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更新日:平成29(2017)年6月6日

腫瘍血液内科-がん専門研修

研修概要

血液内科研修プログラムは、卒後研修修了後に血液内科専門医を目ざす医師を対象とし、エキスパートとして必要な知識、技術、経験、そして資格を得ることを目的としています。千葉県がんセンターは伝統的に悪性リンパ腫の診療に力を入れており、全国的にもトップクラスの診療実績を誇っています。診療の中心はすでに確立された標準治療ですが、難治性の病型に対しては試験的な治療も行っています。その中には多数例行われてきた造血幹細胞移植が含まれます。実際の診療は化学療法の管理が中心となりますが、ここでの実践は近年その重要性が注目されている腫瘍内科専門医(MedicalOncologist)としてのトレーニングにつながります。実際に、腫瘍血液内科では抗がん剤に感受性の高い固形腫瘍(精巣等の胚細胞腫瘍、骨・軟部腫瘍、乳がん等)の治療を積極的に行っています。

以上、それぞれの医師の抱く将来設計に応じ、幅広く血液学の研鑽を積むことが可能なプログラムです。

研修体制

腫瘍・血液内科には現在5名の常勤スタッフが勤務しています(輸血療法科1名、外来化学療法科1名が兼任)。この中には、血液専門医4名(日本血液学会)、がん薬物療法専門医1名(日本臨床腫瘍学会)、感染症専門医(日本感染症学会)1名など、幅広い分野を網羅する専門医が所属し、指導に当たります。個々の患者の治療方針を決定する診療カンファレンスは週に2回、他に臨床病理部、臨床検査部との合同カンファレンスが週に1回行われています。

対象疾患は悪性リンパ腫(新患数:年間130-150例)、白血病(同15-20例)、骨髄腫(同20-25例)等の造血器腫瘍が中心となりますが、千葉県内に血液内科の専門施設が限られているという事情から、骨髄異形成症候群、再生不良性貧血、自己免疫性溶血性貧血、特発性血小板減尐性紫斑病など、幅広い血液疾患の治療に携わることが可能です。

腫瘍血液内科プログラム

一般目標

1.指導医のもとで内科医として必要な診断・治療法を研修しながら、血液内科の基本診療について学ぶ。

2.造血器腫瘍の診療に求められる基盤的知識,診断および病期の把握能力,化学療法の選択および遂行能力などを修得する。

3.化学療法を遂行するための必要な知識や技術を習得し、適切な支持療法や緩和ケアにも習熟する。

行動目標

全般的な目標と疾患部位別目標を設ける。目標はA;必須目標、B;努力目標に分け、各目標に対しての評価(研修医および指導医)はa=十分できる、b=できる、c=要努力、d=評価不能、で行う。研修終了時に総括的評価を行う。

目標の設定は研修期間の長さで行う。短期(1~6ヶ月;初期研修、後期レジの一部が該当)、中期(6ヶ月~1年;後期レジの一部、医員が該当)、長期(1年以上;後期レジの一部、がん修練医が該当)

項目

設定目標

短期

中期

長期

A.基本的診療技能

 

 

 

医療面接の基本を身につけ患者およびその家族の苦悩を理解しながら、がん診療に必要な対話と診察ができ、患者の主体性を尊重した診療ができる。

 

 

 

1.医療面接の基本

 

 

 

1)常に患者・家族の身になって考え、医療チームの一員として適切に振舞うことができる。

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2)患者・家族の話に耳を傾け、理解しようと努めることができる。

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3)患者・家族が理解できる分かりやすい言葉で話し、理解したことを確認できる。

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4)患者・家族の心身の負担を考慮しながら対話をすることができる。

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5)対話により医療に必要な情報を得ることができる。

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6)いかなる質問に対しても、親切に優しく適切に答えることができる。

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7)患者・家族と心を通わせ、慰めと希望を与えることができる。

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8)医療に関連した患者・家族の経済的・社会的負担に配慮できる。

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9)がん診療医のあるべき姿を模索し、優れた医師のあり方を見習うことができる。

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2.がん患者の診療

 

 

 

1)がん患者の訴える症状およびその他の医療情報に基づき、蓋然性の高い診断に到達するための論理的な病歴作成ができる。

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2)病歴を基に、診断と診療方針を設定するために必要な身体診察を行うことができる。

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3)病歴と身体診察に基づき、迅速な診断と診療方針の決定に必要な臨床検査を列挙することができる。

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4)臨床検査の結果を勘案して、患者の病態を説明できる。

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5)診断と病態に基づいた診療方針を説明できる。

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6)患者の判断に必要な情報を提供できる。

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3.チーム医療

 

 

 

1)がん医療チームを構成するメンバーの役割を正しく理解し、効果的なチーム医療のあり方を説明できる。

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2)複数の専門家が連携して行う集学的治療の意義について説明できる。

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3)他の医療機関と緊密な連携をすることの重要性を説明できる。

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4.診療記録

 

 

 

