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更新日:令和7(2025)年11月21日

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令和7年9月定例県議会(9月12日) 会議録(速報版)

令和7年9月招集 千葉県定例県議会会議録(第3号)

令和7年9月12日(金曜日)

 議事日程

議事日程(第3号)

 令和7年9月12日(金曜日)午前10時開議

日程第1 議案第1号ないし議案第31号、諮問第1号、報告第1号ないし報告第15号及び決算認定に対する質疑並びに一般質問

      

 午前10時0分開議

○議長(武田正光君) これより本日の会議を開きます。

       

 質疑並びに一般質問

○議長(武田正光君) 日程第1、議案第1号ないし第31号、諮問第1号、報告第1号ないし第15号及び決算認定についてを一括議題とし、これより質疑並びに一般質問を行います。

 順次発言を許します。通告順により篠田哲弥君。

 (篠田哲弥君登壇、拍手)

○篠田哲弥君 皆さん、おはようございます。公明党の松戸市選出の篠田哲弥です。

 熊谷知事におかれましては、1期目の在任期間中、県政における様々な課題に取り組んでいただきました。中でも、かねてからの懸案でありました、男女共同参画も踏まえた千葉県多様性が尊重され誰もが活躍できる社会の形成の推進に関する条例の制定は特筆すべきものであると考えております。時々刻々と変化していく社会において、多様化の流れにあらがうことは困難であり、一方で、その流れに沿った改革が社会の多くの場面で求められております。千葉県多様性が尊重され誰もが活躍できる社会の形成の推進に関する条例、以下、多様性条例と申し上げますが、多様性条例制定に賛成した我が会派としても、多様性条例が単なる理念条例にとどまることなく、実効性が伴った、真に千葉県民の生活の質の向上や地域のさらなる発展に寄与するとともに、ひいては県民がその効果を実感できるものとしてまいりたいと強く念願しております。

 そこで、多様性条例前文に例示されている項目を中心に順次検証していきたいと思います。

 まずは全体を通してですが、主に多様性条例の現状の取組状況に関連して、以下の2点について質問いたします。

 1、多様性条例が制定されて1年半が経過したが、条例の目指す社会の実現に向けて、これまでどのように取り組んできたのか。

 2、第4条に規定された県と市町村との連携はどのように進められているのか。

 次に、多様性条例が実効性を伴ったものとなるか否かは、多様性条例の効果を県民一人一人が実感できるかどうかにかかっております。その効果が一部の属性だけに関わるものでなく、社会全体に有益であることを示す必要があります。多様性条例の効果を積極的に周知させることが重要と考えますが、その前提として多様性条例のメリットについて伺います。

 多様性尊重を推し進めることによる千葉県民全体へのメリットとは何か。

 次からは、前文の例示事項に沿って質問いたします。

 例示事項の1点目として、年齢に関連して、多様性を尊重し、誰もが活躍できる社会を形成する上で、千葉県として、全世代に押しなべて施策を講じるべきでありますが、今回は千葉県の未来を担う子供たちとその親たち、つまり子育て世代、そして、これまで千葉県の繁栄を支えてくれた高齢者について質問いたします。これら世代については、急速な少子高齢化の進捗に伴い、新たな課題が噴出していると言っても過言ではありません。

 まずは子育てについてですが、共働き世代が全体の3分の2を占める中、子育て世代の雇用を支える上で保育所及び放課後児童クラブの整備は不可欠なものとなっております。千葉県においても、待機児童の問題は一時深刻な状況にありましたが、関係者の御努力により、その状況は大きく改善したと伺っております。そこで確認のため、千葉県における昨今の状況について伺いたいと思います。

 保育所や放課後児童クラブなどでの児童の受入れに係る現状の課題と取組はどうか。

 次に、千葉の未来を担う存在である子供たちへの教育の重要性については言うまでもないことですが、それに加えて、一般的な定年退職後も含めて人生の質をよりよいものとするためには、リカレント教育をはじめとした、生涯を通じて学べる環境づくりが重要と考えます。

 また、国において教育の無償化に関する施策が大きく進展していますが、子供たちには居住する地域にかかわらず教育の機会を確保するとともに、多様なニーズに対応する質も担保していくことが必要と考えます。

 そこで伺います。

 1、県民誰もが個性や能力を発揮し活躍し続けられるよう、生涯を通じた学びをどのように支援していくのか。

 2、居住する地域にかかわらず、生徒の多様なニーズに応じた学びに向けてどのように取り組んでいくのか。

 次に、高齢者についてです。世界がいまだ経験したことのない超高齢社会に直面し、社会保障、医療など、道なき道を模索している我が国において、ここ千葉県でも課題は山積しております。30年に及ぶデフレから脱却して、遅ればせながらインフレが進んでいる我が国において、これまでのデフレによる物価上昇の停滞は、産業界には大きなおもしとなってきたものの、年金生活者などにとっては有利に働いていた面もありましたが、今後予想されるインフレの進行は、年金生活者などには大きな影を落とすことになりかねないと危惧しております。生活必需品にまで及ぶ急激な物価上昇には、年金額の上昇は大きく後れを取るものとならざるを得ず、年金生活者の生活を直撃しております。ゆえに、年金生活者が大半を占める高齢者への経済的支援、とりわけ生活の基盤となる衣食住の支援が不可欠となってまいります。

 一方で、人生80年時代と言われ、一般的な退職年齢の後も、多くの方が身体的にも精神的にも働き続けることが可能であり、かつ働くことを望む方も多い中、定年退職後の雇用確保や社会でのさらなる活躍を期待する声も少なくありません。千葉県においても、年金収入だけに依存することなく、家計を支えていけるライフスタイルを構築できるよう、年齢に応じた働き方を構築すべく、新たな雇用の確保に努めることが必要となってまいります。

 生活に不可欠な衣食住の1つである住居の確保は、憲法で保障された基本的人権を保障する上で不可欠なものであることは言うまでもありません。しかしながら、折からの地価高騰に呼応する家賃、住居費の高騰はとどまることを知りません。令和7年3月の地価公示によると、1年間の地価は、全国平均では全用途、住宅地、商業地のいずれも4年連続で上昇しております。東京圏においては、上昇幅の拡大傾向が継続しております。東京都内の家賃上昇が時間差で千葉県に及ぶことを考えると、家賃、住居費の高騰は、高齢者世帯にとっても、今後さらなる懸念材料となりかねません。低廉な価額で県民が安心して暮らせる住居を提供する県営住宅の取組は、とりわけ単身高齢者など、真に住宅支援を必要としている方を中心に今後一層重要度を増すと考えます。

 そこで伺います。高齢者の住環境の確保について、県営住宅における取組はどうか。

 さらには、平均して80年にも及ぶ人生の晩年を健康で充実したものとするためには、心身の健康の維持は不可欠なものであります。健康の維持・向上を図る上で、その人の年齢や体力に応じた適切な運動に取り組むことが何よりも重要であります。厚生労働省が策定した「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023 高齢者版」によると、推奨事項の最初に「個人差を踏まえ、強度や量を調整し、可能なものから取り組む」としつつも、「筋力トレーニングを週2~3日行うことを推奨する」と明記されています。これまで運動に縁がなかった方にとって、人生の晩年、一見ハード過ぎるようにも思われる筋力トレーニングに取り組むことへの抵抗は少なくないかとは思われますが、心身の不調を契機に運動に取り組み、劇的に健康状態が好転した事例を耳にすることも少なくありません。その効果は医学的治療を上回ることさえあります。要は運動習慣定着の鍵は、けが防止などの観点から適切な指導を受けられるかどうかにかかっております。

 また、転ばぬ先のつえとして、できるだけ若いときから、幅広い層に健康づくりの礎となる運動習慣を定着させたいものであります。最近はフィットネスブームとも呼ばれているように、県内各所に公営のスポーツ施設とともに、民間の大小様々な形態のスポーツジムが開設されております。さらに、多くの方が健康な心身を形づくるためにスポーツに取り組んでいただきたいと思います。人生の早い時期から健康な体づくりのための運動に取り組むことは、その人の生活全般に好影響を及ぼすものと考えます。

 そこで伺います。

 1、県民の健康の保持増進に向け、県では運動の啓発にどのように取り組んでいるのか。

 2、高齢者の健康の維持・増進のため運動は重要と考えるが、県の取組はどうか。

 前文の例示事項の2点目として、性別について質問いたします。

 千葉県においても、女性初の副知事が誕生するなど、女性の登用を積極的に進めていただいていることは評価いたしますが、まだまだ可能性を秘めた人材が眠っているのではないかとの思いは拭えません。千葉県の発展のためにも、その実力を遺憾なく発揮する場を用意したいものであります。

 令和5年度の雇用均等基本調査によると、民間企業における女性管理職を有する企業割合は、5年前の平成30年度と比較して部長相当職が1.4ポイント増の12.1%、課長相当職が2.5ポイント増の21.5%となっており、社会全体でも女性の幹部登用は着実に前進しております。ジェンダー、つまり社会的性差の解消に向けて取り組むことは当然と考えていますが、生物学的性差の解消において大きな障壁となるのが妊娠、出産の壁であります。子育てはともかく、妊娠、出産は、生物学的には女性でしか担えない役割であります。男性では、それらの役割を代替することはできません。しかしながら、女性の社会進出を推し進めるため、これらの負担を社会全体で分担し、少しでも軽減していかなければなりません。女性が妊娠や出産などにより望まない離職などを防ぐなど、女性の負担を社会全体で分担し、少しでも軽減していかなければなりません。女性が自分らしく活躍するためには、妊娠、出産をはじめとしたライフイベントに際し、両立支援とともに女性の潜在能力を引き出す取組が重要であり、ぜひとも県庁においては果敢な取組、そして県内他団体の模範となる取組を期待しております。

 そこで伺います。女性職員のキャリア形成の支援に向けてどのように取り組んでいくのか。

 また、県庁内での取組や県内各所における好事例を基に、千葉県経済を牽引するような女性の活躍を期待してやみません。東京に隣接し、人と物の交流が活発である一方で海や自然に恵まれるなど、様々な環境が整っていると言っても過言ではない本県においては、多種多様な方面での人材輩出が期待されます。

 そこで伺います。社会全体での女性活躍を推進するために、県はどのように取り組んでいるのか。

 前文の例示事項の3点目として、障害の有無について質問します。

 障害のあるなしにかかわらず、多くの方にとって、スポーツや文化活動は人生を豊かにする上で欠くことのできないものであります。スポーツや文化活動における活躍は、障害をお持ちの方本人やその家族にとどまらず、県民全体に勇気と感動をもたらす事例は枚挙にいとまがありません。スポーツにおいては、本県に活動拠点を置いていた国枝慎吾氏の世界を股にかけた活躍は、障害という枠組みを超えて国民全体に感動と興奮を提供してくれました。また、健常者とは異なる視点がもたらす独特の芸術表現は、多くの関心を集めることも少なくありません。本県にゆかりのある山下清氏の作品などは、その一例であります。障害をお持ちの方が心置きなくスポーツや文化活動に取り組める環境づくりは、県民全体の意識の向上に大きく寄与することは明らかであることから、千葉県としても、それらの活動を強力にバックアップしていただきたいと思います。

 そこで伺います。障害のある方の生きがいづくりとしてのスポーツと文化活動をどのように進めていくのか。

 我が会派の提案に応じて、重度心身障害児・者及び医療的ケア児・者の実態調査を実施していただきました。重度の障害をお持ちの方は、県内各所に必ずしも均一に居住しているものではないことから、障害者施策の推進に当たって、ぜひとも同調査の結果を踏まえた展開を重ねて要望いたします。

 それら要望の中で、重度の障害を持ったお子さんを抱える親御さんにとって切実なのは、親亡き後、その子たちを誰が面倒を見るのかというものでした。ある親御さんは、私が生きている間は、はってでもこの子の面倒を見る。しかし、私が亡くなった後はどうすればよいのかと、切実な思いを語ってくれました。周りの方の介護なくしては1日も生きられない、そのような重度の障害をお持ちの方、そして、その家族が安心して暮らせる体制づくりが望まれます。

 そこで伺います。重度の障害者の親亡き後を見据え、県はどのように取り組んでいるのか。

 前文の例示事項の4点目として、国籍及び文化的背景について質問します。

 千葉県の在留外国人数は、コロナ禍による入国制限の緩和以降、年10%以上の割合で増加しており、現在は過去最高を更新して23万人を超えております。在留外国人の増加は、県内のみならず全国的なものと予想されますが、今後、育成就労制度が始まるなど、定住する外国人の一層の増加が見込まれます。

 こうした中、他県では外国人コミュニティーと住民のあつれきが生じ、社会問題化してしまった状況について、SNSなどを中心に大きく報道されたものを目にしております。千葉県多様性条例の施行から1年半が経過し、多様性が尊重され、誰もが活躍できる社会を目指し各種施策を推進中ですが、県内においても、文化や習慣の違いなどから少なからずあつれきが生じるような場面もあるのではないかと感じております。県内に居住する全ての方々が偏見や差別のない社会をつくっていくためには、正しい認識の下、理解し合う環境づくりが必要と考えます。

 そこで伺います。外国人県民の活躍や地域での共生をどのように進めていくのか。

 外国人犯罪の増加を不安視する声も少なくありません。事実、外国人犯罪に関する報道は、SNSなどでは頻繁に取り上げられております。一方で、AIの活用による情報の過度な偏向が指摘される中、正確な情報か否かをえり分けることがより一層困難となっております。千葉県として、県民に正確な情報を提供する必要性が過去にも増してきております。千葉県内における外国人犯罪の実態を正確に把握してまいりたいと思います。

 そこで伺います。県内の来日外国人の検挙状況はどうか。

 また、外国人犯罪を未然に防止するためには、文化風習の異なる外国人の特性に着目することは不可欠であります。それら特徴に基づいた対策が望まれます。

 そこで伺います。県警として、外国人による犯罪に対し、どのような対策を行っているのか。

 前文の例示事項の5点目として、性的指向及び性自認について質問します。

 国においては、性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する法律がおととし施行されました。多様な性的指向や性自認に関する理解促進は国全体で進んでいるところであります。千葉県としても、国全体の流れに沿うよう、積極的に理解促進を進めていただきたいと思います。性的指向や性自認の問題で人知れず悩まれる方が多いと伺っておりますが、これまでは言われなき差別にさらされてきたことから、他人に相談することがはばかられるなど、精神的なケアが十分になされてきたとは言えない実情があります。

 そこで伺います。性的マイノリティーの方への精神的ケアの取組と実績はどうか。

 次に、財政について伺います。

 健全な財政運営は県政の根幹であることは言うまでもありません。東京都を除く46道府県が財政力指数1未満ということもあり、ともすると、都道府県は国が敷いたレールの上を進むだけに陥りがちですが、千葉県の特徴を踏まえ、県民ニーズに沿っためり張りある財政運営を期待するところです。めり張りある財政、弾力的、柔軟な財政運営においては、財政調整基金などの基金の活用が重要となります。県民の代表たる議会としても、その点を踏まえつつ、しっかりとチェックしてまいりたいと思います。

 そこで、まずは3点質問いたします。

 1、前年度までの行財政改革行動計画期間中における財政調整基金や災害復興・地域再生基金、県有施設長寿命化等推進基金といった主な基金の積立ての状況はどうか。

 2、災害の発生など緊急的な支出が発生する場合に備え、財政調整基金や災害復興・地域再生基金の残高をきちんと確保するべきと思うが、どうか。

 3、令和6年度の県税の徴収状況はどうか。また、今後の徴収対策について、どのように取り組んでいくのか。

 次に、過去に何度か提案させていただいたネーミングライツについて質問いたします。

 千葉ロッテマリーンズの本拠地ZOZOマリンスタジアムなど、ネーミングライツの活用事例を県内各所で目にいたします。全国を見渡すと、導入事例は大規模施設だけにとどまらず、小規模なものにも及んでおります。過去にも岡山市の公衆トイレのネーミングライツを地元の総合リサイクル会社が獲得した事例を取り上げましたが、金額の多寡によって、様々な規模のネーミングライツの導入が可能となっております。ぜひとも今後も積極的に導入を進めていただきたいと思います。

