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更新日:平成29(2017)年6月6日

消化器内科-がん専門研修

研修概要

研修の目的は、指導医のもとで内科医として必要な診断・治療法を行ったり補助をしたり見学したりすることで、消化器内科医としての基本の知識・技術をしっかり身につけることです。さらに内科医、消化器内科医としての基本をもとにして、より高度な専門的な診療を習得をすることが次の目標となります。医療技術が進歩しても治すことのできない病気、診断できない病気が数多く存在しますので、研修を通じて診断・治療の限界も学びます。

診療は医師ひとりで行うことはほんのわずかで、大部分は看護師や薬剤師、放射線技師、検査技師、CRCなど他の職種と共同で診療を行います。医師の間だけではなく他の業種のスタッフとの良好なコミュニケーションが大切です。研修では良好なコミュニケーションの方法を学ぶだけではなく、他の職種のスタッフからも診療について学ぶことができます。

研修期間は、研修開始時期や研修の目的によって短期、中期、長期の研修プログラムのいずれかから選びます。短期は初期臨床研修、長期は本格的な消化器内科研修を想定しています。事情によっては化学療法を重点的に研修するなど診療範囲を特定して研修することも可能です。

研修体制

現在常勤医8名で診療しています。日本内科学会認定医7名(指導医2名)、消化器病学会専門医6名(指導医2名)、消化器内視鏡学会専門医6名(指導医2名)、がん治療認定医6名の資格を持っています。外来診療、上部消化管内視鏡検査、大腸内視鏡検査は月曜日から金曜日まで毎日行っています。カンファレンスは消化器内科のカンファレンスを週1回行っていて入院患者や新患患者の診断や治療方針について相談しています。別の曜日に内視鏡カンファレンスを行って、内視鏡像と病理結果の確認、治療方針の確認をしています。さらに消化管カンファレンス、肝胆膵カンファレンスを消化器外科、画像診断部、臨床病理部の医師を交えて、食道がんカンファレンスはさらに放射線治療部の医師も参加して治療方針の検討を行っています。また、入院診療は、常勤医と研修医で2-3人のグループを作り一緒に入院患者を受け持ち消化器の病気だけでなく全身を診て理解できるようにしています。

消化器内科がん専門研修プログラム

一般目標

1.指導医のもとで内科医として必要な診断・治療法を研修しながら、消化器内科の基本診療について学ぶ。

2.内科医として必要な診断・治療法、消化器内科としての基本診療、超音波・内視鏡検査の基本をもとに、より高度な消化器診療、内視鏡技術の習得をする。

行動目標

全般的な目標と疾患部位別目標を設ける。目標はA;必須目標、B;努力目標に分け、各目標に対しての評価(研修医および指導医)はa=十分できる、b=できる、c=要努力、d=評価不能、で行う。研修終了時に総括的評価を行う。

目標の設定は研修期間の長さで行う。短期(1~6ヶ月;初期研修、後期レジの一部が該当)、中期(6ヶ月~1年;後期レジの一部、医員が該当)、長期(1年以上;後期レジの一部、がん修練医が該当)

項目

設定目標

短期

中期

長期

A.基本的診療技能

 

 

 

医療面接の基本を身につけ患者およびその家族の苦悩を理解しながら、がん診療に必要な対話と診察ができ、患者の主体性を尊重した診療ができる。

 

 

 

1.医療面接の基本

 

 

 

1)常に患者・家族の身になって考え、医療チームの一員として適切に振

舞うことができる。

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A

2)患者・家族の話に耳を傾け、理解しようと努めることができる。

A

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A

3)患者・家族が理解できる分かりやすい言葉で話し、理解したことを確認できる。

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4)患者・家族の心身の負担を考慮しながら対話をすることができる。

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A

5)対話により医療に必要な情報を得ることができる。

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6)いかなる質問に対しても、親切に優しく適切に答えることができる。

A

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7)患者・家族と心を通わせ、慰めと希望を与えることができる。

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A

8)医療に関連した患者・家族の経済的・社会的負担に配慮できる。

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9)がん診療医のあるべき姿を模索し、優れた医師のあり方を見習うことができる。