1)診療記録の中で、がん診療に重要な記載項目を指摘できる。

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2)診察および検査に基づいて治療効果・副作用を評価し、SOAP形式で経時的に記載できる。

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B.医療倫理、インフォームド・コンセント

 

 

 

がん診療にあたって前提となる医療倫理を理解する。

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1.医療に関する倫理原則

 

 

 

1)医の倫理四原則(個人の尊重・無危害・善行・公正)を理解し、説明できる。

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2.インフォームド・コンセント

 

 

 

1)インフォームド・コンセントの基本概念を説明できる。

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2)病名・病状・予後など患者にとって悪い情報の伝え方を説明できる。

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3)患者が診療方針を判断するために必要な情報を抽出できる。

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3.セカンドオピニオン

 

 

 

1)セカンドオピニオンの基本的概念・意義を説明できる。

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4.個人情報

 

 

 

1)プライバシーに配慮した行動ができる。

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2)診療情報管理の原則を説明できる。

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C.知識

 

 

 

1.形態,機能,病態生理を理解できる。

 

 

 

1)造血臓器および血球の構造と機能

 

 

 

2)血球産生と分化

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a、造血幹細胞

 

 

 

b、造血因子

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3)血漿蛋白

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4)止血機序

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5)抗血栓機序

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2.主要症候を把握できる

 

 

 

1)貧血,多血,発熱,出血傾向,血栓傾向。

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2)脾腫,扁桃腫大,肝腫大,リンパ節腫大,黄疸。

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3)免疫不全,過粘度症候群,ヘモグロビン尿。

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3.臨床腫瘍学の基礎を理解できる

 

 

 

1)がんの生物学。

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2)腫瘍免疫学。

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3)がんの疫学と予防。

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4)統計学を含む臨床研究。

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4.がんの診断の基本原則が理解できる

 

 

 

1)病理診断

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2)分子生物学的診断

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3)遺伝子診断

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4)病期診断

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D.診察

 

 

 

1)リンパ節触診が行える。

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2)出血傾向視診が行える。

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3)肝脾触診が行える。

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E.検査

 

 

 

1)血球算定およびヘモグロビン定量を判断できる。

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2)赤血球恒数(MCV,MCH,MCHC,RDW)を判断できる。

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3)塗抹標本の作製と鏡検ができる。

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4)網赤血球数を判断できる。

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5)骨髄検査

 

 

 

a.骨髄穿刺(一人で安全に出来る)

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b.骨髄像(鏡検して判断できる)

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c.骨髄生検(一人で安全に出来る)

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6)血球の形態学的検査

 

 

 

a.細胞化学的検査(鏡検して判定できる)

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b.電顕所見

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7)造血必須物質測定(フェリチン、血清鉄、ビタミンB12、エリスロポエチンなど)を判断できる。

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8)溶血に関する検査(ビリルビン、ハプトグロビン、クームス試験など)を判断できる。

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9)血液学における放射線学的診断(CT、MRI、Gaシンチ、FDG-PETなど)が行える。

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10)表面形質検査を判断できる。

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11)免疫血液学的検査(自己抗体、抗血小板抗体、PAIgGなど)を判断できる。

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12)血漿蛋白検査を判断できる。

 

 

 

a.電気泳動法

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b.免疫グロブリン定量

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c.ベンスジョーンス蛋白

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13)体腔液(腹水、胸水、脳脊髄液)の検査と鏡検ができる。

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14)リンパ節の検査、提出検査の判断ができる。

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15)血小板,凝固・線溶検査を判断できる。

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16)血液型と輸血関連検査

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17)染色体検査を判断できる。

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18)分子生物学的検査を判断できる。

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F.治療

 

 

 

1.標準的治療の概念

 

 

 

標準的治療の概念について理解できる。

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1)標準的治療法の概念を説明できる。

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2.がん薬物療法

 

 

 

がん薬物療法の原理、適応、限界、副作用を理解する。

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a.がん薬物療法総論

 

 

 

1)がん薬物療法の目的について説明できる。

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2)抗悪性腫瘍薬を投与する際に考慮すべき患者の状態を列挙できる。

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3)多剤併用化学療法の原理について概説できる。

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4)抗悪性腫瘍薬耐性について概説できる。

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b.抗がん化学療法

 

 

 

1)代表的な抗がん化学療法薬について、種類、作用機序、適応となる代表的疾患、薬剤投与法、副作用を概説できる。

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c.分子標的治療

 

 

 

1)分子標的治療の概念を説明できる。

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2)代表的分子標的治療薬とその標的を例示できる。

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3)分子標的治療の対象となる代表的疾患を列挙できる。

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d.抗悪性腫瘍薬の副作用

 

 

 

(1)骨髄抑制

 

 

 

1)抗悪性腫瘍薬の投与に伴う白血球減少(好中球減少)、血小板減少、貧

血の機序及びその対処法を概説できる。

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(2)感染症

 

 

 