 そこで伺います。県立公園など、県有施設におけるサービスの向上や適切な維持管理のためネーミングライツを導入し、必要な財源などを確保してはどうか。

 次に、防災について伺います。

 かつて異常気象という言葉が多くのメディアに躍っていたものの、今では異常気象が常態化し、もはや異常ではなくなるという皮肉な事態に陥っております。温暖化、沸騰化の一方で、頻度、激甚化の度合いが増す線状降水帯などの豪雨災害、そして、それに伴う土砂災害など、地球全体を覆う気候変動がもたらす災害は時々刻々と変化してきております。昨年までの対策が用をなさないというようなことも珍しくありません。県内に大規模河川が少なく、水害が少ないと思われてきた本県においても、これまでの既成概念を覆すような水害が近年頻発しております。時には、あさってを見越した災害対策が求められるようになっております。

 そこで伺います。気候変動の影響を踏まえ、どのように治水対策を進めているのか。

 一方で、過去の災害の教訓から一刻も早く取り組まなければならない課題も残っております。東日本大震災の折、甚大な液状化被害に見舞われたことは、いまだ多くの県民の記憶に強く残っております。あまり注目はされなかったものの、埋立地域以外でも、小規模な液状化は多くの箇所で報告されております。

 発生原因は異なりますが、本年1月、埼玉県八潮市で発生した道路陥没事故における復旧工事の事例を見ても、地下に埋設されている水道管が一旦損傷した場合には大変な時間と労力が必要となることが分かります。万が一の事態に際しても、生活を支える不可欠なインフラである水道を守り続けねばなりません。液状化が懸念される湾岸埋立地域の大部分を占める県営水道の耐震化は防災対策の最優先課題の1つであります。

 そこで伺います。県営水道における管路の耐震化の進捗率はどうか。とりわけ液状化が懸念される湾岸埋立地域における耐震化の進捗率はどうか。

 次に、まちづくりについて伺います。

 人口減少、そして過疎化が叫ばれる中、限られた公共施設やインフラなどを効果的に活用するためにコンパクトシティーの導入は不可避と考えております。いわゆる高度成長期を支えるため、全国各地から集まった人材の多くが良質な住環境を求めて本県に居住し、その結果、多数の大規模団地、ニュータウンと呼ばれる住宅地が県北西部を中心に形成されました。しかしながら、その多くが高齢化の波にさらされ、様々な課題に直面しております。先頃、上梓された著書「限界分譲地」も、本県が直面する課題を取り上げたものであります。急激な住宅開発に伴う課題に向き合わざるを得ない時期に差しかかっているのかもしれません。

 その解決策として、コンパクトシティーの導入にその活路を見出したいとの思いは強まるばかりです。コンパクトシティーの導入は、主に市町村事業であることは承知しておりますが、導入が真に求められる地域とは、すなわち高齢化、過疎化の進展が著しく、もはやその地域だけでは課題克服が困難な状況にある地域であります。とするならば、県が橋渡しとなり、広域の対応が求められてまいります。

 そこで伺います。コンパクトシティーの実現に向けた市町村の立地適正化計画の策定状況と県の支援状況はどうか。

 コンパクトシティーの要となるのが地域公共交通であります。地域公共交通機関の枠組みを維持しながら拠点までの足を確保することが不可欠となりますが、地域公共交通機関の拠点までの移動を自家用車に頼らざるを得ない地域が多く存在するのも事実です。高齢となり、自家用車の利用が困難となったり、一家に1台、自家用車を保有することが経済的に大変となるなど、課題が散見されるとともに、都市部においてさえ存在する交通不便地域においては、自家用車の利用が渋滞を引き起こす原因となり、ひいては公共交通機関の衰退にもつながっております。様々な側面で生活の足の確保が求められております。

 そこで伺います。交通不便地域において生活の足を確保するため、県としてどのように取り組んでいるのか。

 我が国は今年終戦80年を迎えました。県内各所に重要な軍事拠点を抱えていた本県は多くの攻撃にさらされ、甚大な被害を被りました。そのような戦争の惨禍から力強く立ち上がった先人の功績に、改めて感謝の念を強くするところであります。

 かつての軍事拠点は廃止され、その土地は自作農創設の取組の際に処分が定まらず残され、開拓財産として、使途が定まらないまま残された土地とともに国が所有し、千葉県が管理するという形態を取ってまいりました。それらの土地の中には、表示の登記さえもなされていない現状があると伺いました。それらの土地が80年の長きにわたり使途が定まらない状況にあることから、その管理に関心を寄せる県民も少なくありません。

 そこで伺います。県では、国の開拓財産の処分をどのように進めているのか。

 最後に、警察について伺います。

 明年4月より改正道路交通法が施行され、自転車に関しても自動車やオートバイと同様に、交通違反を犯した際、反則金の納付を通告し、納付した場合には刑事罰を課さない、いわゆる青切符が導入されます。事実上の厳罰化とも言うべきものですが、今後、自転車利用の拡大も予想される中、自転車運転者、そして歩行者の安全を守るためにはやむを得ないものと考えますが、自転車運転者が違反を犯すことなく、皆が道路を安全に通行できる社会構築を目指し、未然に違反行為を周知することが重要と考えます。

 一方で、自転車の傘差し運転や自転車通行帯の逆走など、違反行為を目にすることは少なくありません。特に通勤・通学時間帯に駅へと先を急ぐ場面では、交通事故につながりかねない危険な状況を目にすることもあります。改めて自転車交通ルールに関して、さらなる周知が必要であると痛感いたします。周知を図るに当たって、人通りの多い場所での啓発も必要ですが、違反や事故の多い箇所で違反と認識せず、知らず知らずのうちに違反を犯している方へ直接警告することが、今後の事故防止などの観点から効果的であると考えます。

 そこで伺います。自転車に対する青切符の導入に向け、違反や事故の多い地域を中心に、改正法の内容や自転車の交通ルールの周知に向けた取組を強化すべきと思うが、どうか。

 高齢運転者による交通事故の報道は後を絶ちません。加齢に伴う運動機能、認知機能の低下は皆が直面することではありますが、取り返しのつかない事故を起こす前に、少しでも運転に不安を感じる場合は早めに運転を自粛することが望ましいと思われます。高齢運転者本人のみならず、その家族の中にも、悲惨な事故を起こす前に何らかの対策を講じたいと望む方は少なくありません。

 そこで伺います。運転免許証の自主返納に関する警察の取組はどうか。

 SNSや匿名性の高いアプリなどを巧みに利用して、いわゆる闇バイト強盗や特殊詐欺などの各種犯罪を敢行する匿名・流動型犯罪グループ、いわゆるトクリュウが治安上の脅威となっております。令和6年中のトクリュウによる資金獲得犯罪の検挙人員は、全国では1万人を超え、千葉県では460人を検挙したと伺っております。トクリュウは、特殊詐欺と同様に社会問題となっているSNS型投資詐欺、ロマンス詐欺にも深く関与しているとのことであり、こうした新たな形態の犯罪から県民を守る上では、従来からの捜査手法や資機材のみでは十分な対策が取れないのではないかと思われます。

 そのような中で、今年1月に警察庁が闇バイトによる犯罪対策として、捜査員が架空の身分証を使って雇われたふりをし、検挙に結びつける仮装身分捜査の実施要領を定め、全国警察に通知したということを伺いました。

 そこで伺います。

 1、仮装身分捜査の概要及び県警における実施方針はどうか。

 2、治安上の脅威となっている匿名・流動型犯罪グループに対し、県警はどのような対策を講じているのか。

 以上、壇上での1回目の質問となります。前向きな御答弁をよろしくお願い申し上げます。(拍手)

○議長(武田正光君) 篠田哲弥君の質問に対する当局の答弁を求めます。知事熊谷俊人君。

 (知事熊谷俊人君登壇)

○知事(熊谷俊人君) 公明党の篠田哲弥議員の代表質問にお答えをいたします。

 まず、多様性尊重条例についてお答えをいたします。

 条例制定後の取組についての御質問ですが、多様性が尊重され、誰もが活躍できる社会を実現するためには、県行政のあらゆる分野において、条例の理念を踏まえた施策を実施していくとともに、県や市町村のみならず、県民や事業者が多様性尊重の意義を共有し、社会全体で取り組んでいくことが必要です。このため県では、これまで部局横断的な総合調整を行うための組織として多様性社会推進本部を設置し、女性活躍の推進や生涯現役社会の実現、障害者の社会参加の促進、外国人との共生、LGBTQへの理解促進など、幅広い分野で企業や団体、県民に働きかけつつ取組を進めてまいりました。今後も多様性尊重の意義を広く県全体で共有していくとともに、生きづらさの解消や多様な人材が活躍できる千葉県づくりに向けて、全庁を挙げて取り組んでまいります。

 児童の受入れに係る課題と取組についての御質問ですが、県では、これまで保育所や放課後児童クラブなどの待機児童を解消するため施設整備を促進するとともに、ちば保育士・保育所支援センターでのマッチング支援など、保育人材の確保に取り組み、保育の受入れの拡大に努めてきたところです。こうした取組により、令和7年度の保育所等の待機児童数は91名と、5年前と比べて約90%減少していますが、放課後児童クラブの待機児童数は1,129名と、5年前と比べて約20%の減少にとどまっており、放課後児童支援員や活動場所の確保に課題があると認識をしています。県では、放課後児童クラブの待機児童解消のため、引き続き放課後児童支援員の育成を進めるとともに、活動場所として学校の余裕教室等の積極的な活用を促すなど、県教育委員会とも連携をして市町村に働きかけを行ってまいります。

 高齢者の健康維持増進のための運動についての御質問ですが、高齢者が年齢や健康状態に応じた適度な運動を行うことは、身体機能の維持向上を促し、転倒やけがのリスクを減少させることから、健康寿命の延伸を図る上で重要です。このため県では、趣味やスポーツを通じて高齢者が交流する通いの場などを活用した市町村の運動指導の取組が地域の実情に応じて効果的に行われるよう、介護予防に知見を持つアドバイザーの派遣などにより支援をしております。また、運動機能の向上に関する取組は、低栄養の予防などと一体的に取り組むことが効果的であることから、理学療法士や栄養士などの多様な専門職の参画を促すための研修を実施しているところであり、引き続き市町村や関係団体と連携をしながら、高齢者の健康の維持増進を図ってまいります。

 女性職員のキャリア形成支援についての御質問ですが、多様化する県民ニーズに対応するためには、男女の職員が共に活躍をし、多様な価値観や創意工夫による県政運営を図ることが重要ですが、本年1月に実施をした女性職員へのアンケートでは、責任の重さや家庭との両立への不安などから、キャリアアップを希望しないとの回答が約4割となっています。このため県では、仕事の意義や自らの視野を広げる研修を実施するとともに、テレワークやフレックスタイム制の導入など、多様で柔軟な働き方の推進や、妊娠、出産等を経て職場復帰した後も安心して能力を発揮できる職場環境の整備に努めているところです。また、現在、女性管理職員の体験談の発信や、将来的な職務の方向性を示すキャリアパスの提示などについて検討を進めているところであり、引き続き女性職員が自らキャリアアップを望めるよう取り組んでまいります。

 社会全体での女性活躍の推進についての御質問ですが、男女共同参画の推進に当たっては、家事や育児等の負担の偏りなど、社会全体に根強く存在している固定的な性別役割分担意識や無意識の思い込みを解消するための取組が重要です。そのため県では、企業の経営者や団体のリーダーを対象に、組織の意識変革につなげる男女共同参画サミットを開催するとともに、男女共同参画センターにおいて県民の理解促進を図る参加型イベントを実施するなど、一層の機運醸成を図ってきたところです。今後も女性の登用や職域拡大等の優良事例の紹介のほか、ワーク・ライフ・バランスや両立支援等の重要性の普及啓発に取り組み、男女が共に活躍できる社会の実現に向けてしっかりと取り組んでまいります。

 障害のある方のスポーツと文化活動の推進についての御質問ですが、障害の有無にかかわらず、誰もが心豊かな生活を実現するためには、身近な地域でスポーツや文化活動に親しむことができる環境づくりを進めていくことが重要です。このため県では、これらの活動を支える人材育成に加え、障害のある方や市町村等からの相談対応を行っており、今年度は県民が身近でパラスポーツに関する活動等の相談ができるよう、市町村における窓口設置を支援するコーディネーターを増員いたしました。また、体験や発表機会の創出などの取組においても、パラスポーツフェスタや障害者アートの展覧会などに加え、障害のある方もない方も一緒に楽しめるよう、せりふや動きを手話等により同時に伝えるバリアフリー演劇を新たに開催したところです。さらに、パラスポーツフェスタで障害者アートの巡回展を行うなど、スポーツと文化活動の連携も進めており、今後も障害のある方が生き生きと自分らしく活動できるよう取り組んでまいります。

 次に、財政問題についてお答えいたします。

 県税の徴収状況及び今後の徴収対策についての御質問ですが、県では、令和4年度から13年度の10年間を計画期間とする千葉県県税特別徴収対策計画を策定し、3期に分けた重点対策期間の設定により対策を進めていますが、このうち、令和6年度までの第1期重点対策期間では、県税徴収率の全国順位の目標を30位以内と掲げたところです。この結果として、令和6年度決算見込みにおける県税収入は9,858億円で、前年度と比べ597億円増加をし、徴収率は98.87%で、地方消費税清算前の全国順位は23位から20位に上昇する見込みであり、第1期の目標は達成できる見通しとなっています。今年度から始まる第2期重点対策期間においては、全国順位を9年度までに18位以内とする目標を掲げ、県税滞納額の約8割を占める個人県民税の賦課徴収を行う市町村とも連携し、滞納者の財産調査や自宅の捜索、さらには差押処分を徹底して行うなど、県税収入の最大限の確保に努めてまいります。

 次に、防災についてお答えいたします。

 気候変動の影響を踏まえた治水対策についての御質問ですが、県では、人口や資産が集中する地域の河川や浸水被害が発生した河川などについて、時間50ミリメートル相当の降雨に対応した河川整備を実施してきたところです。また、新総合計画において、気候変動に伴う豪雨による災害の激甚化、頻発化に対応することとしており、河川管理者が主体となって行う従来の河川整備に加え、あらゆる関係者が協働し、地域全体で水害を軽減させる流域治水を引き続き進めることとしています。このため河川整備のほか、雨水貯留対策やハザードマップの作成など、治水対策の全体像を示した流域治水プロジェクトを県内12水系で策定し、取組を進めているところであり、今後、さらに他の水系での策定も進め、治水対策に取り組んでまいります。

 最後に、まちづくりについてお答えいたします。

 交通不便地域における生活の足の確保に関する御質問ですが、人口減少等による利用者の減少や運転手不足などにより、路線バスなどの地域公共交通の維持が困難となっている地域においては、交通モードの転換や、新技術やデジタル技術を導入するなど、公共交通の再構築が必要となっています。県では、こうした取組を推進するため、地域公共交通「リ・デザイン」推進事業により、専門的な知見を有するコンサルタントが市町村等を訪問して事業企画の立案等を支援するとともに、デマンド型交通の導入や自動運転バスの実証運行などに対し、補助を行っています。県としては、本事業により、市町村等に丁寧に寄り添いながら持続可能な地域公共交通の再構築を図り、地域にとって必要な生活の足をしっかりと維持、確保してまいります。

 私からは以上でございます。他の質問につきましては副知事及び担当部局長からお答えをいたします。

○議長(武田正光君) 副知事高梨みちえ君。

 (説明者高梨みちえ君登壇)

○説明者(高梨みちえ君) 私からは、まず、多様性尊重条例についてお答えいたします。

 県営住宅における高齢者の住環境の確保に関する御質問ですが、高齢化が進展する中、経済的要因などにより住宅に困窮する高齢者の増加が見込まれることから、高齢者が入居しやすく、生活しやすい環境づくりを進めることは重要と考えています。そのため県営住宅では、60歳以上の方がいる世帯の入居の当選確率を高くする優遇措置を講じるとともに、住戸内の床段差の解消や手すりの設置などのバリアフリー化、身体機能が低下した方の低層階への住み替えなどを行っているところです。県としては、引き続き県営住宅において、高齢者が安心して暮らすことのできる居住環境が確保できるよう、ハード、ソフトの両面から取り組んでまいります。