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A

A

2.がん患者の診療

 

 

 

1)がん患者の訴える症状およびその他の医療情報に基づき、蓋然性の

高い診断に到達するための論理的な病歴作成ができる。

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2)病歴を基に、診断と診療方針を設定するために必要な身体診察を行

うことができる。

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3)病歴と身体診察に基づき、迅速な診断と診療方針の決定に必要な臨

床検査を列挙することができる。

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4)臨床検査の結果を勘案して、患者の病態を説明できる。

A

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5)診断と病態に基づいた診療方針を説明できる。

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A

6)患者の判断に必要な情報を提供できる。

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3.チーム医療

 

 

 

1)がん医療チームを構成するメンバーの役割を正しく理解し、効果的なチーム医療のあり方を説明できる。

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2)複数の専門家が連携して行う集学的治療の意義について説明できる。

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A

3)他の医療機関と緊密な連携をすることの重要性を説明できる。

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A

4.診療記録

 

 

 

1)診療記録の中で、がん診療に重要な記載項目を指摘できる。

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2)診察および検査に基づいて治療効果・副作用を評価し、SOAP形式で経時的に記載できる。

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B.医療倫理、インフォームド・コンセント

 

 

 

がん診療にあたって前提となる医療倫理を理解する。

 

 

 

1.医療に関する倫理原則

 

 

 

1)医の倫理四原則(個人の尊重・無危害・善行・公正)を理解し、説明できる。

 

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2.インフォームド・コンセント

 

 

 

1)インフォームド・コンセントの基本概念を説明できる。

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2)病名・病状・予後など患者にとって悪い情報の伝え方を説明できる。

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3)患者が診療方針を判断するために必要な情報を抽出できる。

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3.セカンドオピニオン

 

 

 

1)セカンドオピニオンの基本的概念・意義を説明できる。

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4.個人情報

 

 

 

1)プライバシーに配慮した行動ができる。

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A

2)診療情報管理の原則を説明できる。

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C.診断

 

 

 

各種検査法の原理・意義・適応を理解し、頻度の高いがんに関連した所見を説明できる。

 

 

 

1.血液・生化学検査

 

 

 

1)がんの診断に有用なタンパク・腫瘍マーカーを列挙できる。

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2)消化器癌患者の全身状態を把握して、適切な検査を依頼できる。

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A

2.画像診断

 

 

 

1)単純X線撮影(胸部・腹部・骨軟部組織・乳腺)の原理・適応・禁忌を概説し、頻度の高い代表的ながんの所見を説明できる。

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2)X線造影検査(消化管・血管・膵胆管・尿路)の原理・適応・禁忌を概説し、頻度の高い代表的ながんの所見を説明できる。

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3)超音波検査の原理・適応を概説し、頻度の高い代表的ながんの所見

を説明できる。

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4)CT・MRI・PET・RI検査の原理・適応・禁忌を概説し、頻度の高い代表的ながんの所見を説明できる。

A

A

A

5)指導医のもとで腹部超音波検査を習得し.肝臓、胆嚢、胆管、膵臓、腎臓、脾臓が描出できる。

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A

6)超音波ガイド下処置の助手となる。

B

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A

7)肝癌のラジオ波熱凝固治療の助手となる。

B

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8)超音波検査、造影超音波検査を行う。

B

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A

9)指導医のもとで肝生検の術者となる。

B

A

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3.内視鏡検査

 

 

 

1)内視鏡検査の原理・適応を概説できる。

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2)消化管内視鏡の適応、頻度の高い代表的ながんの所見・合併症を説

明できる。

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3)指導医のもとで上部消化管内視鏡の操作を行う。

B

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A

4)内視鏡的止血術、ポリペクトミーなどの、内視鏡的治療の基本を修得する。

B

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A

5)上部消化内視鏡検査の施行医となる。

B

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6)下部消化内視鏡検査の施行医となる。

B

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7)ESDやERCP、ESTなどの侵襲的な検査・処置に関して、検査助手として関与する。

