厳しい規律など、学校でのストレスや緊張は耐え難いものとなってきました。いまや不登校はどこでも誰にでも起きる可能性があります。不登校の生徒への支援を強めるだけでなく、不登校になっていない生徒が学校によって心を傷つけられないために、教員を増やして生徒との共有の時間を思い切って取れるようにすべきだと考えますが、いかがでしょうか。

 県教育委員会はこれまで、学校が小規模になると行事や部活動が制限されるなど活力ある教育活動の維持が困難になると言って少人数学級を拒否してきましたが、定員割れしている学校では、生徒から授業が分かりやすい、質問しやすい、授業に集中できるなどの声が出され、教育効果を上げています。この間行われてきた説明会でも、船橋市は人口が増加しているのになぜ統合するのか、沼南高校は少人数でのメリットを生かしている暖かい学校だなど、少人数学級を求める意見や統廃合への異論が出されています。

 県立高校は統廃合ではなく、少人数学級への移行を進めるべきだと考えますが、教育長の認識をお聞かせください。

 次に、久留里線をめぐる状況と公共交通について伺います。

 2024年11月、JR東日本は県も参加する検討会議の報告書を受けて、君津市に久留里線の久留里駅と上総亀山駅間を廃止しバスへ転換する計画を明らかにしました。しかし、地域住民の足を担っている公共交通は、交通権を保障するために欠かせない存在です。鉄道事業は公共の福祉の増進を目的とする公益事業であり、単なる営利事業ではありません。とりわけ今回の久留里線の一部廃止は、災害に関わる廃止を除けば、JR東日本として赤字を理由にした路線廃止の初めての事例となります。

 もしもこれが認められてしまえば、これからも赤字を理由に廃止が広がっていくおそれがあると思いますが、県の見解をお聞かせください。

 JRは、久留里線の廃止予定区間が約2億4,000万円の赤字となっていることを理由に挙げていますが、JR東日本全体の昨年度の経常利益は3,215億円で、前年より249億円も増やしています。莫大な利益を上げている企業が、ごくごく僅かな赤字を理由に路線を廃止することは、地域住民の足よりも企業利益を優先することにほかならず、公共交通機関の役割を放棄するに等しいものです。住民説明会などでは、JRが巨額の純益を上げているのに廃線にする考え方が分からないとか、バスに転換しても今後便数が減らされるのではないかなど、生活への影響を踏まえた不安や要望が出されています。

 JR東日本に、体力を生かして赤字路線を支え、公共交通としての責任を果たすよう求めるべきだと考えますが、いかがでしょうか。

 鉄道とともに路線バスも地域公共交通を支える重要な役割を果たしていますが、運転手不足などで深刻な事態に陥っています。昨年4月に千葉県が行った緊急調査でも、半年間で1,900便、約6%が減便となっており、その8割が運転手不足が理由となっています。昨年の賃金構造基本統計調査では、バス運転手の労働時間は全産業平均より年間200時間以上も長いのに、年収は60万円以上も安くなっています。これではなり手がいなくなるのも当然です。路線バス運転手の確保に向けて、県として賃金引上げの支援を行うべきだと考えますが、お答えください。

 次に、東葉高速鉄道について伺います。

 東葉高速鉄道は運賃が極めて高く、東葉勝田台駅から西船橋駅までの運賃は639円で、ほぼ平行して走る京成電鉄の約2倍になっています。その最大の要因は、東葉高速鉄道が有利子資金で鉄道を建設する当時のP線方式により造られたことにあります。建設期間が大幅に伸びたこともあって、支払利息は既に1,000億円を超えています。一方、つくばエクスプレスは、国レベルでの無利子貸付制度が創設され、建設事業費の大半が無利子で建設されました。現在、つくばエクスプレスの料金は、ほぼ同じ距離で東葉高速鉄道より3割ほど安くなっています。この違いは国の施策に起因したものであり、国にその責任を問うべきです。千葉県も2023年3月、船橋市、八千代市とともに国に対して利払い負担に対する補助をはじめとして、長期債務の元利償還金の負担に対する抜本的な支援についての検討を求めています。しかし、何ら国からは具体的な回答がなく、手だてが取られていません。

 県の要請に対する国の対応について、どう認識しているのかお答えください。

 東葉高速鉄道の純利益は、この間増え続けています。こちらのオレンジ色のグラフを御覧ください。皆さん方のところにも、次をめくっていただくとこのグラフが載っています。これは、年度ごとの東葉高速鉄道の純利益を棒グラフにしたものです。2023年度に33億500万円で過去最高を記録し、昨年度は33億6,000万円で過去最高を更新し、運賃値下げの可能性が出てきています。北総鉄道では、累積赤字の解消を機に学生割引を64.7%引き下げましたが、これによって定期券での輸送人員が83万人、6.5%も増えました。一方、東葉高速鉄道の通学定期収入は昨年度約12億1,000万円ですから、純利益から8億円程度投入すれば北総鉄道並みに引き下げることができます。

 地域住民に根差した鉄道として、増加傾向にある純利益を利用者に還元し、通学定期を大幅に引き下げるべきだと考えますが、いかがでしょうか。

 この間、自立支援委員会での推計で、金利の動向によって資金ショートする可能性があるとしていますが、そうさせないためにも利用者の増加を図る必要があります。資金ショートのシミュレーションだけではなく、運賃を引き下げたらどういう効果があるのか検討すべきです。お答えください。

 次に、ギャンブル依存症対策について伺います。

 2023年に実施された対策法に基づく調査では、ギャンブル依存症が疑われる割合は1.7%とされ、千葉県人口に当てはめると約10万人に達します。ギャンブルに支出した金額は、月に10万円が最頻値で、借金でしのぐようになります。しかし、生活に重大な支障が出てもやめられないほど自分をコントロールできなくなるのは、その人がだらしないからとか、意志が弱いからではありません。依存症は脳の病気であり、治療をすれば回復は可能です。そのために、まずは医療に結びつけることが必要ですが、この事実が知られていないために当事者や家族を苦しめています。ギャンブルによる借金を肩代わりしたり、本人を追い回して監視したり、金銭の管理権を取り上げるなど、全てよかれと思ってやられていますが、治療にはつながらず、当事者をますます苦しめることになります。

 県として、ギャンブル依存症は病気であり、誤った対応をすればますます本人を追い詰めることになることを知らせることが重要だと考えますが、県の認識をお聞かせください。

 今、こうした立場で当事者などの相談に乗り、様々な公的機関などとも連携しながら具体的な支援の手だてを取っているのがギャンブル依存症問題を考える会や、全国ギャンブル依存症家族の会などの団体です。千葉県が作成している「それって、依存症??」というパンフレットにはこれらの団体が紹介されていますが、自助グループに結びつけたり、家族の正しい理解や対応を後押しするためにも、当事者に団体を紹介してつなげることや、啓発パンフレットに家族の会の意見を取り入れることなど、できることはたくさんあります。

 県として、より積極的に連携すべきだと思いますが、いかがでしょうか。

 ギャンブル依存症の当事者は、さきの調査でも自死の危険性が高い傾向がありますが、これを食い止めるために回復施設につなげたり、一時的な入院施設も必要になります。しかし、回復施設は月に20万円ほど経費がかかるため、傷病手当などが受けられなければ家計に大きな影響が出ます。また、一時的な入院を受け入れる病院は、現在千葉県内には一つもありません。

 県として財政的な支援を検討するとともに、病院と連携して県内に一時的に入院できる場所を確保すべきだと考えますが、お答えください。

 家族の方から、児童手当の受取りをギャンブル依存の夫から妻にスムーズに変えられるようにしてほしいという要望が出されています。県として、市町村と連携して認定の方法を改善するなど検討すべきだと思いますが、いかがでしょうか。

 ギャンブル依存症の中でも、最近、急激に増えているのがオンラインカジノです。スマホで簡単にできるため、仕事中でも授業中でも自宅でも、人に知られずどこでもカジノに接することができます。当然、未成年者も例外ではありません。考える会が3月に発表したオンラインカジノ経験者への緊急アンケートでは、76%が30代以下の若い層で、カジノを始めてから借金をするまでの期間は1週間以内が3割に上ります。借金の額も1,500万円程度が当たり前で、他のギャンブルの3倍にもなります。驚くのは、闇バイトや詐欺、窃盗などの犯罪に手を染めたことがあるとの回答が半数近くに上ることです。オンラインカジノだからこそ、ネットを通じた犯罪へと誘導されやすいためだと考えられます。重大なのは、オンラインカジノが法律違反だと知っていたのが半分に満たないことです。これらを踏まえれば、高校生や大学生など若い世代への周知が極めて重要になっていることが分かります。千葉県も啓発パンフレットをつくっていますが、4種類の依存症をそれぞれ僅か2ページで解説しているものです。一方、考える会が作成した「ADDICT」という小冊子は実に分かりやすくギャンブル依存症のことが書かれ、相談先や啓発動画へのリンクなど多彩な内容となっていて、若者でも気軽に読めます。江戸川区では、小中学校に「ADDICT」を配り啓発に力を入れています。

 千葉県として「ADDICT」を活用するなど、依存症ごとにパンフレットを充実させ、高校や大学に配布することなどを検討すべきです。お答えください。

 次に、武器見本市について伺います。

 今年5月21日から3日間、幕張メッセを会場に武器見本市DSEI JAPAN2025が開催されました。開催自体が憲法9条はもとより、地方自治法や県の設置管理条例に照らしても大きな問題をはらんでいることは、これまで指摘をしてきたとおりです。それに加えて今回の武器見本市では、主催者が開催に異論を唱えている議員などの入場を拒否したという大問題が起きました。入場手続は、DSEIのホームページからオンラインで行いますが、日本共産党などの国会議員や県議、市議などが軒並み許可されませんでした。全てその理由は明らかにされていません。その一方で、自民党の議員などは入場できています。また、防衛装備庁によれば、主催者であるクラリオン社に対して、国会の関連委員会の委員には全員招待状を出すように依頼したとしていますが、該当する日本共産党議員には届いていません。

 まず、こうしたことが起きていたことについて認識しているのか、どうか、伺います。

 国会議員は国の安全保障政策についてチェックする責任があり、提案する役割を与えられています。県議も県民から県政のチェック機能を負託されており、県立施設である幕張メッセの利用状況を調査するのは県民に対して必要な役割だと考えられます。

 様々な意見がある武器見本市に県立施設を貸し出しているわけですから、状況を確認するための入場は当然許可されるべきだと思いますが、お答えください。

 これまで繰り返し指摘してきたように、幕張メッセは地方自治法で定められた公の施設であり、その目的は住民福祉の増進です。人を傷つけ、命を奪うための武器を売り買いし、世界に拡散させるために開かれている武器見本市とは全く相入れず、会場として貸し出すこと自体、絶対に許されるものではありません。いわんや国会議員をはじめ反対の立場の人を排除するような主催者による武器見本市などに、県立施設を貸し出していいはずがありません。

 主催者は、次回の武器見本市を2027年4月に開催すると公表していますが、県有施設の今後の貸出しを許可しないよう強く求めるものです。お答えください。

 最後に、自衛官の募集について伺います。

 この間、自衛隊員の児童生徒への募集活動が強まっています。こちらのパネルを御覧ください。議場の皆さん方は最後の資料を御覧ください。これは一例になりますが、学校に現役自衛官が行って自衛隊の活動内容を説明したり、自衛官を講師にした防災講話なども行われています。職場体験学習では、高校生が駐屯地の食堂で自衛隊員の食事を体験したり、ライフバッグを背負い、フライトシミュレーターの操作や体験搭乗などをやっています。中学生は、土のうづくりや航空機整備体験など、実戦をイメージさせるようなことまで行われています。子供向けの防衛白書までつくられて、各学校への配付要請が自治体に行われています。

 自衛隊による児童生徒へのこうした勧誘活動について、千葉県教育委員会としてどこまで把握しているのかお答えください。

 防災講話などは自衛隊から売り込みが盛んに行われていますが、防災だからといって容認できるものではありません。それは、自衛隊が隊員獲得の場として位置づけているからです。例えば、自衛隊による「各地本の良好な施策」では、防災訓練の場を活用して、教職員を含めた在校生全員に対する自衛隊理解を促進させ、募集基盤の充実を図ると明記しています。

 自衛隊が防災を名目にした学校への講話などで隊員募集を位置づけていることを県教委は知っているのでしょうか、お答えください。

 北海道教育委員会では、自衛隊に対して、学校での防災講話などにおいて自衛官の募集案内につながるとの誤解を与えないようにとの要請を行っています。

 千葉県でも学校での実態を把握し、隊員募集に関わるようなことが行われていればやめるよう厳しく求めるべきだと思いますが、いかがでしょうか。

 自衛隊は、自衛官の募集業務のために住民基本台帳を閲覧し提供を求めていますが、住民基本台帳は原則非公開で、例外は、国の機関が法令で定める事務のために請求する場合だけです。総務省も、公的な統計資料の作成を念頭に置いたものとしています。これに対して自衛隊は、自衛隊法を盾に閲覧を求めていますが、原則非公開の名簿の閲覧は隊員獲得のための特別扱いとなっています。こうしたやり方に対して、昨年3月、奈良市在住の18歳の若者が、奈良市が提供した住所、氏名などの個人情報を利用して自衛隊が募集はがきを送付したのはプライバシー権を侵害するとして、奈良市と自衛隊を相手に国家賠償訴訟を起こし、社会問題になっています。

 組織としてただ一つ、自衛隊だけが隊員獲得のために住民基本台帳を閲覧していることについて、県としてどう認識しているのでしょうか、お聞かせください。

 また、閲覧はあくまでも義務ではなく任意であるとされていますが、県も同じ認識だと考えていいのか、お答えください。

 重大なのは、自衛隊の活動は命がかかっているということです。陸上自衛隊の「自衛官の心構え」では、その主たる職務は防衛のための戦闘であり、ほかと異なる特色を持つ、その職務は危険と困難を顧みず身を死生の間に置くことによって遂行されるとしています。しかも、集団的自衛権の容認や敵基地攻撃能力の保有を経て、自衛隊はアメリカ軍と一緒に海外で戦争をする部隊に変貌しており、これまでの自衛隊の概念は通用しません。しかし、実際にはこうした姿を隠して広報や隊員の募集事務が行われています。陸上自衛隊の通達では、陸上自衛隊のイメージを刷新するとともに、陸上自衛官に対する親近感を醸成すると書かれています。しかし、児童生徒が職業を選ぶときに、危険な部隊であることを隠して勧誘することなど許されるものではありません。県や教育委員会として、こうした部隊が児童生徒に勧誘を働きかけていることについてどう認識しているのか、お聞かせください。