 運動の啓発についての御質問ですが、生涯を通じて健康で充実した生活を送るためには、高齢期に入る前から、日常生活の中で継続的に年齢や個人差に応じた運動を取り入れることが重要です。このため県では、リーフレット等により、職場でもできる運動やその効果について周知啓発を行っているほか、地域や職域で健康、体力づくりの指導を行う方が一人一人の体の状態に応じた適切な運動を指導できるよう、技術向上のための研修を実施しているところです。引き続き地域で市町村や企業等と連携し、運動の重要性や具体的な取組方に関する情報を広く提供するとともに、効果的な施策について、有識者の意見を伺いながら県民の運動習慣の定着に努めてまいります。

 重度の障害者の親亡き後を見据えた取組に関する御質問ですが、県では、障害者の高齢化や親亡き後などを見据え、重度障害にも対応できる専門性を有し、緊急時の相談支援や短期入所などが行える地域生活支援拠点等の整備を各地域で促進しています。本年4月現在、地域生活支援拠点等は、共同設置を含め県内39市町で整備されていますが、第八次千葉県障害者計画において、令和8年度までに全市町村に整備する目標を掲げており、相談支援アドバイザーを市町村等に派遣し、拠点等が果たす役割や好事例を紹介するなど、整備が促進されるよう支援を行っているところです。引き続き市町村と連携し、障害のある人が地域でその人らしく暮らせる共生社会の実現に向け拠点等の整備を進め、障害者の生活を地域全体で支える体制の構築に取り組んでまいります。

 次に、財政問題についてお答えいたします。

 主な基金の積立ての状況についての御質問ですが、県では、災害への対応や公共施設の老朽化対策の推進などのため、前年度までの行財政改革行動計画期間中においても、今後の活用見込み等を踏まえ基金の積立てを行い、財源の確保を図ってきたところです。具体的には、財政調整基金について今後の行政需要に備えるため、決算剰余金の2分の1を積み立てるなど、124億円を積み増しています。また、将来の自然災害に備えるため災害復興・地域再生基金に120億円を積み立てたほか、今後の県有施設の整備計画を踏まえ、県有施設長寿命化等推進基金に541億円を積み立てたところです。

 財政調整基金等の残高の確保についての御質問ですが、県では、景気変動に伴って財政状況が悪化する場合や災害の発生などの緊急的な支出に備えるため、財政調整基金や災害復興・地域再生基金の残高確保に取り組んでいます。特に財政調整基金については、改訂する行財政改革行動計画の原案において、1,000億円程度の残高を維持することを目標として掲げています。また、災害復興・地域再生基金については、災害の予防、復旧、災害からの復興及び地域の再生に係る事業に対応できるよう、引き続き必要額の確保に努めてまいります。

 ネーミングライツの導入に関する御質問ですが、県有施設へのネーミングライツの導入は自主財源の確保に資するとともに、命名権を得た企業による地域貢献が期待でき、施設の魅力向上が図られるなど、様々な効果が期待されます。現在、県内7か所の歩道橋において試行的にネーミングライツに取り組んでおり、把握した課題や成果などを整理するとともに、応募する事業者がメリットを感じられる施設や適正なネーミングライツ料の設定などについて検討しているところです。引き続きネーミングライツの導入検討も含め、県有施設におけるサービスの向上や適切な維持管理に必要な財源の確保に努めてまいります。

 次に、防災について、県営水道における管路の耐震化の進捗率についての御質問にお答えいたします。

 県営水道では、管路の更新に当たり、強靱な材質で地震の際にも管が抜け出さない耐震管を採用し、特に東日本大震災で、液状化により甚大な被害が生じた湾岸埋立地域の管路などについて、優先的に耐震化を進めているところです。令和6年度末の管路延長は約9,330キロメートルで、管路全体の耐震化率は28.8%となっています。このうち湾岸埋立地域の管路延長は約700キロメートルで、耐震化率は66.0%となっています。引き続き計画的に管路の耐震化を推進し、水道水の安定供給に努めてまいります。

 最後に、まちづくりについてお答えいたします。

 市町村の立地適正化計画の策定状況と県の支援についての御質問ですが、県では、人口減少や高齢化などの社会情勢の変化に対応するため、住宅や医療、福祉、商業などの都市機能を誘導し、これらを公共交通でつなぐコンパクト・プラス・ネットワークの考え方に基づいたまちづくりが重要であると認識しています。このようなまちづくりを進める上で基本的な計画となる立地適正化計画については、現在、16市町村が計画を公表し、9市町で策定が進められています。今後とも計画策定を促進するため、市町村に対し、引き続き講習会を開催し、国からの最新情報を提供するとともに個別相談会を実施するなど、地域の実情に応じたきめ細かい支援を行ってまいります。

 私からは以上でございます。

○議長(武田正光君) 副知事黒野嘉之君。

 (説明者黒野嘉之君登壇)

○説明者(黒野嘉之君) 私からは、まず、多様性尊重施策における市町村との連携についてお答えいたします。

 県としては、多様性が尊重され、誰もが活躍できる社会づくりを進めていくためには、県民にとって最も身近な市町村と連携していくことが有効であると考えており、これまでパラスポーツの振興や日本語教育の推進、男女共同参画の普及啓発など、様々な分野において連携して施策を実施してまいりました。また、8月に開催した市町村担当課長会議においては、多様性尊重の意義や条例の基本理念について改めて周知するとともに、各市町村の取組事例の紹介や、県が実施する市町村関連施策の情報提供等を行い、意識の共有を図ったところです。今後とも市町村との連携を密にし、それぞれの取組の相乗効果を発揮できるよう、地域の特性も踏まえつつ各種施策に取り組んでまいります。

 次に、多様性尊重のメリットについての御質問ですが、多様性の尊重は人口減少やグローバル化の進展など、現在生じている様々な社会環境の変化に的確に対応していくため重要であると考えております。具体的には、多様性を尊重することにより様々な意見や能力を持った人が集まり、影響し合うことで社会の活力や創造性が向上するとともに、多様な人々が活躍できる環境を整えることで担い手不足の解消に寄与するなど、地域の活力の維持向上につながることが期待されます。こうした認識の下、条例の理念を県全体に一層浸透させ、県民の皆様にその意義や重要性を御理解いただけるよう、さらなる理解促進に取り組んでまいります。

 次に、外国人県民の活躍などに関する御質問ですが、成田空港の拡張事業などにより、外国人県民の一層の増加が見込まれることから、県では昨年度、外国人活躍・多文化共生推進プランを策定し、国籍や文化的背景などにかかわらず、一人一人が個人として尊重され、その人らしく活躍できる社会の実現を目指すことで本県の活力向上を図っていくこととしました。具体的には、外国人の県内での就職、活躍を支援するため、留学生と企業とのマッチング支援等に加え、今回の補正予算においては、外国人や企業からの仕事に関する相談を電話やオンラインで受け付ける窓口を新設することとし、必要な経費を計上したところです。また、地域での共生のためには日本語や生活ルールの習得が重要であり、今年度、新たに日本語学習機会が乏しい外国人配偶者に対する基礎的な日本語教育やオリエンテーションを行っており、引き続きこうした取組を通し、外国人の活躍や地域での共生を促進してまいります。

 次に、性的マイノリティーの方への精神的ケアについての御質問ですが、県では性的マイノリティーの方の生きづらさを解消するため、当事者や家族が抱える不安や悩み等に関して、臨床心理士等が相談を受ける窓口を昨年度から開設しております。今年度は相談日数や時間を拡充するとともに、コミュニケーションツールとして利用者の多いLINEによる相談を開始するなど、相談体制の強化を図ったところであり、8月末までの実績で電話40件、LINE55件、合計95件の相談がありました。今後とも当事者の方に寄り添った支援を実施するとともに、広く県民に対しても理解が進むよう様々な普及啓発に取り組むなど、性的マイノリティーの方の暮らしやすい環境づくりに努めてまいります。

 最後に、国の開拓財産の処分についての御質問ですが、開拓財産は、戦後、自作農の創設を目的として国が買収した山林原野や、旧軍用地等の国有地のうち開墾に適さない土地や、道路等として活用するため売渡しが保留された土地で、現在も国が所有しているものです。県では、旧農地法及び国の処理基準に基づき、法定受託事務として開拓財産の管理を行っております。また、このうち、農道や農業用水路等について市町村が活用を希望する場合には、国に代わって譲与手続を行っており、令和6年度は約800平方メートルを譲与したところです。県としては、引き続き市町村等からの要望に応じて、速やかに譲与等に向けた手続が進められるように取り組んでまいります。

 私からは以上でございます。

○議長(武田正光君) 教育長杉野可愛君。

 (説明者杉野可愛君登壇)

○説明者(杉野可愛君) まず、県民の生涯を通じた学びについての御質問ですが、本年3月に策定した第4期千葉県教育振興基本計画では、一人一人が自己の人格を磨き、豊かな人生を送ることができるよう、生涯を通じた学習を支援し、県民の学習意欲を高めていくこととしています。そのため県教育委員会では、学びの総合窓口において、幅広い年代の方々に対し専門家によるオンライン相談を行うとともに、生涯学習に関する情報提供や関係機関の紹介を行っています。また、生成AIの活用や農業の未来など、様々なテーマで学びの動機づけとなる講座を実施しています。引き続きSNSや県の広報媒体を活用した周知に努めながら、いつでもどこでも誰でも学ぶことができ、その成果を生かして活躍できる生涯学習社会の実現を目指し取り組んでまいります。

 次に、生徒の多様なニーズに対応した学びについての御質問ですが、県立高校には、住む地域にかかわらず、子供たちの多様なニーズに対応した学びの場を提供していく役割があります。このため、本年5月に公表した県立高校改革推進プラン・第2次実施プログラム(案)では、人口減少が進む地域の小規模校について、遠隔授業により受講できる科目を増やすほか、近隣の学校と行事や部活動を連携するなど、活力と魅力ある教育活動を展開することとしています。また、これまで県内に1校のみであった県立の通信制高校を東葛飾地域に新設することとしたところであり、引き続き県内どこからでも多様な学びの機会が得られる環境づくりに努めてまいります。

 以上でございます。

○議長(武田正光君) 警察本部長青山彩子君。

 (説明者青山彩子君登壇)

○説明者(青山彩子君) 私からは多様性尊重条例についてお答えいたします。

 まず、県内の来日外国人の検挙状況に関する御質問ですが、県内における令和6年中の来日外国人犯罪の検挙状況は、検挙件数が1,423件で前年より274件減少しており、検挙人員が836人で前年より32人増加となっております。罪種別の検挙人員は、入管法違反が318人と最も多く、窃盗犯が195人、粗暴犯が64人と続きます。国籍別の検挙人員は、中国人とベトナム人が同数で172人と最多となっており、タイ人が147人、フィリピン人が68人と続きます。

 次に、外国人による犯罪への対策に関する御質問ですが、県警では、本年4月、国際捜査課に外国人総合対策室を設置し、在留外国人に係る犯罪の被害防止と外国人コミュニティーへの犯罪組織等の浸透防止を目的とした総合対策を図っているところです。具体的には、在留外国人を孤立させることなく、社会を構成する一員として受け入れていく観点の下で、各種警察活動を通じ、関係機関等と連携して外国人が関係する犯罪の情報の入手に努め、外国人が被害者にも犯罪者にもならないように外国人向けの指導等を行うとともに、外国人を雇用する企業、団体の管理者に対しても不法就労や不法滞在の防止等に関する指導及び啓発活動を実施しております。一方で、違法行為を行う外国人や、外国人の不法就労等に介在する悪質な仲介業者等に対しては厳正な取締りを行うなど、外国人が関係する犯罪への対策を的確に推進しております。

 次に、警察行政についてお答えいたします。

 自転車に対する青切符の導入に向けた取組に関する御質問ですが、自転車も自動車と同様に車両であり、信号の遵守等の基本的な交通ルールを守る必要があることや、改正法施行後は、多くの違反行為が反則金の対象となることなどについて周知を図っていく必要があると考えております。県警では、自転車による交通事故の危険性が高い地区等を自転車指導啓発重点地区・路線に指定し、悪質、危険な違反に重点を置いた指導、取締りなどの街頭活動を推進するとともに、関係機関・団体等と連携した広報啓発活動や交通安全教育等を通じて、自転車の交通ルールや改正法の周知を図っております。特に中学生や高校生に対しては、学校とも連携し、16歳以上は青切符の対象となることの周知も含めて交通安全教育を推進するなど、交通ルールの周知に向けた取組を推進してまいります。

 次に、運転免許証の自主返納に向けた取組に関する御質問ですが、県警では自主返納や運転経歴証明書の制度の周知を図るため、動画やチラシ等を活用した情報発信、交通安全教育や講話等での制度の説明、運転に不安を感じる高齢者や、その家族等からの相談体制の整備等の取組を推進しております。また、自治体や企業等に対して、公共交通機関の運賃割引をはじめとした自主返納者に対する支援措置の拡充に向けた働きかけを行っており、令和7年9月8日現在で40自治体、3団体、225企業に協力をいただいております。引き続き関係機関・団体と連携しながら、運転免許証の自主返納をしやすい環境の整備に努めてまいります。

 次に、仮装身分捜査の概要及び実施方針に関する御質問ですが、仮装身分捜査とは、SNS等を通じて実行者の募集が行われていると認められる強盗や詐欺等の対象犯罪について、当該募集に応じた捜査員が相手方の求めにより架空の身分証を提示して犯人と接触し、当該犯罪に係る情報を入手する捜査活動となります。県警では、対象犯罪の捜査のために必要であり、他の方法では、犯人を検挙し、犯行を抑止することが困難であると認められる場合に相当と認められる限度で仮装身分捜査を実施する方針であります。

 最後に、匿名・流動型犯罪グループへの対策に関する御質問ですが、匿名・流動型犯罪グループが強盗や特殊詐欺等の様々な犯罪に深く関与している実態を踏まえ、県警では、警察の総合力を発揮できる部門横断的な体制を構築するとともに、同グループの中核的人物等の取締りを行う事件検挙体制のほか、犯罪手口や資金源等の活動実態を明らかにする実態解明の体制を強化し、あらゆる法令、捜査手法を駆使した戦略的な取締りを推進しているところです。引き続き同グループの弱体化及び壊滅に向けて、県警一丸となった取組を推進してまいります。

 以上でございます。

○議長(武田正光君) 篠田哲弥君。

○篠田哲弥君 知事をはじめ執行部の皆様、御答弁ありがとうございました。2回目として、若干の質問と要望をいたします。

 まずは、多様性条例に関してです。

 現在の取組状況について、おおむね理解しました。重ねて申し上げますが、多様性条例が単なる理念にとどまることなく、実効性の伴うものとなるには、多様性条例導入のメリットを県民一人一人が実感することが重要であります。多様性尊重を推し進める根拠として、東京大学教授、小林武彦先生の著書の中で生物学的視点から興味深い意見を目にしました。一部引用させていただきます。

 原始の細胞は徐々に存在領域を広げていき、その中で効率よく増えるものが選択的に生き残り、いろんな細胞ができ、さらに、その中で効率よく増えるものが生き残る。この変化と選択が繰り返されたと述べられています。つまり生物学的な視点からは、生き残るために多様化していったというのです。また、同書では、栄養の奪い合いを避けるため、集団から離れた細胞のほうが生き残りやすいという選択も働いたと想像できます。異なる場所でそれぞれ変化と選択が繰り返され、時間とともに、いろんな場所でその場所に合った特徴的な細胞が幅を利かせていきましたとも述べられています。

 限られた人的資源が生き生きと活躍できるためには多様化が必要であるとの主張も重要です。首都東京に隣接するという地理的な利点とともに、海や山の資源に恵まれ、農林水産業が古くから盛んな本県は多様な産業が発達し、多様な資源に恵まれております。一方で、一部産業に人材が偏り、残りの産業には深刻な人材不足の波が及んでいる今こそ、多様な分野で多様な人材、そして資源が活用できる状況整備が不可欠であります。今後、グローバル化や技術革新、人々の意識変化を背景に性別、年齢、国籍、価値観など、様々な背景を持つ人々が共生する社会の多様化が進んでいきます。多様性尊重は、その多様化した環境の中で個々の違いを受け入れ、対等に扱い、生かす姿勢を意味します。多様化を最大限に生かすためには、多様性を尊重する意識と行動が不可欠と考えます。

