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更新日:令和2(2020)年1月6日
ページ番号:311103
平成28年10月31日
千葉県議会議長宇野裕様
総務防災常任委員長中沢裕隆
本委員会が県外調査を実施したところ、その概要は下記のとおりでした。
記
(1)日時:平成28年10月26日(水曜日)14時00分~15時20分
(2)調査項目:震災対策の推進について
(3)経過
初めに、中沢委員長からの調査協力に対するお礼のあいさつの後、兵庫耐震工学研究センター長から歓迎のあいさつ及び当該施設(E-ディフェンス)の概要について概要説明があり、質疑応答が行われた。
その後、センター長の案内により、施設見学及び説明を受けた。
(4)概要説明
当施設は、E-Defense(イーディフェンス)という愛称で呼ばれており、「E」は、EarthとEarthquakeのEをかけており、地球規模で地震減災に貢献しようという意気込みを表している。
ここは、阪神淡路大震災で建物や橋脚など多くの構造物が倒壊したことを受けて、その対策のために整備されたが、近年は、首都直下地震や南海トラフ地震などへの対応も迫られており、長周期地震動を含む実験についても、施設を改良して対応できるようにしている。
実際の地震と同じ揺れを作りだす震動台は、15m×20mで、最大1,200トン、だいたい6階建のRC構造の中規模マンションを載せられる規模であり、震度7の地震動で壊れるまで揺らすことができる。最大変位は、水平方向1m、垂直方向0.5mとなっており、長周期地震動も再現できる。
これまでアメリカやイタリアとの共同研究も行うなど、世界に開かれた実験施設である。これまで11年間稼働して、80課題の実験を行ってきたが、その間、無事故で過ごしている。
実績としては、学校の体育館の吊天井の崩壊実験や、病院関係施設の室内の機器(什器)の安全対策を研究するための実験、また、西日本で声の多かった、近年の高層マンションが南海トラフ地震でどうなるか、という実験を縮尺モデルで行った。
兵庫県との共同研究では、建物そのものではなく、高層建物の室内の安全対策について、知事の肝入りで複数回実験している。
実際に高層建物は再現できないので、高層部分を切り出して、非常にゆっくりとした長周期の震動(3秒くらいの間隔でゆっくりと行ったり来たりさせる)を、震動台の上で再現して、建物の中の什器・家具類がどうなるかを実験した。
担当の研究者は、事前の想定では、大きな問題はないと考えていたが、オフィスでは、対策なしでは、100kgあるコピー機が縦横無尽に動きまわり、これを停めようとすると確実にけがをする状況であった。
住居では、戸棚が倒れ、冷蔵庫のドアがバタバタと開け閉めされるなど、かなり大きな被害が見られた。
国土交通省との共同実験では、国で進めている『CLT(クロスラミネートティンバー)という間伐材を直交に重ね合わせた部材を、力を受ける構造材として高層の木造建築をつくる』という動きのため、その耐震について実験研究を行い、この春の国による設計方法の告示につなげていった。
(5)主な質疑応答
問:ハウスメーカーもこの施設を利用しているのか。
答:利用はしている。ただ、当施設と共同研究ということではなく、メーカー独自の研究開発の結果をこの施設を借り受けて(当所としては貸与して)検証するという利用の仕方である。その際に、当所の研究者がデータ取得などの手伝いをすることはある。
問:熊本地震のように、震度7の揺れが連続してくるというような状況への研究は進んでいるのか。
答:メーカーも敏感になっており、熊本の様な波状的な地震動(繰り返しの地震動)が今後も発生するだろうということで、繰り返しの地震動の入力に対して構造物がどのようになるかということは、実験の中で調べることとしており、そのデータを蓄積し、アウトプットしていきたい。
問:メーカーなど外部からの依頼は多いのか。また、それによる自己収入確保などの方針はあるのか。
答:依頼は結構あるが、ここは規模が大きいので、一棟丸ごとの最終実験等で活用されている。年間5~10件ほどの依頼があり、何とか断らずにできている。自己収入の方針は、国からも言われており、防災研究所の中では、ここは一番稼いでいる。