 千葉県教育委員会は、職場体験学習の受入れを行っている企業などを紹介していますが、その中に自衛隊千葉地方協力本部があり、駐屯地、基地などで県内の小学校、中学校、高等学校の職場体験を受け入れ自衛隊の体験を行っているとしています。

 自衛隊が国際法上の軍隊であることや、命を投げ出すことを求めている組織であることを伝えないでこうした紹介をするのはやめるべきです。直ちにリストから除外すべきだと考えますが、お答えください。

 以上で1回目の質問を終わります。(拍手)

○議長(武田正光君) 丸山慎一君の質問に対する当局の答弁を求めます。知事熊谷俊人君。

 (知事熊谷俊人君登壇)

○知事(熊谷俊人君) 共産党の丸山慎一議員の代表質問にお答えをいたします。

 まず、新千葉県総合計画案についてお答えいたします。

 避難所における備蓄目標に関する御質問ですが、災害の初期段階には、流通機能が麻痺をするなど必要な物資の確保が困難になる可能性があることから、新総合計画案では、まずは自助の取組として、県民による3日分以上の備蓄の確保を目標に掲げたところです。また、避難所での備蓄については、設置主体である市町村に対し、地域防災計画や避難所運営の手引きなどにより、避難所への必要物資の備蓄のほか、避難所へ備蓄できない場合の輸送体制の構築などを求めています。なお、市町村の備蓄が不足する場合などに備え、県においても水、食料等の備蓄や協定等を活用した避難所支援の体制を整えているところです。

 老人福祉費の増額についての御質問ですが、県では、高齢者が個性豊かに生き生きと安心して暮らし続けられる地域社会の実現を目指して、生涯現役社会の実現に向けた環境整備や、地域包括ケアシステムの推進などの取組を進めています。また、高齢者施策の推進に当たっては市町村との連携が不可欠であることから、県としては様々な形で市町村を支援しており、これらの取組に必要な予算を確保しているところです。今後も高齢者人口の増加が見込まれることから、医療、介護の充実に努めてまいります。

 訪問介護事業所に対する財政的支援についての御質問ですが、介護事業所の運営等に係る経費については国が定める介護報酬により賄われるものであり、県では、全国知事会を通じて、国に対し介護報酬の臨時改定等の措置を講じるよう要望しています。また、訪問介護事業所における人材確保や経営改善を図るため、国の補助事業を活用し、経験豊かなホームヘルパーが経験の浅いホームヘルパーに同行して指導する経費に助成をするほか、事業所の経営改善等を支援するための専門家を派遣する事業を行う予定です。引き続き、訪問介護事業所に当該事業の周知を行い、多くの事業所に活用されるよう取組を進めてまいります。

 医療機関への財政支援についての御質問ですが、県内の医療機関の経営は、近年の物価高騰などを受け大変厳しい状況に置かれているものと認識をしています。このため県では、医療機関に対し、エネルギーや食料品の価格高騰の影響を軽減するための支援を行うほか、業務効率化等に取り組む医療機関に対し、新たに助成制度を創設したところです。一方で、医療機関の経営は本来診療報酬により賄われるものであることから、国に対して診療報酬の見直しを行うよう要望しているところであり、引き続き、様々な機会を捉えて国へ働きかけてまいります。

 中小企業への賃上げ支援に関する御質問ですが、中小企業が持続的に賃上げを行うためには、生産性の向上や、適切な価格転嫁などにより賃上げの原資を確保できる環境を整備することが重要であると考えています。このため県では、毎月勤労統計調査や民間企業等が行っている様々な調査を活用し実態把握に努めるとともに、生産性向上に資する設備投資への支援や、ワンストップでの相談対応などの伴走支援を充実しているほか、適切な価格転嫁に向け、国や関係団体と連携し、企業への働きかけを強化しているところです。

 拡張型の発想を転換すべきとの御質問ですが、急激な人口減少が進む中にあっても、将来にわたり県の活力を維持・向上させていくためには、持続可能な地域経済を確立していくことが必要です。このため、成田空港の機能拡張や広域道路ネットワークの充実をはじめとした交流基盤が整備されることにより、将来を見据えた産業を誘致し本県のポテンシャルを高めることで、国内外からの人、物、財の流れを創出し、本県経済の活性化を図ることが重要であると考えています。

 次に、県営水道料金についてお答えいたします。

 値上げに関する認識についての御質問ですが、水道は、県民生活や経済活動に欠かせない重要なライフラインであり、老朽化対策や耐震化にしっかりと取り組み、将来にわたって安全な水を安定的に供給していくことが最も重要な責務と考えています。そのために、財源が不足する場合においては、各水道事業体の判断において料金を引き上げることもやむを得ないものと考えています。一方で、厳しい経済情勢の中で、水道料金の引上げを大きな負担増と感じる方もいらっしゃると認識をしており、県としては、家計の負担感をできる限り減らせるよう、経済の活性化などにもしっかり取り組んでまいります。

 独立採算制についての御質問ですが、水道事業は、経済性を重視し健全な経営が求められることや、受益者負担の考え方から、地方公営企業法等により独立採算制の原則に基づいて運営することが基本とされています。一方で、水道事業の経営健全化等を図るため、管路の耐震化事業における一定の水準を上回る事業費などについては国の補助金制度があるほか、一定のルールに基づき一般会計から繰出しすることもできることとなっています。今回の県営水道の料金引上げにおいても、一般会計から制度上最大限の繰出しを行い、しっかりと支援することとしているところです。

 次に、新湾岸道路建設についてお答えいたします。建設必要性に係る2問については関連いたしますので、一括してお答えをいたします。

 新湾岸道路は、市川市から市原市に至る高規格道路の計画であり、現在、国において有識者委員会の意見を踏まえながら、概略ルート、構造の検討が行われているところです。これまでに湾岸地域の人口動向や交通特性等を踏まえつつ、渋滞や事故、防災等の課題整理及び地域への意見聴取が行われ、本年5月の第2回委員会において新たな道路計画の必要性が確認されるとともに、課題に対応するための複数案が示されたところです。県としましても、湾岸地域の慢性的な渋滞等の課題に対応し、湾岸地域のポテンシャルを十分に発揮させるため、規格が高い新湾岸道路の整備が必要と考えています。

 最後に、ギャンブル等依存症に関する認識についての御質問にお答えをいたします。

 ギャンブル等依存症は、早期の支援や適切な治療により回復が期待できる一方、本人が依存症であるという認識を持ちにくく、必要な治療や支援を受けられていない人が多いという課題があります。このため、ギャンブル等依存症に関する認識を深め、支援の必要性や相談の重要性など依存症に関する正しい知識を普及することが重要です。県では、本人や家族等周囲の関係者からの相談に対応し、支援につなげられるよう、相談支援機関の役割等について市町村等へ研修を実施するとともに、引き続き講演会等により広く県民への周知を図ってまいります。

 私からは以上でございます。他の質問につきましては副知事及び担当部局長からお答えをいたします。

○議長(武田正光君) 副知事高梨みちえ君。

 (説明者高梨みちえ君登壇)

○説明者(高梨みちえ君) 私からは、まず、新千葉県総合計画案についてお答えいたします。

 医療機関の経営状況についての御質問ですが、県では、全国的な傾向と同様、水道・光熱費や医薬品等の高騰、人件費負担の増などにより、県内の医療機関の経営は厳しい状況にあると認識しています。また、施設の老朽化などが進む医療機関においては、建て替えや改修などにかかる建設費の高騰も経営上の課題であると認識しています。

 医療費の削減についての御質問ですが、国において持続可能な社会保障制度のための改革を実行し、国民負担の軽減を実現するための検討を本年末までの予算編成過程で十分に行うとしていることは承知しています。県としては、必要なときに必要な医療が受けられる体制の確保が重要であると考えており、引き続き国の検討状況を注視してまいります。

 次に、県営水道料金の引上げについて、一般家庭への配慮についての御質問ですが、県としては、今回の料金改定については、特定の利用者のみに過度な負担がかかることのないよう利用者間の負担バランスを考慮し、全ての利用者の改定率が平均改定率から大きく乖離しないようにしたいと考えております。また、審議会においても専門家による議論が行われているところであり、今後示される答申や議会の議論などを踏まえ、最終的には判断してまいりたいと考えています。

 従量料金の上限の引上げや企業債の増額等により小口径の料金引上げを避けることができるのではないかとの御質問ですが、今回の料金改定に向けては、改定率を低減させるため企業債の活用上限を引き上げるとともに、確保すべき資金残高の水準を精査し、一般会計からの繰入れを再開するなどの可能な限りの対策を行いました。しかしながら、財源が不足するため、平均18.6%の引上げをお願いするものです。また、従量料金を含めた料金体系につきましては、利用者間の負担バランスを考慮するとともに、審議会の答申や議会における議論などを踏まえ、最終的に判断してまいりたいと考えています。

 次に、新湾岸道路建設についてお答えします。

 部分的改良による効果についての御質問ですが、湾岸地域においては、東西方向の主要な幹線道路において交通容量が超過しており、広範囲で慢性的な渋滞が発生するとともに、今後も港湾機能の強化等に伴う交通需要の増大が見込まれています。現状の渋滞対策としては、国において局所的な立体交差化など交通円滑化を図る対策を実施しているところですが、湾岸地域の将来を見据えた交通課題を抜本的に解消するためには、規格が高い道路の整備が必要と考えています。

 現道拡幅案についての御質問ですが、令和7年6月27日に示された有識者委員会懇談会では、国において、現道拡幅案は経済性に優れ、慢性的な渋滞が緩和し速達性の向上が期待できることなどが示されています。なお、ルート案については、常識的に明らかな非効率性がない、法的な基準を満たしている、達成すべき目標に適合している、三番瀬の海域をこれ以上狭めないことを原則とするという条件により、これらを満たす案について有識者委員会での審議を経た上で国が設定したものと承知しています。

 建設事業費及び工事期間に係る2問については関連しますので、一括してお答えいたします。設定された複数案において提示された事業費は、経済性の観点から、それぞれの案を比較評価するため、国において類似の道路事業の実績を参考に、現時点で可能な範囲で各案についておおむねの費用を見積もったものと聞いています。一方、直近の有識者委員会懇談会資料では、工事期間に関して提示されているものはありませんが、経済性の項目の用地取得に関するリスクとして用地取得に必要な時間等が評価項目案として設定されています。なお、具体的な工事期間を算定するには、構造や工法、周辺環境などの条件が必要であり、現時点で示すことは困難と考えます。

 次に、ギャンブル依存症対策についてお答えいたします。

 ギャンブル等依存症の支援を行う自助グループとの連携についての御質問ですが、家族会などの自助グループは、ギャンブル等依存症を抱える本人や、その家族の悩みに同じ目線で寄り添い支える活動を行っており、依存症からの回復に重要な役割を担っています。このため県では、自助グループに千葉県ギャンブル等依存症対策推進計画の策定や進捗管理に関係団体として参画していただいており、依存症対策を進めるに当たって意見交換を行うとともに、合同で依存症に係る相談会を開催するなど連携を図っています。

 ギャンブル等依存症の方への支援に関する御質問ですが、ギャンブル等依存症は、適切な治療と支援により回復が十分可能な疾患であることから、専門的な治療及び社会復帰に向けた支援を行うことができる医療機関を確保していくことが重要であると考えています。このため県では、国の研修を修了した医師や専門職による治療回復プログラムの提供や、自助グループ等と連携して生活上の課題への助言、指導を行うことができ、入院にも対応した医療機関を専門医療機関として選定しており、現在2病院を確保しています。引き続き、専門医療機関の確保に努めるとともに、ギャンブル等依存症の方への適切な支援に努めてまいります。

 児童手当の受給者変更手続についての御質問ですが、児童手当は、児童を監護し、同一生計の父または母のうち児童の生計を維持する程度の高い者が受給することとなっています。令和5年度に発出された国の通知では、職権により支給の消滅処理を行う事由として、受給者がギャンブル等に自らの収入や児童手当を消費し家計や児童の養育について顧みないような場合が含まれることが明示され、市町村は、その配偶者が児童の生計を維持する程度の高い者と判断した場合には、職権により受給者を変更できるとされています。県としては、引き続き当該通知について市町村に周知徹底してまいります。

 依存症のパンフレットの配布についての御質問ですが、県では、依存症に対する県民の理解を深めるため、依存症ごとに病気の特性や対処方法、相談機関などについて分かりやすくまとめた啓発冊子を作成し、県内の医療機関や市町村等の関係機関、高校や大学などに配布しています。また、自助グループが作成したパンフレットについては、県の啓発イベントで配布するなど、必要な協力を行っております。

 最後に、自衛官募集についてお答えいたします。

 自衛隊による住民基本台帳の閲覧の関係の2問については関連しますので、一括でお答えいたします。住民基本台帳法では、国等の機関は法令で定める事務の遂行のために必要である場合には、市町村長に対し住民基本台帳の一部の写しを閲覧させることを請求することができるとされています。自衛官募集事務については、自衛隊法に定められていることから、法令に基づく事務の遂行のために必要な場合として各市町村が適切に対応しているものと認識しています。なお、閲覧請求が法令等の要件を満たしている限りは、天災等により住民基本台帳が毀損した場合などを除き認められるものとされています。

 私からは以上でございます。

○議長(武田正光君) 副知事黒野嘉之君。

 (説明者黒野嘉之君登壇)

○説明者(黒野嘉之君) 私からは、まず、中小企業の賃上げの実施状況についてお答えいたします。

 民間の調査によれば、約8割の県内中小企業が今年度賃上げを実施しているとのことです。しかし、原材料価格等の高騰やコスト増加分を十分に価格転嫁できていないことなど、様々な要因により賃上げが難しい状況の企業もあることから、引き続き賃上げにつなげるための支援が必要と認識しております。

 次に、県行政を経営するとの考え方に関する御質問ですが、行政課題が多様化、複雑化する一方、人材の確保が難しくなる中、質の高い行政サービスを提供するためには、機能的な組織体制の構築や持続可能な財政構造の確立など、行財政を効果的、効率的に進めていくことが必要です。このため、新たな総合計画では県行政を経営するという観点を重視し、DXの推進や時代の変化に対応した行政組織への変革等を基本的視点として掲げたところです。