 そこで伺います。多様性条例に基づき、多様性尊重を推進していくメリットをどのように探求し、県民に周知していくのか。

 次に、同じく多様性条例に関連して、年齢を問わず活躍できる社会について質問しましたが、今回取り上げた子育て世代、高齢者世代の課題に関連して、子育て世代を支援する上で、保育所不足以上に放課後児童クラブの問題が深刻化していることが分かりました。一時、全国的な問題となり、国を挙げて取り組んだ結果、保育所の不足に関しては一定の効果が出ていることは評価しますが、放課後児童クラブの不足については道半ばと言わざるを得ません。今後、重点を置いて取り組まなければなりません。保育人材が不足している一方で、高齢者の雇用の問題が今後一層深刻化していくことを考えれば、両者をうまく組み合わせることでおのおのの問題の解決を図ることができはしないかとの思いに至ります。

 そこで伺います。放課後児童クラブの運営に、シニア世代を含め多様な人材を活用すべきではないか。

 以下、順次意見、要望を申し上げます。

 多様性条例に関連して、高齢者が活躍できる社会を目指す上で、経済面とともに健康面での不安解消は最優先課題であることは言うまでもありません。ちまたではフィットネスブームが叫ばれ、都市部を中心に民間のスポーツジムが多く開設されています。女性だけをターゲットにしたスポーツジムなど、フィットネスブームは、これまであまり縁のなかった層へも浸透しております。体力面では劣ると考えられる高齢者層においては、どちらかというと、介護という視点から劣後する面を標準値に戻すことが取組の中心でありましたが、運動という視点から標準値以上を目指すことも必要と考えます。現役世代においては、前述のフィットネスブームにより、多忙な仕事の合間を縫ってスポーツジムに足を運ぶ方も多数いらっしゃいます。その理由としては、健康面だけではなく、仕事面でも利点があると多くの方が認識しております。

 高齢者においても、同じことが言えると思います。ただし、現役世代とは異なり、高齢者のスポーツについては、体力、筋力の増強以上にけがの防止という視点が重要になります。けがを防止しながら体力、筋力の増強を図ることに主眼を置いた指導員の育成も必要と考えます。公営のスポーツ施設の整備は主に市町村事業になりますが、民間のスポーツクラブでは、手薄な高齢者の運動指導を適切に行う指導員の育成と派遣を通じて県民全体の健康向上を図っていただきたいと思います。

 多様性条例に関して、性別については、女性の社会進出を図る取組は県庁において大いに進みつつあると実感しております。社会全体としても、徐々にではありますが、着実に進んでいると感じます。県庁としては、ぜひ千葉県内の企業、団体の模範となる取組を重ねてお願いいたします。

 多様性条例に関して、障害の有無については、健常者の視点からだけでなく、障害をお持ちの方の視点を施策に取り入れていただきたいと思います。現状では、施策が構築された後に障害者の方から意見を伺うにとどまっていると聞いております。それでは、障害者の方に意見を聞く意味がないと言っても過言ではありません。施設を建設する際には、障害者に考慮したバリアフリー設計をうたう事業者も多いかと思いますが、実際に施設を利用する障害をお持ちの方からは不満の声を聞くことも少なくありません。設計段階から、当事者の意見が聞ける体制づくりに取り組んでいただきたいと思います。

 多様性条例に関して、国籍及び文化的背景については、外国人犯罪が誇張され、実態以上に批判を受けることは看過できません。日本人を含めて、国籍を問わず、日本の刑法を犯した者が犯した罪に応じた刑に服することは当たり前であります。また、罪が犯された後にどう対応するか以上に、犯罪を未然に防止する取組にぜひとも全力を挙げていただきたいと思います。

 財政に関して、ネーミングライツの導入について要望します。

 残念ながら、公共施設のトイレは汚いというのが常識となっております。屋外で不特定多数の方が利用する公共施設のトイレをきれいに保つことは容易ではないと思われますが、県民の多くが気持ちよくトイレを利用したいと思っております。清掃回数を増やすために予算を確保し、人員を増やしていただくよう要望いたします。

 ネーミングライツによる収入を個別に基金を設立するなど、特定目的に活用することとすれば、ネーミングライツの推進に一定の寄与をするものと思われます。民間においても、クラウドファンディングによる資金調達は一般化しております。大義名分が立てば、財政的支援がかなう環境づくりが進んでおります。快適な公共施設を構築するため財源確保に取り組んでいただきたいと思います。

 防災について1点目ですが、近年の気候変動の進捗は予想を大きく上回っていると言わざるを得ません。自然の猛威に立ち向かうのではなく、災害リスクの低い地域へ住宅を誘導するなどの選択肢がもっと強調されなければならないと思います。その視点を踏まえて、千葉県としても、地元市町村と実効性ある対策に取り組んでいただきたいと思います。

 2点目に、水道管の耐震化は東日本大震災の教訓として、我が県が全国に先駆けて取り組まなければならない課題であると考えます。ぜひとも耐震化を一層推進するとともに、その成果を県民に周知し、県民が安心・安全な暮らしを実感できるよう取り組んでいただきたいと思います。

 まちづくりについての1点目として、人口減少、過疎化が不可避な中、限られた施設やインフラを有効に活用するため、コンパクトシティーの取組は重要となりますが、以前にも取り上げましたが、小規模な市町村が単独で取り組むのは困難です。県内においても、複数の市が連携して取り組む事例が始まっていると伺っております。今後も地元市町村の実情を把握して、近隣市町村との連携がスムーズに進むよう、千葉県としても、より一層の取組をお願いいたします。

 2点目として、交通不便地域の足として様々な取組がなされていることは了解しました。この問題は全国各地で取り上げながら、いまだ十分に解決策が見出されているとは言えません。とするならば、海外の取組に目を移すことも必要かと思います。ちなみにヨーロッパでは、10キロメートル以上の中距離の移動にも自転車を活用する取組がなされています。標高の高い山がほとんどなく、比較的平たんな本県では、移動手段として自転車を活用することは比較的容易であると考えます。ましてや電動アシスト自転車であれば、体力の劣る方でも中距離の移動は決して不可能ではないと思われます。より一層、交通不便地域の生活の足として自転車の活用を推進していただきたいと思います。

 3点目として、国の開拓財産の問題は、戦後長きにわたって残されたこの問題を認識していない県民がほとんどではないかと思います。場合によっては、この問題を周知させることによって得られる知見も少なくないと思われます。また、協力を仰げる企業団体が現れるのではないかと思います。まずは開拓財産が存在する地元を中心として、この問題の状況を周知するなどしていただくよう要望いたします。

 交通安全対策についてですが、今後のまちづくりにおいて、自転車の積極的な活用は大変重要となります。自転車の活用を進める上で、安全面でのさらなる取組は必須だと思います。

 また、危険な自転車運転が誘発する自動車を巻き込む事故も少なくありません。ゆえに、安全な自転車運転を求める自動車運転者も少なくありません。ともすると、自らが加害者となり得るという意識が希薄な自転車運転者の意識転換を促すようお願いいたします。

 最後にトクリュウの取締りについてですが、いまだその実態が闇に覆われている中、ただただ不安を感じる方も少なくありません。従来型の犯罪捜査が通じない巧妙な手口を用いた犯罪者らを摘発するため、これからも犯罪摘発に向けた様々な取組をお願いいたします。

 以上、2回目の質問と要望といたします。

○議長(武田正光君) 総合企画部長三神彰君。

○説明者(三神 彰君) 多様性尊重のメリットについての御質問ですが、県といたしましては、多様性尊重に取り組んだことによって担い手不足の解消や地域活性化など、具体的な効果をもたらした好事例について、企業や地域から情報を収集しまして、その効果を県民の皆様にも分かりやすく実感していただけるようにお伝えをするなど、周知に努めてまいりたいと考えております。

 以上でございます。

○議長(武田正光君) 健康福祉部長岡田慎太郎君。

○説明者(岡田慎太郎君) 放課後児童クラブでの多様な人材の活用についての御質問ですが、県が令和6年度に実施した放課後児童支援員の認定資格研修では、研修修了者の約4分の1が60代以上となっており、シニア世代の方にも支援員として御活躍いただいています。引き続き児童の健全育成に携わる職の魅力について広く周知し、実施主体である市町村と連携して、放課後児童クラブでの多様な人材の確保に取り組んでまいります。

 以上でございます。

○議長(武田正光君) 篠田哲弥君。

○篠田哲弥君 それぞれに御答弁ありがとうございました。最後に要望をさせていただきます。

 多様性条例については、熊谷県政のランドマークとも言うべきものであると思います。この視点を基に、今後もしっかりと施策の構築、実行に取り組んでいただくことを期待いたします。

 また、高齢者の雇用の問題は、今後、就職氷河期世代が高齢化するに伴って大きな問題となることが予想されます。この点を踏まえて、行政としてシステム化を見据えるなど、その先を行く取組を期待いたしまして、私の代表質問を終わります。大変にありがとうございました。

○議長(武田正光君) 暫時休憩します。

 午前11時25分休憩

      

 午後1時0分開議

○副議長(三沢 智君) 休憩前に引き続き会議を開きます。

 引き続き質疑並びに一般質問を行います。通告順により石川りょう君。

 (石川りょう君登壇、拍手)

○石川りょう君 千葉新政策議員団、船橋市選出、石川りょうでございます。本日は千葉新政策議員団を代表して質問させていただきます。よろしくお願いいたします。

 早速伺ってまいりますが、知事の政策方針について、まず総合計画について伺ってまいりたいと思います。

 総合計画とは県政運営の基本となるもので、本県の政策の基本的な方向を総合的、体系的にまとめた県政全般に関する最上位の計画であり、県民の皆様にとっても非常に重要な計画でございます。

 まず、新しい総合計画の基本理念について伺います。

 今次計画では、「~千葉の未来をともに創る~県民を守り、支え、そして飛躍する千葉の実現」と、このようにされております。私は、このタイトルについても好意を持って受け止めておりますが、前総合計画の基本理念であった「千葉の未来を切り開く」というタイトルも壮大かつ野心的であり、個人的に大変気に入っておりました。千葉の未来を切り開くにはそれなりの時間を要するんだろうなと、このように想像していたのですが、3年間で「千葉の未来をともに創る」に変わってしまうことに少々違和感を感じました。もう千葉の未来は切り開き切ったのでしょうか。新しい総合計画に変わったとしても、理念は継続をし、基本構想や実施計画の内容をアップグレードしていくという方法もあったものと考えます。

 そこで伺います。前総合計画の基本理念である「千葉の未来を切り開く」に対し、新たな計画では「千葉の未来をともに創る」とした意図は何か。

 総合計画についてはもう1問お尋ねをしますが、新しい総合計画を策定するに当たって、前総合計画の進捗を踏まえて策定することが重要だと考えます。本県では、計画に掲げた基本目標の実現に向けて、各施策の実施状況の分析を通して課題を把握し、必要な改善を次の施策展開に反映させていく政策評価を、有識者による意見も踏まえて毎年度実施をしてきたと認識しています。たくさんの成果も出たと思いますが、同時に反省や課題などもあったものと推察いたします。それらを踏まえた前総合計画の政策評価の最終的な結果や、その結果を新総合計画にどのように引き継いでいくのか、大変気になるところであります。

 そこで伺います。前総合計画の政策評価の結果について、新計画にどのように反映をしたのか。

 次に、国家戦略特区について伺います。

 国家戦略特区制度は、成長戦略の実現に必要な大胆な規制・制度改革を実行し、世界で一番ビジネスをしやすい環境を創出することを目的に創設された制度です。本年7月に、全国16区域の中に千葉県全域が指定されました。我が県が指定をされたことにより、既に他の国家戦略特区で認められた様々な分野での規制の特例措置を活用することが可能となります。例えば都市再生、農業、保育、教育、医療、観光、外国人材などが挙げられます。こうした幅広い分野にわたる特例措置を、県内のあらゆる地域でスピード感をもって有効活用し、県土の均衡ある発展を目指していくことが重要だと考えます。

 そこで伺います。国家戦略特区を県内の幅広い地域で活用できるよう、どのように取り組んでいくのか。

 次に、全国知事会議について伺います。

 7月23日と24日の2日間にわたって青森市で開催をされた全国知事会議では、人口減少問題、地方創生、米国による関税措置、医療・介護サービス提供体制の確保、デジタル化、脱炭素など、多岐にわたるテーマについて活発な議論がなされ、最後には青森宣言も全会一致で採択されるという成果を上げたと、報道などから仄聞しております。

 このように、全体的なことはウェブや報道から知ることができるんですが、出席できない我々にとって、肝腎の千葉県に関連する情報は限られます。本県を代表して出席くださった熊谷知事が県民の代表としてどのような役割を果たされ、本県に関係する事柄に対してどのような成果を上げてこられたのか、大いに気になるところであります。

 そこで伺います。今年度の全国知事会議において、知事はどのような発言をし、どう受け止められたのか。また、会議の意義をどう捉えているのか。

 次に、大阪・関西万博について伺います。

 大阪・関西万博は、国内外から約2,800万人もの来場が見込まれる国際的な大イベントであり、我が国の魅力を世界に発信するまたとない機会であります。本県も8月27日から31日まで、特色ある資源である発酵文化をテーマとした「発酵県ちば」ブースを出展し、展示、試食、体験を通じて県の魅力を発信してきました。我が会派も、初日のオープニングセレモニーの様子を視察させていただきました。今回の出展に係る事業費は5,000万円とされており、相応の財政負担を伴うものであることから、その費用対効果を的確に検証することが不可欠であります。また、万博への出展は一過性に終わらせるべきではなく、そのレガシーを今後の地域振興へとつなげることが重要だと考えます。

 県では、一般公募による発酵ロゴマークの制作や大阪・梅田での期間限定アンテナショップの展開など、万博の成果を県民や来訪者に広げる取組を進めております。これらを通じて県内外における発酵文化の認知度を高め、観光、産業の振興にいかに波及をさせていくのかが問われております。

 そこで伺います。大阪・関西万博への出展について、費用対効果などを含め、どのように評価しているのか。また、万博への出展というレガシーを今後どのように生かしていくのか。

 次に、防災対策について伺います。

 松戸市に所在する千葉県西部防災センターのリニューアルについて伺います。

 県民の防災に関する知識や意識の向上並びに防災用資機材や食料の備蓄・搬送基地としての機能を併せ備えた当施設は平成10年に設置され、全体的に老朽化が著しく、故障を抱えながら運営または復旧できずに休止をしている体験設備があり、県内唯一の防災センターであるにもかかわらず、最新の情報が更新されていない状況であります。今後、西部防災センターがリニューアルに向けた検討を進めるに当たり、我が会派は兵庫県にある阪神・淡路大震災記念 人と防災未来センターへ視察に参りました。地震発生の瞬間を再現した映像上映や生々しい被災者の展示、さらには最新技術を使った体験施設を通じて自然災害への備えを学べるフロアがあり、阪神・淡路大震災を風化させないよう様々な工夫を凝らしており、早めの備えがいかに大切であるかということを痛感させるような施設となっていました。千葉県西部防災センターについても、千葉県でこれまで発生した災害を紹介するなど、県民が災害を具体的にイメージできるよう、施設の機能を最大限防災や減災対策に発揮できるようなリニューアルにすべきだと思います。

 そこで伺います。千葉県西部防災センターのリニューアルについて、今後どのように取り組んでいくのか。

 次に、消防の広域化についてです。

 3月に千葉県消防広域化推進計画が制定され、県内消防の連携・協力関係を基礎として、市町村の自主的な取組により消防の広域化を目指すという方針が示されました。しかし、広域化を進めることで、より多くの費用がかかったり、既に近隣自治体との連携が進んでいたり、メリットが見出せないといった事情を抱える自治体もございます。災害や事故の多様化及び大規模化、都市構造の複雑化、住民ニーズの多様化等の消防を取り巻く環境の変化に的確に対応するのが消防の広域化の目的であって、広域化そのものが目的ではないと考えます。

 そこで伺います。県は、どのように消防の広域化を進めていくのか。

 次に、千葉県行財政改革計画について伺います。

 近年、本県の財政運営を取り巻く環境は人口減少や社会保障関係経費の増大、災害への備えなど、先行きの不確実性が増しており、持続可能な行財政運営を確立することが強く求められております。中でも県財政の健全性を支える柱の1つである財政調整基金は、景気変動や予期せぬ財政需要に対応するための重要な財源であって、その残高水準の確保は重要な課題であると考えます。