B

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D.病期分類

 

 

 

がんの病期分類の意義を理解し、臨床応用ができる。

 

 

 

1)臨床病期・外科病期・病理病期の概念を説明できる。

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2)TNM分類について説明できる。

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3)代表的ながんについて病期ごとの治療法選択について概説できる。

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4)予後因子の概念を説明できる。

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E.治療

 

 

 

1.標準的治療の概念

 

 

 

標準的治療の概念について理解できる。

 

 

 

1)標準的治療法の概念を説明できる。

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2.がん薬物療法

 

 

 

がん薬物療法の原理、適応、限界、副作用を理解する。

 

 

 

a.がん薬物療法総論

 

 

 

1)がん薬物療法の目的について説明できる。

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2)抗悪性腫瘍薬を投与する際に考慮すべき患者の状態を列挙できる。

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3)多剤併用化学療法の原理について概説できる。

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4)抗悪性腫瘍薬耐性について概説できる。

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b.抗がん化学療法

 

 

 

1)代表的な抗がん化学療法薬について、種類、作用機序、適応となる代表的疾患、薬剤投与法、副作用を概説できる。

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c.分子標的治療

 

 

 

1)分子標的治療の概念を説明できる。

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2)代表的分子標的治療薬とその標的を例示できる。

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3)分子標的治療の対象となる代表的疾患を列挙できる。

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d.抗悪性腫瘍薬の副作用

 

 

 

(1)骨髄抑制

 

 

 

1)抗悪性腫瘍薬の投与に伴う白血球減尐(好中球減尐)、血小板減尐、貧血の機序及びその対処法を概説できる。

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(2)感染症

 

 

 

1)がん薬物療法に伴う感染症とその治療について概説できる。

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2)標準的感染予防策(スタンダード・プレコーション)を説明できる。

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(3)消化器障害

 

 

 

1)がん薬物療法に伴う消化器障害とその治療について概説できる。

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(4)口内炎・粘膜炎

 

 

 

1)がん薬物療法に伴う口内炎・粘膜炎の予防とその治療について概説

できる。

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(5)皮膚障害

 

 

 

1)皮膚障害を来たしやすい代表的な抗悪性腫瘍薬を列挙できる。

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2)血管外漏出により組織障害を生じる抗悪性腫瘍薬を列挙し、投与時の注意点を概説できる。

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(6)脱毛

 

 

 

1)脱毛を来たし易い抗悪性腫瘍薬を列挙できる。

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(7)神経障害

 

 

 

1)末梢神経障害を来たし易い抗悪性腫瘍薬を列挙できる。

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(8)その他の臓器障害

 

 

 

1)心臓・肝臓・腎臓・肺などの臓器障害を来たす悪性腫瘍薬を列挙できる。

 

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2)抗悪性腫瘍薬による二次発がん、成長障害、不妊などの晩期障害に

ついて概説できる。

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3.内視鏡的治療

 

 

 

がん治療における内視鏡的治療法の適応と限界を理解する。

 

 

 

1)がん治療に用いられる内視鏡的治療の種類と代表的な対象疾患を列挙できる。

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2)消化管がんに対する内視鏡的切除の適応、長所、短所、合併症を概説できる。

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3)狭窄と瘻孔と出血に対する内視鏡的治療(ステント挿入・止血術・EMR・ESD)について概説できる。

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4)指導医のもとで止血術ができる。

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4.InterventionalRadiology(IVR)

 

 

 

がん治療におけるIVR療法の概念、その適応および限界を理解する。

 

 

 

1)肝細胞がんに対するIVR療法(肝動脈塞栓術・焼灼術など)の長所・短所・合併症を概説できる。

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2)症状緩和や緊急処置を目的としたIVR療法を例示できる。

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3)肝動脈塞栓術の助手となる。

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4)指導医のもとで肝動脈塞栓術の術者となる。

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5.集学的治療

 

 

 

集学的治療の概念を理解する。

 

 

 

1)いわゆる「集学的治療」という用語が二つの意味で使われることがあることを説明できる。(Multidisciplinary、及びMultimodal)

