試験研修成果普及情報

部門

       稲

対象

      普及

課題名:水稲湛水土壌中直播栽培における早期播種による生育の安定化

[要約]湛水土壌中直播栽培において「ふさおとめ」及び「ひとめぼれ」は、酸素供給資材粉衣籾の加温処理をした上で4月15日頃の早期に播種を行い、苗立ち数を100〜120本/uとすることにより、籾数の適正化、倒伏の軽減、及び登熟の向上等の効果があり、倒伏しやすい湛水直播栽培の生育特性が改善され、玄米品質も向上する。

キーワード(専門区分)栽培       (研究対象)稲類−水稲
   (フリーキーワード)水稲、湛水土壌中直播栽培、早期、生育、倒伏

実施機関名(主 査) 農業総合研究センター水田作研究室
     (協力機関)
      (実施期間)1999年度〜2001年度
 
[目的及び背景]
 湛水土壌中直播栽培は倒伏しやすい点が問題である。その要因は、播種深度が浅い、茎数が多くなりやすい、及び稈長が長くなりやすい点であるが、そのうち、稈長が伸びやすいのは、節間伸長期が高温の時期に相当するためである。そこで、酸素供給資材粉衣籾の加温処理技術を用いると4月15日頃の早期に播種できることを利用して生育ステージを前進させ、「ふさおとめ」と「ひとめぼれ」の生育特性の改善を図る。

[成果内容]
1.「ふさおとめ」、「ひとめぼれ」ともに、4月15日頃の早期に播種することにより、慣行の4月30日頃の播種に比べて、u当たり籾数が過剰になりにくく適正範囲におさまる。また、稈長が短くなり倒伏が軽減される。その結果、千籾収量が高くなるために、慣行の播種時期と比べて収量は同程度かそれ以上となる(図1、図2)。
2.「ふさおとめ」、「ひとめぼれ」ともに、4月15日頃に播種することにより4月30日頃の播種に比べて稈長の伸長が抑制される。しかし、苗立ち数が30本/u程度と少ないと、4月15日頃播種の場合でも稈長が長くなる。4月15日頃播種で苗立ち数が100〜120本/uの範囲において、「ふさおとめ」では稈長が基準値の80cmを安定して下回り、「ひとめぼれ」では基準値の85cmを安定して下回り、倒伏の軽減に寄与する(図3、図4)。
3.玄米外観品質は、「ふさおとめ」では4月15日頃播種の方が良好となる。また、「ひとめぼれ」では、4月15日頃播種でu当たり籾数が適正範囲の場合に比較的良好となる(図5)。

[留意事項] 
1.本成果は、壌質土において基肥窒素施用量を、「ふさおとめ」では2kg/10a、「ひとめぼれ」では3kg/10aとしたものである。
2.4月15日頃に播種可能な地域は、日平均気温が出芽適温となる15℃を上回る時期が4月第5半旬である千葉県中央地域であり、他地域における播種早限は地域の気象条件により異なる。
3.酸素供給資材粉衣籾の加温処理方法、及び播種早限については、平成12年度試験研究成果普及情報(酸素供給資材粉衣籾の加温による湛水土壌中直播栽培水稲の播種早限の前
進)を参照する。
4.肥培管理、及び目標とする生育指標値は、従来と同様とする。
[普及対象地域]
県下全域

[成果の概要]



[発表及び関連文献]
1.酸素供給資材粉衣籾の加温による湛水土壌中直播栽培水稲の播種早限の前進、平成12年度試験研究成果普及情報

2.温暖地早期栽培地帯における播種時期の前進が湛水直播栽培水稲の生育と収量に及ぼす影響、日本作物学会関東支部会報17号、2002年