 県は、現在策定中の行財政改革行動計画の中で、初めて財政調整基金の目標残高を1,000億円程度と明確に位置づけ、安定的な財政運営を維持するための取組をようやく始めようとしてくださっているのかなと感じております。基金残高の目標をどのような考え方で設定をしたのか、また、その目標に向けてどのように財源確保や歳出改革を進めていくのかは、県民の安心と信頼を確保する上で極めて重要な論点だと考えます。

 そこで伺います。行財政改革行動計画において、財政調整基金の残高の目標について、どのような考え方で設定をしたのか。また、目標に向けてどのように取り組んでいくのか。

 次に、多様性社会についてです。

 まず、外国人関係について。近年、本県における在留外国人数は23万人を超え、その割合は3%を超えてきており、外国人比率の高い県の1つとなっています。また、本県には成田国際空港のほか、大規模集客施設が所在をしているため、インバウンドも含めて今後もさらなる増加が予想されます。

 こういった情勢を踏まえ、昨年、本県では千葉県外国人活躍・多文化共生推進プランを策定し、国籍及び文化的背景などにかかわらず、共に安心して暮らせる県づくりを推進し、多文化共生を進めてきたところではございますが、昨今、地域住民から、一部の―あくまで一部です―の外国人がもたらす住環境、生活環境の変化に対する戸惑いや憤りの声が漏れ聞こえております。こういった点も踏まえて、外国人住民が地域の一員として安心して生活をしていくためには、言語や文化の違いを乗り越え、日常生活に必要なルールやマナーを正しく理解し、身につけていただくことが不可欠です。

 そこで2点伺います。

 外国人等との共生社会の実現に向け、県警としては、どのような取組をしているのか。

 また、外国人住民に対し、生活していく上でのルールやマナーなどの習得をどのように促しているのか。

 次に、LGBTQ関係について。

 本県では、昨年7月からLGBTQといった性的少数者らを対象とした相談受付を始めましたが、半年間に受けた相談は電話で15件、メールで10件にとどまっており、稼働状況について疑問の声も上がっておりました。さきの公明党会派の代表質問の中で、令和7年度は8月末時点で電話相談は40件、LINEの相談は55件と周知も高まってきており、利用者も増えているようですが、本相談事業の効果、有効性について、詳しく伺いたいと思います。

 県のLGBTQ相談窓口にはどのような相談があり、どのような点に重点を置いて対応しているのか。

 次に、特定外来生物について伺います。

 自宅や道路、公園で黄色い花が特徴である特定外来生物オオキンケイギクなどが散見をされ、県民から相談を受けることが多くなっております。しかし、見慣れない植物を発見した際、そもそも特定外来生物なのかどうか、勝手に刈り取って捨ててしまってもいいのか、原則誰が駆除を行うのか、そして、その駆除の方法など、適切な対応の理解が進んでいないという実態があります。

 そこで伺います。オオキンケイギク等の特定外来生物について、県民へ周知・啓発を行うべきだと思うが、どのように取り組むのか。

 外来水生植物対策については、昨年度中に予定をしていた手賀沼及び印旛沼におけるナガエツルノゲイトウをはじめとする外来水生植物の大規模駆除は完了し、現在は市民団体等の御協力を下に手作業を中心とした駆除を行っております。

 先般、手賀沼の環境保全に取り組む団体や地元住民から、手賀沼に外来水生植物が急拡大していると、こういう情報提供があり、毎年、市民団体と駆除作業に取り組んでいらっしゃる水野議員が船で手賀沼の現場視察を行ったところ、すさまじい勢いで広がっていたということです。令和6年度には手賀沼及び印旛沼には約3億5,400万円もの予算を計上していただいたものの、一片でも葉や茎が取り残されれば、その断片からでも根を生やし、漂着をして成長していく外来水生植物の駆除は、幾ら予算をかけて大規模駆除を行ったとしても、今、いたちごっこの状況になっていると思います。

 そこで伺います。昨年度中に駆除が一通り完了した湖沼に大規模な再繁茂が確認されているが、県として、今年度はどのような方針で外来水生植物対策に取り組んでいくのか。

 本年2月の定例県議会における我が会派の代表質問及び5月に開催をされた令和7年手賀沼水環境保全協議会通常総会にて、水野議員から外来水生植物自体の特徴の周知と県民が外来水生植物を見つけた際の通報先の仕組みづくりを要望しており、県から新たにスマホアプリを使用した県民参加型の外来水生植物の分布調査が開始されました。

 そこで伺います。スマートフォンアプリを使用した外来水生植物の分布調査の実施状況はどうか。また、この調査を今後どのように生かしていくのか。

 次に、医療政策について伺います。

 本年6月2日に船橋市長及び柏市長が千葉県庁を訪れ、熊谷知事に対して、公立病院の建て替え及び経営に関する要望書を提出いたしました。両市とも市立病院の建て替えを計画しているところですが、昨今の建築資材の高騰や労務費上昇等に起因する建設コストの高騰により、計画どおりに進んでいないということです。また、経営状況も昨今の物価高騰や人件費の上昇により圧迫されていると伺っています。

 両市からの要望書を拝見すると、病院の新築、増改築等に対する本県の補助制度に関し、基準となる建築単価が実勢と乖離している状況であること。また、公立病院の建設改良に係る病院事業債の元利償還金に対する繰出金への地方交付税措置についても、算定に用いる建築単価が実勢と乖離している状況とのことです。そこで両市からは、補助金の基準となる建築単価及び標準面積の引上げや上昇を続ける金利への支援など、建設コスト高騰に対する財政支援が強く求められているとともに、病院経営に対する緊急的な財政支援も要望されております。今次要望書は2市からのものではございますが、近い将来、公立病院の増築や建て替えが必要となってくる県内市町村はほかにも存在をするため、同様の問題に直面することと推察します。

 そこで伺います。

 公立病院の建て替え等について、県の補助制度や地方交付税の算定に用いられる単価が実態と乖離しているという声があるが、本県の認識はどうか。

 また、補助制度や地方交付税の算定に用いられる単価の上昇や病院経営への財政支援を求める声が上がっているが、本県としては、どのように対応するのか。

 次に、福祉政策でございます。

 国の新しい社会的養育ビジョンでは、家庭養育優先原則により、特に就学前の子供については、原則として、施設への新規入所を停止し、里親への包括的支援を抜本的に強化することで里親による養育を推進することとされ、令和11年度までの里親等委託率の目標として、乳幼児にあっては75%以上、学童期以降にあっては50%以上とすることが示されています。

 改正児童福祉法等を踏まえ、本県は千葉県こどもを虐待から守る基本計画を見直し、里親委託を推進し、令和11年度に里親等委託率を40%とすることを目標としました。本県の里親等委託率は全国の数値を上回って順調に推移しているものの、国から示されている委託率が非常に高い数値目標であることから、里親委託の推進に向けた取組をさらに強化する必要があります。

 そこで伺います。千葉県における里親等委託率の推移はどうか。また、今後どのように里親等委託率の向上に取り組んでいくのか。

 次に、委託解除について伺います。

 里親委託を受けて養育した女児と引き離され、精神的苦痛を受けたとして、栃木県内の夫婦が栃木県に対し損害賠償を求めて提訴するなど、委託解除をめぐるトラブルは全国各地で相次いでおります。委託解除を行う場合は、その過程での混乱や分離による傷つきへの対応として、子供及び里親に対し、委託解除の理由や今後について丁寧に説明をし、委託不調の原因に対して、前向きに今後へつなげていくため適切に対応することが重要です。

 そこで伺います。本県における家庭引取り、満年齢、養子縁組等ではなく、里親と里子間の不調による委託解除の状況はどうか。また、委託解除になる際の里親側と里子側のフォローやケアはどのように行っているか。

 続いて、福祉政策における訪問介護等サービス提供体制確保支援事業について伺います。

 6月に行われた我が会派の代表質問において、国の訪問介護等サービス提供体制確保支援事業を活用し、訪問介護事業所の支援に取り組むべきと思うがどうかと尋ねたところ、県としても、国の支援メニューの活用が訪問介護サービスを安定的に提供できる体制の確保に資するものと認識をしており、効果的な活用方法の検討や具体的なニーズの精査を進めているという答弁がございました。さらに、いつまでにニーズ調査を終えるのかという再質問に対しては、関係団体や市町村へのヒアリング等を通じて情報収集しているところ。できるだけ早期に全体把握を終了し、検討を進めていきたいという答弁がございました。これらを受けて今定例会に提出をされた補正予算案では、訪問介護等サービス提供体制確保支援事業に5,000万円を予算化していただいたものと認識をしております。

 そこで伺います。訪問介護等サービス提供体制確保支援事業について、関係団体や市町村のどのような意見に基づき決定をしたのか。

 次に、農林水産業について伺います。

 本県は温暖な気候に恵まれ、首都圏に位置し、また成田空港を擁し、物流にも地の利がある全国屈指の農林水産業県でございます。しかしながら、近年は気候変動による温暖化、度重なる自然災害など、予想だにしないことが起きております。また、農林水産業の担い手不足は就業者の高齢化などの影響で年々深刻さを増しており、平成から令和にかけての20年で半数以下に減少するなど、このままでは5年後、10年後どうなってしまうのか、大変危惧をしているところであります。

 そこで伺います。農林水産業の担い手の確保にどのように取り組んでいくのか。

 次に、三番瀬における養殖振興についてお伺いします。

 三番瀬とは、東京湾最奥部、船橋市、市川市、浦安市、習志野市にまたがって広がる貴重な干潟でございます。この三番瀬をはじめとする本県の沿岸域では、古くからアサリやハマグリなどの貝類資源と並んで、ノリ養殖が地域漁業の柱として発展をしてまいりました。特に江戸前ノリとして知られる本県産のノリは、質の高さとともに地域の食文化や経済を支える重要な産品であります。しかしながら、近年、気候変動や水質環境の変化、さらには漁業従事者の減少などを背景に、安定的な生産の確保が難しい状況に直面をしております。

 こういった中で、県として、どのように養殖業の振興や持続可能な体制づくりに取り組んでいるのかが注目をされております。

 そこで伺います。三番瀬におけるノリなどの養殖振興について、県はどのように取り組んでいるのか。

 次に、中小企業支援について伺います。

 近年、急速に進展するデジタル技術は、生産性の向上や新たな付加価値の創出を通じて地域経済や企業経営の在り方を大きく変えつつあります。とりわけ人手不足や競争激化に直面をする中小企業にとって、デジタル化は経営課題を克服し、持続的に成長していくための重要な鍵となっております。

 本県においても、千葉県産業振興センターに設置をされておりますデジタルツールサービス導入相談窓口や専門家派遣制度などを通じて、中小企業からの相談を受け付けていると認識しております。しかし、その一方で、実際にはどう取り組めばいいのか分からない、導入コストや人材不足が障壁となっているといった声も依然として存在し、中小企業におけるデジタル技術の導入、活用が十分に浸透しているとは言えません。特にIT人材の不足や、DXを推進する社内体制の未整備がボトルネックとなっているという指摘もあります。こうした状況を踏まえ、中小企業がデジタル化に一歩を踏み出すための環境整備や、導入後の伴走型支援をさらに充実させていくことが重要だと考えます。

 そこで伺います。

 中小企業のデジタル化に係る相談状況はどうか。

 また、中小企業におけるデジタル技術の活用を進めるため、今後、どのように取り組んでいくのか。

 次に、教育問題です。

 依然、本県の教員不足は深刻であり、本年3月1日時点での教員未配置の数は、千葉市を除く千葉県内公立学校で425人に上りました。こうした状況の中、現場の教員の皆様は、学校運営に支障がないよう涙ぐましい努力をしてくださっておりますけれども、少ない人員で無理な学校運営が続けば職場環境の悪化を招き、それが離職者の増加につながるという悪循環に陥りかねません。こうした状況に対応すべく、我が会派も、これまで教員の志願者増加のための取組を複数提案させていただいております。

 改めてお伺いします。教員の志願者増加のための取組として、採用選考の早期化や複数回の実施について、その取組状況はどうか。

 児童生徒の自殺についても伺います。

 警察庁の発表によると、2024年の1年間に自殺をした小中高校生の数は529人と、3年連続で500人を超え、成人の自殺者数が減少傾向であるにもかかわらず、児童生徒の自殺者数は増加傾向に転じている実態がございます。子供の総数が減少傾向にある中、子供たちが自ら命を絶つまで追い込まれる状況は危機的状況だと思います。内閣府が2014年までの過去約40年間の人口動態調査から18歳以下の自殺が起きた日を独自集計した結果、やはり夏休み明けが最も多くなっており、春休みやゴールデンウィーク明けなど、長期休暇の直後に自殺者が増える傾向が明らかとなっております。

 まずは、千葉県における状況を伺います。千葉県の過去5年間の公立小中高校生の自殺者数の推移とその特徴はどうか。

 2018年以降、厚生労働省はSNSによる自殺相談を充実させましたが、増加傾向を抑えることはできず、学校側は、児童生徒がなぜ自殺を選んだのかという理由を把握できないでいます。千葉県で実施をしているSNS相談窓口については、令和5年度は3,569件の相談実績中、自殺に関する内容は72件、令和6年度は2,220件の相談実績中、自殺に関する内容は99件とのことで、SOSの出し方に関する教育が推進をされております。また、千葉県教育委員会は、千葉大学とともに、県立高校を対象に1人1台端末を利用してウェブ上でストレスチェックを行うといった取組も始めています。

 そこで伺います。県立高校において、千葉県独自で行っている生徒の心の状態を把握する取組を自殺予防にどのように生かしていくのか。

 次に、交通安全対策についてお伺いします。

 自転車は、誰もが気軽に利用できる非常に便利な乗り物でございますけれども、道路交通法の上では車両であるため、当然、自転車にもルールの遵守が課せられており、ルール違反に対しては罰則もあります。自転車の交通違反について、県警によると、現状では指導警告が中心で、悪質性、危険性が高い違反に対しては取締りを行っているとのことです。

 そういった中、来年4月1日には改正道路交通法が施行され、自転車に対しても交通反則通告制度、いわゆる青切符制度が導入されることとなっています。つまり交通違反をすれば取締りを受け、反則金を納めなければならないという制度が自転車にも適用されることになり、この制度により、自転車利用者のルールの遵守やマナーの向上のほか、自転車の交通事故防止への効果が期待をされるところです。

 一方で、制度の導入に際して県民の皆さんからは、自転車に対する取締り方法は変わるのか、自転車で歩道を通行しただけで反則金を納めることになるのかなどといった不安の声も寄せられております。

 そこで伺います。自転車の交通反則通告制度導入後における取締り方針はどうか。

 次に、我が会派が継続して取り上げております高校生の自転車通学に対するヘルメット着用について伺います。

 警察庁が発表した本年6月時点の全国のヘルメット着用率を見ると、本県は7.9%、全国ワースト4位ということでありまして、1位の愛媛県の70.3%と10倍近い差がございます。この現状を深刻に受け止め、県民の命を守るために早急な対策強化が必要だという認識は共通のものだと考えます。

 本県において、県立高校、市立高校及び特別支援学校高等部で通学手段として自転車を利用する高校生は大体5割、49.9%であって、それら高校生のヘルメット着用率の向上が本県全体の着用率の向上に寄与することは明らかであります。千葉県教育委員会は、本年5月に自転車通学の実態や課題を把握するための調査を実施したと聞いています。これらの調査結果をどのように今後の施策や指導に生かしていくのかは、生徒の安全確保や学校、地域における自転車利用環境の改善につながる重要な論点だと考えます。

 そこで伺います。本年度実施した自転車通学に関する調査の結果を受けて、県教育委員会は今後どうしていくのか。

 また、千葉県警察は「高校生の自転車事故の特徴等について」という媒体を発行しているんです。議長の許可を得て皆様にお配りした当該資料を御覧になっていただけると、これは一目瞭然なのですが、本県において自転車乗用中の交通事故により負傷する高校生の数は突出していて、その多くが通学の際に発生しております。県警もわざわざ特出しして分析しているくらいですので、高校生による自転車ヘルメット着用率に相当の危機感を持っていらっしゃるだろうなと推察します。

 そこで伺います。高校生の自転車乗車用ヘルメットの着用率向上に向けた県警の取組はどうか。

 最後に、東葉高速鉄道について伺います。

 本年6月23日に2024年度、第44期の決算が公表されました。それによると、年間輸送人員は5,614万1,000人、当期純利益は33億6,000万円となっていて、年間輸送人員は過去最高だったコロナ前、2019年度の5,714万8,000人には100万人ほど及ばないものの、当期純利益は同年度の32億3,100万円を超える水準に回復しています。出社回帰の動きの活発化、そしてコロナ前より沿線開発も進んでいるため、私は今年度以降の年間輸送人員及び当期純利益も24年度を上回ってくるものと予想します。

