ここから本文です。

更新日:令和4(2022)年5月11日

病院長挨拶

飯笹病院長

千葉県がんセンター病院長  飯笹 俊彦

 

 新年度を迎えるにあたってご挨拶を申し上げます。
千葉県がんセンターでも、新規採用や異動も含め多くの方が新しい職場についております。異動者には早く業務を覚え、他の職員には業務の停滞がないよう指導しております。人事異動はがんセンターのさらなる発展のた
めに推進しなければなりません。患者、ご家族の皆様には暫時業務の遅延などご不便おかけいたしますが、安全を担保し誤認など起こらぬよう努めてまいりますので、何卒ご理解をお願い申し上げます。
 新型コロナ感染症は第6波が漸く落ち着きをみせてきておりますが、終息にはまだ時間がかかるものと推察されます。当院でも一病棟閉鎖し、一部スタッフを新型コロナ感染症の臨時医療施設に派遣しております。早期終息を願いワクチン接種にも積極的に協力し、感染管理部を中心として面会制限、検温、アルコール消毒の徹底など感染症対策に取り組んでいるところです。
 東日本大震災、台風直撃やさまざまな異常気象、新型コロナ感染症蔓延など、最近10数年、私共は未曾有といわれるような体験を繰り返してまいりました。さらに今般まさかと思っていたウクライナ侵攻がはじまりました。ウクライナの置かれている状況は我が国でも類似する部分が多々あり、殆どの世代が戦争を知らない我々日本人にとって、この事態は衝撃だったのではないでしょうか。第二次大戦後、朝鮮戦争あるいはベトナム戦争でも我々は直接戦争に巻き込まれることはなく、我が国に平和憲法がある限り戦争など起こるはずがないと呑気に考えていたのかもしれません。しかしそれは保証のない幻想であり、様々な安全保障の必要性とともに危機管理がこれほど重要なテーマになっているのは戦後初めてではない
かと思います。
 私の地元では「銚子の川口てんでんしのぎ」という言い伝えがあります。銚子の川口(利根川河口)は日本三大海難所の一つ、過去多数の海難事故が発生してきました。「てんでん」は各自、それぞれということで、意味は「利根川河口では周りの船が転覆しそうになっても手を出すな。自分の船は自分で守れ。」ということです。東北でも「津波てんでんこ」という同様の言い伝えがあるといいます。これをよく薄情と誤解される方がいます。しかし東北の震災でも多くの方が地震そのものの被害は免れながら、家族、知人を探しに行って津波の犠牲になられました。病院では患者さん第一です。しかし大震災、洪水、大規模感染症などの危機管理にあっては、まずは自分の身を守らなければなりません。自身の安全を確保したうえでの周囲に対する配慮でなければ、共に犠牲になってしまう可能性が高いのです。そのためには日頃から各個人で当座の危機が火、水あるいは破壊なのか、どのような避難経路をとるべきか、代替手段はないのかを考えておくことが大切なのではないでしょうか。行政や病院から提示されたハザードマップや避難経路を確認していることは当然で、自分が現在いる場所でいかに身を守り行動するかについて考えておくことが重要なのだと思います。職員一人ひとりがこのような意識を共有している病院とそうでない病院では明らかに救える命に差がでることと思います。本年度はBCP(Business continuity plan)を踏まえ、千葉県がんセンターを危機管理に強い病院にするべく職員ともども取り組んでゆきたいと考えております。