海外からの引き合いも多いが、利用料を伝えると“ちょっと(高いね)”という状況である。
(1)日時:平成28年10月27日(木曜日)10時50分~11時55分
(2)調査項目:歴史的・文化的な公文書の収集保存及びその公開について
(3)経過
初めに、中沢委員長からの調査協力に対するお礼のあいさつの後、図書情報館館長から歓迎のあいさつがあり、その後、副館長から図書情報館の概要についてと、公文書・地域研究係長から歴史的・文化的公文書の収集保存及びその公開について、各々概要説明があり、質疑応答が行われた。
その後、総合サービス係長の案内により、施設見学及び説明を受けた。
(4)概要説明
本館は、平成17年11月に開館、本を貸し出すというだけでなく、情報というものを活用しようということで、コンピュータを使った情報の発信・収集、イベントなどを通じて人が交われる図書館を目指しスタートした。
年間100回ほどイベントを行っているほか、10周年記念誌の発刊に当たって民間の支援を得るなど、一般財源だけでなく民間の資金も集めながら、また、民間の参画を促しながら館の運営を行っていきたいと考えている。
スペックとしては、敷地が約3万平方メートル、建物が約4千8百平方メートル、開架図書数は約25万冊、蔵書数は約70万冊である。
来館方法は、最寄りの鉄道駅から距離があるため、車での利用が多い。このため、当初は、人が集まらないのではと、年間30万人ほどの利用者と想定していたが、イベントを多々行ったり、パソコンで検索しやすい環境を整えたことから、人々に定着し、現在は、年間50万人超の利用がある。
〔歴史的・文化的な公文書の収集保存、公開について〕
図書情報館という当館の特徴は、奈良県の歴史・文化に関する専門図書館として、全国にあまり例のない公文書館機能を持つ図書館となっており、通常の図書館で利用できる図書とともに、公文書館にあるような古文書や行政文書を横断的に閲覧利用できるという大きなメリットがある。
保存している公文書は大別して2つの文書群に分かれ、ひとつは、旧奈良図書館郷土資料室から引き継いだ明治・大正・昭和前期の公文書で、総数約8,200簿冊。県庁文書中心だが、県内の郡役所文書など珍しいものもある。
もう一つは、平成13年に整備された文書管理規則により、県庁各課・出先機関等からの保存期間満了した5年以上保存文書のうち、当館に移管することとなった文書群である。
毎年、県の各機関から5年保存以上の保存期間を満了した文書目録の提出を受け、当館で歴史的記録として必要かどうかの評価選別を行い、移管している。当初移管された文書は約7%で、以降も同程度を移管している。
なお、公文書の公開・非公開の審査は、文書請求があった場合に、規則に基づき、当館の内部審査を経て決定し、閲覧に供することとしており、そこで個人情報等の配慮を要する情報が含まれている場合は非公開扱いとしている。
公文書の閲覧については、図書館機能と区切っているわけではないので、通常の図書と一緒に公文書も閲覧申請できる。また、来館できない人のために、公文書のデジタル化を進めており、HPにデジタル化した資料を載せているので、古文書や絵図なども含め、自宅に居ながら見ることができる。これは、「まほろばデジタルライブラリー」として開設しており、利用者の利便性を図っている。
(5)主な質疑応答
問:デジタル化する公文書を、どのように選択しているのか。
答:全てをデジタル化することは難しいので、予算の範囲内で、まとまりの良いものから行っている。また、当館だけでなく奈良県全体のことなので、他の市町村の図書館と連携しながら選定してくこととしている。
問:公文書の公開・非公開についての判断はどのようにしているのか。
答:行政機関からの移管の際に、公開・非公開の区分がされているが、実際に請求があった場合は、改めて、個人情報等の有無について確認しており、いわば取扱いをカスタマイズして提供している。元の区分に従って公開文書だからそのまま公開するというようなやり方は取っていない。
問:増える蔵書について書庫のキャパはどうか、また、民間資金の活用についての方針はどうか。
答:所蔵については、収容能力が約100万冊あり、現在70万冊なので、まだ余裕がある。また、敷地にも余裕があるので、その活用も考えられる。