 しかし、本県もその構成員の1つとする東葉高速鉄道自立支援委員会では、毎年、直近の社会経済情勢等を踏まえて長期収支推計のローリング結果を検証しておりますが、昨年12月の最新シミュレーションでは、条件によって、早ければ令和17年度には資金ショートに陥る可能性があることを指摘しています。同推計では、鉄道・運輸機構に対する金利が毎年0.1%から0.3%に上昇すると、このようにされているんですが、これはちょっと非現実的な想定だと私は考えます。こういった悲観的な想定により、今後の東葉高速の財務状況を予測する本県が、同社による最新の決算結果をどのように評価しているのか。また、現時点で自立支援委員会の最新のシミュレーション結果とどのような相違が生じているのか、気になるところです。

 そこで伺います。東葉高速鉄道の2024年度決算について、県はどのように評価しているのか。また、決算と自立支援委員会におけるシミュレーションとの相違について、県はどのように考えているのか。

 以上、1問目といたします。(拍手)

○副議長(三沢 智君) 石川りょう君の質問に対する当局の答弁を求めます。知事熊谷俊人君。

 (知事熊谷俊人君登壇)

○知事(熊谷俊人君) 千葉新政策議員団の石川りょう議員の代表質問にお答えをいたします。

 まず、政策方針についてお答えいたします。

 新総合計画の基本理念に関する御質問ですが、前総合計画では、本県の将来を見据えた上で県民とともに進んでいく方向性を示すため、基本理念に「千葉の未来を切り開く」を掲げ、現場主義を徹底しながら防災対策、企業誘致や産業振興、子供・子育て施策などの取組を着実に推進してまいりました。2期目となるこの4年間は、これまでの取組による成果を踏まえつつ、本県を取り巻く社会経済環境の状況の変化等にも的確に対応していくことが必要です。特に自然災害の頻発化、激甚化や本格的な人口減少社会の到来などを踏まえ、県民の命と暮らしを守り、地域の活力を維持向上させるとともに、今後、本格化する成田空港の拡張事業や広域道路ネットワークの整備、進展といった好機を生かすためには、様々な主体の英知を結集することによりオール千葉県で対応していくことが重要です。このため新計画では、基本理念を「~千葉の未来をともに創る~県民を守り、支え、そして飛躍する千葉の実現」としたところであり、全ての県民の皆様とともに新しい千葉の未来をつくってまいります。

 政策評価結果の新計画への反映に関する御質問ですが、前計画の政策評価では、例えば積極的な誘致活動等により企業立地件数が過去最高を記録したことや、千葉県誕生150周年記念行事等の開催により、多くの県民が文化芸術に触れ、親しむ環境づくりが進んだことなどが成果として上げられました。一方で、新型コロナウイルス感染症による社会経済状況の変化や人口減少、少子化の進行などの影響を受け、将来の介護への不安などから高齢者施策の満足度が低調であること、農林水産業の新規就業者が減少傾向にあることなどを課題として認識しているところです。このため新計画では、県として取り組むべき課題の1つとして、本格的な人口減少社会への対応を掲げるとともに、重点的な取組として、福祉・介護分野や農林水産業における人材の確保・定着、DXの推進等による生産性の向上などを位置づけたところであり、今後、取組の充実強化を図ってまいります。

 国家戦略特区の活用についての御質問ですが、本県は成田空港周辺や柏の葉、かずさエリアなど、先進的な産業拠点を有するほか、農林水産業や観光など、あらゆる産業分野が全国トップクラスに位置しており、県内の各地域において、様々な分野で特区を活用した新たなチャレンジができる可能性を有しています。そこで県では、全庁を挙げて規制緩和に取り組むため、知事を本部長とする国家戦略特区・規制緩和推進本部や幅広く提案を受け付けるワンストップ窓口の設置など、民間投資の促進や県の諸課題解決に向け、特区を活用する体制を構築したところです。さらに、市町村に対する説明会の開催や県内経済団体の会議における説明など、幅広く周知を図っているところであり、今後もこうした取組の下、ビジネスしやすい環境づくりやイノベーションの創出に向け、様々な地域で特区の活用が加速するよう取り組んでまいります。

 全国知事会議についての御質問ですが、7月に開催された全国知事会議では、地方が抱える様々な課題に関し、国と地方が一丸となって取り組んでいくための提言などについて活発な意見交換が行われ、私からは、本県にとって重要であり、また、全国的に速やかな解決を図るべき課題について発言をいたしました。具体的には、高病原性鳥インフルエンザの防疫措置に従事する民間事業者について、国が育成や新規参入促進を図ること、また、京葉臨海地域をはじめとするコンビナートの脱炭素化に必要な水素の安定調達等に向けては国の支援が必要であると申し上げ、全国知事会として、国に責任ある対応を強く求めていくこととなったところです。全国知事会議は、全国の知事の情報交換の場として有意義であり、取りまとめられた提言は、国への制度改善等の働きかけとして非常に大きな影響力があることから、引き続き広域化、複雑化する行政課題に対応するため、全国知事会の活動に積極的に関与してまいります。

 大阪・関西万博への出展に関する御質問ですが、今回、発酵をテーマとして、千葉県の魅力を発信するべく大阪・関西万博に出展したところ、5日間で約7万8,000人の来場があり、アンケート回答者のうち9割以上の方から、千葉の発酵の魅力を体感できた、千葉県の発酵食品を購入したいと思ったという回答を得られました。想定以上の来場者数や、来場者からの試食や物販、ワークショップなど、様々なコーナーがどれも魅力的だった、発酵食品を探しに千葉に行きたくなったなどの反応を受けて、千葉県ブースに出展した県内市町、企業の方々も確かな手応えを感じていました。今回、万博に出展したことにより、多くの来場者に千葉の発酵を知っていただき、強く印象づけることができたと考えています。また、今回の取組を通じて様々な関係者との連携基盤を築けたことから、これらの成果を県産品の販路拡大や県内誘客の促進につなげられるよう、発酵県千葉の取組を一層進めてまいります。

 次に、特定外来生物についてお答えいたします。

 スマートフォンを使用した調査についての御質問ですが、ナガエツルノゲイトウなどの外来水生植物は繁殖力や再生力が非常に強く、県内でも生態系や農業等への影響が問題となっています。これらを効率的に防除するためには、より多くの目で監視し、正確な分布状況を把握することが大変重要となります。このため県では、県民から広く分布情報を集めるため、スマートフォンアプリを使用した県民参加型の分布調査を7月1日から11月14日まで実施をしているところです。この調査はナガエツルノゲイトウを含め、7種の外来水生植物を発見した際に写真を撮影し、スマートフォンアプリに投稿していただくもので、8月末時点で157件の情報が寄せられました。この調査で得られた情報は県内分布図の更新等に活用するとともに、新たな地点で分布が確認された場合には、いち早く関係機関と共有することにより速やかな駆除につなげられるよう努めてまいります。

 次に、福祉政策についてお答えいたします。

 訪問介護等サービス提供体制確保支援事業についての御質問ですが、県では、本年2月に国から示された訪問介護等サービス提供体制確保支援事業の活用に当たり、訪問介護事業所の現状やニーズ等を把握するため、4月から6月にかけて関係団体や市町村にヒアリングを行うとともに、事業者へのアンケートを実施いたしました。その結果、経験の浅いホームヘルパーは、1人で利用者宅を訪問することへの不安が大きいことや、小規模な訪問介護事業所では経営改善の取組に着手する余裕がなく、処遇改善加算等の取得も難しいことなどの意見をいただいたところです。こうした意見等を踏まえ、経験の浅いホームヘルパーへの同行支援の経費に対する補助や、小規模な事業所の経営改善や各種加算の取得等に向けた専門家の派遣に係る経費を9月補正予算に計上したところであり、これらの取組を通じて訪問介護事業所を支援してまいります。

 次に、農林水産業対策についてお答えをいたします。

 担い手の確保についての御質問ですが、農林水産業の担い手の減少や高齢化が進む中、本県農林水産業を持続的に発展させていくためには、県内外から新規就業者を広く確保していくことが必要であると考えています。このため県では、民間の就農サイトでの特設ページの開設や農業、林業、漁業の関係団体がそろう就業相談会を開催するほか、随時、農業事務所等において就業相談に対応しているところです。さらに、農業関係団体と共同で運営する千葉県農業者総合支援センターや本年4月に設置した千葉県海洋人材確保・育成センターなどにおいて、新規就業者等に対するワンストップでの伴走型支援を行っています。また、法人等への就業促進に向けて、被雇用者の休憩施設やトイレなどの労働環境整備への支援も進んでおり、これらを通じて農林水産業の担い手の一層の確保に取り組んでまいります。

 最後に、中小企業支援についてお答えいたします。

 中小企業のデジタル化に係る相談状況に関する御質問ですが、県では、デジタル技術の活用により、中小企業の生産性向上等を促進することが大変重要であると考えており、昨年度からプッシュ型による企業訪問を通じた支援ニーズの掘り起こしから技術導入に向けたITベンダーとのマッチングまで、一貫した伴走支援の体制を強化しています。事業を開始した令和6年4月から令和7年7月末までの間に延べ3,598社の企業を訪問するとともに、産業振興センターに配置をしたデジタル支援コーディネーターにより、延べ265社からの相談を受けております。具体的には活用可能な補助金のほか、社員のDX意識を向上させるためのセミナーの紹介から製造業における工程管理の共有、可視化するための技術の導入など、具体的なデジタル化の相談まで多岐にわたる相談に対応しているところです。

 デジタル技術の活用に関する御質問ですが、プッシュ型企業訪問や専門人材による伴走支援の取組が県内企業に浸透し、昨年度末から相談件数が大きく増加するとともに、高度な技術導入を求める相談など、その内容も複雑化しています。こうした状況を踏まえ、県では支援体制のさらなる充実を図るため、今議会において、伴走支援を行うデジタル支援コーディネーターの増員に係る補正予算案を計上したところです。今後はこれらの取組を通じ、県内中小企業の生産性向上や業務効率化に向けた取組を加速させてまいります。

 私からは以上でございます。他の質問につきましては副知事及び担当部局長からお答えをいたします。

○副議長(三沢 智君) 副知事高梨みちえ君。

 (説明者高梨みちえ君登壇)

○説明者(高梨みちえ君) 私からは、まず、防災対策についてお答えいたします。

 千葉県西部防災センターのリニューアルについての御質問ですが、西部防災センターは、県民の防災意識の向上や正確な知識と技能の習得を図ることなどを目的に平成10年に開設され、県内唯一の体験型防災学習施設として多くの方に利用されていますが、展示施設の老朽化等が著しいことから、リニューアルに向けた検討を進めるため、本年4月にセンターのあり方に関する基本方針を策定いたしました。具体的には、最新のデジタル技術等を活用し、本県における過去の災害などを学ぶとともに、災害の脅威や被災後の生活をより鮮明にイメージできる体験展示を行うほか、ワークショップ等を通じて来館者同士が学びを高め合うなど、自助、共助のさらなる充実につながる展示施設を目指すこととしています。今年度は防災や教育、福祉等、各分野の有識者から助言を得ながら、展示内容や改修スケジュール等を具体化するための基本計画を策定する予定であり、引き続きリニューアルに向け取組を進めてまいります。

 消防の広域化についての御質問ですが、少子高齢化社会が進展する中で激甚化、頻発化する自然災害に対応可能な消防力の維持や強化を図ることは、県内全ての消防本部が直面している課題であり、消防広域化による消防車両の充実や消防職員の確保等、スケールメリットの活用が課題解決に資するものと考えています。そのため県では、本年3月に消防広域化推進計画を改訂し、消防指令センターの共同運用による連携・協力関係を基礎として、将来的に県内を2つのブロックとする広域化の組合せを示した上で、現状を踏まえた広域化の取組にも柔軟に対応することとしたところです。今後、消防広域化に向けた協議開始のきっかけとなる会議や説明会を開催するなど、市町村間の調整を進めていくほか、先進事例の研究や情報提供なども行いながら、市町村の意見や実情を十分に踏まえ消防広域化の推進に取り組んでまいります。

 次に、財政調整基金の残高の目標についての御質問ですが、県では、現在改訂中の行財政改革行動計画において財政調整基金の残高の目標を、標準財政規模に対する割合の全国平均である約9%に相当する1,000億円程度としたところです。県としては、例年、当初予算編成において財政調整基金を400億円から600億円程度活用していることを踏まえると、この目標は、追加的な財政需要や景気変動による急激な税収の落ち込みにも対応しながら予算編成ができる水準であると考えています。今後とも歳入の確保や事務事業の見直し、予算執行段階での経費の節減等により基金残高の維持、確保に努め、持続可能な財政構造の確立を図ってまいります。

 次に、特定外来生物についてお答えいたします。

 県民への周知・啓発についての御質問ですが、特定外来生物は生態系に悪影響を及ぼすことから速やかな駆除が必要となります。このため県では、特定外来生物等の特徴や現状などを取りまとめたハンドブックを作成し、公表しているほか、市町村が主催する研修会やイベントに職員を派遣し、講演やワークショップを行うなど、様々な機会を通じて県民への周知・啓発に努めています。特定外来生物のうち植物については、原則として、その土地の所有者または管理者が駆除するものであり、特にオオキンケイギクは駆除方法等の問合せも増加していることから、種の見分け方や正しい駆除方法等を記載した啓発用のチラシを新たに作成する予定です。これらの取組を通じて、引き続き特定外来生物の効果的な防除を促進してまいります。

 手賀沼及び印旛沼における外来水生植物の駆除に関する御質問ですが、県では、手賀沼及び印旛沼のナガエツルノゲイトウなどについて、当初計画していた区域の駆除を令和6年度末までに終えたところですが、既に再繁茂や新たな漂着を確認しているため、今年度は拡大のおそれがあるところから優先的に駆除を行っています。また、より効果的に駆除を進めるため、今年度から外来水生植物の駆除を行っている市民団体との意見交換会を実施し、繁茂状況や駆除方法について情報共有を行う予定です。引き続き再繁茂箇所の速やかな駆除を実施するとともに、駆除を行う市民団体と連携を進め、外来水生植物の繁茂の拡大防止に努めてまいります。

 次に、医療政策についてお答えいたします。

 公立病院の建て替え等に係る財政措置についての御質問ですが、本県では、地域の医療提供体制の確保を目的として、地域の中核的な役割を担う公立病院等が新築及び増改築をする場合に地域中核医療機関整備促進事業として補助を実施しており、当該事業においては、国の補助事業を参考に単価を設定しています。また、国では、公立病院が不採算医療などの地域医療にとって重要な役割を担っていることを踏まえ地方財政措置を講じており、建て替え等に対する地方交付税措置の対象となる建築単価の上限は、近年の公的病院の建築単価を調査した上で設定されているところです。これら国の補助制度や地方交付税措置に係る単価設定については、最近の物価高騰の状況を踏まえた対応がなされているものと認識しています。

 公立病院の建て替えや経営に対する支援についての御質問ですが、地域中核医療機関整備促進事業の補助単価は、当該事業に類似した国の補助事業の単価に合わせて改正しており、ここ数年は物価高騰を踏まえて増額しています。また、政策医療を担う医療機関が物価高騰等の影響に適切に対応できるよう、運営の実態に見合った地方交付税や補助金等の財政支援措置の充実を図ることを国に要望しています。今後とも物価の変動や国の動向などを踏まえながら、補助単価の改定など必要な措置を検討するとともに、適切な診療報酬の改定や地方交付税等の財政支援措置のさらなる拡充について、様々な機会を捉えて国に要望してまいります。

 最後に、福祉政策についてお答えいたします。

 里親等委託率の推移と向上に向けた取組についての御質問ですが、県では、虐待等により、家庭で暮らすことが困難な子供が家庭と同様の環境で養育されるよう里親委託を推進しています。千葉県こどもを虐待から守る基本計画では、里親等委託率を令和11年度末までに40%とする目標を掲げているところ、令和6年度末の暫定値では36.1%となり、令和元年度末と比べ5年間で6.4ポイント増加しています。今後も県内各地での里親制度説明会の開催や特設サイトの開設などにより里親制度の周知を図るとともに、里親の新規開拓や研修、養育支援等を一貫してフォスタリング機関で実施し、里親支援の強化に努め、里親等委託率の向上に取り組んでまいります。