 次に、公共交通について、久留里線とJR東日本の公共交通としての責任についての2問は関連しますので、一括してお答えいたします。JR久留里線の久留里-上総亀山間については、県や君津市等が構成員となっている検討会議において、この地域の公共交通の在り方などが議論され、自動車中心の交通体系への移行により、より利便性の高い地域公共交通が実現する可能性が示されました。JRにおいては、この検討会議の結果を踏まえ、地域にとって望ましい交通体系について慎重に検討した上で、バス等へのモード転換を表明したと認識しております。県としては、地域において利便性が確保され、持続可能な交通体系が構築されることが重要であると考えており、JRに対しては、こうした観点から地域に寄り添った対応をお願いしたいと考えております。

 次に、路線バス運転手の確保についての御質問ですが、県では、路線バスの運転手不足の問題に対応するため、昨年度からバス事業者が行う休憩室やトイレ改修など労働環境整備への補助を行うとともに、県主催で合同就職説明会を開催しております。また、路線バスの運転手不足は全国的な課題であることから、国に対し、運転手の処遇改善を含め抜本的な対策を講じるよう要望しているところであり、今後とも、関係機関と連携して運転手の確保を支援してまいります。

 次に、東葉高速鉄道に係る国への要望についての御質問ですが、県では、令和5年3月に沿線市とともに、東葉高速鉄道が抱える長期債務の元利償還金の負担に対する抜本的な支援などについて国に要望を行い、会社の現状と課題について一定の理解をいただけたものと認識しております。また、国や県、沿線市、会社等で構成する東葉高速自立支援委員会では、毎年度会社の経営状況等を検証するとともに、支援の在り方についても協議しているところであり、引き続き、国に対し効果的な支援策を検討するよう求めてまいります。

 次に、通学定期や運賃の引下げについての御質問は関連しますので一括してお答えいたします。東葉高速鉄道においては、単年度では近年黒字が続いているものの、依然として2,100億円超の有利子負債を抱えており、早ければ令和17年度に資金ショートの可能性があることが確認されているため、会社の経営に大きな影響を与える通学定期の値下げについては慎重に検討する必要があると考えております。一方で、地元を中心に通学定期の値下げを求める声もあることから、現在、会社において旅客需要や運輸収入への影響なども含めた試算を行っているところであり、県としてはその結果を注視してまいります。

 次に、DSEI Japan2025について、入場に関する御質問ですが、主催者に確認した結果、入場のための事前登録を申請したものの、主催者の判断により入場できなかった方がいたことは承知しております。

 次に、入場許可に関する御質問ですが、幕張メッセ国際展示場は、地方自治法第244条に規定された公の施設であり、同条第2項では、正当な理由がない限り施設の利用を拒んではならないとされております。また、入場の可否の判断を含めた催事の管理、運営については、主催者の判断により行われるものと考えております。

 最後に、施設の貸出しに関する御質問ですが、DSEI Japan2027については主催者側で開催の日時のみが公表されているところであり、主催者から施設の利用申請があった際には、地方自治法及び設置管理条例に基づき利用の可否を決定してまいります。

 私からは以上でございます。

○議長(武田正光君) 教育長杉野可愛君。

 (説明者杉野可愛君登壇)

○説明者(杉野可愛君) 最初に県立高校の統廃合についてお答えいたします。

 八千代東高校についての御質問ですが、今後、八千代市を含む通学区域では中学校卒業予定者数の減少が見込まれており、また、八千代東高校と近接している八千代西高校の学校規模が小さくなる中で、これまで地域で重要な役割を担ってきた両校の特色ある教育内容を継承し、より充実させていくため統合することとしたものです。

 次に、少人数学級の教育的効果と少人数学級への移行に係る2問については関連しますので、一括してお答えいたします。県教育委員会では、生徒のニーズが多様化する中で、学び直しや習熟度別の授業など、少人数によるきめ細かな教育を推進することは重要と認識しています。一方で、生徒数の減少により学校が小規模になると行事や部活動が制限されるなど活力ある教育活動の維持が困難となることから、統合による再編を検討する必要があると考えています。

 次に、教員を増員すべきとの御質問ですが、教職員定数は国が措置することが基本であることから、県教育委員会としては、定数改善について全国都道府県教育長協議会等を通じて国に働きかけているところです。

 次に、自衛官募集についてお答えいたします。

 自衛隊による職場体験での勧誘活動及び講話での隊員募集の把握に関する2問については関連しますので、一括してお答えいたします。子供たちが主体的に進路を選択し、社会の中で自分の役割を果たしながら自分らしい生き方を実現できるよう、働くことへの興味や関心を深め、勤労観、職業観を育むため、各学校において職場体験や出前講座を実施しています。その実施に当たっては、各学校で企業や団体などを選定しており、自衛隊についても職場体験や災害派遣講話等の内容を事前に相談の上、行っているものと認識しています。

 次に、自衛隊による隊員の募集及び勧誘に係る認識の2問については関連しますので、一括してお答えいたします。自衛隊による職場体験や出前講座などは、自衛隊の任務や役割、また仕事の大変さや意義など職業への理解を促す機会であり、講座の具体的な内容については、各学校が子供たちの発達段階等に応じて適切に判断し、実施しているものと認識しております。

 最後に、職場体験受入れ企業のリストから自衛隊を除外することについての御質問ですが、県教育委員会では、教育分野での社会貢献に取り組む企業、団体を登録するちば家庭・学校・地域応援企業等登録制度を設けています。その中には、自衛隊千葉地方協力本部も登録されていますが、職場体験等を通して子供たちが働くことの意義を考える貴重な機会となっており、自衛隊は多様な職業の1つであることから、除外することは考えておりません。

 以上でございます。

○議長(武田正光君) 丸山慎一君。

○丸山慎一君 再質問をいたします。

 まず、新総合計画案の避難所についてですが、知事は市町村に備蓄を求めている、県はそれを補うことをやっているんだと、こういうふうに言いました。しかし、そういう市町村任せの姿勢が今の状況を生んでしまっているんじゃないですか。大事なものが3割もの避難所にそろっていない、そういうことでいいのかというのが私の質問ですから、ぜひお答えいただきたいと思います。

 問題は、今地震が迫っているということなんですよ。例えば、南海トラフではマグニチュード8から9クラスの地震が30年以内に起こる確率は80%というふうに指摘されています。これはもういつ来てもおかしくはない、そういう状況だということですよね。にもかかわらず、水がない、食べ物がない、トイレもない、そういう避難所が残されているわけですから、このまま本当に大地震が来ちゃったら、体調の急変によって災害関連死が大きく増えることになるわけですよ。それをみんな心配しているんです。そういう時に、市町村がやるべき仕事だと、それでいいのかということが今問われていると思うので、改めて、市町村を支援する、その市町村を支援した結果、備蓄ができていないところをなくしていく、その期限をぜひとも新総合計画案ではきちんと定めるべきだと思います。再度、お答えいただきたいと思います。

 それから、医療と介護の問題ですが、これは必要な予算を確保しているって、こういうふうに言いました。それは、大規模化などに対する補助金などであって、今困っている病院だとか、訪問介護事業所だとか、そういうところに対して、きちんと直接の支援を行う、財政支援を行う、そういう内容ではないんですよね、県がやっていることは。でも、他県はやっているわけですよ。今、それが求められています。例えば公私病院連盟というのがありますが、ここが総会をした後、診療報酬の引上げの決議を上げています。その記者会見で、このままでいけば、今年の暮れを越えられない病院が出てくる、こういうことを言っているんですよ。自転車操業一歩手前のところもある、日本赤十字は90病院中80病院が赤字で、トータルで450億円も赤字を抱えている、これが今の実態なんです。だから、先ほど示した、もう突然病院がなくなる、そういう警告を病院団体が発しているわけですよ。そういうところにきちんと直接の手だてをしなければ、救うことはできないと思うんです。

 訪問介護事業所も同じことだと思うので、直接の支援、直接そういうところを支援していく、財政的支援をしていく、そのことに対して改めてお答えいただきたいと思います。

 それから賃上げについてですが、賃上げの原資を確保できるようにしていきたい、そういうふうにおっしゃいました。それは大事ですよ、大事。大事だけれども、そういうことを今まで言ってきても2割もの企業が賃上げできていないわけですよ。消費者物価指数を2020年を100とすると、今は111.9なんですね。もう、この5年間で1割も上がっているわけですよ。今300万円で生活をしている人からすると、330万円なければ今生活できないということなんですよね。30万円も上がっているにもかかわらず、何年にもわたって賃上げができていない企業がいる。そこに着目をしなければ、県民のための県政にならないのではないでしょうか。ぜひ、直接支援について、これも伺っているのでお答えいただきたいと思います。

 県営水道の水道料金の値上げですが、ずっと聞いていましたけれども、県民生活や経済活動とか、どの利用者にもとか、皆さん方の最大の問題はそこにあります。300万の契約者のうち、圧倒的多数は県民なんですよね。県民の使っている水というのは生活のための水です。命がかかった水です。その一方で、企業の水というのは利益を上げるための水なんですよね。場合によったら水道料金の値上げを転嫁することもできる。そこを明確に分けて考えなかったら、水道の問題というのは解決できないと思うんです。それを一緒のごちゃ混ぜにして全体をどうするというような話では、県民生活を救うことはできません。改めて、これについてもお答えいただきたいと思います。

 それから、独立採算の問題ですが、先ほど受益者負担と言いました。補助金だとか企業債なんかをさらに使えるようにした、それは0.00001歩程度前進かもしれませんけれども、問題は独立採算制という、その基本的な立場なんですよ。独立採算制を原則にしていく以上、必ず値段を上げる時期が出てきますから、そこが問題なので、独立採算になっているみたいな、客観的みたいな話を先ほど知事は答えられましたが、国に対して独立採算制をやめてほしいと、もう、県民の苦しさを見ていくことはできないというぐらいのことを言っていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

 新湾岸道路についてですが、私が質問したのは、人口減少についてほとんど議論されていない、部分的改良工事については一切議論されていない、それでいいのかということを聞いたんですよ。それに対しては一切お答えがありませんでした。ぜひ、なぜそういう検討をしないのかお答えいただきたい。そういう検討をした上で、必要性について議論をするべきではないですか。ぜひお答えいただきたいと思います。

 それから工事期間ですが、事業費は示せているのに、何で工事期間を示せないんですか。これまでの事業の結果で、大体工事費はこのぐらいって出せるのであれば、期間だって大体このぐらいの期間で収まるでしょうというのは出せるはずです。これも期間のほうについては出せない、事業費についてはもう明示している、これもおかしな話なので再度お答えいただきたいと思います。

 それから、公共交通機関の問題ですが、今年の4月9日、全国の29の道府県知事が総理大臣宛てに要望書を出しました。全国的な鉄道ネットワークのあり方に関する特別要望というものですが、この要望書の中では、ローカル線は、これは鉄道です。ローカル線は地方の公共交通を支えており、路線が一部でも廃止されると地域社会の衰退につながりかねない、こう言っているんですよ。中山間地域、ローカル線が走っている地域ですね。ここについては国土の保全などの多面的な機能を持っている中山間地が都市機能を補完する役割を有している、こういうふうに指摘をしています。同時に、JR発足の時、JR各社は多額の国鉄長期債務を切り離して国民負担とするほか、事業用固定資産の無料継承や国費の投入が行われてローカル線を維持していくものとされた、こういうふうに指摘をして、JRの巨額の利益で赤字路線を支えるべきだと、そういう立場に立った要望を国に対して行っています。

 ところが熊谷知事、この要望書に熊谷知事の名前はありませんでした。29道府県知事が名前を連ねているんですよ。この間お聞きしましたら、呼びかけはあったとのことですよね。呼びかけがあったのに、何でここに乗らないんですか。ぜひ知事にお答えいただきたいと思います。

 それからギャンブル依存症ですが、専門の医療機関が2病院確保されているとおっしゃいました。でも、私が聞いたのは一時的に入院できる、そういう施設なんですよ。ギャンブル依存症の当事者の方は自死が多い、まあ自殺ということもありますが、自死が多いわけですよ。そういうときに入院をして何とか命をつなぐ、そのために皆さん必死になっているわけです。その入院施設がないことを質問しているわけですから、入院施設についてお答えいただきたいと思います。

 それから武器見本市ですが、主催者の判断だと言いました。しかし、県庁職員も排除されているんですよ。県庁の職員は、前回は視察という立場で一般の申込みをせずに入場することができました。しかし、今回は職員も一般の来場者と同じように手続しなければならなかったんですよ。県庁職員も排除されているのと同じなんです。これについてどうお考えですか。こういうことをやるような主催者に、また会場を貸すことなどは絶対に許されないと思います。

 最後に自衛隊の問題ですが、自衛隊の東部方面総監部が連絡会議を開きました。その時に、自衛隊と自治体等が一丸となった組織的募集を推進する、こういうふうに資料に書いてあるんですよ。一丸となってですよ、自衛隊と自治体が。そんなことが許されるんでしょうか、ぜひお答えください。

 以上で終わります。

○議長(武田正光君) 防災危機管理部長青柳徹君。

○説明者(青柳 徹君) 私からは、まず、備蓄のない避難所はなくすべきだという御質問にお答えいたします。

 各市町村におけます備蓄物資の保管につきましては、避難所への備蓄のほか、備蓄倉庫とか避難所等に併設された倉庫など、要は市町村それぞれの事情によって備蓄をされております。避難所の状況とか地理的条件などを踏まえながら、適切な手法により対応すべきものと考えております。答弁でも申しましたが、それら市町村の備蓄が不足する場合は、県の13か所の備蓄倉庫にあります備蓄物資ですとか協定で避難所を支援していくとしています。

 また、その期限についてですけれども、災害時に足りない時には県として、公助として、市町村と県は避難所の支援を確実にやってまいります。

 以上です。

○議長(武田正光君) 保健医療担当部長山口敏弘君。

○説明者(山口敏弘君) 医療機関への財政支援についての御質問ですが、県では、現在支給しているエネルギー・食料品価格高騰の影響を受ける個々の医療機関を支援するための交付金に加え、医療従事者のさらなる賃上げを目的とした、個々の医療機関が行う生産性向上、職場環境改善の取組を支援するための給付金についても速やかに支給できるよう取り組んでまいります。