 

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2)手術と薬物療法を組み合わせた治療の具体例を示すことができる。

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3)放射線療法と薬物療法を組み合わせた治療の具体例を示すことができる。

 

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4)手術と放射線療法を組み合わせた治療の具体例を示すことができる。

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5)複数の専門家が連携して行うチーム医療の意義について説明でき

る。

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6.治療の継続と中止

 

 

 

がん薬物療法の効果と毒性の評価について概説できる。

 

 

 

1)治療の継続・変更・中止の判断の指標となる項目を列挙できる。

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2)毒性についてその種類・程度が説明できる。

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F.腫瘍関連緊急対策

 

 

 

がん治療に伴って現れる緊急処置が必要な病態を挙げ、対処方法を概説できる。

 

 

 

1)がんに起因する緊急処置が必要な代表的な病態、上大静脈症候群、気道狭窄、心タンポナーデ、尿路閉塞、急性腹症、脊髄圧迫、脳圧亢進、電解質異常などを列挙できる。

 

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2)がんの治療に伴う緊急事態が列挙できる。

 

 

 

3)代表的な病態について、成因、診断、治療を概説できる。

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G.腫瘍随伴症候群

 

 

 

腫瘍に随伴しておこる精神・身体的な異常のメカニズムを理解し、それらの診断と治療について概説できる。

 

 

 

1)腫瘍随伴症候群を定義できる。

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2)代表的な病態を例示し、症候、診断、治療を概説できる。

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H.緩和医療

 

 

 

がんに関連する疼痛をはじめとする身体症状、精神症状に対する緩和医療のあり方について概説できる

 

 

 

1.緩和医療の基本原則

 

 

 

1)緩和医療を定義できる。

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2)死と向き合う患者とその家族の心を理解し、支援することができる。

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3)患者の尊厳と生命の質(QOL)を尊重した治療のあり方を説明できる。

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4)患者の身体的・精神的・社会的苦痛に配慮し、緩和を目的としたチーム医療に協力できる。

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2.がん性疼痛

 

 

 

1)がん性疼痛の種類と病態について説明できる。

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2)WHO方式がん疼痛治療法を説明できる。

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3)鎮痛薬の種類・投与法・代表的な副作用とその対策を概説できる。

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3.疼痛以外の身体症状

 

 

 

1)進行期のがん患者にみられる身体症状(食欲不振、悪液質、呼吸困

難感、倦怠感、浮腫、腹部膨満感など)を列挙して病態を概説できる。

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4.がん患者の精神症状とその対応

 

 

 

1)がん告知に伴う精神・心理的な反応を段階を追って説明できる。

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2)がん患者にみられる精神症状(不安・抑うつ・せん妄・適応障害・不眠等)を概説できる。

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I.Evidence-basedMedicine(EBM)と臨床試験

 

 

 

新しい診断・治療法の確立に向けての臨床試験及びEBMの概念と重要性を理解する。

 

 

 

1.EBM

 

 

 

1)EBMについて説明できる。

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2)エビデンスのレベルについて概説できる。

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3)エビデンスのある医療情報を検索することができる。

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2.研究倫理

 

 

 

1)研究倫理の基本的な考え方を概説できる。

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2)ヘルシンキ宣言の成り立ちと内容を概説できる。

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3)日常診療と臨床試験の違いを概説できる。

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3.臨床試験

 

 

 

1)臨床試験の意義・定義を述べることができる。

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2)臨床試験の各相の目的を概説できる。

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3)プライマリーエンドポイント、セカンダリーエンドポイントの意味を概説できる。

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4)学会(地方会)や研究会で症例報告を行い、論文作成を行う。

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5)全国レベルの学会で臨床研究の発表を行い、論文作成を行う。

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J.安全管理

 

 

 

がん医療にあたって必要な安全性の確保・危機管理の考え方を理解する。

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1)安全性の確保と危機管理の基本的な考え方を概説できる。

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2)がん医療に伴う医療事故の事例を挙げ、その発生要因を考察できる。

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3)医療事故の予防と事故発生時の対応について、概説できる。

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