 里親と里子間の不調による委託解除についての御質問ですが、里親が子供の障害等のケアに対応し切れないことや里親と里子との関係悪化など、いわゆる里親不調による委託解除は、令和5年度では3件ありました。児童相談所では、やむを得ず里親委託を解除する際には、里親に対しては養育の振り返りや解除に伴う喪失感へのケアを実施するとともに、里子には解除に至った理由の丁寧な説明や、新たな環境で安心して生活できるようにするための心のケアなどを行っているところです。今後とも子供の最善の利益を実現するため、里親と里子の双方に対し、きめ細やかな支援に取り組んでまいります。

 私からは以上でございます。

○副議長(三沢 智君) 副知事黒野嘉之君。

 (説明者黒野嘉之君登壇)

○説明者(黒野嘉之君) 私からは、まず、外国人住民の生活上のルール、マナー習得についての御質問にお答えいたします。

 外国人住民が地域の一員として暮らしていくために、日本の生活ルールやマナーの習得を促していくことは重要と考えております。このため県では、外国人住民の生活上の困り事に関する相談窓口を設置しており、令和6年度は1,548件の相談に対応したほか、県ホームページに多言語の生活ガイドブック「ハローちば」を掲載し、これらについて、市町村の窓口で外国人住民に周知しているところです。また、外国人住民が日本語や日本の文化、生活習慣を学べる地域日本語教育の充実などに取り組んでいるところであり、今後とも市町村と連携して、外国人住民が生活ルールやマナーを学ぶ機会の提供に努めてまいります。

 次に、LGBTQの相談についての御質問ですが、県のLGBTQ相談窓口には、性的指向や性自認に関する悩み、家族、職場での人間関係の課題、孤立感や精神的な不安など、多岐にわたる相談が寄せられております。県では、こうした様々な不安や悩みに丁寧に寄り添い、心理面からサポートすることに重点を置き、臨床心理士や精神保健福祉士など専門知識を持つ相談員によるメンタルケアを行うとともに、必要に応じて人権や法律に関する問題に対応できる他の相談窓口の情報提供を行うなど、きめ細かく支援しているところです。今後も自身の性的指向や性自認などにより、苦しむ方の生きづらさの解消につながるよう、安心して相談できる窓口の運営に努めてまいります。

 次に、三番瀬における養殖振興の取組についての御質問ですが、三番瀬はノリ養殖などが営まれている豊かな漁場ですが、近年、海水温の上昇により活発化したクロダイによる食害が発生するなど、漁場環境が大きく変化していることから、こうした変化に適応していくことが重要です。そこで県では、ノリの養殖において、食害を防除するネットの導入支援や、食害を受けても再成長する新品種の開発などに取り組んでおります。また、ノリに続く地域の特産品となるよう、地元漁協や市と連携し、現在の漁場環境でも生産が期待できるカキやワカメの養殖試験に取り組んでいるところであり、今後も三番瀬における養殖の振興を図ってまいります。

 最後に、東葉高速鉄道の2024年度決算等に関する御質問ですが、収入面では、新型コロナウイルス感染症の5類移行後、利用者数が回復基調であることなどにより運輸収入が増加した一方、支出面では、設備の老朽化に伴い修繕費等が増加した結果、当期純利益は33億6,000万円となり、15期連続の黒字を確保いたしました。また、決算額と直近の長期収支推計を比べると、収入面では、運輸収入はおおむね見込みどおりであった一方、支出面では、修繕費が想定を下回ったことなどから、当期純利益は見込みよりも約7億円の増となりました。このように、東葉高速鉄道では単年度で黒字を確保しているものの、いまだ2,100億円超の長期債務を抱えており、金利は上昇傾向にあることなどから、県としては、依然として厳しい経営環境にあると認識しており、引き続き会社の経営状況や収支改善の取組を注視してまいります。

 私からは以上でございます。

○副議長(三沢 智君) 教育長杉野可愛君。

 (説明者杉野可愛君登壇)

○説明者(杉野可愛君) まず、教員の採用選考についての御質問ですが、県教育委員会としては、優秀な教員を確保するためにも志願者数の増加は重要と考えており、採用選考の実施方法については適宜見直しを行っているところです。これまで選考回数については、教諭などとして過去に勤務経験がある方、他県などで現在勤務している方等を対象とした選考を年に3回実施するなど、選考の複数回実施に取り組んでいます。また、選考日程の早期化は、千葉県のみが日程を早めると近隣都県との併願受験が可能となり、合格後の辞退者が増加することが懸念されるため実施しておりませんが、大学3年生等が受験できるちば夢チャレンジ特別選考を導入しており、本選考による志願者が毎年増加しています。引き続き他県等の状況も参考にしながら、質の高い教員の採用に努めてまいります。

 次に、小中高校生の自殺者数の推移と特徴についての御質問ですが、文部科学省が毎年実施している全国調査によれば、本県の公立小中高校生の自殺者数は、令和元年度13名、2年度19名、3年度16名、4年度23名、5年度19名となっており、過去5年間の自殺者数は2桁を超える状況が続き、高止まりの傾向にあると言えます。

 なお、同調査においては、自殺した児童生徒が置かれていた状況として、周囲から見ても、ふだんの生活の様子と変わらず、特に悩みを抱えている様子も見られなかったなどのカテゴリーである不明との回答が最も多いものの、家庭や友人関係の問題、学業不振や進路の問題も挙げられています。

 次に、生徒の自殺予防についての御質問ですが、県教育委員会では、令和3年度に千葉大学と連携して導入したストレスチェックシステムを今年度は県立高校で3回実施し、生徒の心の健康状態の把握に努めることとしています。この取組では、学校で生徒支援の中心的な役割を担うコーディネーター役の教員が高ストレス状態にある生徒を把握し、スクールカウンセラー等による教育相談を実施するほか、必要に応じ当該校の担当精神科医のアドバイスの下、医療機関へつなげるなど、支援が必要な生徒の確実な把握と速やかな支援を行っています。今後も本システムを活用して生徒の心身の変化やSOSを確実につかみ、生徒の自殺を未然に防ぐ取組の充実に努めてまいります。

 最後に、高校生の自転車通学時のヘルメット着用についての御質問ですが、本年5月1日時点における県内公立高校生の自転車通学時のヘルメット着用率は8.9%で、昨年度に比べて上昇したものの、依然として低い水準にあり、自転車乗車時における安全意識をさらに高める取組が必要と認識しています。そこで県教育委員会では、各学校に対して、自転車通学許可の際にヘルメットの着用を条件とするよう本年8月に通知したところであり、加えて全ての県立高校生に対して、自転車通学の際は必ずヘルメットの着用を求めるとの方針を直接伝えることとしています。今後は高校生の安全意識をさらに醸成するため、地元警察署による校門等での交通安全指導や、関係部局と連携して実施する街頭啓発活動へ高校生の積極的な協力や参加を促すなど、ヘルメット着用の徹底を推進してまいります。

 以上でございます。

○副議長(三沢 智君) 警察本部長青山彩子君。

 (説明者青山彩子君登壇)

○説明者(青山彩子君) 私からは、まず、多様性社会についてお答えいたします。

 外国人等との共生社会の実現に向けた取組に関する御質問ですが、県警では、日本語を母語としない外国人等と地域住民が良好な治安を体感できるよう、総合的な対策を推進しております。具体的には、令和7年4月に外国人等に係る犯罪被害防止、外国人コミュニティーへの犯罪組織等の浸透防止を図ることを目的として、国際捜査課に外国人総合対策室を新設したほか、外国人等からの急訴、各種届出等へ対応するため、多言語コールセンターの運用や、県警ホームページに110番通報要領、落とし物に関する手続等を多言語により掲載するなどの取組を行っております。また、外国人等コミュニティーとの連携強化を目的に、外国人等との合同パトロールや広報啓発活動を行っております。引き続き外国人等との共生社会の実現に向け、各種取組を推進してまいります。

 次に、交通安全対策についてお答えいたします。

 自転車の取締り方針に関する御質問ですが、現在、自転車の交通違反に対しては、指導警告を原則としつつ、飲酒運転や遮断踏切立入り等の危険な違反や、警察官の警告に従わずに違反行為を継続するなどの悪質な場合には刑事手続である赤切符を適用するなどして取締りを行っているところです。令和8年4月1日から導入される交通反則通告制度、いわゆる自転車の青切符制度においては、信号無視や一時不停止など比較的軽微であって、現認、明白、定型的な交通違反が制度の対象となり、対象となる交通違反に対しては、これまでと同様に指導警告を原則としつつ、悪質、危険な行為には青切符を適用した取締りを行っていくこととしております。一方で、飲酒運転等の特に重大な交通違反に対しては、現行どおり赤切符を適用するなどして積極的に取締りを行っていくこととしております。

 最後に、高校生の自転車乗車用ヘルメットの着用率向上に向けた取組に関する御質問ですが、高校生は他の年齢層と比較して自転車乗用中の負傷者が多いことからも、ヘルメット着用率の向上を含めた自転車の安全対策は重要であると考えております。県警では、自転車指導啓発重点地区・路線等における街頭指導や広報啓発、自転車安全利用の推進宣言プロジェクトの推進、高校生自転車ヘルメット着用促進動画コンテストの開催、頭部保護の重要性やヘルメット着用による被害軽減効果の広報等の取組を通じて交通ルールの周知やヘルメット着用率の向上を図っております。引き続き県や教育委員会をはじめとした関係機関・団体と連携しながら、自転車の安全対策を推進してまいります。

 以上でございます。

○副議長(三沢 智君) 石川りょう君。

○石川りょう君 それでは、2問目をさせていただきます。

 まず、総合計画についてです。

 世の中の情勢や本県を取り巻く環境が日々刻々と変化し続けている中で、それらの状況を踏まえ、熊谷知事の2期目に合わせて新しい理念を掲げて取り組んでいくことも重要だと感じました。一たび定めた総合計画を、その計画期間である10年間などの長期にわたって変更しない自治体も多い中で、知事の任期に合わせて総合計画を変化させていくという本県の考え方は柔軟で先進的だとも感じます。

 また、総合計画に関する政策評価についてですが、前総合計画では、6つの基本目標に対して76の具体的、定量的な社会目標を掲げ、55の指標―72.4%になります―が目標設定時より進展し、そのうち25指標は、設定した目標値以上に進展したという成果も上がっております。ただ一方で、御答弁にもあったとおり、医療・福祉分野の進展度が低かったという結果も出ておりますので、そういった課題については新計画でもしっかりと取り組んでいただきますようお願いいたします。

 そのような反省点も踏まえて、新しい総合計画では、前計画より多い89の社会目標を設定し、そのうちの26の目標は新計画の内容を踏まえた新たな目標にしていると伺っています。知事の2期目のステップに合わせた新総合計画にも期待をしております。

 次に、全国知事会議について要望いたします。

 熊谷知事が議論を主導されたという鳥インフルエンザ対策や脱炭素化への支援は、本県の農業、産業の基盤を守り、持続的な成長につなげるために極めて重要な課題だと思います。それら千葉県が直面している課題について、熊谷知事が全国知事会議という、いわば地方の声を国に届けるための政策協議の最高レベルの会議で議論を主導し、本県の課題を国にしっかりと届けていただいたものと認識しております。県民の立場からすると、千葉県にとって何を勝ち取ってきてくださったのか、県民生活にどう還元されていくのか、そういったところが関心の高い点だと思います。

 全国知事会議での議論や宣言はもちろん大切でございますが、そこで提起した課題や要望が国の政策や予算措置にどのように反映されたのか、今後、具体的な成果を県民に分かりやすく示していただきたいと思います。特に今回提起された鳥インフルエンザ対策や脱炭素化への支援については、県としても、国に対し継続的かつ粘り強い働きかけを行い、その進捗や成果を県民に丁寧に御報告いただきたいと思います。

 次に、大阪・関西万博について要望します。

 今回の出展において、想定を上回る約7万8,000人もの来場者を得て、アンケート結果でも9割以上の方が発酵の魅力を体感できた、購入意欲が高まったと回答されたことは評価できる成果だと思います。また、出展した県内市町や企業が確かな手応えを感じたという点も重要であって、官民連携による地域資源の発信の在り方として一定の成果を上げたと受け止めます。しかしながら、今回の事業費は5,000万円に上るものであり、県財政にとっても軽視はできない規模でございます。そのため、成果を数値的、定量的に検証し、単なる盛況だったという評価にとどまらず、販路拡大や来訪者増といった実際の効果がどの程度波及しているのかを把握することが不可欠だと思います。

 そこで3点要望します。

 1点目は、費用対効果の定量的検証です。来場者数やアンケート結果に加え、出展後の県産品売上げ増、観光誘客への波及効果、企業との新規取引件数など、できる限り客観的な数値で効果を検証し、その結果を県民に分かりやすく公表する努力をしていただければと思います。

 2点目は、レガシーの活用と継続的取組です。今回得られた発酵文化への注目を一過性に終わらせず、「発酵県ちば」としてのブランドを観光振興や地域産業の強化につなげるべきと考えます。具体的には、アンテナショップやロゴマーク活用をさらに発展させ、国内外における発信を拡充するとともに、教育や食育、観光ルート造成などにも波及させることを要望いたします。

 3点目は、官民連携の強化です。今回築かれた関係者とのネットワークを継続的なプラットフォームに発展させ、出展した企業や市町が実際にビジネスチャンスを得られるよう、県としても伴走支援を強化していただきたいと思います。

 防災対策についても要望いたします。

 千葉県西部防災センターのあり方に関する基本方針によると、来館者は松戸市内の利用者が半分の割合を占めていて、県内唯一の防災センターとしては偏りがあると思います。松戸市に所在するからということで、県西部の都市部だけの災害に着目をするのではなく、本県に1か所しかない防災センターを全県的に利用していただくには広域的な視点が欠けていて、ネーミングも含めて複数の課題があるのではないでしょうか。千葉県は地域によって災害の種類も異なるため、今後、必ず来るであろう災害に向けて防災センターの機能を十分に県内全域に発揮させ、多くの県民が訪れる施設となるよう、再度、防災センターの在り方を見直すよう要望いたします。

 千葉県行財政改革計画については再質問いたします。

 今回、行財政改革行動計画の中で初めて財調に明確な数値目標を掲げられたことは、県財政運営における透明性の向上と、議会や県民への説明責任を果たす上で大きな前進だと評価いたします。

 その上であえて伺いますが、私が県議に当選させていただいて以来、財調の目標残高の設定については財政課さんとしばしば協議をさせていただいておりましたが、なかなか前向きな姿勢は得られなかったというのが正直なところです。そこには様々な葛藤があったのだろうと、今なら思えます。

 目標残高の設定については、さきにも述べたとおりの意義もあると考えますけれども、その一方で、目標水準に届かない場合には何で不足をしているのかと批判を招き、逆に上回った場合は何で積み上げて使わないんですかという指摘を受けるなど、数字そのものが独り歩きをしてしまって、かえって議論が硬直化するリスクもあると考えます。

 そこで2点再質問します。

 なぜ今回、財政調整基金の残高の目標を設定することにしたのか。

 また、数値目標を設けることのメリットと同時に、数字が過度に目的化してしまうことのリスクをどう認識し、どのように対応しようとしているのか。

 多様性社会についての外国人施策については要望でございます。

 実際に県内で生活する外国人住民の中には、情報にアクセスできない人や、日本語能力の不足からルールの理解に課題を抱える人も少なくありません。形式的な情報提供にとどまらず、日常生活に根差した実践的な学びや体験の機会を広げていくことが大事だと考えます。

 そこで2点要望いたします。

 1点目は、情報発信の多様化と拡充です。ホームページやチラシだけではなく、SNSや動画など多様な媒体を活用し、外国人住民がアクセスしやすい形で生活ルールやマナーを発信していただきたいと思います。

 2点目は、地域における学びの場の拡大です。日本語教育だけではなくて防災訓練、交通安全教室、ごみの分別体験など、地域住民と外国人住民とが一緒に参加しながら生活ルールを学べる機会をさらに充実させていただきたいと思います。