民間資金の活用については、イベントなどの開催に当たって、企画当初から民間の協力を得て、資金的にもお願いするよう考えている。
(1)日時:平成28年10月27日(木曜日)14時00分~15時40分
(2)調査項目:水害対策の推進について
(3)経過
初めに、中沢委員長からの調査協力に対するお礼のあいさつの後、京都大学防災研究所流域災害研究センター准教授から歓迎のあいさつ及び宇治川オープンラボラトリーの概要について説明があり、質疑応答が行われた。
その後、同准教授の案内により、施設見学及び水害実験体験を受けた。
(4)概要説明
防災研究所は、本年、創立65年を迎えた。日本の大学としては初めての防災に特化した研究所として開設され、65年が経った。組織としては、大きく4つの研究グループからなっている。そのうちの大気・水研究グループに、流域災害研究センターは所属し、その実験施設として、この宇治川オープンラボラトリーがある。
このラボは、共同利用・共同研究拠点となっており、大学の人間だけでなく、他大学や研究機関、企業などの利用も多く、海外からの利用もある。
また、このラボのミッションは、河川流域の上流(流出域)から下流沿岸域(氾濫域)までのあらゆる問題に対して、実験と数値解析、現地観測(フィールドワーク)による研究を行っており、当施設にある多くの実験施設で実験だけを行っているわけではなく、幅広く活動している。
主な実験としては、昨年9月の鬼怒川の堤防決壊があったが、堤防決壊のメカニズムの研究として、堤防の模型をつくり、それを乗り越える水の流れを再現し、越流破壊による堤体変形の解析を行ったものや、都市部の地下空間における浸水被害の研究のため、地下空間を模型再現しての浸水実験等がある。
当ラボの地下空間の浸水を想定した実験装置として、実物大の階段模型や実物大ドア模型があり、どれくらいの流量の水が流れると階段を上ることが困難になるか、また、どれくらいの高さまで水がたまるとドアを開けることが困難になるか、などの実験を行える。
また、津波再現水槽による実験等も行える。
当ラボのその他の重要なミッションとして、アウトリーチ活動があり、消防・警察の水害救助訓練のための使用への協力や、行政・学校関係者の施設見学、体験学習への対応、メディア取材への対応のほか、年に1度、大学の宇治キャンパス公開の際に、このラボも併せてイベント行い、市民向けの災害体験学習を行っている。
実績としては、京都市消防学校では、毎年、丸1日をかけて、座学及び体験訓練を行って、隊員の資質向上につなげている。
(5)主な質疑応答
問:2004年ごろから堤防決壊が増えてきたとのことだが、その理由は何か。
答:2004年は、台風が10個上陸するなど、特に水害被害が多かった。それ以降も大小の被害を聞くことが多くなったと感じている。直接的な因果関係は不明であるが、気象庁でも、集中豪雨などの短時間大量の降雨の回数が多くなっているというデータがあるので、その影響も考えられる。
問:水害(洪水)対策は堤防だけなのか、また堤防の材質は金属板やコンクリなどと土堤での違いはあるのか。
答:洪水水害の防止や軽減には、必ずしも堤防だけということはない。ダムや遊水地(学校校庭や公園などを低く作りそこにためるとか、各家庭に貯水槽を設け各家庭で少しづつ水を貯めておくことも含む)などのように一時的に水を蓄えて、河川への流入を抑えることも効果はある。
また、堤防の材質は、やはり人工物の方が強度はあると思われる。しかし、堤防は長距離に渡る構造物であるため、どうしてもそこにある材料(土曜日)で賄うことが効率的になることから、土堤防も多い。
ただ、土堤防は歴史が古いため、長年の洪水被害を受けて、盛り増しされてきているものが多く、複雑な構造をしていることから、その決壊の仕方も複雑であり、なかなか対策も難しいと思われる。
(1)日時:平成28年10月28日(金曜日)10時00分~11時20分
(2)調査項目:防災教育・啓発について
(3)経過
初めに、中沢委員長からの調査協力に対するお礼のあいさつの後、阿倍野防災センター長から歓迎のあいさつ及び防災センターの概要について説明があった。
その後、防災センターのアテンダントの案内により、施設体験及び説明を受けた。