 以上でございます。

○議長(武田正光君) 健康福祉部長岡田慎太郎君。

○説明者(岡田慎太郎君) 訪問介護事業所に対する直接的な支援についての御質問でございます。

 県では、訪問介護事業所における人材確保や経営改善を図るため、国の補助事業を活用して、経験豊かなホームヘルパーが経験の浅いホームヘルパーに同行して指導する経費に助成するほか、事業所の経営改善等を支援するための専門家を派遣する事業を行う予定でございます。介護事業所の運営等に係る経費については国が定める介護報酬により賄われるものであり、県では、全国知事会を通じて国に対し介護報酬の臨時改定等の措置を講じるよう要望してまいります。

 次に、ギャンブル依存症に関しまして、一時的な入所施設についての御質問でございます。県では、国の研修を修了した医師や専門職による治療回復プログラムの提供や、自助グループ等と連携して生活上の課題への助言、指導を行うことができ、入院にも対応した医療機関を専門医療機関として選定しており、現在2病院確保しているところでございます。

 以上でございます。

○議長(武田正光君) 商工労働部長関雄二君。

○説明者(関 雄二君) まず、中小企業の賃上げに対する直接支援についての御質問ですが、賃上げについては、持続的にその原資を確保することが重要であり、そのためには企業が収益を確保するための環境整備が必要と考えております。県では、企業が収益を上げるための生産性向上に関わる支援として、生産性向上に資する設備投資への支援や、経営改善に関するワンストップでの相談対応などを行うほか、適正な価格転嫁の促進に向け企業へ働きかけを行うなど、様々な取組を行っているところでございます。

 次に、DSEI Japanの入場についての御質問でございます。職員も排除されているのではないかということでございますが、県庁職員の手続に関して前回と違うのは、これはあくまでも手続の関係だというふうに認識しております。

 以上でございます。

○議長(武田正光君) 企業局長野村宗作君。

○説明者(野村宗作君) 水道料金の引上げに関しまして、まず、いわゆる小口径を中心とする生活用水と、それから大口径を中心とする企業がお使いになる水、これらをごちゃ混ぜにするのではなくて、区別して考えるべきではないかという御質問だったと思いますが、水道料金の在り方、料金体系の在り方については様々な御意見があろうかと思いますが、例えば、従量料金につきましては、本来であれば均一料金が原則であるというところを、これまでいろいろな経済情勢等を勘案して、千葉県においても小口径に配慮するというようなことをやってきたわけでございます。その上で、今回そういった様々な経緯を踏まえまして、今回の料金改定については口径ごとの改定率に大きな差が生じることのないよう、利用者間の負担のバランス、こういったものを考慮して改定をしていくべきであろうということを基本の方針としているということでございます。

 それから、独立採算制に関する御質問でございますけれども、これは水道事業を公営企業会計でやっているという現実がございますので、その中では独立採算制でやっていくということはやむを得ないことだと思います。ただ、これから設備投資が増えていくというところ、水道料金をどうしていくのかということに関しましては、現在国のほうでも検討が始まっておりまして、財政支援等の強化というところも検討されているところでございますので、その辺の状況も注視して考えていきたいというふうに考えております。国に対しては、引き続き財政支援の要望をしていきたいというふうに思っております。

 以上でございます。

○議長(武田正光君) 総合企画部長三神彰君。

○説明者(三神 彰君) 本年4月の29道府県知事の要望について、本県の知事が名前を連ねていないということについての御質問でございます。

 今回の特別要望は、ローカル線の維持を念頭に置いた要望であったと認識しております。この時期、県におきましては、御承知のとおり久留里線につきまして、君津市とJRがより利便性の高い交通体系への転換に向けた検討協議を進めていたところでございますので、今回は、本県として参加することを見送ったという事情でございます。

 以上でございます。

○議長(武田正光君) 県土整備部長四童子隆君。

○説明者(四童子隆君) 新湾岸道路の人口減少や部分改良について、なぜ検討しないのかとのお尋ねでございますけれども、国等の資料によりますと、2050年におきましてもGDP国内総生産は増加する傾向にあるということ。また、湾岸地域の人口につきましても、おおむね横ばいと見込まれております。今後も、さらなる産業が活性化していくことを踏まえますと、将来的にも渋滞による社会的損失は看過できないものと考えてございます。また、部分的な改良につきましてでございますけれども、繰り返しでございますけれども、現状の渋滞対策として、国におきまして局所的な立体交差化などの交通円滑化対策が実施され一定の効果を上げているところは承知しておりますけれども、湾岸地域の将来を見据えた交通課題を抜本的に解消するためには、規格が高い道路の整備が必要と考えているところでございます。

 また、工事期間についてのお尋ねもございまして、こちらにつきましても繰り返しの部分がございますけれども、設定された複数案におきましての事業費は、国におきまして、現時点において算定可能なおおむねの費用につきまして、類似の道路事業の実績を参考に見積もったと聞いているところでございます。一方、工事期間につきましては、具体的な構造や工法、どのような周辺環境であるかといった条件が必要になることから、現時点で示すことは困難と考えております。

 以上でございます。

○議長(武田正光君) 総務部長前田敏也君。

○説明者(前田敏也君) 自衛官の募集に関する御質問でございますが、自衛官の募集に関する業務につきましては、地方自治法施行令により、都道府県または市町村の法定受託事務とされておりますことから、今後とも法令に基づき適切に対応してまいります。

 以上でございます。

○議長(武田正光君) 丸山慎一君。

○丸山慎一君 もう全然答えていないですよね。やっぱり答えられないということだと思います。

○議長(武田正光君) 申合せの時間が経過しました。発言は簡明に願います。

○丸山慎一君(続) 私は、答えられないのは、やっぱり県民の立場に立っていないからだと思いますよ。そういう県政を変えるために全力を尽くす決意を申し上げまして、質問とさせていただきます。

 以上で終わります。

○議長(武田正光君) 暫時休憩します。

 午前11時35分休憩

 

 午後1時0分開議

○副議長(三沢 智君) 休憩前に引き続き会議を開きます。

 引き続き質疑並びに一般質問を行います。通告順により佐野彰君。

 (佐野 彰君登壇、拍手)

○佐野 彰君 中央区選出の佐野彰と申します。今回一般質問を行います。

 まず第1に、その中で、今日も議場に傍聴者が満席になりました。大変皆様方の関心度が非常に高い内容の中で今回質問をさせていただきます。執行部におかれましては、明確な答弁をよろしくお願いいたします。

 それでは、新湾岸道路について。初めに、新湾岸道路について伺います。

 湾岸地区の慢性的な渋滞対策として、新湾岸道路の早期実現が必要です。私は、このことについて県議会に当選して以来、長く、県議会をはじめとしてあらゆる場所で訴え、県民の皆様とともに国土交通省へと働きかけてきました。こうした中、大きな契機となったのが平成30年の千葉県湾岸地域渋滞ボトルネック検討ワーキンググループでした。そこで湾岸地区における規格の高い道路の必要性が示されたことで、現在の新湾岸道路の検討につながっていると考えます。この時には、国土交通省では前事務次官の吉岡幹夫氏が、また、千葉県では元県土整備部長である野田勝氏などが私たちの思いを受け止めていただき、新湾岸道路プロジェクトが始動し、大きく前進をしてきました。ここまでの前進は、吉岡氏と野田氏の存在なくしては成し得なかったことであり、本年7月の吉岡氏の退官に際しては、阿部幹事長、野田氏とともに国土交通省に赴き、これまでの御尽力に敬意と感謝を伝えたところです。引き続き、知事はじめ現在の執行部においても、新湾岸道路プロジェクトを止めることなく、早期実現に向けて強力に進めていくことを期待したいと思います。

 そこで伺います。新湾岸道路の早期実現に向けた取組状況はどうか。

 次に、保健医療大学について伺います。

 仁戸名地区は、昔から医療の町として成長してきた経緯がありますが、県立がんセンター、国立病院機構千葉東病院、JCHO千葉病院と3つの特徴ある病院が立地し、周辺には千葉大学附属病院、県立こども病院や千葉リハビリテーションセンターといった専門性の高い医療機関も立地をしており、将来の県の保健医療を担う人材を育成する上で十分な優位性があります。大学の機能強化のためとして有識者による調査検討会議を設置し、その報告書を5月に発表しました。さきの我が会派の代表質問に対する答弁にありましたが、この報告書を踏まえて、学部等の構成や定員、立地、運営主体について、今後早期に決定するとしています。

 そこで2点伺います。

 1点目、検討会議の開催スケジュール及び主な協議事項はどのようであったか。

 2点目に、仁戸名キャンパスへの統合のメリットは何か。

 私が懸念しているのは防災面です。海に近い幕張キャンパスの敷地について、高潮発生時にどのような想定がなされているのでしょうか。県では、東京湾沿岸の高潮浸水想定区域図を平成30年11月に公表していますが、保健医療大学幕張キャンパス周辺も浸水想定区域に含まれています。

 そこで伺います。保健医療大学幕張キャンパス周辺における想定し得る最大規模の高潮による浸水深はどうか。

 私も4回開催された議論の内容を確認しましたが、会議のメンバーに地元の代表などは一人も含まれておらず、地元を無視した内容でした。私は、6月の健康福祉常任委員会において、地元への説明をしっかりと行うよう求めたところですが、その後、地元自治会から県に要請があり、ようやく7月末になって初めて説明会が開催されました。そして、その時点では立地について、まだ結論が出ていないとの説明にもかかわらず、その後、僅か1か月余りで幕張キャンパスへの統合案に至った事実を見れば、初めから結論ありきで進めてきたとしか思えず、県の姿勢は誠実さを欠くと言わざるを得ません。

 そこで伺います。仁戸名地区の説明会において地元から寄せられた意見について、どのように検討したのか。

 検討会議の議論の中で、駅からのアクセスとして幕張のほうが優位であるという意見がありましたが、それは、現在の立地条件です。例えば、アクセスをよくするための方策として、新駅の設置があります。京成千原線の1日当たりの平均利用者は、平成10年度の1万3,000人から、直近では約2倍に増えている状況です。こうした状況もあり、私の地元からは、京成千原線の新駅設置を要望する声が多く寄せられています。大森台駅と学園前駅との間にある京成千原線と市道との交差部に新駅を設置すれば、保健医療大学、がんセンターまで約400メートルとなるため、これが最寄り駅となれば、多くの方が利用することが見込まれます。県は、京成グループである北総鉄道の主要な株主として、京成電鉄と大きな関わりを持っている立場です。

 そこで伺います。京成千原線の大森台駅と学園前駅との間に新駅を設置することについて、京成電鉄に働きかけていくべきと思うが、どうか。

 県立病院について。

 県立病院については、さきに発表された病院事業会計の前年度決算では、一般会計から運転資金として27億円もの借入れを行っているにもかかわらず、11年連続の赤字で、しかも、赤字額は58億円と過去最大となりました。病院局としては、令和6年度に策定をした経営強化プランに基づく経営改善の取組を強化していくとのことですが、具体的にどのように進めていくのか気になるところです。

 そこで伺います。過去最大の赤字幅になった原因はどこにあり、今後どのように対策を行うのか。

 6月議会の前、健康福祉常任委員会の有志で全ての県立病院を視察したところですが、医師や看護師をはじめ現場の職員は、自分たちが求められている医療の提供と、経費の節減などの経営改善の取組に懸命に努力していると感じました。現場には高度な先端医療機器も導入されていますが、そうした高度な設備を導入するだけではなく、それを操作できる医療人材の確保が必要です。また、設備や人材を全ての病院それぞれで確保するのではなく、共有化して効率化を図る仕組みを考えていくことも必要ではないでしょうか。

 そこで2点伺います。

 1点目、高額の先端医療機器を効果的に活用するために、医療人材をどのように確保していくのか。

 2点目、投資効果を最適化するため、老朽化しているこども病院は、がんセンターの隣地に建て替えるなど一体化を図るべきと思うが、どうか。

 大学病院に属する医師の人事というのは、一般的な人事と異なります。いわゆる医局からの派遣と言われるものですが、関連病院への派遣というのは、一旦大学病院を退職して、県立病院であれば県に雇用される形になりますが、人事権は医局が握っています。県立病院における医師の確保については、実際問題として、多くを千葉大学医学部附属病院からの派遣に依存しており、病院局としてコントロールできる体制にはなっていません。これでは、人材の確保や育成を含めて、長期的展望を持って病院の経営管理ができるとは思えません。経営改善のためにも、千葉大学附属病院の病院長経験者を県にお招きし、千葉大と県立病院の人事を一体化することで、医師を確保することが必要ではないでしょうか。

 また、医師の確保は、ひとえに県立病院だけの問題ではありません。県内の公立病院においても同様、千葉大学附属病院から派遣されている医師が一定数を占めているところです。公立病院の人事についても千葉大病院と一体化すれば、県内全体にわたり最適な医療配置が行われるものと考えます。

 そこで伺います。県立、市町村立病院を問わず、公立病院の医師の確保を県が主導して行うため、千葉大学と一体化した人事の機能を県が持つべきと思うが、どうか。このことについては、千葉大学医学部の病院の関係者とお話をしております。その中では、ほぼ同じような意見でありました。

 羽田空港の騒音問題について。羽田空港の騒音問題について伺います。

 令和2年3月の羽田空港の機能強化に伴って、年間の発着枠が3万9,000回増加したことで、令和6年度には着陸回数が過去最多になったと聞いています。都心上空ルート等により、首都圏全体での騒音の共有が始まり、千葉県の騒音影響が軽減されるとの説明があったところですが、本県の中でも特に南風好天時に2つの着陸ルートが交差する千葉市は大きな影響を受けており、航空機騒音がどうなっているのか非常に気になるところです。

 そこで、2点伺います。

 千葉市における羽田空港の航空機騒音の現状はどうか。

 2つ目、千葉市上空の着陸機の交差の低減や解消に当たって、飛行ルートの抜本的な見直しが必要と考えるが、県はどのように対応していくのか。

 次は、新県立図書館と地域の連携について。

 私の地元、千葉市中央区の青葉の森公園において、新県立図書館・県文書館複合施設の建設に向け準備が進んでいます。私は、これまで新県立図書館の整備に当たっては、様々な行事やイベントを通して、子供たちが読書に親しみながら一日を過ごせるような魅力あふれる場にするよう要望をしてまいりました。本年3月に実施設計が完了したと承知しておりますが、県民の期待に応えられるよう着実に整備を進めていく必要があると考えます。

 そこで伺います。新県立図書館・県文書館複合施設の整備に向けた進捗状況はどうか。

 また、私は本年6月に徳島県の文化の森総合公園を訪れ、公園内の県立図書館、県立博物館の状況について視察をしてまいりました。この際の感想については、各施設が人の集め方やイベントについて、よく研究をされていると感じました。そこで、千葉県でも同じようなことができないかと考え、県庁の各課に提案をしたところであり、今後の進め方を確認したいと思います。