 LGBTQ関連については再質問いたします。病院やみんなの人権110番、弁護士相談、よりそいホットラインに加えて、各市町村でも今では相談窓口を設けているところがあり、それぞれの専門分野でLGBTQに関する相談を受け付けております。LGBTQに関する相談窓口が多数存在をすることによって、当事者にとっての適切な相談先が判断しにくくなることも想定される状況となっております。

 そこで再質問します。LGBTQに関する相談窓口が多数存在する状況について、どのように対応されていくのか。

 特定外来生物について要望と再質問をいたします。

 今や湖沼及び水田における外来水生植物は全県的に繁茂しており、毎年、外来水生植物対策については莫大な予算がかかっているため、これは国に強く要望していただきたいと思います。

 また、大規模駆除を終えても1年足らずで急拡大してしまったことについて、県として、今後の方針を打ち出すとともに、効果的な駆除方法に関する研究等にも取り組んでいくべきだと考えます。

 再質問に移ります。外来水生植物は、湖沼や河川を越えて農業水利施設に流れ込み、農業用用水ポンプ稼働時にポンプの吸水を阻害したり、パイプラインを通じて水田に侵入し、稲の生育を阻害する等の農業被害を生じさせたりするおそれがあります。そこで、県では水田、畦畔等での蔓延を防ぐために、駆除のための除草剤の適切な使用を促しています。県では、ナガエツルノゲイトウ等を農業者が防除する際に水田や畦畔において使用する除草剤の購入費用も対象とする事業を令和6年度に創設いたしましたが、これ、昨年度の活用実績、たったの1件だったということなんですね。困っている農業者の負担を軽減する事業として用意をしてくださったにもかかわらず、十分に活用されていないのは周知不足や使い勝手の悪さなど、課題があるためと言わざるを得ません。

 そこで伺います。農業者等で構成される組織が取り組む外来水生植物防除事業の活用を促すため、どのように取り組んでいかれるのか。

 公立病院の建て替えについて要望をいたします。

 船橋市及び柏市の両市立病院は、救急医療などの政策的医療や小児医療などの不採算医療の提供のほか、災害医療の提供、新興感染症への対応など、地域医療の中核的な役割を担っております。これらの役割を将来にわたって担っていくため、病院の機能を維持、拡充していく必要がございます。しかし、近年の物価や人件費の高騰などにより、建て替えも経営も順調とは言えません。やはり実勢に見合った補助単価の改定や緊急の財政支援などは必要だと考えます。

 直近では、国の補助事業の単価が毎年連続して引き上げられており、それに合わせて本県の補助単価も上げてくださっていると聞いておりますが、それでも現場の実勢に見合っていないために、両市長は本県に要望にいらしたのだと思います。国による単価改正は毎年秋頃になされますが、昨今の状況を踏まえると、補助単価は今年も引き上げられるのではないかと推察をいたします。本県にも、それに合わせて適切に御対応いただくことを強く要望します。

 また、必要であれば、国の算定以上の県独自の補助率の引上げや新たな補助スキームなども御検討いただければと思います。

 中小企業支援について要望いたします。

 実際の中小企業の現場に目を向けると、導入後の運用が難しい、社内でDXを担う人材が不足しているなどといった課題が根強く存在をしており、単なる初期導入支援にとどまらず、長期的な定着、効果検証まで見据えた支援が不可欠であると考えます。特にデジタル支援コーディネーターの増員、これは大変有意義なものでございますが、今後は人材の量的拡充に加えて、業種ごとの専門性やクラウド活用、AI導入など、次の段階の技術課題に対応できる人材の質的拡充、強化も必要だと考えます。さらに、デジタル化支援は都市部に偏在しがちであって、県内の中小企業の多くを占める地域の事業者にもひとしく行き届くよう、地域金融機関や商工団体との連携を強化し、きめ細かな支援体制を築いていただきたいと思います。

 また、米国での関税引上げなどによる外部環境の変化も中小企業の経営には大きな懸念材料となります。こうした経済リスクに直面する中小企業こそ、生産性向上やコスト削減に直結するデジタル化を推進する必要がありますので、業種特性に応じた具体的な導入事例を積極的に発信し、我が社でもできるという実感を持てるよう、後押しをお願いしたいと思います。

 教育問題については再質問をいたします。

 近年、学校現場では児童生徒の多様化や教育課題の複雑化が進み、従来の教員免許取得者だけでは対応し切れない新たなニーズが生じていると思います。例えば専門的な知識や経験を持つ社会人、地域で活躍する人材などが教育活動に参画することで、子供たちの学びをより豊かにする可能性があります。その一方で、優れた人材が必ずしも教員免許を所持しているとは限らず、制度の壁によって教育現場に迎え入れることが難しい状況も見られます。

 そこで伺います。特別免許状制度をさらに活用し、教員免許の有無にかかわらず、有為な人材を確保するという観点から採用選考の改善を行うことも必要ではないか。

 交通安全対策については要望いたします。

 自転車関連事故は、依然として全交通事故の約4件に1件と高い水準にあり、特に高齢者や児童を巻き込む重大事故は県民の不安を高めています。制度導入の趣旨を踏まえるならば、従来以上に検挙の実効性が担保されなければならないと考えます。また、県民の多くは、自転車は歩道を通れるのか、どのような行為が違反となるのかなどといった基本的なルールを十分に理解しているとは言えません。単に取締りを強化するだけでなく、制度導入の意義を県民に分かりやすく示す広報啓発が不可欠です。

 そこで3点要望します。

 1点目は、検挙基準の明確化です。悪質、危険な違反とは何を指すのか。例えば信号無視、酒酔い運転、スマートフォンのながら運転など具体的に示していただき、県民に周知をしていただきたいと思います。

 2点目は、重点取締りエリアの設定です。通学路や駅周辺、自転車事故が多発をしている交差点など、県民生活に直結する場所での重点的な指導、取締りを強化することを要望いたします。

 3点目は、教育、啓発との一体的推進です。学校教育や地域の交通安全教室と連携し、青切符制度の導入を契機として、自転車の安全利用を徹底する取組を進めていただきたいと思います。

 高校生の自転車ヘルメット着用についても要望でございます。

 県教委が全公立学校に対し、自転車通学許可の際にヘルメットの着用を条件とするよう、本年8月に通知していただいたことは、これ、非常に重要だと思います。県教委が学校に対してできる最大限の働きかけであり、県教委の強い意志を感じます。前定例会で我が会派の代表質問時に、県立高校で自転車通学時にヘルメットの着用を義務づけている学校、幾らありますかと聞いたんですが、本年5月1日時点ではたったの2校だったんです。あとは、この通知を受けた学校側がどう応えるかですが、それはまた、おいおい確認するとして、今回の県教委の通知を受けて、翌年度以降、自転車通学時のヘルメット着用を条件とする学校は間違いなく増えると思います。

 それに伴って、高校生のヘルメットの購入が増えることも予想されます。現在、本県では自転車乗車用ヘルメット購入補助事業を実施し、県内の市町村が実施する自転車乗車用ヘルメットの購入補助事業に要する経費に対して補助金を交付してくださっておりますが、それら市町村の半数ほどは、3月31日までに県に対して当該補助金の申請をしなければいけない関係で、受付期間を1月中とか2月中に早めに締め切っているのが現状でございます。つまり2月、3月に購入したヘルメットには、補助が出ない状況が生じてしまっております。進学先が決まって新入生が入学準備を始めるのって、この時期じゃないですか。自転車通学だった場合にヘルメットを購入するのも、この時期が多いはずです。来年以降の2月、3月の需要増に備えて、いつ購入しても補助を受けられるような、市町村がより活用しやすい制度としていただけるよう御検討ください。

 最後に、東葉高速鉄道に関する再質問でございます。

 毎年、黒字の企業体の経営状況が何で厳しいのか、どの程度厳しいのか、なぜ資金ショートに陥ってしまう可能性があるのかなど、今、とても分かりづらい状況になっています。その理由の1つは、東葉高速鉄道が営業、投資、財務の各活動から幾らキャッシュを得られているのか。そのキャッシュから幾ら利子を払っていて、幾ら元本の返済を行っているのか。また、現預金の残高、これ、毎年どのぐらい減っているのかといった情報が適切に提供されていないからだと考えます。それを容易とする手段がキャッシュフロー計算書の作成と公表です。同社は上場企業ではないため、金融商品取引法等の適用外です。その作成と公表が義務ではないということは理解していますが、千葉県や沿線市でその株式の8割以上を有する公共性の高い事業体であって、今、資金ショートが予想されていて、その財務の透明性が高く求められている企業であることなどを勘案すると、自主的にその作成と公表をしてもいいと思います。

 そこで伺います。県民が毎年の資金の流れや将来の資金シミュレーションを正しく理解できるようにするためにもキャッシュフロー計算書を公表すべきと思うが、県はどのように考えているのか。

 以上でございます。

○副議長(三沢 智君) 総務部長前田敏也君。

○説明者(前田敏也君) まず、財政調整基金の残高目標の設定についてお答えいたします。

 現在改訂中の行財政改革行動計画の目標設定に当たりまして、より適切な進捗管理と客観的な評価を図っていこうということで定量的な指標を定めることとしております。このため財政調整基金の残高につきましても、中長期的に安定的な財政運営を行っていくという観点から目標値を定めたところでございます。

 次に、財政調整基金の残高目標の数字が目的化してしまうのではないかといった御質問でございますが、財政調整基金につきましては、中長期的に財政運営をしていけるよう、毎年度ローリングを行いながら適切な残高管理に努めてまいりますが、目標額と大きな乖離が生じた場合には要因を分析して丁寧に説明していくことが大切だというふうに考えております。

 以上でございます。

○副議長(三沢 智君) 総合企画部長三神彰君。

○説明者(三神 彰君) まず、LGBTQの相談窓口に関する御質問ですが、県といたしましては、不安や悩みを抱えた相談者が必要としている専門的な支援を速やかに受けられることが大切だというふうに考えております。このため、それぞれの相談窓口がどのような相談を受けているかといった情報を把握しまして、分かりやすく周知、あるいは御案内することで、相談者が適切な窓口にたどり着け、自身の不安や悩みに合った相談を受けられるよう取り組んでまいりたいと考えております。

 次に、東葉高速鉄道のキャッシュフロー計算書の公表に関する御質問ですけれども、東葉高速鉄道では、キャッシュフロー計算書は作成しておりませんが、県や沿線市等で構成する東葉高速自立支援委員会におきまして、毎年度、長期収支の推計を行う中で資金繰りの状況を把握し、会社の経営状況等を検証するとともに、その結果を公表しているところでございます。県といたしましては、会社が将来的に資金不足に陥る可能性があることから経営の安定化を図ることが重要と認識しておりまして、引き続き沿線市等と連携しながら経営改善に向けて支援してまいります。

 以上でございます。

○副議長(三沢 智君) 農林水産部長高橋輝子君。

○説明者(高橋輝子君) 農業者による外来水生植物防除事業の活用についての御質問ですが、この事業については、農業者に対するさらなる周知が必要であると考えており、県では、これまでも各地域において説明会等を実施してきたところではございますが、さらにホームページやSNSを活用した情報発信などを進め、制度の周知に努めてまいります。

○副議長(三沢 智君) 教育長杉野可愛君。

○説明者(杉野可愛君) 特別免許状による採用選考に関する御質問ですが、教員免許状の有無にかかわらない選考としてちばスペシャリスト特別選考を実施しており、本選考の合格者には特別免許状を授与しています。今年度の選考では、家庭科、福祉科、情報科、看護科、水産科に新たに美術と工芸を追加したところであり、こうした選考方法も活用して優れた人材の採用に努めてまいります。

 以上でございます。

○副議長(三沢 智君)石川りょう君。

○石川りょう君 財政調整基金については3点要望させていただきます。

 1点目は、目標の意味づけの明確化でございます。財調の残高目標について、単に1,000億円程度といった数値を示すのではなく、それがどのような財政需要やリスクに備えるための規模であるのか、これを県民に分かりやすく御説明いただきたいと思います。

 2点目は、乖離要因の積極的な発信です。目標を下回った場合には、何が要因でどのように対応するのか、上回った場合にはどのような政策的判断の下で活用するのかを、単なる数値管理に終わらせず、積極的に議会や県民へ共有していただきたいと思います。

 3点目は、中長期的視点での基金残高の議論です。短期的な増減だけにとらわれず、人口減少や災害リスク、社会保障費の増大といった構造的な課題を踏まえ、中長期の財政運営戦略の一環として基金の目標を位置づけていただきたいと思います。

 LGBTQ相談窓口について、その機能が既に重複をしている市町村の窓口もあると認識しています。千葉県行財政改革行動計画の中でも窓口業務の見直しが掲げられています。LGBTQ相談窓口だけでなく、その他様々な窓口についても、機能が重複をしないよう、市町村の窓口も含めて整理していくことが利用者の利便性だけでなく、効率化の観点からも重要と考えます。窓口業務の整理を一層進めていただくよう要望いたします。

 外来水生植物によって農業者の負担が増加しているのは間違いありません。実際に農家から物価高騰により除草剤の値段も高騰し、非常に困っているという相談を受けておりますが、残念ながら多くの農家の方々は、この事業の存在自体を知りませんでした。新規事業であり、なおかつ3分の2の補助であるにもかかわらず、1件しか活用されていない事実を重く受け止めていただき、早急にこの制度を再度、54市町村の担当課に周知し、農家の方々へ徹底し、必要であれば事業の内容を使いやすくするなどして、外来水生植物の繁茂を阻止するよう全力を尽くしていただくよう要望いたします。

 教育問題について3点要望いたします。

 まず、特別免許状取得者への支援の強化です。特別免許状やちばスペシャリスト特別選考に合格した方々は、教育現場に入ってすぐにでは、授業や学級経営のノウハウが不足している場合も多いと推察されます。採用後の研修体制や現場でのメンター制度を充実させ、円滑に教育活動に取り組めるようサポートを強化していただきたいと思います。

 2点目は、対象教科のさらなる拡大です。今、対象を広げてくださっていることを大いに評価しますが、今後は理数系とか外国語など、社会の需要や教員不足が顕著な分野についても検討を進めていただきたいと思います。特にSTEM教育やグローバル人材育成に直結する分野においては、多様な専門人材の参入が不可欠だと考えます。秋田県などが実施している博士号取得者を積極的に採用する制度については、これ、一考の価値があると思います。

 3点目は、長期的なキャリアパスの明確化です。特別免許状やちばスペシャリスト特別選考で採用された教員が将来的な管理職登用など、長期的なキャリア形成ができる道筋を示すことは重要だと思います。せっかく採用した人材が数年で現場を離れてしまわないよう、処遇の改善やキャリア支援を制度的に整えていただきたいと思います。

 最後に、東葉高速鉄道について申し上げます。

 県としては、第三セクターとはいえ、民間企業である東葉高速鉄道にそこまで言えないという事情があるのかも分かりませんが、3分の1以上の株式を有する大株主としての責任もあると思います。御答弁にあったように、毎年度、自立支援委員会で長期収支推計を行って資金繰りの状況を把握しているならば、キャッシュフロー計算書を公表するのは手間がかからないはずです。有利子負債を確実に返済するためにも、キャッシュフロー計算書において資金状況を確認することは重要と考えますし、キャッシュフロー計算書を対外的に公表すれば各期の資金繰りが説明でき、資金ショートの可能性についても、どの程度の補助を行えば回避することができるかなども説明できると思います。この計算書を作成、公表すべきであるということは再度主張させていただきたい。

 また、御答弁の中に、同鉄道の経営の安定化を図ることが重要と認識しており、引き続き沿線市等と連携しながら経営改善の取組を支援していくとありました。さきにも述べたとおり、同鉄道の当期純利益は毎年黒字ですし、営業収益は約164億円であり、非常に高い利益率です。同鉄道の真の自立を目指すということであれば、この鉄道への投資採算性などを考慮し、株式公開した上で、現在の主要な株主である3自治体が株を売却し、民間資本を取り入れるなどの選択肢もあろうかと思います。次回の質問の機会には、自治体が同鉄道の株式を保有することの意義などについても考えてまいりたいと思います。

 言いたかったことがあったんですが、時間がなくなりました。また次回よろしくお願いします。

 これで千葉新政策議員団の代表質問を終わります。御清聴ありがとうございました。

○副議長(三沢 智君) 以上をもって本日の日程は終了しました。

 9月16日は定刻より会議を開きます。

 これにて散会します。

 午後2時37分散会  

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