1)がん薬物療法に伴う感染症とその治療について概説できる。

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2)標準的感染予防策(スタンダード・プレコーション)を説明できる。

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(3)消化器障害

 

 

 

1)がん薬物療法に伴う消化器障害とその治療について概説できる。

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(4)口内炎・粘膜炎

 

 

 

1)がん薬物療法に伴う口内炎・粘膜炎の予防とその治療について概説できる。

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(5)皮膚障害

 

 

 

1)皮膚障害を来たしやすい代表的な抗悪性腫瘍薬を列挙できる。

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2)血管外漏出により組織障害を生じる抗悪性腫瘍薬を列挙し、投与時の注意点を概説できる。

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(6)脱毛

 

 

 

1)脱毛を来たし易い抗悪性腫瘍薬を列挙できる。

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(7)神経障害

 

 

 

1)末梢神経障害を来たし易い抗悪性腫瘍薬を列挙できる。

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(8)その他の臓器障害

 

 

 

1)心臓・肝臓・腎臓・肺などの臓器障害を来たす悪性腫瘍薬を列挙できる。

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2)抗悪性腫瘍薬による二次発がん、成長障害、不妊などの晩期障害について概説できる。

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3.輸血療法

 

 

 

1)成分輸血を安全かつ適切に行える。

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2)血液製剤と血漿分画製剤を適切に使用できる。

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4.造血幹細胞移植

 

 

 

1)自家末梢血幹細胞移植を安全かつ適切に行える。

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2)同種造血幹細胞移植を安全かつ適切に行える。

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F.腫瘍関連緊急対策

 

 

 

がん治療に伴って現れる緊急処置が必要な病態を挙げ、対処方法を概説できる。

 

 

 

1)がんに起因する緊急処置が必要な代表的な病態、上大静脈症候群、気道狭窄、心タンポナーデ、尿路閉塞、急性腹症、脊髄圧迫、脳圧亢進、電解質異常などを列挙できる。

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2)がんの治療に伴う緊急事態が列挙できる。

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3)代表的な病態について、成因、診断、治療を概説できる。

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G.腫瘍随伴症候群

 

 

 

 

腫瘍に随伴しておこる精神・身体的な異常のメカニズムを理解し、それらの診断と治療について概説できる。

 

 

 

1)腫瘍随伴症候群を定義できる。

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2)代表的な病態を例示し、症候、診断、治療を概説できる。

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H.緩和医療

 

 

 

がんに関連する疼痛をはじめとする身体症状、精神症状に対する緩和医療のあり方について概説できる

 

 

 

1.緩和医療の基本原則

 

 

 

1)緩和医療を定義できる。

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2)死と向き合う患者とその家族の心を理解し、支援することができる。

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3)患者の尊厳と生命の質(QOL)を尊重した治療のあり方を説明できる。

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4)患者の身体的・精神的・社会的苦痛に配慮し、緩和を目的としたチーム医療に協力できる。

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2.がん性疼痛

 

 

 

1)がん性疼痛の種類と病態について説明できる。

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2)WHO方式がん疼痛治療法を説明できる。

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3)鎮痛薬の種類・投与法・代表的な副作用とその対策を概説できる。

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3.疼痛以外の身体症状

 

 

 

1)進行期のがん患者にみられる身体症状(食欲不振、悪液質、呼吸困難感、倦怠感、浮腫、腹部膨満感など)を列挙して病態を概説できる。

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4.がん患者の精神症状とその対応

 

 

 

1)がん告知に伴う精神・心理的な反応を段階を追って説明できる。

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2)がん患者にみられる精神症状(不安・抑うつ・せん妄・適応障害・不眠等)を概説できる。

 

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I.Evidence-basedMedicine(EBM)と臨床試験

 

 

 

新しい診断・治療法の確立に向けての臨床試験及びEBMの概念と重要性を理解する。

 

 

 

1.EBM

 

 

 

1)EBMについて説明できる。

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2)エビデンスのレベルについて概説できる。

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3)エビデンスのある医療情報を検索することができる。

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2.研究倫理

 

 

 

1)研究倫理の基本的な考え方を概説できる。

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2)ヘルシンキ宣言の成り立ちと内容を概説できる。

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3)日常診療と臨床試験の違いを概説できる。

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3.臨床試験

 

 

 

1)臨床試験の意義・定義を述べることができる。

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2)臨床試験の各相の目的を概説できる。

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3)プライマリーエンドポイント、セカンダリーエンドポイントの意味を概説できる。

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4)学会(地方会)や研究会で症例報告を行い、論文作成を行う。

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5)全国レベルの学会で臨床研究の発表を行い、論文作成を行う。

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J.安全管理

 

 

 

がん医療にあたって必要な安全性の確保・危機管理の考え方を理解する。

 

 

 

1)安全性の確保と危機管理の基本的な考え方を概説できる。

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2)がん医療に伴う医療事故の事例を挙げ、その発生要因を考察できる。

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3)医療事故の予防と事故発生時の対応について、概説できる。

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