 そこで伺います。県民に喜ばれ親しまれるような場となるよう、新県立図書館の整備を契機に、青葉の森公園内の施設や周辺機関との連携について、今後どのように進めていくのか。

 次に、学校給食の地場産物活用について伺います。

 私は、以前から子供たちの食育の推進という観点で、地場産物の活用を促進するために取り組んでおり、県の関係課との打合せや、教育委員会、学校栄養士会、JAグループ千葉などと勉強会を重ね、この8月には、県当局とともにJA千葉中央会の松元会長を訪問し意見交換を行ったところですが、前回の登壇に引き続きこの問題を取り上げます。

 食材の宝庫である本県において、多くの学校で給食に地場産物が活用されることは、子供たちが地域の食材を知り、千葉の恵みを感じながら給食を味わえるだけではなく、食材をつくっている地域農家の意欲向上にもつながると考えます。学校給食における地場産物の活用を一層進めていくことは、食育、地域連携、農業振興の観点からも重要と考えます。

 そこで3点伺います。

 1つ目、学校における食育推進に向けた現在の取組状況はどうか。

 2つ目、学校給食への地場産物活用をさらに進めるため、県教育委員会は今後どのように取り組んでいくのか。

 3つ目、学校給食に地場産物を提供する生産者を支援するため、価格保障や補助の実施などを検討すべきではないか。

 次に、犯罪被害者等支援について伺います。

 本県の刑法犯認知件数は、令和4年から3年連続で増加をしています。直近の令和6年の数字を見ると3万8,394件で、そのうち殺人、強盗などの凶悪犯の認知件数については289件で、全国的に見て高い水準にあります。

 こうした中、保護司を務める私の知人から、犯罪により生じた損害について、当然に責任を負うべき加害者が賠償責任を果たさず、犯罪の被害者が十分な補償を受けることができないという話を聞きました。被害者は、何の責任も落ち度もないのにもかかわらず、加害者の身勝手な行動によって、ある日突然、生命や財産を侵害され、不運な境遇に突き落とされてしまうのです。こうした方々に対する支援、とりわけ被害者の残された子供たちの将来のために、その学業を応援することが必要と考えます。

 そこで2点伺います。

 1点目、県の犯罪被害者等見舞金の支給状況はどうか。また、市町村における見舞金制度の導入状況はどうか。

 2点目、犯罪被害者遺児の方が進学を諦めるような状況に対し、県として支援すべきと考えるが、どうか。

 これで1回目の質問を終わりますが、知事さんにおかれましては明確な答弁を期待して、1回目の質問を終わりたいと思います。御清聴ありがとうございました。(拍手)

○副議長(三沢 智君) 佐野彰君の質問に対する当局の答弁を求めます。知事熊谷俊人君。

 (知事熊谷俊人君登壇)

○知事(熊谷俊人君) 自民党の佐野彰議員の御質問にお答えいたします。

 まず、新湾岸道路についての御質問にお答えをいたします。

 新湾岸道路は、湾岸地域の渋滞解消や防災力の強化はもとより、第2の開港を迎える成田空港のアクセスを高速化し、我が国の国際競争力の強化や生産性の向上に資する大変重要な道路です。本年2月までに国や沿線市と連携をし、地域の理解や協力を得ながら道路計画を策定するため、沿線住民や企業などへの情報発信や意見聴取などのコミュニケーション活動を実施し、約4,300件の意見をいただいたところです。これらの多くの意見を踏まえ、道路計画の基本的な考え方に対する助言を得るため、5月には有識者委員会が開催され新たな道路計画の必要性が確認されるとともに、複数の概略ルートや構造案が示され、7月からは、この案などに対する意見を聴取するため、新たに沿線への広報紙の全戸配布などコミュニケーション活動を拡充し、実施をしています。引き続き、多岐にわたる関係者との丁寧な合意形成に努め、新湾岸道路が新時代にふさわしい、明るい未来が描ける道路となるよう、計画の早期具体化に向け積極的に取り組んでまいります。

 次に、学校における食育推進に向けた取組についての御質問にお答えをいたします。

 昨年12月に、県、県教育委員会、JAグループ千葉の3者により、ちばの子供たちへの食育推進に関する協定を締結し、農業の役割や千葉の食材等に対する子供たちの理解醸成と、地産地消の一層の推進を図ることとしたところです。具体的には、農業体験活動の推進や、学校給食における地場産物の活用促進、出前授業などの農業の理解につながる食育の推進について、3者協働で取り組むこととしています。特に学校給食における地場産物の活用については、県内全てのJAにおける食材提供に係る担当窓口や農産物の出荷時期などの情報を取りまとめ、市町村教育委員会をはじめとする関係機関に提供しているところであり、引き続き、学校における食育を推進してまいります。

 私からは以上でございます。他の質問につきましては担当部局長からお答えをいたします。

○副議長(三沢 智君) 健康福祉部長岡田慎太郎君。

 (説明者岡田慎太郎君登壇)

○説明者(岡田慎太郎君) 保健医療大学の検討会議の内容等についての御質問ですが、保健医療大学の機能強化については、昨年度調査検討会議を設置し、4回の会議を開催しました。各回の開催時期と主な内容についてですが、第1回は令和6年9月で、機能強化に向けた論点の提示と人材像について、第2回は同年11月で、在学生や医療関係者等へのアンケート結果と、学科の構成や人数、大学院などについて、第3回は本年1月で、立地や運営主体について、第4回は本年3月で、総まとめとして報告書の案について御意見を伺ったところです。

 次に、仁戸名キャンパスに統合した場合のメリットについての御質問ですが、検討会議では、幕張統合、仁戸名統合などのそれぞれの案についてメリット等をお示しし、議論していただいたところです。仁戸名キャンパスに統合した場合のメリットとしては、千葉県がんセンターなど近隣の幾つかの病院で学生が実習を実施しており、幕張キャンパスよりも病院に近い環境で学ぶことができること、千葉県衛生研究所も近隣にあることから、将来的に保健医療大学のシンクタンク機能を強化した際に衛生研究所と連携した研究を行うことが可能であること、未利用の県有地が敷地の周辺にあることから、この土地も含めて活用を検討することも可能であることなどを説明しました。

 最後に、保健医療大学の地元説明会についての御質問ですが、県では、本年7月下旬に保健医療大学仁戸名キャンパス周辺に所在する3つの自治会連絡協議会からの求めに応じ、令和6年度に県が実施した保健医療大学の機能強化に向けた調査検討事業で取りまとめた報告書の内容等について説明しました。参加者からは、地元の人が検討会に入っていないのはおかしい、半年でも1年でも、もう少し時間をかけてもう一度検討し直してほしい、もっとまちづくりの観点から考えてほしい、幕張キャンパスは駅から約1.1キロメートルだが、京成千原線に新駅をつくれば300メートルであり近くてもっと便利だ、高潮など防災面を考えずに立地を決めることは問題だなどの御意見を頂戴いたしました。県としては、地元説明会の参加者の皆様からいただいた御意見も参考にしながら、優秀な人材を集めるという観点からの検討会議での意見も尊重し、県としての方針を早期に決定したいと考えています。

 以上でございます。

○副議長(三沢 智君) 県土整備部長四童子隆君。

 (説明者四童子隆君登壇)

○説明者(四童子隆君) 高潮による浸水深についての御質問ですが、高潮浸水想定区域図は、想定し得る最大規模の高潮に対する避難体制等の充実強化を図るため、既往最大規模の台風が襲来し、堤防が決壊するなど最悪の事態を想定し、各地で最大となる浸水深などを示しております。保健医療大学幕張キャンパスの敷地では浸水深は1メートルから3メートルですが、キャンパス周辺では深いところで3メートルから5メートルとなっております。

 以上でございます。

○副議長(三沢 智君) 総合企画部長三神彰君。

 (説明者三神 彰君登壇)

○説明者(三神 彰君) まず、京成千原線の新駅設置についての御質問ですが、千原線の大森台-学園前駅間の沿線には、多くの医療・教育機関などが所在していることから、この区間に新駅が設置された場合、施設利用者のアクセスや通勤通学などの利便性の向上につながることが考えられます。一方、千原線は経営が悪化し事業継続が困難となった千葉急行電鉄から京成電鉄が営業を引き継いだ経緯があることや、新駅の設置には多額の費用がかかることなどから、現時点では新駅設置は難しい状況にあると認識しております。県といたしましては、こうした状況を踏まえ、まずは地元である千葉市と連携し、地域の交通ニーズや新駅設置の必要性について京成電鉄と意見交換を行ってまいります。

 次に、千葉市における羽田空港の航空機騒音についての御質問ですが、7月に開催された羽田再拡張事業に関する県市町村連絡協議会において、国から示された令和6年度の千葉市の騒音測定値は、都心上空ルート運用開始前の令和元年度に比べ減少していないことが認められました。この理由として、国は、使用する滑走路や航空機の種類等により数値は変動するため一概に要因を示すことは困難だが、令和6年度は元年度と比べ南風が多い気象条件であったため、千葉市上空を通過する南風好天時の従来経路の運用が多かったことが要因の1つと考えられるとしています。県としては、気象条件等の影響を受けることは理解するものの、都心上空ルートが十分に運用できていない日もあることから、千葉市の騒音影響を軽減するためにも、国に対して同ルートを可能な限り積極的に運用するよう引き続き求めてまいります。

 最後に、千葉市上空の着陸機の交差の低減や解消についての御質問ですが、これまで国に対して本県の騒音軽減を求めてきた結果、飛行高度の引上げや都心上空ルートの導入など一定の対策が講じられてきたところですが、依然として千葉市の交差部の抜本的な騒音軽減には至っておりません。国は、交差部に係る騒音軽減については、管制技術の進展や航空機の技術進展を踏まえ、引き続き検討していくこととしています。県といたしましては、千葉市の交差部を含む本県上空の飛行ルートについて、首都圏全体での飛行ルートのさらなる分散化といった抜本的な対策にさらに取り組むよう、引き続き国に対して求めてまいります。

 以上でございます。

○副議長(三沢 智君) 病院局長山崎晋一朗君。

 (説明者山崎晋一朗君登壇)

○説明者(山崎晋一朗君) 私からは県立病院に関する3問にお答えいたします。

 まず、過去最大の赤字幅になった原因と今後の対策についての御質問ですが、県立病院の令和6年度の決算は、純損失が過去最大の約58億円となり、医業収支については前年度との比較で約34億円悪化するなど大変厳しい結果となっています。この原因としては、医業収益が前年度とほぼ同程度となる一方、令和6年度の給与改定等に伴う給与費の増加や物価の高騰に伴う委託費等の増加により医業費用が前年度と比較し約35億円増加したことなどが挙げられます。病院局としては、引き続き千葉県立病院経営強化プランに掲げた収益確保や経費節減の取組を着実に実行していくとともに、県立病院として必要な医療提供体制を維持していくため、病院経営に関する有識者などの意見をいただきながら、抜本的な経営改革について検討を進めてまいります。

 次に、医療人材の確保についての御質問ですが、先端医療機器の活用は、患者に良質な医療を提供するとともに、県立病院の収支改善に寄与するものであり、その効果を最大限に発揮するためには医療人材の確保が重要であると考えています。また、医師や医療従事者にとって、先端医療機器が使用できる環境は大きな魅力であると考えられることから、大学への医師の派遣要請や医療従事者の募集の際に、県立病院の医療環境について積極的にアピールしてまいります。各県立病院においても、研修の充実や病院間での人事交流を通じ、それぞれが保有する機器について、運用に従事する職員の技術向上を図るなど、引き続き必要な人材の確保・育成に取り組んでまいります。

 次に、老朽化しているこども病院についての御質問ですが、こども病院については、昭和63年に本館が完成し37年が経過していることから、建物の老朽化への対応が課題であると認識しております。一方、小児医療を取り巻く環境は、将来における小児人口のさらなる減少や医師確保の問題、医療の進展など、今後大きく変化していくことが見込まれています。病院局としては、今後も、県民に高度な小児医療を安定的に提供するため、こども病院と他の医療機関との役割分担や連携なども含め、引き続き様々な対応の可能性について慎重に検討してまいります。

 以上でございます。

○副議長(三沢 智君) 保健医療担当部長山口敏弘君。

 (説明者山口敏弘君登壇)

○説明者(山口敏弘君) 公立病院の医師の確保に向けた千葉大学との取組についての御質問にお答えいたします。

 千葉大学は、公立病院をはじめとする県内の多くの医療機関に医師を派遣するなど、地元千葉県の地域医療体制の維持に貢献していただいていると認識しています。県では、これまで千葉大学と連携し、地域医療に従事する意欲のある学生のための医学部入学定員20名分を設けるなどの取組を行っているところです。現在、新たな地域医療構想に関する国の検討会議では、都道府県が大学病院本院等と連携して医師派遣などの取組を行う方向で検討が進められていることから、本県においてもこうした国の方向性を踏まえ、公立病院をはじめとした地域の医療機関における安定的な医師の確保や地域偏在の解消などに向け、県、市町村と千葉大学との連携を一層強化してまいります。

 以上でございます。

○副議長(三沢 智君) 教育長杉野可愛君。

 (説明者杉野可愛君登壇)

○説明者(杉野可愛君) まず、新県立図書館の整備状況についての御質問ですが、新県立図書館・県文書館複合施設は、昨年度に実施設計を行い、効率性の高い自動化書庫を設置し、約270万冊の収蔵能力を確保するとともに、青葉の森公園に面した閲覧室の配置や木材の利用など、豊かな緑や自然の落ち着きを感じられる設計としたところです。現在は建築工事等の入札手続を行っており、今年度中に工事に着手する予定であり、今後は利用者サービスの検討や移転スケジュールの調整などを進め、令和11年度の開館に向けて着実に取り組んでまいります。

 次に、新県立図書館と周辺施設等との連携に関する御質問ですが、新県立図書館が基本計画でも掲げた知の創造と循環を生み出す公共の場として機能するためには、青葉の森公園内の施設や近隣の公共機関との連携を図ることが必要と認識しています。そこで、新しい図書館が魅力的な交流拠点となるよう、公園を中心とした関係機関による連携イベントや広報などの実施について関係者が集まり、情報共有や意見交換を行っているところです。今後は、各施設が協力して、一元的に情報発信を行うなど、新図書館開館に向けた機運の醸成を図りながら、県民が利用しやすい場となるよう、引き続き効果的な方策等について検討してまいります。