(4)概要説明
この施設は、平成16年5月から運用開始しており、昨年度は、15万7千人余の来館があった。建物(あべのフォルサ)は6階建てで、1・2階は大阪市の危機管理室の備品倉庫、3・4階が防災センター、5・6階が大阪市のプール並びに人材開発センターの職員研修所が入っている。
建物の建設費用は、全体で約82億円、防災センターは約25億円、体験施設に限ると約12億円となっている。運営は、常勤職員が7名、アテンダントの派遣職員が8名、オンコールでかかる設備業者の計16名で行っている。年間予算は、市消防局から9,400万円を配分されている。
当施設の特徴は、ただ見てもらうだけでなく、実際に地震が起こった時にどうしていくべきかを順番に系統だって体験してもらい、最後に、起震台で震度7がどのようなものかを体験してもらうという、見て聴いて感じてもらえる体験学習施設となっている。
〔体験学習施設の体験〕
この後、体験学習施設において、地震発生直後に行うこととして、後に火災発生の原因となる電源のカット、ブレーカーの遮断、ガスの元栓を閉める等の行動の実演体験、煙が充満する中からの避難体験、消火器による初期消火体験、携帯電話や公衆電話からの119番通報訓練などの体験を行い、被災後の街中を再現したセットにおいて、何処に危険が潜んでいるかの体験を行った後、最後に、起震装置で震度7の揺れ体験を受けた。
(5)主な質疑応答
問:消火器を使った初期消火での注意事項などはあるか。
答:体験した通り、消火器は、まずピンを抜いて、ホースを火に向けてグリップを握って消火剤を放出する手順であるが、体験では、すぐそばに消火器を置いているため、すぐにピンを抜いても支障はないが、実際の火災現場では消火器がそばにあることは少ない。離れた所から持ってきて使うことになるが、このときにあわててピンを抜いてから運ぼうとする人がいる。そうすると運んでいる途中にグリップを握ってしまい、消火剤をまきながら火の元に行くことになり、さあという時にはもう消火剤が出切っていてダメということがある。
消火剤は、大きさにもよるが、20秒程度しか噴射しない。あわてずに、火の元まで運んでからピンを抜いて消火を行うよう気をつけてほしい。
職名 | 氏名 | 会派 |
---|---|---|
委員長 | 中沢裕隆 |
自民党 |
副委員長 | 中村実 |
自民党 |
委員 | 浜田穂積 |
自民党 |
委員 | 佐藤正己 |
自民党 |
委員 | 木名瀬捷司 |
自民党 |
委員 | 石毛之行 |
自民党 |
委員 | 亀田郁夫 |
自民党 |
委員 | 田中信行 |
民進党 |
委員 | 横堀喜一郎 |
民進党 |
委員 | 秋林貴史 |
公明党 |
委員 | 水野友貴 |
我孫子無所属の会 |
所属・職名 | 氏名 | 備考 |
---|---|---|
総務部長 | 小倉明 | |
防災危機管理部次長 | 内田文雄 |
|
総務部総務課副課長 | 河南康広 | 議事課主幹(併任) |
防災危機管理部防災政策課副課長 | 齋藤浩司 | 議事課主幹(併任) |
議会事務局政務調査課副主幹 |
君塚美和 | |
議会事務局総務課副主査 |
飯嶋茂人 |
月日 |
場所 |
着 |
発 |
備考 |
---|---|---|---|---|
10月26日 |
東京駅 |
|
10時10分 |
のぞみ23号 |
新神戸駅 |
12時55分 |
|
|
|
防災科学技術研究所兵庫耐震工学研究センター |
14時00分 |
15時20分 |
調査 |
|
宿舎 |
|
|
|
|
10月27日 |
宿舎 |
|
|
|
奈良県立図書情報館 |
10時50分 |
11時55分 |
調査 |
|
京都大学防災研究所宇治川オープンラボラトリー |
14時00分 |
15時40分 |
調査 |
|
宿舎 |
|
|
|
|
10月28日 |
宿舎 |
|
|
|
大阪市立阿倍野防災センター |
10時00分 |
11時20分 |
調査 |
|
新大阪駅 |
|
13時50分 |
のぞみ230号 |
|
東京駅 |
16時23分 |
|
|
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