 最後に、学校給食への地場産物活用についての御質問ですが、学校給食に地場産物を活用することは、子供たちが自らの地域の食文化や産業への理解を深めるとともに、生産者への感謝の気持ちを抱くことができる重要な取組と考えています。そこで、県教育委員会では、地元の旬の食材を使った献立レシピなどについて県ホームページへの掲載を充実させるとともに、栄養教諭などを対象とした研修会において、地場産物を活用した食育の好事例を紹介するなどの取組を進めているところです。さらに、今年度はJA、市町村教育委員会、学校栄養士会、県関係課などで意見交換会を開催し、地場産物活用の情報や課題を共有しました。今後は、地域のJAと近隣の市町村等をグループとした協議の場を設けるなど、学校給食における地場産物活用の体制づくりを支援してまいります。

 以上でございます。

○副議長(三沢 智君) 農林水産部長高橋輝子君。

 (説明者高橋輝子君登壇)

○説明者(高橋輝子君) 学校給食における生産者への支援についての御質問ですが、農産物については、近年の気候変動の影響もあり、生産量が安定せず、価格の変動も大きいことから、生産者の経営の安定化が喫緊の課題となっています。このような中、学校給食へ地場産物を提供していくことは、生産者にとって販路の1つとなり、安定した収入につながると考えられます。そのため県では、地場産物の活用促進に向け、まずは県内の学校給食における地場産物の納入ルートなどの取引の実態や課題の調査を進めているところであり、生産者が将来にわたり意欲を持って安定的に農業経営を行えるよう、しっかりと取り組んでまいります。

 以上でございます。

○副議長(三沢 智君) 環境生活部長井上容子君。

 (説明者井上容子君登壇)

○説明者(井上容子君) 犯罪被害者等支援についてお答えいたします。

 県及び市町村の犯罪被害者等見舞金制度についての御質問ですが、犯罪被害者やその御家族、御遺族は、犯罪により生命や財産、心身などに大きな被害を受け、さらに裁判への参加など多くの負担を抱えています。そのため、被害を受けた時から一日も早く立ち直れるよう、社会全体で生活面、経済面などさまざまな支援を行うことが必要です。このため県では、経済的な支援の1つとして、犯罪被害者等が受けた被害からの早期回復と生活再建の一助となるよう、令和4年度に見舞金制度を創設し、令和6年度までの3年間で遺族見舞金35件、重傷病見舞金41件、合計1,450万円を支給しました。また、市町村における見舞金制度については、県警と連携し、地域の犯罪情勢や支援の必要性を説明するなど導入を促した結果、前年から23団体増え、令和7年4月1日現在で38団体まで導入が進んできているところです。

 次に、犯罪被害者遺児の方々への支援に関する御質問ですが、犯罪被害者遺児は、突然の事件により家族を失い、大きな悲しみ、苦しみの中にあります。特に、被害者が家計を支えていた場合、経済的にも不安定となり、学業の継続に大きな困難を強いられることから支援が必要であると認識しています。犯罪被害者遺児の方々の学業継続のためには、公益財団法人犯罪被害救援基金や日本財団などによる奨学金制度が設けられています。県としては、これらの制度について県警からの周知と併せ、千葉犯罪被害者支援センターなどを通して一層の周知に取り組んでまいります。また、今後も当事者である犯罪被害者等のほか、その支援者や有識者などから幅広く御意見を伺いながら、遺児を含めた犯罪被害者等に寄り添った支援の在り方を検討してまいります。

 以上でございます。

○副議長(三沢 智君) 佐野彰君。

○佐野 彰君 新湾岸道路について再質問いたします。

 湾岸地域のさらなる活性化のためには、沿線市と連携し、千葉港の活性化や周辺まちづくりに取り組んでいくことが重要と考えます。本年7月には、国土交通省から全国の港湾施策に精通した職員を県の理事として迎え、千葉港が、県や市が連携し、にぎわいが創出される施策が展開されることを大いに期待をします。

 そこで伺います。新湾岸道路と連携した千葉港や周辺地域の活性化に向け、県はどのように取り組むのか。

 保健医療大学について再質問をします。

 1回目の質問に対する答弁のとおり、仁戸名地区には十分なメリットがある中、幕張キャンパスに統合する案としていることは、議論の進め方として不誠実なだけではなく、防災面や今後のまちづくりの観点からも検討が不十分であると言わざるを得ません。まず、防災面については、高潮発生時に危険が生じる可能性がある場所だということがはっきりといたしました。議員の皆さんには、お手元の資料、高潮浸水想定区域図を見ていただければ、3メートルから5メートルということが県の資料によって書かれています。実際、東日本大震災の時には周辺は液状化による甚大な被害が発生し、このリスクは解消されていません。そして、この地域に新校舎を建設するならば、軟弱地盤により基礎工事における地面に打ち込むくいの長さが20メートル以上、救急医療センターは50メートルというふうに聞いております。軟弱地盤の対策費用等で工事費用が増大し、また、塩害による維持費の増大が想定され、財政に大きな負担がかかります。検討会議において、仁戸名地区の立地に関し、周辺の慢性的な交通渋滞などを課題として指摘する意見がありました。そうした状況については、私は皆さんの協力の下、私が千葉市と調整をし、松ケ丘交差点渋滞解消のために大網街道に接続する大森台駅から加曽利町線の都市計画道路の整備を千葉市が行うことを決定し、改善に向けた動きがあるのにもかかわらず――資料提供を岡田部長に提出しました――その情報が提供される前にキャンパスの立地が議論されたことは甚だ遺憾です。今後のまちづくりの観点からも、仁戸名地区の消防学校の跡地を活用し、保健医療大学のキャンパスの集約や、老朽化したこども病院の移転、臨床検査に特化した病院の誘致等を実施すれば、医療関係の様々な施設が集約し、今あるがんセンターの研究棟などとともに、医療の町として雇用の創出や効果的な施設の活用、研究や教育の充実を図ることができます。

 そこで3点伺います。

 1つ目、幕張地区で想定されている高潮について検討会議で取り上げたのか。取り上げていないならば、その理由は。

 2つ目、キャンパス統合に係る施設整備費用について、幕張地区と仁戸名地区それぞれの財政負担について検討会議で取り上げたのか。取り上げていないならば、その理由は何か。

 3つ目、1回目の答弁で優秀な人材を集めるという観点からの検討会議での意見も尊重し、県として方針を早期に決定したいと考えているという答弁がありましたが、仁戸名では優秀な人材が集まらない理由は何か。

 次に、羽田空港の騒音問題について要望します。

 千葉市の騒音測定結果は依然として低減をしておらず、こうした状況を踏まえれば、現状の対策には限界があり、抜本的な見直しが必要と考えますが、そこで無視できないのは、羽田空港の西側にある横田空域の存在です。私は先日、国土交通省航空局宛てに横田空域を削減し、西側から着陸を可能にするなど抜本的な対策を要望しました。千葉市をはじめとする本県の上空の騒音影響を軽減するためには、横田空域の削減を含め、首都圏の空域を抜本的に見直すよう要望します。

 新しく県立図書館ができることについては、青葉の森公園に多くの人が集まり、何度も訪れたいと感じるような、県民に親しまれる場になるよう、各施設が連携して取り組むことを要望します。

 学校給食においては、先ほどお話ししたとおり、JAから地域で取れる野菜とその収穫時期について情報をいただきました。今後は、それを生かして学校栄養士会において調理法を周知することにより、地場産物を計画的に供給できる体制をつくっていただくことを要望します。

 犯罪被害者については、犯罪被害者の方がその被害に遭われたことで高等学校に入学できないようなことのないような対策を改めて検討することを要望します。

 これで2回目の質問といたします。

○副議長(三沢 智君) 県土整備部長四童子隆君。

○説明者(四童子隆君) 新湾岸道路と連携した千葉港の取組についての御質問ですが、物流機能向上に向けて埠頭再編を進めている千葉港におきましては、新湾岸道路の効果を最大限に生かすため、港と連携する臨港道路等の検討をしていくこととしております。また、千葉市などの官民関係者と連携して、千葉ポートパーク周辺地域のにぎわい創出に向けて取り組んでまいります。

 以上でございます。

○副議長(三沢 智君) 健康福祉部長岡田慎太郎君。

○説明者(岡田慎太郎君) 保健医療大学について、幕張地区で想定されている高潮について検討会議で取り上げたのか、取り上げていなければその理由は何かという御質問です。検討会議は、県として保健医療大学の将来を見据え、大学の機能強化という観点から御意見をいただくために開催したもので、高潮については取り上げておりません。立地を含む今後の方向性につきましては、検討会議でいただいた御意見も踏まえ、高潮を含めた災害対応についても考慮の上で、県として決定してまいります。また、実際の施設整備においても、適切な対応をしっかりと検討してまいります。

 次に、施設整備費用の比較についての御質問ですが、施設整備費用につきましては、第3回の検討会議において取り上げたところでございます。費用の試算に当たりましては、調査時点での類似施設の施設整備費に加え、今後の物価上昇分を反映させた単価に、仁戸名、幕張それぞれの案における機能強化に必要な面積を乗じて算出したものでございます。今後、実施する基本計画において整備手法を検討する中で、より詳細な施設整備に係る費用についても検討してまいります。

 それから、優秀な人材が仁戸名では集まらない理由は何かというような御質問でございます。保健医療大学の機能強化に当たりましては、優秀な人材を確保するという観点が重要だと考えております。検討会議において、委員からは少子化の中で各大学は学生募集に苦慮している、学生が大学を選ぶに当たり立地は重要項目の1つ、学生が通いやすい交通の便がよい場所がよい、将来にわたって保健医療大学が競争力を維持していくためには、都心に近い立地であることが重要等により、幕張統合がよいという御意見をいただきました。県としましては、保健医療大学が将来にわたって学生獲得を含めた競争力を維持していくため、立地については、幕張統合案として基本的な事項を取りまとめているところでございます。

 以上でございます。

○副議長(三沢 智君) 佐野彰君。

○佐野 彰君 3回目の内容をお話しします。

 幕張キャンパスへの統合について、これまでの説明や議論内容を見て、残念ながら、十分な納得できる回答はいただいておらず、統合の方向性については最初から決まっているような、拙速に進めている印象を受けます。これでは、県民に対して誠実な姿勢であるとは言えません。本件においては、県民の貴重な税金を無駄にすることなく、効率的かつ長期的な視点で予算を活用することが求められます。また、医療機関としての使命を果たすためにも、安全性の高い地域への立地は不可欠です。震災リスクが高い幕張地区に統合を進めることは、極めて不適切です。

 私は、この代替案や懸念点を提示しましたが、それぞれに対する誠実な回答や、十分な議論がされているとは到底言えません。このままでは、幕張への統合を容認することはできません。改めて検討会議の議論のやり直しを強く求めます。

 先ほど来、いろいろな御意見がありました。答弁が岡田部長からありました。本来であれば、これは知事さん、あなたのほうからきちっとした答弁をすることが、今日、たくさんの皆さんが集まって期待をしているわけです。それをはぐらかすような形のないような答弁を、今からでも遅くないからきちんとしてください。先ほどのお話の中で、幕張と仁戸名地区それぞれの財政負担の答弁の中で、今後の基本計画において、より詳細な施設整備にかかる費用を検討していくとの答弁でしたが、立地場所を決めてからつくる基本計画では、整備手法や費用を検討するのは順序が逆じゃないですか。そういったことを踏まえた中で、もう一度、きちっとした形で、やはり検討委員会を開いて、その中でやるべきです。

 先ほど幕張からのお話が、交通の利便性という岡田部長からそういった指摘がありましたけれども、だからこそ大森台の駅と学園前の間に新駅をつくったらどうですかということを提案しているんじゃないですか。あるものだけ生かすのであるならば、何も町はよくなりませんよ。そのものをどういう形で生かし切れるかということが行政の立場でしょう。

 今回の質問の中で、あくまでもバランスが欠けている、何も初めから幕張ありき、仁戸名ありきと私は言っているわけではない。当初は、行政は公平な立場のバランスの上にどうあるかということが、県民に正しく伝える使命じゃないですか。そういった形ではなくして、何一つ答弁を聞いても、質問に対しても答えがなっていない。だから3回目の質問はしませんけれども、きちんとした、もっとお金がかかる中で、財政が厳しい中で、きちんとした形の中でやることを、もう一度、今回の保健医療大学については再協議をお願いいたし、質問を終わります。

 以上。

○副議長(三沢 智君) 次に、渡辺務君。

 (渡辺 務君登壇)

○渡辺 務君 自民党、富津市選出、渡辺務です。今回、質問の機会を与えていただいた先輩議員並びに同僚議員に感謝を申し上げます。

 また、本日は支部の研修会ということで、地元の多くの皆さんに傍聴をいただいておりません。後で心の中で感謝申し上げたいと思います。完全入替え制です。

 初めに、熱中症対策についてお伺いします。

 ダーウィンが進化論の中で語った有名な言葉です。最も強いものが生き残るのではなく、最も賢いものが生き延びるのでもない、唯一生き残るのは変化できるものである。今年の夏も大変暑い日が続きました。その中で、今までは当然のように行われていたことが、少しやり方を変えなければ、つまり、今の環境の変化に適合しなければならない、そんな課題が私たちに突きつけられていると感じます。

 今年5月に、スポーツ庁から各都道府県スポーツ主管課宛てに、スポーツ活動における熱中症事故の予防についてという依頼文が出されました。内容は、日本スポーツ協会が昨年行った熱中症予防に関する実態調査の結果、その対策が十分ではないことが分かったので、ガイドブックなどを参考にして適切な処置を講ずるようにとの依頼です。大きな自治体であれば、立派な空調施設を備えた体育館で問題なく大会運営が可能ですが、県内でも多くの自治体や学校施設の体育館は、まだ空調設備は整っていないのが現状です。県教育委員会では、これまで計画的に空調の整備を進めてきており、今年度から新たに体育館への空調の整備に着手したところですが、近年の災害級の猛暑において、体育館に空調がなければ学習活動への影響は大きいと言わざるを得ません。生徒たちの学習活動を保障するためにも、体育館への空調整備は早急な対策が必要と考えます。

 そこで伺います。県立学校の体育館への空調設置について、今後どのように対応していくのか。

 また、夏のスポーツ大会日程については、児童生徒の健康被害を起こさないように注意しながら地方予選を計画しなければいけませんが、学校の行事、特にこの時期は、春に行う運動会や体育祭、授業の中では期末テストなどのスケジュールも絡み、現場の部活動顧問やスポーツクラブの指導者の皆さんは大変苦労しています。今まで7月中旬に県大会の選考会をしていた私の地区の中体連では、6月に前倒しをせざるを得ない状況となり、私が関係しているバドミントン協会も共催の要請を受けました。これを受けて、急遽一般の大会と中学校の県大会予選を兼ねる運営を余儀なくされました。しかし、これがまた大変で、一般の協会が県や国の大きな大会につながる選考会を行うには、審判の確保や組合せの公平性など多くの課題があります。

 そこで、夏の大会を秋にずらすという方法が考えられるわけですが、これは県の体育連盟だけでは到底変えることはできません。大会の時間帯を早朝とか夜にずらすという方法も考えられます。これは、児童生徒を夜遅くまで拘束していいかという大きな課題があります。つまり、簡単に上から目線で時期をずらせとか時間帯を変えろと言われても、現場の部活動顧問の先生やスポーツ団体の指導者には、簡単に対応できない事情があります。これは、私の住む富津市だけの問題ではありません。宮坂議員を通じて浦安の市民からも御指摘をいただいているところです。

 (「頑張れ」と呼ぶ者あり)

○渡辺 務君(続) ありがとうございます。恐らく多くの県民、特に児童生徒を持つ親御さんが強く感じていること、それは、スポーツ大会をこの時期にやることと、児童生徒の身体の安全の両立を真剣に考えているのかということです。

 そこで伺います。高校総体や中学総体等、各種スポーツ大会の日程を暑い時期からずらすべきと思うが、どうか。

 続いて、地方創生2.0について伺います。

 政府は、本年6月に閣議決定した骨太の方針2025や地方創生2.0基本構想を発表し、今後の地域活性化を推進するための方針を公表しました。それを受けて、県としてどのような対策をしていくのかが気になります。

 そこで、3点お伺いします。

 まず、地域公共交通について。地域の生活を支える地域公共交通は、人口減少による利用者の減少等によって厳しい状況に直面しています。先般公表された国の交通空白リストアップ調査の結果によると、全国で2,057地区の交通空白地があり、県内でも77地区あるとのことです。私の地元富津市では、こうした交通空白地域での生活の足を確保するため、地元のNPO団体が自家用車を使ってスーパーや病院などの目的地へ利用者を送り届けるという、いわゆる公共ライドシェアが行われています。こうした取組を県内に全面展開していくためには、補助金の整備やコーディネート人材の派遣といった支援の充実が必要です。

 こうした中、県では、今年度から地域公共交通「リ・デザイン」推進事業を開始し、市町村等への支援を強化したと聞いています。県が契約したコンサルタントによる事業企画などへの相談支援が新たに実施されるとともに、実証事業などへの補助も拡充されたとのことであり、その成果には大いに期待を持っております。

 そこで伺います。地域公共交通「リ・デザイン」推進事業による市町村等に対する相談支援や補助について、現在の実施状況はどうか。

 次に、観光振興について伺います。

 観光は、宿泊施設や観光施設はもちろん、飲食店や小売業、交通機関など幅広い分野で雇用や消費を生み出します。それは、地域経済や人々の暮らし、文化などに直接的、間接的に影響を与える産業であり、地方創生の柱として注目されています。政府は、先ほど紹介した閣議決定において、観光分野などで地域経済の成長につながる施策が面的に展開されていくよう、地方公共団体と企業や大学、研究機関などの多様な主体が広域的に連携しながら地方創生に取り組む広域リージョン連携を推進するとしています。この広域連携は、本県の観光振興を考える上でも大変重要で、特にインバウンドの推進に当たって近隣都県と連携して取り組んでいく必要があると考えます。

 成田や羽田から日本に入国したインバウンド客の多くは、東京や箱根から富士山、京都、大阪などを巡るゴールデンルートを周遊しており、本県は日本の玄関口である成田空港を有しているにもかかわらず素通りされてしまうことが多々あります。もちろん、オーバーツーリズムやマナーを守らない外国人旅行者という課題も乗り越えなければいけませんが、せっかくインバウンドの吸収力を持つ東京と近接しているのだから、千葉を含むほかの地域にも足を運んでもらい、関東を素通りさせないよう、近隣都県と連携し、広域で魅力をPRしていく必要があると考えます。

 そこで伺います。インバウンド誘客の促進に向け、県では近隣都県とどのような連携を行っているのか。

 また、国内外からの誘客に向けては、都道府県域を越えた連携だけではなく、県内における市町村間の連携を促進していくことも重要です。私の地元富津市では、木更津市、君津市、袖ケ浦市とアクアラインイースト観光連盟を構成し、広域での観光PRを行っていますが、観光客は南房総や勝浦、鴨川地域にも足を伸ばすことが多く、既存の枠組みにとどまらない幅広い対応や連携が求められています。

 そこで伺います。観光振興に向けた県内市町村の連携を促進するため、県としてどのように取り組んでいくのか。

 続いて、港湾の維持管理について伺います。

 千葉県には、産業振興や地域経済の活性化に重要な役割を担っている港湾が、私の地元の浜金谷港を含め7港あります。浜金谷港は、房総半島の富津市金谷に位置し、古くから房総と湘南を結ぶ海上交通の拠点として、旅客運送及び南房総の農産物や房州石などの輸送が行われ、当地域の発展に寄与してまいりました。当港は北港と南港に分かれており、北港では埠頭用地の拡充整備を図り、水深5メートル岸壁から南房総産出の砂や砂利等の重要な積み出し港として利用されています。南港では、神奈川県久里浜とを結ぶ東京湾フェリーが昭和35年に就航し、南房総の観光・物資輸送の玄関口として、また、幹線国道・鉄道への結節点として、令和6年では約13万台の車両と約60万人の人の輸送が行われています。県では、その重要性を踏まえ、東京湾フェリーに係る港湾施設使用料等について、平成22年度から全額を免除しているところであり、東京湾フェリーを含む地域資源を活用した観光メニューの開発への支援や、観光客の誘致を行っています。また、災害などにより陸上交通機関が麻痺した場合には、緊急物資、被災者の輸送手段として大きな力を発揮するのではないかと考えております。

 このように地域にとって大変重要である浜金谷港ですが、南港に就航するフェリーの運航を行うために必要な防波堤が老朽化により損傷している状況にあるなど、今後も継続して利用していけるのか危惧しているところです。

 そこでお伺いします。浜金谷港の維持管理について、どのように取り組んでいるのか。

 続いて、少子化対策について伺います。

 先日、公明党篠田議員の代表質問での女性活躍推進についての質問に、知事は、無意識の思い込みを変えることが重要だと答弁なさいました。このことについて、私は少子化ストップという観点から論を進めたいと思います。

 知事は柔らかい言葉で無意識の思い込みという表現を使われましたが、私は、アンコンシャスバイアス、無意識の偏見という言葉を使いたいと思います。昨年6月の一般質問でも、私はこの少子化について取り上げさせていただきました。その時の論旨は、地方では高校卒業後、大学や専門学校進学をした若者の地元への回帰、若者回復率が少ないこと。それも男女間で大きな差があり、地方においては結婚相手としての女性が急速に減少しつつあるという指摘をいたしました。100人の男子が地元に回帰する率が約42%、100人の女子が地元に回帰する率が29%、42対29で、そもそも相手の数が足りないと指摘をさせていただいたところです。今回さらに一歩踏み込んで、なぜ年頃の女性は地域に帰ってこないのか、これを様々なデータを基に調べました。出生率の誤解について紹介をいたします。

 分数のお話です。分母の既婚女性10人が仮に10人の子供を産んでくれたとすると、分母10人に対して分子10の新生児が10人で合計特殊出生率は1.0。同年齢のほかの10人の女性が未婚で出産をしないとすると、分母20分の分子が10人で変わらないので20分の10で、合計特殊出生率は0.5%となります。さらに、既婚女性10人は同じで未婚女性が20に増える、つまり30分の10では合計特殊出生率は0.33%となります。つまり、婚外子の率が欧米などと比べて極端に低い日本では、初婚のカップルを増やさなければ出生数は増えない。この若者の未婚化が出生数の減少の主な原因だと言えるのではないかと私は考えています。

 最近の社会や職場での一般の風潮ですが、彼氏いるのとか、結婚の予定はなどの発言を世のおじさんたちが一言でも口にすれば、すぐにハラスメントだと大騒ぎになりかねない。昭和世代の人たちは、若者に出産とか結婚のことを話すことがタブーとなり、昔のようなおせっかいおじさん、おせっかいおばさんが姿を消しました。そんな中、最近よく話題に出るのが婚活サイトや合同のお見合いイベントなどです。今や結婚ゴールインしたカップルのきっかけの第1位が婚活サイトとなり、自治体などでもその運用を開始するなど取組が進んできました。ただ、それをもってしても、顕著な出生数の変化の兆しは見えてきません。

 国やシンクタンクなどは、若い女性の心境の変化を指摘しています。あるアンケートによると、1980年前後では、男性が働き女性が家庭を守るという考えが理想の家庭像の第1位でした。その後、1990年代から2000年くらいまでは、女性は結婚までは働いて、結婚後退職して子育てをして、子育てが落ち着いたら再就職をするという夫婦像が理想の家庭の第1位となりました。その頃に問題となったのが、女性の就業率のM字カーブという言葉です。最近の生保会社の調査、これは2022年度ですが、それでは、女性は結婚後も仕事を辞めずに続けて働き、仕事も子育ても続けることで自身のキャリアも失わないことというのが理想の家庭の第1位となっています。

 ここで、先ほど申し上げたアンコンシャスバイアスが働いています。私も含めておじさんたちは、女性は男性が稼いで自分たちは家を守ることが理想で、家計を助けるために仕方なく働いているんだ、できれば家事と育児に専念したいに決まっているという無意識の偏見を若い女性に日々投げかけ続けているのだと私は考えます。その雰囲気を敏感に感じた女性たちは、こんなところ、こんな地域、こんな会社にいたくない、自分のキャリアを発揮して子育ても仕事も両立した生きがいのある人生を過ごしたいと思うようになっているのではないでしょうか。このように、今までになかった価値観を持つ女性割合がかなり高くなっているのは、私たちも理解しておく必要があるのだと思います。

 では、そのような無意識な偏見をなくしましょうとアナウンスしたところで、事は簡単には進みません。何らかの対策を打って社会の変化に対応しなければいけない、それがこの少子化ストップの課題だと私は思っています。まず、その方法の1つとして、大企業だけではなく、地方の中小企業においても男女間の賃金格差の是正は重要だと考えます。

 そこで2点伺います。

 1、男女間の賃金格差の現状と是正に向けた取組はどうか。

 2、女性の職域拡大についてどのように取り組んでいくのか。

 続いて、東京湾内の環境についてお伺いします。本日は、実際に漁業を営む皆さんも傍聴にいらしてくださっています。

 近年の環境変化に伴う漁業資源の減少といった要因に伴って、漁業従事者の高齢化や後継者不足等、漁業を取り巻く環境は厳しさを増しています。こうした中、本年7月2日には富津市漁協連絡協議会から県に対し、豊かな海の復活を目指す富津市漁業者の活動に関する要望書が提出され、環境の改善と生産の向上に対する支援や、漁業従事者の後継者不足や高齢化に対する施策の要望が出されました。そして、さらにそれに合わせて汚水処理施設における紫外線殺菌装置の導入に関する支援、これも求められたところです。これらの課題に対しては、日々海に接して環境変化を実感している漁業者の声を聞き、関係する主体が協力して有効な方策を探っていく必要があると考えます。

 そこで、東京湾における魚介類の生息環境に対する、下水処理施設における取組の状況について2点伺います。

 下水処理場で行われている塩素消毒の目的と放流先への影響はどうか。

 2つ目、下水処理場の処理水について、紫外線消毒の普及状況はどうか。

 最後に、県産木材の有効活用についてお伺いします。

 本県の森林に目を向けると、その面積は約14万5,000ヘクタールと県土面積の約3割を占めております。また、その面積の3割は人工林であり、そのうちの8割を杉が占めています。このような状況ですが、人工林の約9割は41年生以上となっており、間伐ではなく主伐という本格的な利用時期を迎えております。戦後に植林された森林資源が本格的な利用期を迎える中、取って、使って、植えて、育てるという森林資源の循環利用を進め、人工林の再造林を図るとともに、木材利用を拡大することは、カーボンニュートラルの実現に貢献します。

 ところが、昨今の木造住宅着工棟数の落ち込みや、新たな素材の台頭などで、地元産木材が市場性を失いつつあります。また、ウッドショック以来、輸入木材から国内産木材への転換等で、木材自給率の回復などの兆しは見られるものの、国内の長く続いたコストカット型経済からの脱却、これは思うように進まない現状があります。それにより適切な山の管理が滞ることで、倒木や土砂の河川への流出などで大雨災害の被害拡大の要因となるなど、防災面での問題も指摘されるようになりました。

 昨年9月に震災の影響から復興の遅れていた能登地方では奥能登豪雨が発生し、輪島市の塚田川から住宅地に流れ込んだ濁流により、中学3年生の女子生徒ほか15名の命が失われたことは記憶に新しいところです。9月21日でちょうど1年になります。今や山を健全に管理して維持することは、商材としての木材の価値と同時に、地域防災の観点からも大きな課題です。

 そこで伺います。県産木材利用については、今後、どのように取り組んでいくのか。

 次に、建築物への木材利用についてお伺いします。

 先日、大阪で開催されている大阪・関西万博の視察に行ってまいりました。会場のシンボルである大屋根リングは、日本の神社仏閣などの建築に使用されてきた伝統的なぬき接合に、現代の工法を加えて建築されておりました。使用されている木材は、国産材が約7割、外国産材が約3割となっており、そのうち国産材では人工林に多く植栽されている杉やヒノキが主に使用されているのだと伺いました。また、今月の初めには、私は独自に福島県と栃木県を視察させていただきました。地元産木材の有効活用のために、公共建築の構造材として積極的に活用して実績を上げている企業群を見てまいりました。

 県は、県内で産出される木材の有効活用を図るため、建築物の内装材にしたり、家具をつくるなどの活用に力を入れていますが、何といっても大きな効果があるのは、そういうものとは別に、建築などの構造材として、つまり、木造建築の柱やはりとしての利用を促進させることだと私は考えます。木材の市場価値を高め需要を喚起することにより、山の健全な保全にもつながるものだと思います。

 そこでお伺いします。建築物への木材利用について、どのように取り組んでいるのか。

 以上で1回目の質問といたします。御答弁よろしくお願いいたします。(拍手)

○副議長(三沢 智君) 渡辺務君の質問に対する当局の答弁を求めます。知事熊谷俊人君。

 (知事熊谷俊人君登壇)

○知事(熊谷俊人君) 自民党の渡辺務議員の御質問にお答えをいたします。

 まず、観光振興に向けた県内市町村の連携についての御質問にお答えをいたします。

 本県への誘客を促進し、観光消費額の増加を図るためには、市町村がそれぞれ魅力的な観光コンテンツの整備や磨き上げを行うとともに、市町村間で連携を図り、地域の観光資源を結びつけて国内外に訴求していくことが大切だと考えています。そこで県では、令和4年度から市町村や民間事業者などが連携して取り組む広域的な観光コンテンツの開発に対して支援を行ってまいりました。さらに、今年度からは2市町にまたがり連携の機運が醸成されつつあった養老渓谷温泉郷において、県がハブとなって地域の連携を深めながら、観光地域づくりに取り組み始めたところです。現在、各地域において市町村や事業者の皆様と意見交換を行っている中では、例えば、海や夕日の絶景などを活用した観光地づくりに取り組んでいきたいといった声もいただいており、引き続き、各地域を繰り返し訪問し、連携の機運醸成に努めてまいります。

 次に、県産木材の有効活用についてお答えをいたします。

 建築物への木材利用についての御質問ですが、これまで県では公共建築物などにおける木材利用促進方針に基づき、農林総合研究センター森林研究所の建物や山武合同庁舎の内装など、県有施設における木材利用を推進してまいりました。さらに、都市(まち)の木造化推進法の対象が公共建築物から一般建築物に拡大され、民間建築物における木材の利用を促進するための協定制度が創設されたことから、一般社団法人千葉県建築士協会など4団体と協定を締結し、民間建築物における木材利用を促進しています。また、全国知事会を通じて、柱や壁などの構造材の流通量拡大のための支援等を国に提言したところであり、県としても、引き続き建築物への木材利用を進めてまいります。

 私からは以上でございます。他の質問につきましては担当部局長からお答えをいたします。

○副議長(三沢 智君) 教育長杉野可愛君。

 (説明者杉野可愛君登壇)

○説明者(杉野可愛君) まず、県立学校の体育館への空調設置についての御質問ですが、体育館は、授業や学校行事、部活動に使用されるだけでなく、災害時には避難所として活用されることから、児童生徒の熱中症対策や避難所機能を強化するため、今年度中学校2校、特別支援学校5校、高校2校の設計に着手したところです。今後、中学校及び特別支援学校については、早期に整備を目指す国の方針も踏まえ、令和15年度までの時限措置となっている国の臨時特例交付金を活用し、順次設置してまいります。また、高校については国の交付金の対象となっておりませんが、学校や地域の状況を踏まえ、災害時に避難所に使用される可能性が高い体育館を優先して設置していく予定です。

 次に、高校や中学校のスポーツ大会についての御質問ですが、各種スポーツの全国大会の時期や期間などについては、それぞれの競技の全国組織が定めており、県大会とその予選の日程、運営方法については、県高等学校体育連盟と県小中学校体育連盟等が要項に基づいて計画しています。県教育委員会としては、夏季における大会では生徒の安全を最優先し、適切に熱中症対策を実施した上で運営が行われるべきと考えており、関係機関と連携し、熱中症事故の防止について周知しているところです。今後は、大会の暑熱対策について県内の各連盟と協議し、全国の組織で議論するよう働きかけるとともに、国に対しては、開催時期や時間帯の目安を示すなど適切な対策を講じるよう要望してまいります。

 以上でございます。

○副議長(三沢 智君) 総合企画部長三神彰君。

 (説明者三神 彰君登壇)

○説明者(三神 彰君) 地域公共交通「リ・デザイン」推進事業に関する御質問ですが、本事業では、地域のニーズに合わせた交通モードの導入等を図るため、市町村等への相談支援として、現在11団体を対象に、路線バスの乗降データの分析や、デマンド型交通の導入に係る企画立案などに対し、専門的な知見を有するコンサルタントが継続的に支援を行っています。また、補助事業としては、バス路線の再編や車両の小型化、自動運転バスの導入に向けた実証運行など8つの事業に対する補助を交付決定しているほか、複数の団体から今後の活用に向けた相談を受けているところです。県としては、今後も市町村等の意向に応じて随時相談支援や補助を行い、持続可能な地域公共交通の実現に向け、しっかり取り組んでまいります。

 以上でございます。

○副議長(三沢 智君) 商工労働部長関雄二君。

 (説明者関 雄二君登壇)

○説明者(関 雄二君) まず、インバウンド誘客の促進に向けた近隣都県との連携についての御質問ですが、外国人観光客の本県への誘客を促進するには、近隣都県との連携が効果的な手段の1つであることから、県では、関東広域エリアの自治体や民間事業者等と関東広域観光機構を構成し、国際的認知度の高い東京を起点とした周辺県への周遊ルートなどをPRしています。また、東京都、埼玉県、神奈川県、山梨県と設立した協議会において、欧米やオーストラリアの個人旅行客に向けウェブサイトでの情報発信を行っているほか、先月にはシドニーで開催された東京都主催の海外商談会に千葉県ブースを出展して本県観光のPRを行いました。さらに、茨城県と連携して、アジアの個人旅行客に向け、インフルエンサーの活用等により千葉、茨城の周遊について情報発信しているところであり、今後とも近隣都県と連携して外国人観光客のニーズに合わせた効果的なプロモーションに取り組んでまいります。

 次に、男女間の賃金格差についての御質問ですが、千葉県における男女の賃金格差は、国の令和6年賃金構造基本統計調査によると、男性の賃金を100とした場合、女性は76.2となっており、格差解消のためにはさらなる女性の活躍への支援が重要だと認識しています。国では、女性活躍推進法に基づき、事業主に対して行動計画の策定を求めているほか、男女の賃金差異の公表については、来年4月から格差解消に向けて公表義務づけ対象を労働者301人以上から101人以上の事業主に拡大することとしています。県においても、女性活躍推進法に基づく推進計画を策定し、雇用の分野における女性の活躍を推進しており、シンポジウム等を開催し、企業、団体向けに普及啓発を行うとともに、男女の賃金差異の公表義務等について、ホームページや広報紙により周知を図っています。引き続き、性別によらず職務と責任に応じた同じ待遇となるよう、男女の賃金格差の是正に向けてしっかりと取り組んでまいります。

 最後に、女性の職域拡大についての御質問ですが、女性の職業や職務の範囲を拡大するには、性別にかかわらず、誰もが多様で柔軟な働き方ができるような職場環境づくりを進めることが重要だと認識しています。県では、女性の管理職増加や働きやすさの推進に取り組む中小企業に専門家を派遣し、社内規程の見直しや、働きやすい職場環境の整備などについて伴走支援を行うとともに、女性の登用や職域拡大等に取り組む優良事例の紹介など普及啓発に取り組んでいるところです。誰もが働きやすい職場環境づくりを推進するため、引き続き専門家派遣のほか、企業向けセミナーなどの開催を通して、仕事と生活の両立に向けた支援制度や男性の育休取得促進などの普及啓発に努めてまいります。

 以上でございます。

○副議長(三沢 智君) 県土整備部長四童子隆君。

 (説明者四童子隆君登壇)

○説明者(四童子隆君) 浜金谷港の維持管理についての御質問ですが、浜金谷港は、東京湾の東岸に位置する地方港湾であり、東京湾フェリーの発着場や、砂、砂利の積み出し港として利用され、人の移動や物流の確保など、地域において重要な役割を果たしています。そこで県では、港湾施設の機能を確保するため定期的に点検を実施するとともに、必要に応じて補修等を行っており、今年度は、老朽化した第2防波堤の補修工事に向けた設計を実施することとしています。引き続き、港湾利用者が安心して利用できるよう、施設の適切な維持管理に努めてまいります。

 以上でございます。

○副議長(三沢 智君) 都市整備局長横土俊之君。

 (説明者横土俊之君登壇)

○説明者(横土俊之君) 下水処理における塩素消毒の目的と、放流先への影響に関する御質問ですが、下水処理場では、感染症の原因となる病原性微生物を削減し公衆衛生を確保するため、放流水の塩素消毒を実施しています。消毒に用いる塩素剤は水中で急速に分解し濃度が低下する性質を有しているため、放流先の水域に残留し続けることはありません。また、放流先の環境に影響が生じないよう、放流水に含まれる塩素剤の濃度を確認するため定期的に測定を行い、使用量を必要最小限に管理しています。

 次に、下水処理場における紫外線消毒の普及状況に関する御質問ですが、日本下水道協会が実施している下水道統計によると、令和4年度時点で全国の下水処理場約2,000か所のうち、紫外線消毒装置を導入している下水処理場は約140か所あります。なお、紫外線消毒装置は処理人口が数千人規模の小規模な下水処理場ほど導入事例が多くなっています。

 以上でございます。

○副議長(三沢 智君) 農林水産部長高橋輝子君。

 (説明者高橋輝子君登壇)

○説明者(高橋輝子君) 県産木材の利用についての御質問ですが、県内の杉やヒノキといった人工林の多くは木材として利用できる適期を迎えていることから、森林の若返りを図るためにも県産木材を活用していく必要があります。このため県では、県産木材を使用した民間施設等の内装やテーブルなどの木製品の導入に対して助成を行うほか、木材利用促進に関するシンポジウムの開催等により需要拡大を図っています。また、現在県産木材を使用した製品等を紹介するカタログの作成を行っており、県ホームページへ掲載するとともに、設計士や工務店などの建築関係者及び市町村等へ配布することで県産木材の利用を促進してまいります。

 以上でございます。

○副議長(三沢 智君) 渡辺務君。

○渡辺 務君 知事をはじめ執行部の皆様には丁寧な御答弁をいただきありがとうございました。それでは、幾つか要望をさせていただきます。

 初めに、各種スポーツ大会の日程を暑い時期からずらすことについてですが、御答弁で、大会の暑熱対策について各連盟と協議し、全国の組織で議論するよう働きかける、また、国に対して開催時期や時間帯に関して適切な対策を講じるように要望するとのこと、どうもありがとうございます。児童生徒に夏場の事故がないように、それも来年の夏に何とか間に合うように、ぜひお願いをしたいと思います。

 続いて少子化対策についてですが、男女の賃金格差について、301人規模以上の企業の公表から101人規模へと、いわば大企業だけではなくその範囲を拡大することは、地方の中小企業で働く女性のモチベーションアップや就職先選定に大きくプラスになると考えます。また、職域拡大についてはこんな話を伺いました。私の地域にある大手の製鉄所では、御多分に漏れず人手不足に悩んでいますが、製鉄所は、皆さん御存じのとおり24時間365日、溶鉱炉の火を消すことなく、社員は3交代制を取って仕事を続けています。ここに女性社員の募集をしたところ、何と応募があり採用したのだそうです。一般的には、溶鉱炉で3交代勤務なんて、とても女性の働く環境ではないと考えがちですが、実際には、熱い溶鉱炉の前で真っ黒になりながら作業するのではなくて、エアコンの効いたオペレータールームで監視や機器のコントロールをする仕事なんだそうです。女性のほうが注意力や対応力があり男性よりも優秀かもしれない、ありがたい事態だとお話をいただきました。3交代についても、例えば看護や介護の仕事でも女性の3交代はあるし、男性しかできない制度ではないと気がついたのだそうです。

 今まで女性の仕事といえば、宿泊、飲食、接客、いわゆる笑顔のお仕事か、介護、看護、保育、いわゆるお世話のお仕事と考えられがちでしたが、この製鉄所のように、新たな職域の拡大を模索することは大いに地方の小都市に若い女性をつなぎ留めるきっかけになるのだと思います。

 先日、県の職員でも土木技術者の不足が著しいとのお話がありました。理系女子であったり土木系女子という目線も、偏見を持つことなく採用していくことが人材不足の解消にも、また、地域への女性回帰の面でも必要なのではと考えます。ぜひ、無意識の偏見を少なくすることに今後とも御尽力くださるようお願いを申し上げます。

 続いて、東京湾の環境についてですが、東京湾の環境変化には様々な要因が関係しているものと考えます。このことを踏まえ、漁業者から強く求められている漁場環境等の改善について、各関係分野で連携して丁寧な説明を行うことを要望いたします。

 最後に、県産木材の有効活用についてですが、木材加工の流通施設について、製材工場の新設や既存の施設を整備する場合の補助金などを創出し、県産木材の需要を拡大し、森林の若返りを図り、資源の循環利用を進め、適切に整備を行っていただくということを要望します。そのためには、ただ補助金をばらまくだけではなくて、地元産木材を積極的に公共建築に使用する仕組みづくりが重要です。公共建築は専らRC、鉄筋コンクリート造が今の主流ですが、私が伺った福島県や栃木県、また議員連盟で伺った京都府などは、積極的に地元産材を利用するためのサプライチェーンを確立しつつあります。生の木材を乾燥させる木材乾燥機あるいは大断面集成材をつくる工場は千葉県内にはありませんが、それは得意な地域に役割分担をしてもらえばいいことです。千葉県内で切り出した杉やヒノキ材を利用する公共建築物が増えることで、県内の木材も少しは利用価値が高まり、ひいてはそれが山の保全になっていくのではと考えるところです。

 大規模木造建築の設計、予算組みをできる設計事務所や、その供給を具体的に担う素材生産者、製材会社、大断面集成材工場、プレカット工場等、ノウハウを蓄積している施設や人材は徐々に増えてきています。また、建設業界内でも木造に携わる大工というのは、RC造に比べれば比較的に人材的にも余裕があり、建築単価の上昇も課題となっている中ではありますが、必ずしも木造が高コストとは限らなくなっています。ぜひ千葉県でも公共建築により一層木造を取り入れるよう要望いたします。

 最後に、傍聴にお越しいただいた皆さん、慌ただしい思いをさせてしまいました、お許しください。

 以上で私の質問を終了します。御答弁ありがとうございました。

○副議長(三沢 智君) 以上をもって本日の日程は終了しました。

 明日17日は定刻より会議を開きます。

 これにて散会します。

 午後2時42分散会

お問い合わせ

所属課室:議会事務局政務調査課議会広報班

電話番号:043-223-2523

ファックス番号:043-222-4073

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